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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X32
管理番号 1377965 
審判番号 取消2020-300791 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-10-30 
確定日 2021-08-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第5283160号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5283160号商標(以下「本件商標」という。)は、「バリアドリンク」の文字を横書きしてなり、平成21年3月29日に登録出願、第32類「乳酸菌を使用してなる乳清飲料,乳酸菌を使用してなる清涼飲料」を指定商品として、同年11月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年11月17日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年(2017年)11月17日から令和2年(2020年)11月16日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
1 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次の2のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
2 インターネットの検索エンジン(Yahoo、Google)によって、本件商標に係る文字を検索したところ、乳酸菌を使用してなる乳清飲料、乳酸菌を使用してなる清涼飲料に関連したサイトは見当たらない(甲2、甲3)ため、本件商標権者が本件商標を使用している事実は認められない。また、本件商標に係る登録原簿謄本によれば、専用使用権者及び通常使用権者の登録はなされておらず、いずれの使用権者も存在しないものと認められ又は推定される。
3 請求人は、被請求人の答弁に対して、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
1 被請求人は、結論同旨の審決を求め、審判事件答弁書及び審尋に対する回答書において、その理由を要旨次の2及び3のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、被請求人は、令和2年12月23日付けで乙第1号証ないし乙第4号証を提出し、同3年5月13日付けで乙第1号証ないし乙第8号証を提出しているところ、重複して提出された乙第1号証ないし乙第4号証は同一のものであるから、本審決では令和3年5月13日付けの乙第1号証ないし乙第8号証を採用する。
2 答弁書における主張
本件商標権者とパイトス株式会社(以下「パイトス社」という。)とは別法人だが、同族会社の判定に対する明細書から、各会社が一つの会社の各部門のように機能しているため、特許使用許諾書は交わしているものの、商標権の通常使用権に関する契約書は存在していない。
本件商標は、乳清を原料に本件商標権者の特許取得した「新規乳発酵物及びその利用」による乳酸菌「ラクトバチルス」を主体とした種菌で発酵した乳清飲料である。販売会社を担うパイトス社で、「バリアドリンク」という商品名で本/50mlにして、薬局等に卸している。製造は、飲料水、食品製造業、OEM受託製造による「日南製薬株式会社」に依頼、現在に至っている。
3 回答書における主張
(1)通常使用権者であるパイトス社は、本件商標の使用の準備を平成30年2月頃から開始し、チラシは同年3月2日に納品され(乙1、乙5)、商品は同年4月20日に入庫し、同年5月10日に、商品とともにチラシを薬局へ納品した(乙7の1)。
(2)バリアドリンクの原料である乳酸菌代謝生産生物の原液を日南製薬株式会社へ支給し、バリアドリンク50ml、1,050本の製造により、平成30年4月20日、パイトス社の倉庫へ納品された。その後、物品出納帳で在庫管理している(乙2、乙6)。
(3)パイトス社がバリアドリンク50mlを卸している薬局は、パイトス社の健康食品を販売している。薬局からは電話で注文を請け、納品書を同梱にて納品、月末締めの請求書を発行している(乙7の2)。
(4)パイトス社は、バリアドリンク50mlの顧客販売は、電話で注文を請け、入金確認後、商品に納品書を同梱して送付している(乙8)。
(5)以上から、本件商標を要証期間に使用していることを証明する。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(1)本件商標権者に係る平成29年11月1日ないし同30年10月31日の「同族会社等の判定に関する明細書」及びパイトス社に係る令和元年10月1日ないし同2年9月30日の「同族会社等の判定に関する明細書」(乙3)において、両者の「判定基準となる株主(社員)及び同族関係者」の欄には、いずれも被請求人(本件商標権者)の代表者及びその妻の氏名並びに同人らの住所のみが記載されている。
(2)本件商標権者とパイトス社は平成29年10月31日付けで「新規乳発酵物及びその利用」に係る特許について特許使用許諾を取り交わした(乙4)。
(3)チラシ(以下「本件チラシ」という。)の左下には、緑色長方形内に「バリアドリンク」の文字(ゴシック体風の太字)を白抜きで表してなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。また、本件チラシには、胴部に使用商標を表示したラベルが貼付された包装瓶の画像や、「乳清を培地に発酵してできた乳酸菌代謝生産物質の原液100%ドリンク」、「内容量:50ml」、「原材料名:乳酸菌酵母代謝生産物」及び「販売者:パイトス株式会社」の文字が表示されている(乙1)。
(4)バリアドリンクのラベルの展開図とする白黒の書証(以下「本件ラベル」という。)には、左側(瓶に貼付した場合に後面に配される部分)に「商品名:バリアドリンク」「名称:清涼飲料水(乳酸菌酵母代謝生産物加工食品)」「原材料名:乳酸菌酵母代謝生産物」「内容量:50ml」「賞味期限 2020.04」「販売者:パイトス株式会社 神奈川県横浜市・・・」の文字が、中央(瓶に貼付した場合に前面に配される部分)には黒色長方形内に「バリアドリンク」の文字(ゴシック体風の太字)が白抜きで表示され、下部には「パイトス株式会社」の文字が表示されているところ、該中央部の構成は色彩を除いて本件チラシに表示されている包装瓶に貼付されているラベルの構成と同一である(乙6の2)。
(5)パイトス社は、2018年(平成30年)5月10日に、横浜市所在の株式会社はるみ薬局に対して、品名「バリアドリンク50ml」を50本及び、品名「バリアドリンクチラシ」を200枚を、それぞれ納品した。そして、パイトス社は、同月31日付け請求明細書により、株式会社はるみ薬局に対して、上記「バリアドリンク50ml」の商品代金を請求した(乙6の3、乙7)。
2 上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
本件ラベルの中央部は、本件チラシに表示されている包装瓶のラベルより色彩を除いたものと構成が同一であるから、本件ラベルは該包装瓶のラベル(色彩を除いたもの)と認められる。
そうすると、該包装瓶は、本件ラベルに表示されている「商品名:バリアドリンク」(以下「使用商品」という。)の包装瓶であり、該包装瓶が表示されている本件チラシは、使用商品に係るものと認められる。そして、使用商品の販売者はパイトス社であることから、本件チラシ及び使用商品に使用商標を付したのはパイトス社であると認められる。
そして、本件商標権者とパイトス社とは、その株主(社員)及び同族関係者が同一であって、関連会社と認められるものであり、またパイトス社は本件商標権者より使用商品の原材料に関連する「新規乳発酵物及びその利用」に係る特許について特許使用許諾を受けていることから、パイトス社は、本件商標権者から本件商標について黙示の使用許諾がなされているものと推認でき、本件商標の通常使用権者とみて差し支えない。
(2)使用商品について
使用商品は、その名称が「清涼飲料水(乳酸菌酵母代謝生産物加工食品)」であり、原材料に「乳酸菌酵母代謝生産物」があるから、本件商標の指定商品中「乳酸菌を使用してなる清涼飲料」の範ちゅうに含まれる商品と認められる。
(3)使用に係る商標について
本件商標は、「バリアドリンク」の文字をゴシック体で表してなるものであり、使用商標は、別掲のとおり、緑色長方形内に「バリアドリンク」の文字(ゴシック体風の太字)を白抜きで表してなるものである。
そうすると、両商標は、色彩は異なるものの、構成文字を同一にするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
(4)使用行為及び使用時期について
パイトス社は、平成30年5月10日に、横浜市所在の株式会社はるみ薬局に対して、品名「バリアドリンク50ml」を納品し、同月31日に当該商品代金を請求しているところ、該「バリアドリンク50ml」は、その品名より使用商品であると認められる。
また、パイトス社は、平成30年5月10日に、株式会社はるみ薬局に対して品名「バリアドリンクチラシ」も納品しているところ、該チラシはその品名より、本件チラシと認められる。
そうすると、パイトス社は、平成30年5月10日に、横浜市所在の株式会社はるみ薬局に対し、包装に使用商標を付した使用商品を譲渡し、使用商品に関する広告に使用商標を付して頒布したということができる。
そして、該平成30年5月10日は、要証期間内である。
(5)小括
以上(1)ないし(4)によれば、本件商標権に係る通常使用権者と認められるパイトス社は、要証期間内である平成30年5月10日に、日本国内において、請求に係る指定商品中「乳酸菌を使用してなる清涼飲料」の範ちゅうに含まれる「清涼飲料水(乳酸菌酵母代謝生産物加工食品)」に係る包装及び広告に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して譲渡及び頒布したものということができ、かかる行為は、商標法第2項第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」及び同項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標に係る通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をした事実を証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、請求に係る商品についての登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(使用商標、色彩は乙第1号証を参照)



審理終結日 2021-07-05 
結審通知日 2021-07-07 
審決日 2021-07-20 
出願番号 商願2009-26954(T2009-26954) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X32)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小田 明 
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 大森 友子
石塚 利恵
登録日 2009-11-27 
登録番号 商標登録第5283160号(T5283160) 
商標の称呼 バリアドリンク、バリア 

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