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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W42
管理番号 1376947 
審判番号 取消2019-300212 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-03-19 
確定日 2021-08-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第5745892号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5745892号商標の指定役務中、第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),クラウドコンピューティング,電子計算機用プログラムの貸与,電子データの保存用記憶領域の貸与」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5745892号商標(以下「本件商標」という。)は、「ランドマーク」の片仮名を標準文字で表してなり、平成26年8月18日に登録出願、「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),クラウドコンピューティング,電子計算機用プログラムの貸与,電子データの保存用記憶領域の貸与」を含む第42類及び第35類の商標登録原簿記載の役務を指定役務として、同27年3月6日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、同31年4月5日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同28年4月5日から同31年4月4日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書及び弁駁書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲(乙)第○号証」を「甲(乙)○」のように省略して記載する。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),クラウドコンピューティング,電子計算機用プログラムの貸与,電子データの保存用記憶領域の貸与」(以下、これらを「取消請求役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 弁駁書の要旨
(1)被請求人が使用を主張する指定役務について
被請求人が本件商標の使用を証明しようとする「使用行為1」ないし「使用行為4」(後記第3において詳述。)において、指定役務は全て「電子計算機用プログラムの提供」と「ウェブサイトのホスティング」において共通するので、これらの指定役務について以下に検討・確認する。
(2)第42類「電子計算機用プログラムの提供」について
当該役務は、アプリケーションソフトウェア(プログラム)の機能をネットワーク経由でユーザーに提供するサービスであり、提供されるアプリケーションソフトウェア(プログラム)は、ユーザーのパソコンやスマートフォンにダウンロードされることなく、当該プログラムに係る機能の処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア(プログラム)の提供者が自ら保有するサーバー上で処理される。いわゆる「アプリケーションサービスプロバイダ(Application Service Provider:ASP)」と呼ばれる業者が提供するサービスや、いわゆる「SaaS(Software as a Service)」と呼ばれるサービスがこれに該当する(甲3、甲4)。
(3)第42類「ウェブサイトのホスティング」について
当該役務は、ウェブサイト(のコンテンツ)を格納するためのコンピュータ(サーバ)を貸し出し、当該サーバに保管されたウェブサイトに、インターネットユーザーがアクセスできるように、オンラインシステムを提供するサービスである。換言すれば、「レンタルサーバー業」であり、ウェブサイトを持ちたい企業や個人向けに、ウェブサーバーコンピューターの容量の一部を間貸しするサービスである(甲5、甲6)。
(4)使用行為1ないし使用行為4についての検討
被請求人が本件商標の使用を証明しようとしている2つの指定役務「電子計算機用プログラムの提供」及び「ウェブサイトのホスティング」に関し、以下、使用行為1ないし使用行為4について順に検討する。
(5)使用行為1について
通常使用権者について
被請求人は、平成29年9月に被請求人の代理店として営業活動を行っていた長谷川氏が本件商標の通常使用権者であった旨主張しているが、代理店契約や使用許諾契約等の事実を証明する証拠を何ら提出していない。
イ 本件名刺の頒布について
被請求人は、本件商標「ランドマーク」と社会通念上同一といえる標章「ランドマーク株式会社」を表面及び裏面に付した長谷川氏が使っていた名刺(乙1の1ないし乙1の4。以下「本件名刺」という。)が、平成29年9月21日ないし同月28日に、名刺交換を通じて少なくとも50人に頒布されたと主張するが、乙1の1ないし乙1の4に係る資料は、本件名刺作成用のデータを示すものと、市販の名刺作成用印刷用紙の包装パッケージの表紙の紙の写しであり、これらをもって本件名刺が実際に、平成29年9月21日ないし同月28日の間に第三者に頒布されたことは何ら証明されていない。
ウ 本件名刺と被請求人主張に係る指定役務との関係について
被請求人は、「すなわち本件名刺は、ウェブサイトの作成・保守に加えて、顧客のために、サーバ及びドメインを準備し顧客向けにウェブサイトを作成する環境を提供するものであり、これは『電子計算機用プログラムの提供』、『ウェブサイトのホスティング』に当たる。」と主張している。しかしながら、特許庁による「類似商品・役務審査基準」によれば、「ウェブサイトの作成・保守」は、被請求人主張に係る指定役務(類似群コード:42X11)(甲7)とは異なる類似群コード「42P02」が割り当てられており(甲8)、特許庁においては、「ウェブサイトの作成・保守」と被請求人主張に係る指定役務とは、非類似との判断がなされている。すなわち、「ウェブサイトの作成・保守」は、被請求人主張に係る指定役務の範ちゅうには含まれない。
さらに、被請求人主張の「顧客のために、サーバ及びドメインを準備し顧客向けにウェブサイトを作成する環境を提供するもの」が、本件商標の使用を証明しようとしている、被請求人主張に係る指定役務(類似群コード:42X11)に該当すると主張するのであれば、上記「顧客のために、サーバ及びドメインを準備し顧客向けにウェブサイトを作成する環境を提供するもの」の具体的なサービスの内容を詳らかに説明し、当該サービス内容が、実際に、上記(2)及び(3)で定義した役務に合致することを明らかにした上で、証拠資料をもってその旨及び本件商標の使用を証明すべきであるが、被請求人提出の乙1の1ないし乙1の4をもってしては、かかる事実は何ら説明、証明されていない。
エ 小括
よって、乙1の1ないし乙1の4をもって、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が、要証期間中に、被請求人主張に係る指定役務について使用されていた事実は何ら立証されていない。
(6)使用行為2について
ア 被請求人のウェブページ(乙2。以下「本件HP1」という。)のうち、平成29年10月9日当時の本件HP1に記載の「業務」と被請求人主張に係る指定役務との関係について
被請求人は、平成29年10月9日当時の本件HP1に、「業務」として「ウェブサイトの企画・制作・運営・保守管理業務」が記載されていたと主張し、よって、「被請求人は、ウェブサイトの作成及び保守に加えて、サーバ及びドメインを準備し顧客に向けてウェブサイトを作成する環境を提供していたことから、『電子計算機用プログラムの提供』、『ウェブサイトのホスティング』に当たる。」と主張している。しかしながら、上記のとおり、「ウェブサイトの作成・保守」は、被請求人主張に係る指定役務とは非類似の役務であると特許庁にて判断されており(甲7、甲8)、かかる「ウェブサイトの作成・保守」は、被請求人主張に係る指定役務の範ちゅうには含まれない。また、被請求人主張の「サーバ及びドメインを準備し顧客に向けてウェブサイトを作成する環境を提供」することが、被請求人主張に係る指定役務(類似群コード:42X11)に該当するといいたいのであれば、上記「サーバ及びドメインを準備し顧客に向けてウェブサイトを作成する環境を提供」の具体的なサービスの内容を詳らかに説明し、当該サービス内容が、上記(2)及び(3)で定義した役務に合致することを明らかにした上で、証拠資料をもってその旨及び本件商標の使用を証明すべきであるが、被請求人提出の乙2をもってしては、かかる事実は何ら説明、証明されていない。
イ SEO対策業務について
乙2中の「月額50,000円(税別)の強力なSEO対策サービス 無料お試しキャンペーン実施中」等の記載から明らかなとおり、乙2で示唆されているのは、被請求人が提供するサービスが、被請求人主張に係る指定役務(すなわち、「電子計算機用プログラムの提供」、「ウェブサイトのホスティング」)ではなく、SEO対策である。
「SEO(Search Engine Optimization)」とは、検索エンジン最適化を意味する言葉であり、SEO対策業務(サービス)とは、インターネット検索結果でウェブサイトを上位に表示させ、より多く露出させることを目的とした、他者のために行う業務(サービス)である(甲9)。なお、J-PlatPatの「商品・役務名検索」を使用して、SEO関連の指定役務を検索すると、「ウェブサイトの検索結果の最適化」や「検索エンジンの最適化」が第35類の指定役務として(類似群コード:35A01、35B01)採択されていることが分かる(甲10)。当該SEO対策サービスは、被請求人主張に係る指定役務とは非類似の役務であり、被請求人主張に係る指定役務の範ちゅうには含まれない。
ウ 小括
よって、乙2をもって、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が、要証期間中に、被請求人主張に係る指定役務について使用されていた事実は何ら立証されていない。
(7)使用行為3について
ア 被請求人の平成31年2月27日当時のウェブページ(乙3。以下「本件HP2」という。)に記載の業務と被請求人主張に係る指定役務との関係について
被請求人は、本件HP2に、種々の業務に関する記載があり、よって、被請求人は、「ウェブサイトの作成及び保守に加えて、サーバを準備し、顧客の希望するドメインで顧客がテンプレートを使ってウェブサイトを作成する環境を提供しており、これは『電子計算機用プログラムの提供』、『ウェブサイトのホスティング』を提供している。」と主張している。
前記(6)アと同様に、「ウェブサイトの作成・保守」は、特許庁において、被請求人主張に係る指定役務とは非類似の役務であると判断され(甲7、甲8)、「ウェブサイトの作成・保守」は、被請求人主張に係る指定役務の範ちゅうには含まれない。
さらに、被請求人主張の「サーバを準備し、顧客の希望するドメインで顧客がテンプレートを使ってウェブサイトを作成する環境を提供」するサービスの内容を詳らかに説明し、当該サービス内容が、上記(2)及び(3)で定義した役務に合致するものであることを明らかにした上で、証拠資料をもってその旨及び本件商標の使用を証明すべきである。
イ SEO対策業務について
乙3は、被請求人が提供するサービスが、被請求人主張に係る指定役務ではなく、むしろ、SEO対策サービスであることを示すものである。かかるSEO対策サービスは、第35類「ウェブサイトの検索結果の最適化」や「検索エンジンの最適化」に該当するものであり、特許庁においては、被請求人主張に係る指定役務とは非類似の役務であると判断されている(甲10)。すなわち、SEO対策サービスは、被請求人主張に係る指定役務の範ちゅうには含まれない。
ウ 小括
よって、乙3をもって、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が、要証期間中に、被請求人主張に係る指定役務について使用されていた事実は何ら立証されていない。
(8)使用行為4について
ア 被請求人が作成したメール(以下「本件メール1ないし本件メール10」という。)に記載の業務と被請求人主張に係る指定役務との関係について
被請求人は、平成31年2月27日付け送付のメールによって、商標法第2条第3項第8号に該当する本件商標の使用を行ったと主張し、よって、被請求人は、「ウェブサイトの作成及び保守に加えて、サーバを準備し顧客の希望するドメインで顧客がテンプレートを使ってウェブサイトを作成する環境を提供しており(本件HP2、乙3と同じ。)、『電子計算機用プログラムの提供』、『ウェブサイトのホスティング』が提供されている。」と主張している。しかしながら、「ウェブサイトの作成・保守」は、被請求人主張に係る指定役務とは非類似の役務であり(甲7、甲8)、被請求人主張に係る指定役務の範ちゅうには含まれない。
さらに、被請求人主張の「サーバを準備し顧客の希望するドメインで顧客がテンプレートを使ってウェブサイトを作成する環境を提供」するサービスの具体的な内容を詳らかに説明し、当該サービスの内容が、実際に、上記(2)及び(3)で定義した役務に合致することを明らかにした上で、証拠資料をもってその旨及び本件商標の使用を証明すべきであるが、被請求人提出の乙4の1ないし乙4の10をもってしては、かかる事実は何ら説明、証明されていない。
イ SEO対策業務について
乙4の1ないし乙4の10に係る被請求人提供の役務は、被請求人主張に係る指定役務ではなく、SEO対策サービスである。かかるSEO対策サービスは、第35類「ウェブサイトの検索結果の最適化」や「検索エンジンの最適化」に該当するものであり、特許庁において、被請求人主張に係る指定役務とは非類似の役務とされている(甲10)。すなわち、SEO対策サービスは、被請求人主張に係る指定役務の範ちゅうには含まれない。
ウ 小括
よって、乙4の1ないし乙4の10をもって、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が、要証期間中に、被請求人主張に係る指定役務について使用されていた事実は何ら立証されていない。
(9)結語
上述のとおり、乙1ないし乙4は、被請求人が本件商標を使用したと主張する指定役務である「電子計算機用プログラムの提供」及び「ウェブサイトのホスティング」に対する本件商標の使用を何ら示すものではない。本件商標の使用は、SEO対策に係るものであり、これは「電子計算機用プログラムの提供」や「ウェブサイトのホスティング」とは、その目的、提供手段等を大きく異にする。
以上より、答弁書における被請求人の主張が失当であることは明らかである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、審判事件答弁書及び回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙13(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁書の要旨
(1)使用行為1
ア 被請求人の通常使用権者である長谷川氏は、要証期間である平成29年9月ないし同年10月頃に日本国内において、取消請求役務中「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」について本件商標と社会通念上同一の標章を使用していた(以下「使用行為1」という。乙1の1?乙1の4)。
通常使用権
長谷川氏は、平成29年9月当時、被請求人の代理店として営業活動を行っていた者であり、本件商標の通常使用権者であった。
ウ 役務に係る広告
本件名刺は、被請求人がパーソナルコンピュータにより平成29年9月頃作成したものであり(乙1の3)、その裏面には「ランドマーク株式会社が提供する『lp?template.comサービス』(ベーダ版)を、無料モニターとして、3か月間無料でご利用いただけます。(※先着10枠限り)」「※貴公式HPのトップページからご利用URLに対してリンク(rel=“nofollow”無し)を貼っていただくこと、および反響数を教えていただくことがご利用条件となります。ご利用開始後にリンクが貼られていないことを確認した場合、または反響数を教えていただけない場合は、直ちにご利用を終了させていただきます。」「HPサンプルはこちらです。↓」「http://sample.lp-template.com」「※レスポンシブデザイン(PC・タブレット・スマホで閲覧可能なデザイン)を採用しております。」と記載されている(乙1の1?乙1の2)。
すなわち本件名刺は、ウェブサイトの作成・保守に加えて、顧客のために、サーバ及びドメインを準備し顧客向けにウェブサイトを作成する環境を提供するものであり、これは「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」に当たる。
そして本件名刺は、被請求人が平成29年9月頃、自らプリンタを利用して印刷したものであり、被請求人の役務を紹介するものであるから「広告」に当たる。
エ 標章を付して頒布
本件名刺の表面及び裏面には、標章「ランドマーク株式会社」が付されており、これは本件商標「ランドマーク」と社会通念上同一といえる。
そして平成29年9月21日ないし同月28日、長谷川氏は本件名刺を使って少なくとも50人と名刺交換をしており、本件名刺を「頒布」した。
オ 小括
よって、使用行為1は、通常使用権者が「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」に関する「広告」に本件商標を付して頒布したものであり、本件商標を使用した(商標法第2条第3項第8号)。
(2)使用行為2
ア 被請求人は、要証期間である平成29年10月4日に日本国内において、取消請求役務中「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」について本件商標を使用していた(以下「使用行為2」という。乙2)。
イ 映像面を介した役務の提供
被請求人は、本件HP1を介して役務を提供しており(乙2)、「映像面を介した役務の提供」に当たる。
ウ その映像面に標章を表示
平成29年10月9日当時の本件HP1には「商標」として「ランドマーク(登録番号第5745892号)」と記載されており(乙2第2頁)、本件商標が表示されている。
エ 役務を提供
平成29年10月9日当時の本件HP1には「業務」として「ウェブサイトの企画・制作・運営・保守管理業務」が記載されており(乙2第2頁)、被請求人は、ウェブサイトの作成及び保守に加えて、サーバ及びドメインを準備し顧客に向けてウェブサイトを作成する環境を提供していたことから、「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」に当たる。
オ 小括
よって、使用行為2は、映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に本件商標を表示して「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」を提供したものであり、本件商標を使用した(商標法第2条第3項第7号)。
(3)使用行為3
ア 被請求人は、要証期間である平成31年2月27日に日本国内において、取消請求役務中「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」について本件商標と社会通念上同一の標章を使用していた(以下「使用行為3」という。乙3)。
イ 映像面を介した役務の提供
被請求人は、本件HP2を介して役務を提供しており(乙3)、これは「映像面を介した役務の提供」に当たる。
ウ その映像面に標章を表示
平成31年2月27日当時の本件HP2(同月26日公開)には、「ランドマーク株式会社」の標章が表示されており(乙3第3頁、第5頁、第7頁、第10頁)、これは本件商標「ランドマーク」と社会通念上同一である。
エ 役務を提供
平成31年2月27日当時の本件HP2には「SEO-LP.COM-SEO対策に強いLP制作サービス無料お試しキャンペーン実施中」「SEO対策に強いLPを制作し、LPに対して強力なSEO施策を行い続けます。※LP(Landing Page)とは?…検索結果やWeb広告などからの着陸(Landing)点となる、最初にアクセスするWebページのこと。レスポンシブWebデザインのテンプレート(※PC・スマホ・タブレット対応です。)を使用し、…“rel=”nofollow”target=”_blank”>テンプレートはこちら より高いコンバージョン率を目指して、貴社商品・サービスの魅力・特長がより伝わるように、言うべきことだけを言い、言わないでおくべきことは言わない、より短くシンプルな文章でLPを制作します。」「月額料金には、テンプレートの使用料金、写真・文章変更作業料金、SEO施策料金が含まれています。」、申込み用フォームとして「SEO-LP.COMお申込み(24時間受付中)」、「ご希望のLPのURL(※必須)(入力欄)(例)https://seo-lp.com/landmark/ ※LPのURLは、https://seo-lp.com/****/となります。『****』の箇所は、ご希望の文字列をご入力ください。何文字でも可能です。ただし、半角数字・小文字の半角英字・半角ハイフン(-)のみ使用可能です。」と記載されている(乙3第1頁、第4頁、第7頁)。
すなわち、本件HP2は、ウェブサイトの作成及び保守に加えて、サーバを準備し、顧客の希望するドメインで顧客がテンプレートを使ってウェブサイトを作成する環境を提供しており、これは「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」を提供している。
オ 小括
よって、被請求人の使用行為3は、映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に本件商標を表示して「電子計算機用プログラムの提供」、「ウェブサイトのホスティング」を提供したものであり、本件商標を使用した(商標法第2条第3項第7号)。
(4)使用行為4
ア 被請求人は、要証期間である平成31年2月27日に日本国内において、取消請求役務中「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」について、本件商標を使用していた(以下「使用行為4」という。乙4の1?乙4の10)。
イ 役務に係る広告を内容とする情報
被請求人が作成した本件メール1ないし本件メール10には、「SEO-LP.COM-SEO対策に強いLP制作サービス」「このサービスは、以前から多くのお客様よりご要望をいただいておりました『内部SEO対策』を中心としたサービスでございます。」と記載されており(乙4の1?乙4の10)、かかる役務は、ウェブサイトの作成及び保守に加えて、サーバを準備し顧客の希望するドメインで顧客がテンプレートを使ってウェブサイトを作成する環境を提供しており(本件HP2、乙3と同じ。)、「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」が提供されている。
そして、本件メール1ないし本件メール10は、役務を顧客に知らせるものであるから、「広告」を内容とする情報に当たる。
ウ 標章を付して電磁的方法により提供
本件メール1ないし本件メール10には、本件商標が付されており、平成31年2月27日、10人に「電磁的方法により提供」されている。
なお、本件メール1ないし本件メール10内に記載されているURL「https://seo-lp.com」は本件HP2である。
エ 小括
よって、被請求人の使用行為4は、「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」に関する「広告」を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供したものであり、本件商標を使用した(商標法第2条第3項第8号)。
2 審尋に対する回答
被請求人が主張する使用行為1ないし使用行為4からは、取消請求役務に係る本件商標の使用を確認できない、とする審尋に対し、被請求人は次のとおり回答した。
(1)使用行為1について
ア 「lp-template.com」のサービス内容
被請求人の行っている「lp-template.com」においては、まず、被請求人が制作したLP(ランディングページ)のテンプレートファイルを顧客に貸与し、被請求人又は顧客が当該ファイルのテキストと写真のみを修正し、顧客のLPを制作する。この際、テキストと写真以外の箇所(プログラムが記述されている箇所)は修正しない(乙5:テンプレートの具体例)。次に、「https://***.lp-template.com」というサブドメイン形式で顧客のLPを運用するため、被請求人が契約しているレンタルサーバー領域内に顧客のLPデータ(HTMLファイル、画像ファイル等)をアップロードする(乙6:さくらレンタルサーバー内の具体例)、乙7、乙8:LPの具体例)。
上記のLPのテンプレートファイル(コンピュータソフトウェア)の貸与は、「電子計算機用プログラムの提供」に該当する。
使用行為1は、被請求人が契約しているレンタルサーバー領域の貸与、すなわち「ウェブサイトのホスティング」に該当する。被請求人がサーバーを保有していないが、転貸可能であり、自ら所有しているのと変わらない。また、長谷川氏が、本件名刺を使用して10名以上の事業者と名刺交換をし、無料モニターの申し込みを獲得した(乙9、乙10の1?乙10の3)。
(2)使用行為2及び使用行為3について
ア 使用行為2及び使用行為3に当たる、被請求人の行っている「seo?lp.com」のサービスは、「lp-template.com」のサービス内容とほぼ同じであるが、違いは、「lp-template.com」がサブドメイン形式で、「seo?lp.com」は、サブディレクトリー方式でSEOを前面に打ち出している点である。
イ 被請求人が制作したLPのテンプレートファイル(SEO対策のテンプレート)を顧客に貸与し、被請求人又は顧客が当該ファイルのテキストと写真のみを修正し、顧客のLPを制作する(乙11:テンプレートの具体例)。
上記サービスは、LPのテンプレートファイル(コンピュータソフトウェア)の貸与すなわち、「電子計算機用プログラムの提供」に該当する。
また、同サービスは、被請求人が契約しているレンタルサーバー領域の貸与、すなわち「ウェブサイトのホスティング」に該当する。
(3)使用行為4について
SEOには、内部対策と外部対策という2つの手法がある。被請求人のSEOサービスは、外部対策である。
当該サービスは、顧客専用のサブホームページ(簡易的なホームページ)又はLPを制作し、当該ページで使用するドメインを被請求人が所有する形で新規取得し、それらを被請求人が契約しているレンタルサーバー領域内にアップロードし、当該ページから顧客のホームページに対してリンクを貼るものである。
被請求人が使用行為4により提供するサービスは、顧客に対して、被請求人が契約しているレンタルサーバー領域の貸与、すなわち、「ウェブサイトのホスティング」に該当する。
(4)その他
その他、被請求人の使用行為を説明した、被請求人代表取締役の陳述書(乙13)を提出する。

第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消しの審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、(1)本件要証期間に、(2)日本国内において、(3)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(4)請求に係る役務のいずれかについての、(5)本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることを全て証明する必要がある。
2 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)使用行為1
ア 長谷川氏が使用したとされる本件名刺には、その表面に、長谷川氏の氏名とともに、「ランドマーク株式会社」及び「LANDMARK CORPORATION」の文字を二段に表示してなる商標(以下「使用商標1」という。)が表示され、その裏面には「ランドマーク株式会社が提供する『lp?template.com サービス』(以下「使用役務1」という。)・・・を、無料モニターとして、3か月間無料でご利用いただけます。」と記載されている(乙1の1、乙1の2)。
イ 「Ip?template.com 無料モニター申込書」(乙10の1ないし乙10の3)の申込者には、長谷川氏が名刺交換したとされる11名(乙9)のうちの3名が含まれ、記名押印日は、平成29年10月18日、同月31日及び同年11月17日と記載されている。
また、当該申込書には、本件商標に係る商標権者(以下、単に「商標権者」という。)が提供するホームページサービスである旨が記載されている。
ウ 使用役務1は、商標権者が制作したランディングページのテンプレートファイル(乙5)を商標権者又は顧客が修正して、顧客のランディングページを制作し、これを商標権者が契約しているレンタルサーバー領域内にアップロードする役務である(被請求人の主張、乙6?乙8、乙13)。
(2)使用行為2
ア 平成29年10月4日当時の本件HP1(乙2第1頁。以下「本件HP1-1」という。)には、使用商標1が記載されるとともに、「SEO対策サービス(以下「使用役務2」という。)」及び「無料お試しキャンペーン実施中」と記載されている。
イ 平成29年10月9日当時の本件HP1(乙2第2頁。以下「本件HP1-2」という。)には、商号、本店所在地、電話番号、ファックス番号、営業時間、定休日等、商標権者のプロフィールが記載されており、「商標」として「ランドマーク(登録番号第5745892号)」(以下「使用商標2」という。)、「業務」として「ウェブサイトの企画・制作・運営・保守管理業務」と記載されている。
ウ 使用役務2は、「seo?lp.com」という役務であり、当該役務は使用役務1とほとんど同じである(被請求人の主張、乙13)。
(3)使用行為3
ア 本件HP2(乙3)には、「ランドマーク株式会社」の文字からなる商標(以下「使用商標3」という。)が表示されており(乙3第3頁、第5頁、第7頁及び第10頁)、また、「SEO-LP.COM-SEO対策に強いLP制作サービス」(以下「使用役務3」という。)及び「無料お試しキャンペーン実施中」の記載とともに、当該サービスの説明及び申込み様式が記載されている(乙3)。
イ 使用役務3は、「seo?lp.com」という役務であり、当該役務は使用役務1とほとんど同じである(被請求人の主張、乙13)。
(4)使用行為4
本件メール1ないし本件メール10には、「SEO-LP.COM-SEO対策に強いLP制作サービス(以下「使用役務4」という。)」及び「このサービスは、以前から多くのお客様よりご要望をいただいておりました『内部SEO対策』を中心としたサービスでございます。」と記載されている(乙4の1?乙4の10)。
また、使用役務4は、顧客専用のサブホームページ(簡易的なホームページ)又はランディングページを制作し、当該ページで使用するドメインを商標権者が所有する形で新規取得し、それらを商標権者が契約しているレンタルサーバー領域内にアップロードし、当該ページから顧客のホームページに対してリンクを貼る役務である(被請求人の主張、乙13)。
3 上記2によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用行為1について
被請求人は、通常使用権者である長谷川氏が、要証期間において、取消請求役務中、「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」に関する「広告」について、本件商標を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号)旨主張している。
通常使用権者について
上記2(1)アによれば、長谷川氏の名刺には、商標権者が提供する使用役務1を無料で利用できる旨の宣伝文句が記載されていることが推認され、また、上記2(1)イによれば、長谷川氏が名刺交換した3名の者が、商標権者が提供する使用役務1の申込みをしたことが認められる。
そうすると、長谷川氏と商標権者とは、使用役務1に関して、業務上密接な関係があったものということができる。
してみると、たとえ、代理店契約や使用許諾契約等の事実を証明する証拠の提出がないとしても、商標権者は、長谷川氏に対して、使用役務1に関する本件商標の使用について黙示の許諾を与えていたものと推認することができる。
したがって、長谷川氏は、本件商標の通常使用権者であるといえる。
イ 使用役務について
(ア)商標法上の役務について
商標法上の役務とは、他人のためにする労務又は便益の提供であって、独立して商取引の目的たり得るものをいう(平成23年(行ケ)第10128号判決)。
(イ)使用役務1について
上記2(1)ウのとおり、使用役務1は、商標権者が制作したランディングページのテンプレートファイルを商標権者又は顧客が修正して、顧客のランディングページを制作し、これを商標権者が契約しているレンタルサーバー領域内にアップロードする役務である。
そうすると、使用役務1は、その主たる目的は、顧客に対してランディングページ、すなわちウェブサイトを作成するものと解される。
してみると、使用役務1は、「レンタルサーバー領域内にアップロードすることを伴う、テンプレートファイルを利用したウェブサイト(ランディングページ)の作成」であるということができる。
(ウ)取消請求役務に含まれる、第42類の「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」について
被請求人は、「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」に関する「広告」に本件商標を付して頒布したものであると主張するが、「電子計算機用プログラムの提供」とは、コンピュータ用プログラムを、電気通信回線を通じて利用させる役務であると解するのが相当であり、また、「ウェブサイトのホスティング」とは、インターネットサーバを貸与する役務であると解するが相当である。
(エ)使用役務1が取消請求役務に含まれるかについて
上記(イ)のとおり、使用役務1は、「レンタルサーバー領域内にアップロードすることを伴う、テンプレートファイルを利用したウェブサイト(ランディングページ)の作成」であるから、コンピュータ用プログラムを電気通信回線を通じて利用させる役務とはいえず、かつ、インターネットサーバを貸与する役務ともいえない。
そうすると、使用役務1は、「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」に該当するとはいえない。
また、使用役務1は、「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」以外の取消請求役務の範ちゅうに含まれるものともいえない。
したがって、使用役務1は、取消請求役務に含まれるものとはいえない。
(オ)被請求人の主張について
被請求人は、使用役務1について、商標権者が制作したランディングページのテンプレートファイルを顧客に貸与し、これを修正し、顧客のランディングページを制作することから、当該ランディングページのテンプレートファイルの貸与は「電子計算機用プログラムの提供」に該当する旨、また、商標権者が契約しているレンタルサーバー領域内に顧客のランディングページデータをアップロードすることから、商標権者が契約しているレンタルサーバー領域の貸与、すなわち「ウェブサイトのホスティング」に該当する旨主張している。
上記(ア)のとおり、商標法上の役務とは、他人のためにする労務又は便益の提供であって、独立して商取引の目的たり得るものをいうところ、上記(イ)のとおり、使用役務1は、「レンタルサーバー領域内にアップロードすることを伴う、テンプレートファイルを利用したウェブサイト(ランディングページ)の作成」であり、その主たる目的は、顧客に対してランディングページ、すなわちウェブサイトを作成することである。
そうすると、たとえ、使用役務1を提供する過程において、ランディングページのテンプレートファイルを貸与したり、商標権者が契約しているレンタルサーバー領域内に顧客のランディングページデータをアップロードしたりする行為が行われるとしても、これらの行為は、使用役務1の主たる目的であるウェブサイトの作成に付随して行われる行為であり、独立して商取引の目的たり得るものということはできない。
また、当該「ランディングページのテンプレートファイルの貸与」又は「商標権者が契約しているレンタルサーバー領域内への顧客のランディングページデータのアップロード」自体が、独立して商取引の目的となっていることを示す証拠の提出もない。
したがって、被請求人の主張は、採用できない。
ウ 小括
以上のとおり、長谷川氏が本件商標の通常使用権者であると認められるとしても、使用役務1は、取消請求役務に含まれるとは認められない。
したがって、たとえ、本件名刺に使用商標1が付されており、かつ、本件名刺が使用役務1に関する広告といえるとしても、取消請求役務に関する広告に使用商標1を付したということはできない。
(2)使用行為2について
被請求人は、商標権者が、要証期間において、取消請求役務中、「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」に関する「映像面を介した役務の提供」について、本件商標を使用した(商標法第2条第3項第7号)旨主張している。
ア 商標法第2条第3項第7号の行為について
上記2(2)アのとおり、本件HP1-1には、使用役務2及び「無料お試しキャンペーン実施中」と記載されている。
そうすると、本件HP1-1は、使用役務2に関する広告ということはできるものの、本件HP1-1の映像面を介して、使用役務2自体を提供していることを示す証拠の提出はない。
また、上記2(2)イのとおり、本件HP1-2には、商標権者のプロフィールが記載されている。
そうすると、本件HP1-2は、単に商標権者のプロフィールを紹介するものであり、たとえ、「業務」として「ウェブサイトの企画・制作・運営・保守管理業務」と記載されているとしても、本件HP1-2の映像面を介して、ウェブサイトの企画・制作・運営・保守管理といった役務自体を提供しているものとは認められない。
したがって、本件HP1-1又は本件HP1-2の映像面に使用商標1又は使用商標2が付されているとしても、当該映像面を介した役務の提供を行っているものとはいえない。
イ 商標法第2条第3項第8号の行為について
上記アのとおり、本件HP1-1は、使用役務2に関する広告ということができるから、商標法第2条第3項第8号の行為についても念のため判断する。
上記2(2)ウのとおり、使用役務2は、使用役務1とほとんど同じである。
そして、上記(1)イ(エ)のとおり、使用役務1は、取消請求役務に含まれるものとはいえないことからすると、使用役務2についても、取消請求役務に含まれないというべきである。
したがって、本件HP1-1に使用商標1が付されているとしても、取消請求役務に関する広告に使用商標1が付されているということはできない。
また、上記アのとおり、本件HP1-2は、単に商標権者のプロフィールを紹介するものである。
そうすると、本件HP1-2は、たとえ、使用商標2が付され、「業務」として「ウェブサイトの企画・制作・運営・保守管理業務」と記載されているとしても、「ウェブサイトの企画・制作・運営・保守管理」に関する役務の出所を表すものとして使用商標2が付されているとはいえない。
したがって、本件HP1-2において、取消請求役務に関する広告に使用商標2が付されているということはできない。
(3)使用行為3について
被請求人は、商標権者が、要証期間において、取消請求役務中、「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」に関する「映像面を介した役務の提供」について、本件商標を使用した(商標法第2条第3項第7号)旨主張している。
ア 商標法第2条第3項第7号の行為について
上記2(3)アのとおり、本件HP2には、使用役務3及び「無料お試しキャンペーン実施中」の記載とともに、当該サービスの説明及び申込み様式が記載されている。
そうすると、本件HP2は、使用役務3に関する広告ということはできるものの、本件HP2の映像面を介して、使用役務3自体を提供していることを示す証拠の提出はない。
したがって、本件HP2の映像面に使用商標3が付されているとしても、当該映像面を介して使用役務3の提供を行っているものとはいえない。
イ 商標法第2条第3項第8号の行為について
上記アのとおり、本件HP2は、使用役務3に関する広告ということができるから、商標法第2条第3項第8号の行為についても念のため判断する。
上記2(3)イのとおり、使用役務3は、使用役務1とほとんど同じである。
そうすると、上記(2)イと同様の理由により、本件HP2において、取消請求役務に関する広告に使用商標3が付されているということはできない。
(4)使用行為4について
被請求人は、商標権者が要証期間において取消請求役務中「電子計算機用プログラムの提供,ウェブサイトのホスティング」に関する「広告」を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供した(商標法第2条第3項第8号)旨主張している。
上記2(4)のとおり、使用役務4は、顧客専用のサブホームページ(簡易的なホームページ)又はランディングページを制作し、当該ページで使用するドメインを商標権者が所有する形で新規取得し、それらを商標権者が契約しているレンタルサーバー領域内にアップロードし、当該ページから顧客のホームページに対してリンクを貼る役務である。
そうすると、使用役務4は、その主たる目的は、顧客に対してサブホームページ(簡易的なホームページ)又はランディングページ、すなわちウェブサイトを作成するものと解される。
してみると、使用役務4は、「ドメインの新規取得及びレンタルサーバー領域内にアップロードすることを伴う、顧客のホームページにリンクが貼られるウェブサイト(サブホームページ又はランディングページ)の作成」であるということができる。
そして、上記(1)イ(ウ)ないし(オ)と同様の理由により、使用役務4は、取消請求役務に含まれるものとはいえない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定役務について、本件商標を使用していることを証明したものということができない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中、「結論掲記の指定役務」について、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2021-05-24 
結審通知日 2021-05-27 
審決日 2021-06-21 
出願番号 商願2014-72936(T2014-72936) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 飯田 亜紀 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 庄司 美和
山田 啓之
登録日 2015-03-06 
登録番号 商標登録第5745892号(T5745892) 
商標の称呼 ランドマーク 
代理人 杉村 光嗣 
代理人 西尾 隆弘 
代理人 水野 健司 
代理人 杉村 憲司 
代理人 門田 尚也 

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