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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1376999 
異議申立番号 異議2021-900053 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-12 
確定日 2021-07-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第6321533号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6321533号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6321533号商標(以下「本件商標」という。)は、「ナノマスク」の文字を標準文字で表してなり、令和2年5月15日に登録出願、第5類「医療用油紙,医療用接着テープ,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒」を指定商品として、同年10月20日に登録査定、同年11月26日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人3名(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第1号、同項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て(申立番号01?03)、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として以下の甲各号証を提出した。
(1)申立ての理由(申立番号01)
申立番号01に係る申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第1号、同項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(以下「甲01-1」及び「甲01-2」と記載する。)を提出した。
ア 「ナノマスク」という用語が、衛生マスクの中で、特に気密性が高く感染症予防に効果が高いマスクを示す普通名称であることを示すために、インターネットショッピングサイト「楽天市場」で検索したところ、129件もの出品商品がヒットした(甲01-2)。
同ページには、「ナノマスク」はもとより、「ナノプロテクションマスク」、「新技術ナノマスク」、「クールナノマスク」、「『クモランザ』×『ナノマスク』」、「ナノフィルターマスク」等のように、「ナノマスク」に他の用語を組み合わせたものもある。
そのため、「ナノマスク」は、衛生マスクの取引者及び需要者(マスク使用者)にとっては、衛生マスクの中で、特に気密性が高く感染症予防に効果が高いマスクを示す普通名称である。
イ(ア)上記のとおり、「ナノマスク」は、衛生マスクの中で、特に気密性が高く感染症予防に効果が高いマスクを示す普通名称である。
したがって、本件商標は、その指定商品中「衛生マスク」について、第3条第1項第1号に該当する。
(イ)本件商標「ナノマスク」は、気密性が高く感染症予防に効果的な衛生マスクを意味するため、その指定商品中「衛生マスク」に使用した場合、取引者及び需要者は、単に商品の品質又は効能を表示したものと認識するもので、「衛生マスク」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)申立ての理由(申立番号02)
申立番号02に係る申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(以下「甲02-1」及び「甲02-2」と記載する。)を提出した。
ア 日本において広く知られている国語辞典である「広辞苑(第六版)」(甲02-2)は、「マスク」を「病菌・埃などを防ぐために鼻・口を覆うもの」と、「ナノ」を「10億分の1を表す単位の接頭語」と説明しており、また、「ナノ・テクノロジー」を「ナノ・メートル(10億分の1メートル)の単位で物質の構造や配列を制御する工学技術」と説明している。
イ 上記のとおり、「マスク」は「衛生マスク」を意味する普通名称であり、「ナノ」は10億分の1を示す用語で、「ナノ・テクノロジー」のように修飾語としても使用される。
そして、マスクの機能は「病菌・埃などを防ぐ」ことであるから、本件商標「ナノマスク」の「ナノ」は、マスクの目がナノレベルで細かく、病菌・埃を機能的に防ぐという意味となり、商品「マスク」の品質及び効能を示す用語(修飾語)となる。
また、「ナノ」という用語から、ナノレベルの細かい材料でマスクが構成されているという意味にもなり、商品「マスク」の原材料を示す修飾語になる。
ウ そうすると、本件商標は、その指定商品中「衛生マスク」に使用しても、それに接する取引者及び需要者は、単に商品の品質、原材料又は効能を表示したものと認識するにとどまるから、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであり、それ以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(3)申立ての理由(申立番号03)
申立番号03に係る申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第1号、同項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(以下「甲03-1」及び「甲03-2」と記載する。)を提出した。
ア Yahoo Japan社のインターネットショッピングサイトにおける「ナノマスク」の検索結果(甲03-2)によれば、「ナノマスク」、「ナノ×シルクマスク」、「銅ナノマスク」、「眼鏡が曇りにくい高性能ナノマスク」、「ナノ抗菌バンブーマスク」、「ナノエアーマスク」、「ナノエアーマスクふつう」、「ナノエアーマスク小さめ」、「ナノプロテクションマスク」、「ナノフィルターマスク」及び「ナノプラチナモイストマスク」のように、「ナノマスク」を含む商品名で、商品「衛生マスク」が複数の出品者から多数出品(873件)されている。
イ(ア)「ナノ」という用語は、10億分の1という意味であり、「ナノ粒子」のように、極めて小さいという意味で、物の性質等を説明する用語として、日本において、広く使用されている。
また、「マスク」という用語は、一般的に、何かを覆うものを意味するが、新型コロナウイルスにより感染症が世界中で蔓延している現在では、鼻及び口を覆い、口や鼻からの飛沫による感染症を防止するものと、強く認識されている。
そして、「ナノマスク」という商品名で、多数の商品が出品されている(甲03-2)から、「ナノマスク」の語は、目の細かい衛生マスクを示す普通名称であり、出品者を特定することができない。
コロナ禍は、令和2年1月(特に4月)以降から続いており、このような状況下では、本件商標は、その指定商品中「衛生マスク」、特に目が細かく感染症予防に役立つ「衛生マスク」を意味する普通名称を普通に表示したものであると取引者及び需要者は認識する。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号に該当する。
(イ)本件商標の構成中「ナノ」の文字は、取引者及び需要者において、マスクの目が小さく、感染症を効果的に防ぐことを意味し、商品「衛生マスク」の品質及び効能を示すものである。
そのため、本件商標「ナノマスク」は、その指定商品中「衛生マスク」に使用しても、これに接する取引者及び需要者は、単に商品の品質又は効能を表示したものと認識するにとどまるもので、それ以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第1号該当性について
本件商標は、「ナノマスク」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同種文字(片仮名)を、同じ書体及び大きさで、間隔なく、横一列にまとまりよく表してなるから、全体で一連一体の語を表してなると認識できる。
そして、本件商標の構成中、「ナノ」の文字は「10億分の1を表す単位の接頭語」である英語「nano」に通じるもので、「マスク」の文字は「面。仮面。病菌・埃などを防ぐために鼻・口を覆うもの。」を指称する語である(甲02-2)ところ、両文字を結合して成語となるものではなく、各文字の語義を結合した意味合いは具体性を欠き、漠然としている。
そうすると、本件商標は、構成文字全体で一連一体の造語を表してなるというべきであって、その指定商品(「衛生マスク」を含む。)に係る商品の普通名称を表示するものではないから、商標法第3条第1項第1号に該当しない。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、上記(1)のとおり、まとまりよく一連一体の造語を表してなるから、その指定商品に係る需要者及び取引者をして、商品の品質(構造)を表示するものと認識、理解されるものではない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、上記(1)のとおり、まとまりよく一連一体の造語を表してなるもので、具体的な商品の品質を表示するものではないから、その指定商品について、商品の品質の誤認を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(4)申立人の主張について
ア 申立人は、インターネットの検索結果(甲01-2、甲03-2)を示しつつ、「ナノマスク」の文字、並びに「ナノ」及び「マスク」を組み合わせた文字を、商品の包装や見出しに表示する使用例があるから、「ナノマスク」の文字は、特に機密性が高く感染症予防に効果が高いマスクを示す普通名称又は品質(効能)表示である旨を主張する。
しかしながら、「ナノ」及び「マスク」の文字を組み合わせながらも、「ナノマスク」の語を単独で使用するものではない事例は、構成文字全体で一連一体の語を表してなる本件商標の識別性の有無に直接影響を与えるものではなく、また、例えば「新技術 ナノマスク」、「『くもらんざ』×『ナノマスク』」、「メーカー直営店 ナノマスク」などを表示する事例にしても、当該表示がどのような意味や文脈で用いられているのか使用状況が把握できないから、固有の商品名(商標)としての使用例なのか、申立人主張のような機能を備える商品(機密性が高く感染症予防に効果が高いマスク)を指称する語としての使用例なのかも明らかではないばかりか、数例の事例だけでは、「ナノマスク」の文字が、商品の普通名称や品質表示として取引上普通に使用されているとはいえない。
イ 申立人は、「ナノ」及び「マスク」の国語辞典における語義(甲02-2)を示しつつ、「ナノ」の文字は、マスクの目がナノレベルで細かく、病菌・埃を機能的に防ぐという意味や、ナノレベルで細かい材料でマスクが構成されているという意味など、商品の品質、効能又は原材料を示す修飾語となるから、それを商品の普通名称である「マスク」の語と結合した本件商標は、商品の品質、原材料又は効能を表示するにすぎない旨を主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、「ナノ」の文字は「10億分の1を表す単位の接頭語」に通じるものであり、「マスク」の文字と結合した本件商標のような構成において、申立人主張の複数の意味(マスクの目が細かいこと、細かい材料であること)を暗示する可能性があるとしても、構成文字から当該意味を直ちに認識することはできず、また、上記アのとおり、「ナノマスク」の語が商品の普通名称や品質表示として取引上普通に使用されている実情もないから、本件商標は、上記(1)のとおり、構成文字全体で一連一体の造語を表してなるというべきである。
ウ 以上のとおり、本件商標は、まとまりよく一連一体の造語を表してなるというべきで、商品の普通名称や品質を表示するものではない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第1号、同項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
異議決定日 2021-07-20 
出願番号 商願2020-61178(T2020-61178) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W05)
T 1 651・ 272- Y (W05)
T 1 651・ 11- Y (W05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石戸 拓郎 
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 阿曾 裕樹
鈴木 雅也
登録日 2020-11-26 
登録番号 商標登録第6321533号(T6321533) 
権利者 株式会社プラントホープ
商標の称呼 ナノマスク、ナノ 

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