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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
管理番号 1376979 
異議申立番号 異議2021-900033 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-25 
確定日 2021-08-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第6314532号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6314532号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6314532号商標(以下「本件商標」という。)は、「AWG ORIGIN」の文字を横書きしてなり、令和元年10月15日に登録出願、第10類「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。),家庭用電気マッサージ器,治療用機械器具,高周波治療器,低周波治療器,医療器具ケース,医療用電極,医療用電極パッド,治療用マッサージ器」を指定商品として、同2年10月29日に登録査定され、同年11月10日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、引用する登録第6142688号商標(以下「引用商標」という。)は、「AWG」の文字を標準文字で表してなり、平成30年8月3日に登録出願、第10類「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。),家庭用電気マッサージ器」を指定商品として、令和元年5月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標「AWG ORIGIN」は、「AWG」と「ORIGIN」の2語で構成される結合商標であるところ、最高裁判決は、「複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである」と判示している(最高裁平成19年(行ヒ)第223号)。
本件商標の構成中の「ORIGIN」の欧文字は、「原点」、「起源」などの意味を有するところ、本件商標の指定商品が医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)、家庭用電気マッサージ器、治療用機械器具、高周波治療器、低周波治療器、医療器具ケース、医療用電極、医療用電極パッド及び治療用マッサージ器であることを考慮すると、本件商標の指定商品に係る医療用機械器具や治療用機械器具などの品質や特徴等を表示する文字であり出所識別力は弱い。
一方、本件商標の構成中の「AWG」の欧文字は、造語であり特定の観念を生じないものであるから出所識別力が強い。
以上のとおり、本件商標を構成する語のうち、「ORIGIN」は出所識別力が弱く、造語である「AWG」のみが出所識別力を有している。
したがって、「AWG」を本件商標の要部として抽出し、引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することができる。
本件商標の要部である「AWG」と引用商標の「AWG」とを比較すると、両者は、そのつづりを同じくするものであるから、外観は類似する。また、両者は、「エイダブリュウジイ」の称呼を共通にするものである。さらに、両者は、いずれも造語であるため特定の観念を生じないものであるから、観念については比較することができない。
そうすると、本件商標の要部である「AWG」と引用商標「AWG」とは、観念において比較することができないとしても、外観において類似し、称呼を共通にするものであるから類似の商標と認められる。
本件商標の指定商品は、上記第1のとおりであり、引用商標の指定商品は、上記第2のとおりであるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似するため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第7号について
引用商標の商標権者(以下「引用商標権者」という。)は、引用商標の登録出願後に、引用商標「AWG」の文字と、引用商標権者の業である医療機器・美容機器及び健康機器等に関する一般的な文字(識別力を有しない)とを結合させた登録商標として、「AWG-WAVE」(登録日2019年9月20日、公開日2019年3月5日)(甲3)、「AWG治療」(登録日2020年1月17日、公開日2019年5月21日)(甲4)、「AWG療法」(登録日2020年1月17日、公開日2019年5月21日)(甲5)を保有し、さらに商標登録出願として、「ビューティーAWGエナジー」(出願日2020年2月7日、公開日2020年2月25日)(甲6)を行っている。
そして、引用商標権者は、これらの登録商標及び登録出願商標を自身の商品・役務に付してブランド化を進めているところである。
一方、本件商標権者は、本件商標の登録出願と前後して、「Depth Pulse AwG」(出願日2019年8月14日)(甲7)、「JAPAN excellent AWG machine」(出願日2019年8月20日)(甲8)、「AWG MASTER」(出願日2019年10月15日)(甲9)、「AWG MATSUURA」(出願日2019年10月15日)(甲10)、「AWG治療」(出願日2019年10月21日)(甲11)、「AWGクリニック」(出願日2019年10月21日)(甲12)、「AWG治療院・療術院」(出願日2019年10月21日)(甲13)といった、引用商標「AWG」と、医療・美容・健康等に関する一般的な文字、あるいは医療・美容・健康等を想起させる文字とを結合させた商標を登録出願している。
そして、これらの本件商標権者による登録出願は、いずれも、引用商標権者による各登録商標に係る登録出願の公開日の後に行われている。
このことから、本件商標権者は、引用商標権者による「AWG」の文字を要部とする商標の登録出願の内容を知り得た時期に、引用商標権者の商標と同一又は類似する商標について登録出願を後追いで行っている。
このような本件商標の登録出願を端緒とする本件商標権者による「AWG」の文字を含む一連の登録出願により、引用商標「AWG」及び「AWG」の文字を含む引用商標権者による商標の出所表示機能は希釈化(ダイリューション)され、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力が毀損されるばかりでなく、取引者及び需要者に対して出所混同を惹起させ公正な取引秩序を乱すものである。
よって、本件商標の登録の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないといえ、本件商標は公序良俗を害するおそれがある商標であるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「AWG ORIGIN」の欧文字を横書きにしてなるところ、その構成文字は、同書、同大で、まとまりよく表されており、「AWG」と「ORIGIN」の文字の間に半角文字分程度のスペースを有しているとしても、視覚上一体的に看取されるものであるから、本件商標は、構成文字全体を一連一体のものとして把握、認識されるとみるのが自然である。
また、その構成文字全体から生じる「エーダブリュージーオリジン」の称呼は、冗長とはいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標の構成後半の「ORIGIN」の欧文字は、「起源、由来、原因」(大修館書店 ジーニアス英和辞典第5版)の意味を有する英単語であるとしても、当該文字部分が、本件商標の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有さないものと判断しなければならない特段の事情はない。
さらに、本件商標の構成前半の「AWG」の文字が、取引者及び需要者に特定の者の取り扱いに係る商品及び役務を表示するものとして、広く知られている等の特別な事情はなく、当該文字が、特定の意味合いを生じるものと判断しなければならない特段の事情はない。
そうすると、本件商標は、その構成中の「AWG」の文字部分のみを本件商標の要部として認識されるものではなく、構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字全体から「エーダブリュージーオリジン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「AWG」の文字を標準文字で表してなるところ、「AWG」の文字は、取引者、需要者に特定の者の取り扱いに係る商品・役務を表示するものとして、広く知られている等の特別な事情はなく、また、これが、特定の意味合いを生じるものと判断しなければならない特段の事情はない。
そうすると、引用商標は、構成文字に相応して、「エーダブリュージー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、これらは、構成文字数が明らかに相違することから、両商標の外観は、明確に区別し得るものであって、相紛れるおそれのないものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「エーダブリュージーオリジン」の称呼と、引用商標から生じる「エーダブリュージー」の称呼とを比較すると、両称呼は、構成音数が相違し、かつ、「オリジン」の音の有無に差異を有することから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が異なり、相紛れるおそれのないものである。
また、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両者は、非類似の商標というのが相当である。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品と、引用商標の指定商品は同一又は類似する商品である。
(5)小括
以上によれば、本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品と同一又は類似するとしても、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記1(1)のとおりの構成からなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
また、本件商標は、これをその指定商品に使用することが、社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものではなく、さらに、その使用が他の法律によって禁止されているもの、外国の権威や尊厳を損なうおそれがあって、国際信義に反するものでもない。
加えて、申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足る具体的事実も見いだせず、その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であると認めるに足りる証拠の提出はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第11号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するという事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲


異議決定日 2021-07-21 
出願番号 商願2019-133104(T2019-133104) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W10)
T 1 651・ 261- Y (W10)
T 1 651・ 263- Y (W10)
T 1 651・ 262- Y (W10)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 瑠美 
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 青野 紀子
豊田 純一
登録日 2020-11-10 
登録番号 商標登録第6314532号(T6314532) 
権利者 株式会社アジアス
商標の称呼 エイダブリュウジイオリジン、エイダブリュウジイ、オリジン 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 角藤 大樹 
代理人 佐藤 力哉 
代理人 小林 彰治 
代理人 田中 克郎 
代理人 白石 和泰 

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