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審決分類 |
審判 判定 その他 属さない(申立て成立) W30 |
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管理番号 | 1377003 |
判定請求番号 | 判定2021-600010 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標判定公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 判定 |
2021-03-17 | |
確定日 | 2021-08-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第6137106号商標の判定請求事件について,次のとおり判定する。 |
結論 | 商品「せんべい,菓子」に使用するイ号標章は,登録第6137106号商標の商標権の効力の範囲に属しない。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6137106号商標(以下「本件商標」という。)は,「珍味堂」の文字を標準文字で表してなり,平成30年1月18日に登録出願,第30類「せんべい,菓子及びパン」を指定商品として,同31年4月12日に設定登録され,その商標権は現に有効に存続しているものである。 2 イ号標章 請求人が商品「せんべい,菓子」(以下「請求人商品」ということがある。)について使用する標章(以下「イ号標章」という。)は,「大橋珍味堂」の文字からなるものである。 3 請求人の主張 請求人は,結論同旨の判定を求め,その理由を要旨以下のとおり述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。 (1)判定請求の必要性 請求人(大橋珍味堂株式会社)の歴史は非常に古く,天保元年(1830年)に創業し,190年余り続いている会社である。昭和35年5月から「大橋珍味堂」の屋号で,珍味製造販売を開始しており,同48年4月18日,珍味製造販売,食料品卸売を主たる業とする大橋珍味堂株式会社に法人成りした。 イ号標章である「大橋珍味堂」は,請求人の代表取締役の姓とその取扱商品である「珍味」とを含む請求人の現在の屋号の略称である。請求人は,イ号標章「大橋珍味堂」から「大橋」と「珍味堂」とを切り離して表記したことは一度もなく,また,今後もその予定はない。 請求人の商品販売網は全国に及び,東日本旅客鉄道株式会社との取引を通じて新幹線駅構内における売店で販売される等,「大橋珍味堂」の商標は広く消費者に親しまれている。オンラインショップにおいても,楽天市場,Amazonを始めとする大手企業を通じてインターネットによる販売も行っている。このように,「大橋珍味堂」の標章は,日本国内において需要者の間で広く認識されている。 これに対して,請求人は,被請求人(中山照久氏)より,本件商標の商標権(以下「本件商標権」という。)を侵害するものである旨の書簡を受け取った(甲1)。そこで,請求人は,イ号標章の使用態様が,本件商標及びこれに類似する商標の範囲に属するかどうかの判断について専門的知識を有する特許庁に求めるべく,本件判定を求める次第である。 (2)イ号標章の説明 イ号標章は,「大橋珍味堂株式会社」の略称である「大橋珍味堂」である。 なお,イ号標章は,令和3年2月25日付けで第29類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。),食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんばく」及び第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,茶,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),コーヒー,ココア,氷,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,チョコレートスプレッド,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,パスタソース,食用酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」を指定商品として商標登録出願中(商願2021-21843)であり,現在審査に係属している。 (3)イ号標章が商標権の効力の範囲に属しないとの説明 イ号標章と本件商標とを対比すると,前者は「大橋珍味堂」,後者は「珍味堂」であるため,「珍味堂」の文字部分が共通する。 しかしながら,イ号標章は,「大橋」と「珍味堂」との間に空白や区切り等はなく,よどみなく「オオハシチンミドウ」と一連称呼で発音されるものであることから,両者は非類似の商標である。 本件判定請求は,イ号標章と登録商標との類否判断のみを求めることを趣旨とするため,イ号標章が,本件商標登録がなされる以前から全国的に広くかつ継続的に使用されてきた等の具体的事実については立証をしないが,仮に類似するとの結論となった場合,イ号標章が未登録周知商標であることの立証をもって本件商標は,商標法第4条第1項第10号違反の無効理由を有することになる。 (4)むすび よって,イ号標章は,本件商標と非類似であり,請求人商品に使用するイ号標章は,本件商標の商標権の効力の範囲に属しない,との判定を求める。 4 被請求人の答弁 被請求人は,請求人が請求人商品について使用するイ号標章は,本件商標権の効力の範囲に属する,との判定を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証を提出した。 (1)答弁の理由 「大橋珍味堂」と「珍味堂」は類似し,本件商標権の指定商品である「せんべい,菓子及びパン」に類似する商品である「おかき」や「おつまみ類」に「大橋珍味堂」の標章を付して使用していることから,本件商標権の効力の範囲に属する。 (2)「大橋」の語は識別力を有しないということ イ号標章の「大橋珍味堂」のうち「大橋」の語は,「大橋」という漢字を普通に用いられる方法で書してなるところ,広辞苑でも「姓氏の一つ」として紹介され,名字や姓名に関するインターネット掲載情報では,日本全国でおよそ14万人存在する名字であり,141番目に多い名字として紹介されている(乙3?乙5)。 したがって,イ号標章中「大橋」の語は,我が国においてありふれた氏を普通に用いられる方法で表示するにすぎない部分といえ,識別力がない,若しくは,極めて弱い部分である。この点,「久保田」という商標が,我が国で同種の氏が多数存在するありふれた氏であると判断されている例がある(乙6)。 なお,イ号標章中「珍味堂」の語は,後述するように,周知著名な老舗の屋号を示す固有名詞として,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分である。 (3)本件商標「珍味堂」の周知性について 被請求人は,「珍味堂」の屋号を遅くとも昭和40年から使用して,おかきやあられ,せんべいの製造販売を行ってきた。店舗を神楽坂に構え,老舗の手土産商品として広く評価されているものであり,宮内庁大膳課の御用達の商品にもなっている。具体的には,店舗の看板に「珍味堂」を掲げていることに加えて,商品の包装紙や包装ビニール,商品ラベル,商品案内,のし紙において,「珍味堂」という商標を使用している(乙7?乙12)。「良いものを特別な方に特別な贈り物」というコンセプトの下,基本的には電話予約による販売を継続してきており,その独自の一貫した販売方法もうけて,様々なメディアで掲載・紹介されている(乙13?乙20)。 ア 日本最大級のグルメレビューサイトである「食ベログ」において,「珍味堂」として掲載されている。 イ TBSのテレビ番組「人生最高レストラン」において,加山雄三さん愛用の品として,「珍味堂のおかき 飯田橋駅「珍味堂(ちんみどう)」と紹介されている。 ウ ウェブサイト「ALBERATA Ristorante Italiano」にて,「珍味堂 日本一のあられ『珍味揃え』として紹介されている。 エ ブログ「message from B.L.」にて,「宮内庁御用達,東京は神楽坂でおせんべい屋さん:珍味堂」として紹介されている。 オ まとめサイト「ミイル まとめ」にて,「日本全国各地の美味しいあられを仕入れて箱詰めした,いわばあられのセレクトショップ」として紹介されている。 カ ブログ「くいちらかしちっく」にて,神楽坂の「珍味堂」として紹介されている。 キ ブログ「心地よい暮らし」にて,法要でのお渡しものとして,「珍味堂の珍味揃」として紹介されている。 ク ウェブサイト「てくてく 牛込神楽坂」にて,「珍味堂(現在も5丁目で営業中)」として紹介されている。 本件商標に係る「珍味堂」は,雑誌「BRUTUS」の「日本一の『手みやげ』は,どれだ?!」のふきよせ部門で「グランプリ」に選ばれたことがあるほか,「婦人画報」などの雑誌でも取り上げられた。 このように「珍味堂」は,「せんべい」の老舗として広く一般に認識されるとともに,おかきやせんべいを表示するものとして需要者の間で周知著名となっている。 (4)「珍味堂」が要部であること 「大橋珍味堂」のうち,「大橋」の文字部分は前述のとおり,ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示する部分であるところ,「珍味堂」は,被請求人が取り扱うおかきやせんべいを表示するものとして,周知著名であること,せんべいなどの和菓子の販売者の屋号においては,全国的に「○○堂」というものが多く,和菓子の需要者は,中高年層や来訪時の手土産を求める一般の消費者が大半であるという取引の実情があることに照らせば,「珍味堂」の文字部分は,周知著名な老舗の屋号を示す固有名詞部分として,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるのに対し,「大橋珍味堂」のうち,「大橋」の文字部分は,「珍味堂」のひとつと考えられることから,商品の出所識別標識としての称呼及び観念は生じない。 そうだとすると,「大橋」と「珍味堂」の文字部分とは,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。 そして,「大橋珍味堂」がおかきを含む「せんべい類」に使用された場合には,その構成中の「珍味堂」の文字部分が和菓子,特に「せんべい」のブランド名として周知であることから,取引者,需要者に対し,上記商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。 したがって,「大橋珍味堂」のうち「珍味堂」の文字部分を要部として抽出し,本件商標と比較して商標そのものの類否を判断すべきである。 (5)商標が類似するということ 以上のとおり,「大橋珍味堂」の要部である「珍味堂」の文字部分と本件商標「珍味堂」を対比すると,「珍味堂」の文字を書してなる点で外観が共通し,いずれも「チンミドウ」の称呼及びせんべい等の和菓子のブランド名としての「珍味堂」の観念が生じる点で,称呼及び観念が共通する。 そうすると,「大橋珍味堂」と本件商標がおかきを含むせんべい類に使用された場合には,その商品の出所について誤認混同が生ずるおそれがあるから,「大橋珍味堂」と本件商標は,それぞれ全体として類似する。 (6)指定商品の類似について 請求人商品は,本件商標に係る指定商品「せんべい,菓子及びパン」とは,同一又は類似する商品である。 (7)その他 検索エンジン「Google」において「珍味堂 楽天」というキーワードにて検索すると,広告欄にまず「大橋珍味堂」の商品が掲載される(乙21)。 これは,インターネットを利用した商取引が広く普及している現在,検索エンジンを利用して目当ての商品を検索する需要者が極めて多くなっているところ,「珍味堂」というキーワードで検索した需要者を,検索結果ページの最初の部分に掲げた商品のサイトに誘導するもの,すなわち,需要者が当初,購入を企図していた商品と異なる商品に誤導するものであって,出所混同のおそれを引き起こす状況となっている。 この点,請求人は,本件商標と同一の商標「珍味堂」を,指定商品「せんべい,菓子及びパン」と同一又は類似の商品について広告的な使用をしているものであり,本件商標権の禁止権の範囲内の行為に該当する行為を行っている(商標法第37条第1号,同法第2条第3項第8号)。 (8)結語 以上より,請求人がイ号標章を請求人商品に使用する行為は,本件商標に係る指定商品と同一又は類似する商品について,本件商標と類似する商標を使用するものであり,本件商標権の禁止権の範囲内の行為に該当する。 したがって,請求人が請求人商品について使用するイ号標章は,本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。 5 当審の判断 (1)本件商標の周知著名性について ア 被請求人の提出した証拠によれば,本件商標の使用事実については以下のとおりである。 (ア)店舗の看板を示す写真画像(乙7)には,斜めに毛筆体風に表された「珍味堂」の文字が確認できるものの,当該看板と具体的な商品との結びつきは示されておらず,また,本件写真の撮影場所,時期等の事実を示す情報も示されていない。 (イ)商品の包装紙,商品の包装ビニール,商品ラベル,商品案内(しおり),のし紙とされる証拠(乙8?乙12:以下,これらをまとめて「包装紙等」という。)の一部には,毛筆体風に表された「珍味堂」,「あられおかき」,「あられ詰合せ」の文字が確認できるものの,これらの包装紙等が用いられた商品について,その販売がどのよう行われ,どれほどの期間にどれだけの販売量であったか等,商品の売上高,販売数,市場シェアなど販売実績を示す情報は示されていない。 (ウ)ウェブサイト情報(乙13?乙20)には,「東京神楽坂」にある「あられ」,「おかき」を販売する「珍味堂」という名称の店について,テレビ番組において「神楽坂にあったあられのお店」(乙14)と紹介されたことがうかがわれ,また,神楽坂にあるレストランのウェブサイトにおいて「珍味堂 日本一のあられ『珍味揃え』/入手困難とされる珍味堂のあられ。店主が全国各地からおいしいあられを集めて詰め合わせにしたもの・・・首相が外遊に際におみやげとして選んだものとしても有名・・・」との記載が確認できるものの,「食べログ」の記事中には「このお店は休業期間が未確定,移転・閉店の事実確認が出来ないなど,店舗の運営状況の確認が出来ておらず,掲載保留している」旨の記載があり,東京・神楽坂の「珍味堂」についてのその他の情報も個人のブログ中の記事であることから,これらの証拠によって,同店の営業実態ないし本件商標の使用事実を客観的に確認することはできない。 その他,本件商標を使用した指定商品の宣伝広告の事実を示す証拠は示されていない。 イ 判断 上記アによれば,東京・神楽坂に「珍味堂」を名称とする店舗があり,毛筆体風の「珍味堂」の文字の表示した包装紙等を用いて商品「あられ,おかき」を販売し,一部の需要者に知られていたことがうかがえるものの,当該文字を使用した商品「あられ,おかき」の使用期間,売上高や市場シェアなどの販売実績,事業規模,その取引状況,あるいは宣伝広告の方法,回数,範囲などの事実を具体的に示す証拠はいずれも見いだせず,我が国における客観的な使用事実に基づいて商標としての使用状況を把握することができないから,その周知性の程度を推し量ることはできない。 そうすると,本件商標は,被請求人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 (2)本件商標とイ号標章の類否について ア イ号標章 イ号標章は,上記2のとおり,「大橋珍味堂」の文字を表してなるところ,同種文字を,同じ大きさ及び書体で,間を空けることなく横一列にまとまりよく一体的に表してなるもので,いずれかの文字部分だけが独立して看者の注意を引くようなものではなく,また,全体から生じる「オオハシチンミドー」の称呼も格別冗長ではなく,よどみなく一連に称呼できるものである。 さらに,イ号標章の構成中「大橋」の文字は,「氏姓の一つ。」,「大きな橋。」等複数の意味を,「珍味」の文字は「めずらしい,味のよい食物。」の意味を有し,また,「堂」の文字は「商店の屋号などに添えていう語。」あるいは接尾語として「屋号の名前などに添えて用いる。」といった意味を有する(いずれも「広辞苑 第七版」岩波書店,「大辞泉 第二版」小学館)ところ,イ号標章はその末尾に位置する「堂」の文字が他の語と結合して,屋号を表すものとして用いられていることに加え,それぞれの構成文字は主従,軽重の差なくまとまりよく表されていることも相まって,全体として一連一体の造語(屋号)を表してなると認識,理解できるものであって,その構成全体をもって,特定の意味合いを有しない一体不可分の造語として認識,把握されるものである。 そうすると,イ号標章は,その全体の構成文字に相応して,「オオハシチンミドー」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。 なお,イ号標章中の「珍味堂」の文字は,上記(1)のとおり,被請求人の業務に係る商品を表す周知著名な商標といえないことから,当該文字部分だけを要部として分離抽出し,他の商標との類否判断を行うべき理由を見いだすことはできない。 イ 本件商標 本件商標は,上記1のとおり「珍味堂」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は一般的な辞書等に掲載がないものであって,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものであるから,本件商標はその構成文字に相応して「チンミドー」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。 ウ 本件商標とイ号標章の比較 本件商標とイ号標章を比較すると,外観については,構成文字数及び「大橋」の文字の有無において異なるから,互いに容易に判別できる。また,称呼については,語頭の「オオハシ」の音の有無に差異があり,構成音及び全体の音数が明らかに異なるため,互いに容易に聴別できる。さらに,観念については,いずれも特定の観念が生じないから比較できない。 そうすると,両商標は,観念において比較できないとしても,外観及び称呼のいずれにおいても相紛れるおそれがなく,出所の混同が生じるおそれはないから,互いに非類似の商標というべきである。 エ 被請求人の主張について 被請求人は,イ号標章中「大橋」の文字部分がありふれた氏であり識別力を有しないこと,及び「珍味堂」の文字部分が被請求人の業務に係る商品を表示する周知著名な商標であることから,イ号標章の要部は「珍味堂」の文字部分である旨主張している。 しかしながら,上記アのとおり,「大橋」の文字は,「氏性の一つ」以外に「大きな橋。」等の意味も有する語であり,必ずしも「氏」のみを表す語とはいえないばかりでなく,イ号標章は構成全体として一連一体の造語(屋号)を表してなると認識,理解できるものであるから,その構成中の「大橋」の文字のみが切り離され,当該文字部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないものではない。 また,「珍味堂」の文字は,上記(1)のとおり,被請求人の業務に係る商品を表す周知著名な商標といえないことから,当該文字部分だけをイ号標章の要部として分離抽出し,他の商標との類否判断を行うことは許されないというべきである。 したがって,被請求人の主張は採用できない。 (3)本件商標の指定商品とイ号標章の使用に係る商品について 本件商標の指定商品「せんべい,菓子及びパン」と,イ号標章の使用に係る商品「せんべい,菓子」は,同一又は類似の商品であると認められる。 (4)まとめ 以上のとおり,本件商標とイ号標章とは,非類似のものであるから,商品「せんべい,菓子」に使用するイ号標章は,本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。 よって,結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2021-08-03 |
出願番号 | 商願2018-5095(T2018-5095) |
審決分類 |
T
1
2・
9-
ZA
(W30)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 椎名 実 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 鈴木 雅也 |
登録日 | 2019-04-12 |
登録番号 | 商標登録第6137106号(T6137106) |
商標の称呼 | チンミドー、チンミ |
代理人 | 特許業務法人森脇特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人にじいろ特許事務所 |