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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1377001 
異議申立番号 異議2020-900292 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-11-02 
確定日 2021-08-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第6280792号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6280792号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6280792号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和元年12月2日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同2年7月30日に登録査定、同年8月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、現に有効に存続している。
(1)登録第4317439号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成9年7月17日
設定登録日:平成11年9月24日
指定商品:第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
(2)登録第4864681号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成16年10月28日
設定登録日:平成17年5月20日
指定商品:第25類「レインコート,ティーシャツ,タンクトップ,タートルネック型のシャツ・セーター,プルオーバー型のシャツ・セーター,その他のシャツ・セーター,パンツ,ボディースーツ,ボクサーショーツ,ショーツ,その他の下着,布製よだれ掛け,幼児用下着,幼児用布製おしめ,幼児用布製おしめカバー,その他の幼児用おしめカバー,ロンパース,幼児用のジャンプスーツ,カバーオール,幼児用毛糸製の靴下,その他の幼児用衣服,巻きスカート型のバスローブ,その他のバスローブ,その他の寝巻き類,水泳着,ジャンパー,ネクタイ,スカーフ,バンダナ,オーバーオール,ドレス,スカート,ベスト,ジャージー製被服,ウォームアップスーツ,スエットシャツ,スエットパンツ,コート,ジャケット,エプロン,靴下,ミトン,手袋,耳覆い,バイザー,ニット製の帽子,その他の帽子,その他の被服,サスペンダー,硬貨・紙幣を収納できるベルト,その他のベルト,スリッパ,その他の履物,ヘッドバンド,野球用ユニフォーム,ポンチョ,リストバンド」

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第70号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標は、欧文字NとYをモノグラムとして重ね合わせ、Nの縦方向の両側の線が相互に対向するように内側に反り、当該Nの中心部とYの中心が交差させた態様を想起させる図形の上半分に、W文字と横長長方形の図形を組み合わせた構成からなるものである。
引用商標は、欧文字NとYをモノグラムとして重ね合わせ、Nの縦方向の両側の線が相互に対向するように内側に反っており、当該Nの中心部とYの中心が交差するという構成である。
両商標を比較すると、上半分部分はほぼ同一の構成及び態様からなる図形である。
すなわち、欧文字NとYをモノグラムとして重ね合わせている点、Nの縦方向の両側の線が相互に対向するように内側に反っている点、両端部の角度、当該Nの中心部とYの中心が交差するという点など、本件商標と引用商標とは上半分につき共通した点が多く、近似した印象を与えるものである。
そして、本件商標がその指定商品である被服に含まれる洋服のタグ、靴下や帽子のワンポイント等部分が小さく、付される商標も小さいことを考慮すると、本件商標は、引用商標と相紛らわしく、両商標は近似した印象を与えるというべきである。
(2)引用商標について
申立人は、米国メジャーリーグベースボールの商標権その他の権利を管理する法人である。
引用商標は、米国メジャーリーグの周知著名な球団であるニューヨークヤンキース(以下「ヤンキース」という。)のチームロゴであり、ヤンキースを指標し、ヤンキースに関する商品の販売を促進するために使用されているものである。
引用商標に係る「NY」ロゴは、ルイ・B・ティファニー氏によるデザインであり、ヤンキースを表すマークとして初めて使われた1909年から現在まで使用され続け(甲4)、現在では「世界で一番有名なキャップロゴといっても過言ではない」(甲5、甲6)といわれるほど有名となっているロゴマークである。そして、引用商標についての周知著名性を過去の異議決定において認定されている(甲60)。
(3)ヤンキース及び引用商標の周知著名性
ヤンキースは、1901年に設立され、約120年の歴史を有する名門球団であり、世界中で「ヤンキース」の略称で親しまれてきた。
引用商標は、1909年以来、ヤンキースの選手その他の関係者によって着用されているユニフォームや帽子等に顕著に表記されているものであり、第25類に属する「被服,履物,帽子」等に現在まで、110年以上にわたってチームロゴとして使用され続けている。
我が国との関係も古く、1955年には、「来日ヤンキース観覧便覧」が発行されたり、雑誌のカバー表紙にもなっている(甲59)。
しかしながら、我が国にヤンキースが深く浸透したのは、電通が我が国のメジャーリーグの試合の日本向け放映権を獲得したことが大きく、NHKを中心に衛星テレビによる試合中継が行われ、その中でもヤンキースは特に人気となっており、2004年にはヤンキースの開幕試合が東京ドームで開催され、大々的に報道された(甲31?甲34)。
また、観客動員数も、ヤンキースは112年間で延べ約1億8千万人にのぼり、これは、ロサンゼルス・ドジャースに次いで2番目に多い記録となっており(甲35)、ヤンキースの人気の高さが窺い知れる。ヤンキースのホームグランドの地面に大きく引用商標が付され(甲36)、ホームプレート、ダッグアウトの屋根、球場の外の旗等にも引用商標が表記され、球場のショップ等で販売されているヤンキース・グッズにも引用商標が付されている。
日本では、1997年伊良部選手が加入したのをはじめ、松井選手がヤンキースに入団した2003年以来、ファンも増え、現在は、田中選手の活躍により、ヤンキースの人気は衰えず、ヤンキースに所属する日本選手が活躍するたびに、引用商標が付された帽子やユニフォームを着用した姿で数々のメディアによって日本でも報道されている(甲37?甲44)。また、多くの旅行会社で、ヤンキース観戦単独ツアーも企画されている(甲14、甲15)。
さらに、公認のカフェレストラン「MLB CAFE TOKYO」では、アメリカではヤンキー・スタジアムと厳選されたショップでのみで販売されていて、このカフェでしか楽しめない「ニューヨーク・ヤンキース・ワイン」も提供されている(甲23)。
このように、ヤンキースがメジャーリーグのチームとして周知著名であることによって、引用商標も日本において周知著名となっている。
上記事実に加え、ヤンキースのチームロゴを付した帽子やTシャツが、引用商標の使用許諾を得ているライセンシーを通じて、小売店やインターネットによる通販等で販売されている(甲45?甲57)。ライセンシーは、世界中で数百にのぼり、日本においても、アパレルだけでなく、スマートフォンカバーやサングラス、文房具類、バッグ、カレンダー、野球用具等多様な商品にライセンスがされている。
本件商標の指定商品の「被服」に限っても、株式会社カイタックファミリー、ニューエラ(甲48?甲55)等の日本における公式ライセンシーを介して、ウェブサイト、スポーツ小売店、野球専門店、ECサイト(ZOZOTOWN等)、ファッション専門店、野球場球団店にて発売されている。これらのライセンシーの新製品が発売されると、引用商標が付された商品のショートフィルムがYoutubeで配信され、インスタグラムで商品の写真が紹介されている(甲56、甲57)。
また、日本からもアクセス可能なメジャーリーグの公式ホームページでは、引用商標を介した様々な商品が販売されている(甲58)。
2020年のヤンキースの正規ライセンス商品の小売価格による全世界での売上高は2020年1月から11月までで2億700万ドル以上(約214億円以上)、2019年は2億4600万ドル以上(約255億円以上)、2018年は2億9900万ドル以上(約310億円以上)にのぼっている。
そして、上記のように引用商標が高い信用や名声、顧客吸引力等を持つことから、引用商標の偽造品が輸入され続けられ、2020年度では、引用商標を付した帽子や履物等の商品が270件以上輸入差止の対象となり、令和元年に輸入差止が急増したブランドとして税関で紹介されているほどである(甲47)。
以上のことから、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても、引用商標に係るヤンキースのチームロゴは、我が国において、ヤンキースを指標し、ヤンキースに関する商品の販売を促進するために使用されている商標として、広く知られるに至っている。
(4)本件商標の指定商品と他人の業務に係る商品との関連性の程度、取引者・需要者の共通性等
本件商標の指定商品は、引用商標が周知著名性を獲得しているTシャツや帽子等の被服商品である点を勘案すれば、取引者及び需要者が共通し、本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者・需要者は、これより直ちに引用商標を連想・想起し、該商品がヤンキースに関連する商品あるいはヤンキースのチームロゴに関するライセンス商品であるかのように商品の出所について混同するおそれがある。
(5)その他取引の実情
ア 本件商標の指定商品の需要者において普通に払われる注意力
引用商標は、特徴ある構成の図形であって、110年以上もの間使用されてきたチームロゴであり、申立人の業務に係る商品に広範囲に使用されるハウスマークであり、ヤンキースのチームイメージに直結するほど人々の記憶に深く刷り込まれたものであることからすれば、需要者において普通に払われる注意力としては、本件商標に接した需要者は、当該図形の引用商標と近似する部分の形状に着目して、申立人に係る商品を連想させ、当該商品が申立人の業務に係るものと認識するであろうことは容易に想像される。
また、引用商標は、例えば服のタグ、靴下や帽子のワンポイント等に付されて使用された場合、小さく付されることが多く、いわゆる離隔的観察をした場合に、上部における特徴的な構成からなる図形と顕著に認識されるものである。たとえ、本件商標と引用商標において、図形の一部分に外観上の差異が認められるとしても、引用商標が、商品に対して、実際には小さく付されていることが多いこと、及び、本件商標と引用商標が近似した印象の商標であることから、両商標を離隔的観察した場合に、需要者等が、商品の出所について混同を生じるおそれがあるというべきである。
さらに、引用商標は、比較的単純な構成ながらも、その周知著名性が認められている商標であり、たとえ商品に対して小さく付して、引用商標を使用しているとしても顧客吸引力の強い商標である。その著名な商標と主たる構成が共通する図形部分を構成に含む本件商標は、商標を離隔観察した場合、視覚上、特に強く需要者の印象に残る部分が共通する商標であると判断される可能性がより高くなるといえる。よって、本件商標と引用商標とを誤認するおそれは非常に高い。
イ 取引の実情に与える周知著名性
申立人の業務に係る引用商標は、上述のとおり、本件商標の指定商品に係る「被服」についてその取引者・需要者間で周知著名性を獲得していたもので、本件商標の登録査定時においても継続しているものであり、取引者・需要者が重複するものである。
したがって、両商標の外観の紛らわしさに加えて取引の実情を考慮すれば、両商標の紛らわしさは一層増幅される。
なお、申立人が調査したところ、本件商標が帽子やパーカーやスウェット等に使用され(甲67)、「NYの流行とカルチャーを[WN,Y,C]というフィルターを通して日本全国に発信するインポートセレクトショップです。」(甲68)とコメントがなされていたり、「I 本件商標 NY」と表示された商品(甲69)が販売されており、これは「I LOVE NY」をもじったものであり、本件商標がヤンキースの本拠地であるニューヨークと関連していること明らかである。
さらに、商標権者のウェブサイトにおける商品の写真(甲70)は、本件商標の背景にヤンキースのスタジアムが配され、さらにそのスタジアムには引用商標が表示されており、本件商標が申立人の高い周知著名性を有するNYからなる引用商標を連想させる態様となっている。
このような使用がなされている本件商標が登録され使用されることは、申立人の引用商標に化体した顧客吸引力にフリーライドする意図があり、かつ、申立人の周知著名な引用商標に係る信用の希釈化につながるものである。
(6)まとめ
以上を踏まえると、本件商標と引用商標との外観の類似性、申立人の引用商標が周知著名性を獲得していること、申立人が著名性を獲得しているTシャツや帽子等を含む被服を本件商標が指定商品としている点、著名なメジャーリーグの著名なヤンキースのロゴマークに関してライセンス等の商品化事業が行われている等の取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断した場合、本件商標に接した取引者・需要者は、あたかも申立人若しくは申立人と何らかの関係がある業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
さらに、本件商標の引用商標に対する希釈化を防止し、引用商標が有する自他商品識別機能を保護すべきであり、本号の趣旨から考えても本件商標はその商品の出所について混同を生ずるおそれがあると判断され、その登録を取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)引用商標は、1909年以来、ヤンキースの選手その他の関係者によって着用されているユニフォームや帽子等に表示されているものであり、110年以上にわたってチームロゴとして使用され続けている。
(イ)我が国においても、メジャーリーグの野球の試合は、テレビを通じて数多く放映され(甲7、甲8)、2004年にはヤンキースの開幕試合が東京ドームで開催された(甲31?甲34)。
(ウ)観客動員数も、ヤンキースは112年間で延べ約1億8千万人にのぼり、これは、ロサンゼルス・ドジャースに次いで2番目に多い記録となっている(甲35)。
(エ)旅行会社で、ヤンキース観戦ツアーも企画されており(甲14、甲15)、ヤンキースのホームグランドの地面に大きく引用商標が付されている(甲36)。
(オ)ヤンキースには、松井秀喜選手や田中将大選手等が入団し、活躍したことにより、日本においても注目されており、引用商標が付された帽子やユニフォームを着用した姿で数々のメディアによって日本でも報道されている(甲37?甲44)。
(カ)ヤンキースのチームロゴを付した帽子やTシャツが、引用商標の使用許諾を得ているライセンシーを通じて、小売店やインターネットによる通販等で販売されている(甲45?甲46、甲49?甲57)。
(キ)申立人は、帽子やTシャツを含むヤンキースのライセンス商品の全世界における売上高を主張するも、その裏付けとなる資料の提出もなく、該商品に関する広告の手法、頻度及び範囲は明らかでない。
イ 上記アからすれば、ヤンキースはメジャーリーグの球団であって、そのチームロゴである引用商標は、110年余りにわたり選手が着用するユニホームや帽子等に表示されており、他方、我が国においては、日本人選手も所属するヤンキースの試合が中継されたり、引用商標を付した帽子やTシャツが、小売店やインターネットによる通販等で販売されていることなどからすれば、引用商標は、ヤンキースのチームロゴとして一般に知られていることがうかがえる。
しかしながら、引用商標を付したライセンス商品の売上高について、申立人は述べるにとどまり客観性を欠くものといわざるを得ない上に、ライセンス商品に関する広告実績等も明らかにされていないことからすれば、提出された証拠から、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、ライセンス商品に付された引用商標の周知性を推し量ることはできない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、帽子やTシャツを含むライセンス商品、すなわち、申立人の業務に係る商品を表すものとして広く知られているとは認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、広く知られているとは認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標は、別掲1のとおり、上部中央に、欧文字「V」と思しき図形(以下「V字図形」という。)、並びにその左側にV字図形と一部結合した幾何図形を、右側に湾曲した帯状の図形を、それぞれ配し、また、その下にスペースを設けて、下部に、欧文字「W」と思しき図形及びこれに一部結合した横長長方形を配した構成からなるものである。
引用商標1は、別掲2のとおり、欧文字「N」及び「Y」をモノグラムとして重ね合わせ、「N」の縦方向の両辺が相反するように湾曲した構成からなるものである。
また、引用商標2は、別掲3のとおり、引用商標1の輪郭を表した構成からなるものである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標と引用商標とは、ともに欧文字を又はそれと思しき図形から構成されるとしても、本件商標は主に「V」及び「W」を、引用商標は「N」及び「Y」を配してなるものというように、明らかに異なる文字等で構成されるものであることから、両商標は、その全体を比較しても、判然と区別することができ相紛れるおそれのないものであり、また、両商標から称呼、観念は生じないものであるから、これらを総合して判断すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
ウ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品の需要者の共通性
本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは、同一又は類似の商品であって、その需要者も一部共通にする場合があるといえる。
エ 出所の混同のおそれ
上記アないしウのとおり、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品と需要者を一部共通にする場合があるとしても、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとはいえず、さらに、本件商標と引用商標とは別異の商標である。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。
その他、本件商標が引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)申立人の主張について
申立人は、引用商標は、特徴ある構成の図形であって110年以上もの間使用されてきたヤンキースのチームロゴであること、服のタグ、靴下、帽子のワンポイント等のように小さく付されることがあること、その主たる構成が共通する図形部分を本件商標が含んでいること、本件商標権者のウェブサイトにおいて本件商標の背景にヤンキースのスタジアムとともに表示されていることなどから、本件商標は引用商標と誤認を生ずるおそれがある旨主張する。
しかしながら、上記(2)イのとおり、引用商標は、ニューヨークヤンキースの頭文字である「N」及び「Y」のモノグラムであることを容易に看取させる比較的シンプルな構成であるのに対し、本件商標は、主にこれとは異なる欧文字と思しき図形に加えて各種図形も含まれた複雑な構成であることからしても、本件商標と引用商標とは別異の商標であるというべきである。そして、引用商標が付されたライセンス商品を購入するのは、一般にヤンキースのファンであると考えられるところ、通常、購入者は野球観戦やヤンキースのウェブサイトにおいて、触れる機会が多い引用商標を強く記憶にとどめていることに加え、申立人が主張するように引用商標の模倣品が急増している現状からすると、購入者は強く記憶にとどめた引用商標を手掛かりに慎重に商品を選択しようとする傾向にあると考えられる。そうすると、本件商標が、服のタグなどに小さく表示されていたり、ヤンキースのスタジアムとともに表示されていたりしたとしても、購入者は、本件商標を引用商標と見誤ることはない上に、引用商標を連想、想起することもないというべきであるから、本件商標は、引用商標と出所の混同を生ずるおそれはない。
したがって、申立人の主張は採用することはできない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(本件商標)




別掲2(引用商標1)




別掲3(引用商標2)





異議決定日 2021-08-12 
出願番号 商願2019-151055(T2019-151055) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W25)
最終処分 維持 
前審関与審査官 真鍋 伸行 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 板谷 玲子
岩崎 安子
登録日 2020-08-14 
登録番号 商標登録第6280792号(T6280792) 
権利者 有限会社ティエムイー
代理人 稲葉 良幸 
代理人 廣中 健 
代理人 田中 克郎 
代理人 宮川 美津子 
代理人 池田 万美 
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