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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W32 |
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管理番号 | 1376906 |
審判番号 | 不服2020-16808 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-12-07 |
確定日 | 2021-07-26 |
事件の表示 | 商願2020-28802拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「3つのゼロ」の文字を標準文字で表してなり、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、令和2年3月17日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 本願商標は、「3つのゼロ」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、食料品を取り扱う業界において、商品に含まれる栄養素や成分のうち、いずれか3つがゼロである商品について、そのことを強調し端的に表すために、「3つのゼロ」の語が使用されている実情がある。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、そのような商品の特徴を端的に強調して表した語句であると認識するにすぎず、自他商品の識別標識として認識しないというのが相当である。 したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第6号該当性について 本願商標は、前記1のとおり、「3つのゼロ」の文字を標準文字で表してなり、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品とするものである。 ところで、本願の指定商品を含む飲料を取り扱う業界においては、カロリー、糖類、アルコール、保存料等といった栄養成分等を含まない(食品表示基準に基づき「ゼロ(0)」と表示できる場合を含む)飲料について、「含まない」ことを強調するために「□□ゼロ」(□は栄養成分等)といった強調表示が用いられているところ、2008年頃から、健康志向の高まりを背景に、それらの飲料が「ゼロ系飲料」と総称され人気を集めており、「ゼロ系飲料市場」も拡大してきたことがうかがえる(別掲1参照)。 そして、原審において示した別掲2のとおりの使用例に加えて別掲3に示す使用例のように、「3つのゼロ」の文字は、本願の指定商品を取り扱う業界において、上記ゼロ系飲料のうち、何らかの3つの栄養成分等を含まない飲料であるという商品の特長を端的に示す語として、それらの宣伝、広告等を行う際に一般に広く用いられている実情がある。 そうすると、「3つのゼロ」の文字からなる本願商標をその指定商品中、何らかの3つの栄養成分等を含まない飲料について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品の特長を端的にうたう宣伝などをする際に広く用いられている語として認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。 してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は、原審において示された使用例は、いずれも「3つのゼロ」を単独で使用するものではなく、「アルコールフリー」等の文字が併記されているところ、本願商標は、「糖類ゼロ」「アルコールフリー」「カロリーゼロ」といった具体的な成分名等の文字をその構成要素に含んでおらず、自他商品識別力を有する旨主張する。 しかしながら、本願商標は、上記のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界における「3つのゼロ」の語の使用状況に鑑みれば、取引者、需要者をして、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、請求人による上記主張は、採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであって、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 飲料を取り扱う業界において「□□ゼロ」の表示が用いられ、「ゼロ系飲料市場」が拡大してきた事実 (1)「消費者庁」のウェブサイトにおいて、「栄養成分表示について」の見出しの下、「容器包装に入れられた一般用加工食品及び添加物には、食品表示基準に基づき、栄養成分の量及び熱量の表示(栄養成分表示)が義務付けられています。また、栄養成分の量及び熱量について強調表示をする場合には、含有量が一定の基準を満たすことが必要です。」の記載がある。 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/ また、同ウェブサイトにおいて、「栄養成分表示及び栄養強調表示とは」の見出しの下、「(3)栄養強調表示 <栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示>【別表第13】 ●含まない旨(例:無□□、□□ゼロ、ノン□□) (1)基準値未満である」の記載がある。 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/business/pdf/food_labeling_cms206_20201001_01.pdf (2)2008年12月8日付け「西日本新聞」(夕刊、7ページ)において、「08ことしのヒット商品=『ゼロ系』飲料 メタボ関心高まり追い風」の見出しの下、「アルコール飲料を中心に『糖質ゼロ』や『糖類ゼロ』をアピールする飲料が人気を集めた。・・・缶コーヒーでは甘味料を使って甘さを維持しつつ、糖類ゼロとしたアサヒ飲料『ワンダ ゼロマックス』が好調で、他社も参入した。『ゼロ系』は日本酒やハムにまで広がった。」の記載がある。 (3)2009年8月13日付け「山形新聞」(夕刊、4ページ)において、「経済ウイークリー 県内旬の商品 ゼロ系飲料 健康志向で人気アップ、幅広い年代にうける」の見出しの下、「今年は消費者の健康志向の高まりを背景に、『カロリーゼロ』『糖質ゼロ』をアピールする、いわゆる“ゼロ系”の炭酸飲料が特に売れているという。・・・去年からアルコール飲料を中心にゼロ系飲料が注目され始めた。さらに今年は飲料メーカー各社がカロリーなどをゼロとする炭酸飲料を相次いで発売。種類が一気に増えたことで、ゼロ系飲料の認知度が高まった。」の記載がある。 (4)2010年10月1日付け「日経MJ(流通新聞)」(3ページ)において、「ゼロ系炭酸飲料??日本コカ、はじける、『健康志向』後押し(ヒットを狙え)」の見出しの下、「少子高齢化で国内の食品市場が伸び悩むなか、炭酸飲料市場の拡大が続いている。そのけん引役が『カロリーゼロ』『糖類ゼロ』をうたった『ゼロ系炭酸飲料』。・・・調査会社の富士経済(東京・中央)によると・・・コーヒーなど清涼飲料を含めた『ゼロ系飲料市場』は10年が1835億円で、07年の3倍強と急拡大している。」の記載がある。 (5)「キリンビール株式会社」のウェブサイトにおいて、2018年6月26日付けニュースリリースとして、「?3つのゼロ『糖類0※1』『プリン体0※2』『人工甘味料0』のクリアで爽快な新『氷結(R)ZERO』? 『キリン 氷結(R)ZERO シチリア産レモン/グレープフルーツ』をリニューアル『キリン 氷結(R)ZERO 白ぶどう』を新発売」の見出しの下、「・・・健康意識の高まりからゼロ系・オフ系※4の商品が伸長・・・しており、中でも『氷結(R)ZERO』シリーズは、2018年1-5月累月で対前年1割増となるなど多くのお客様に支持されています。・・・※1 100ml当たり糖類0.5g未満のものに表示可能(食品表示基準による)。 ※2 100ml当たりプリン体0.5mg未満をプリン体0と表示。・・・※4 カロリーや糖質・プリン体などがカット、オフされているもの。」の記載がある。 https://www.kirin.co.jp/company/news/2018/0626_01.html 別掲2 原審の拒絶理由通知書において提示された使用例 (1)「サントリーホールディングス株式会社」のウェブサイトにおいて、「世界初!※3つのゼロのビールテイスト飲料 アルコール0.00%、カロリーゼロ*、糖質ゼロ*」の見出しの下、「昨今の健康ブームなどの世情も背景に伸長しているノンアルコールビールテイスト飲料。そういった中で、お酒は好きだけど、『アルコール』、『カロリー』、『糖質』を気にしながら飲むといった声もあります。しかしそれではせっかくの楽しみが半減します。そこで、『アルコール』『カロリー』『糖質』を気にせずに、いつでもどこでも気兼ねなくビールのように飲めるものがあればおもしろいのではないかとの着想から、オールフリーの開発は始まりました。・・・*栄養表示基準による」の記載がある。 https://www.suntory.co.jp/company/research/flavour/allfree.html (2)「アサヒ飲料株式会社」のウェブサイトにおいて、2011年5月30日付けニュースリリースとして、「“カロリーゼロ*”“糖類ゼロ*”“保存料ゼロ”の三ツ矢サイダー!『三ツ矢サイダー オールゼロ』リニューアル!?三ツ矢サイダーのおいしさそのままに、より自然な甘さとシャープな後味? *栄養表示基準による」の見出しの下、「アサヒ飲料株式会社・・・は、国民的炭酸飲料ブランド『三ツ矢サイダー』から、3つのゼロにこだわった『三ツ矢サイダー オールゼロ』の中味とパッケージをリニューアルし、6月21日(火)より全国で発売します。」の記載がある。 https://www.asahiinryo.co.jp/company/newsrelease/2011/pick_0530-3.html (3)「月桂冠株式会社」のウェブサイトにおいて、「業界初!3つのゼロ!月桂冠アルコールフリー!」「業界初の3つのゼロ(アルコール0.00%、カロリーゼロ、糖質ゼロ)の日本酒テイスト飲料へ」の見出しの下、「日本酒らしい香りと味わいを持ちながら、アルコール分『0.00%』で、さらにカロリーを『0kcal』(※1)、糖質を『0g』(※2)に抑えた商品です。独自の技術で、日本酒の複雑で奥深い香味を再現し、原料配合を工夫することで3つのゼロを実現したものです。・・・※1 栄養表示基準に基づき、5kcal(100mL当たり)未満をカロリー0(ゼロ)と表示しています。※2 栄養表示基準に基づき、糖質0.5g(100mL当たり)未満を糖質0(ゼロ)と表示しています。」等の記載がある。 https://www.gekkeikan.co.jp/RD/sake/sake11/ (4)「PRTIMES」のウェブサイトにおいて、「コカ・コーラ ゼロ累計販売本数 50億本を突破」を見出しとする日本コカ・コーラ株式会社の2012年11月7日付けプレスリリースが掲載されており、「2007年6月の発売から5年間で累計50億本・・・1秒に31本の驚異的なペースで販売!糖分・カロリーゼロ/保存料ゼロ/合成香料ゼロ コカ・コーラならではの爽快な美味しさを“3つのゼロ”で実現」等の記載がある。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000000352.html (5)2016年9月28日付け「日本食糧新聞」(8ページ)において、「『ハイサワー ハイッピー クリア&ビター』発売(博水社)」の見出しの下、「◆商品特徴=果実、清涼飲料。リニューアル。シリーズ商品。ホップの軽い苦みとほんのり香るレモンの隠し味が新感覚のビールテイスト飲料。・・・強炭酸でのど越しよく、ライトなホップ感がすっきりと飲みやすいテイスト。カロリー、糖質、プリン体の“3つのゼロ”のヘルシーな商品。」の記載がある。 別掲3 本願の指定商品を取り扱う業界における「3つのゼロ」の語の使用例 (1)「サントリーホールディングス株式会社」のウェブサイトにおいて、2011年8月2日付けニュースリリースとして、「ノンアルコールカクテル 『サントリー のんある気分』新発売 ?『アルコール』『カロリー』『糖類』の3つの“ゼロ”を実現した“お酒気分”を楽しめる新商品?」の見出しの下、「サントリー酒類(株)は、ノンアルコールカクテル『サントリー のんある気分』を10月4日(火)から全国で新発売します。・・・“お酒らしい味わい”とともに、『アルコール度数0.00%』『カロリーゼロ※2』『糖類ゼロ※3』の“3つのゼロ”を実現しました。・・・※2 栄養表示基準に基づき、100mlあたり5kcal未満を『カロリーゼロ』としています。 ※3 栄養表示基準に基づき、100mlあたり0.5g未満を『糖類ゼロ』としています。」の記載がある。 https://www.suntory.co.jp/news/2011/11134.html (2)「キリンホールディングス株式会社」のウェブサイトにおいて、「ノンアルコール飲料>キリン カラダFREE」の見出しの下、「お腹まわりの脂肪を減らすキリンカラダFREE 300万人がはじめてます!・・・\しかも3つのゼロ!/ カロリー0※1 糖類0※1 プリン体0※2 ※1 食品表示基準による ※2 100ml当たりプリン体0.5mg未満をプリン体0と表示」の記載がある。 https://www.kirin.co.jp/products/nonalcohol/karadafree/ (3)「日本アムウェイ合同会社」のウェブサイトにおいて、「XS エナジードリンク エクストラバーンミックスベリー24本入り」の見出しの下、「3つのゼロ ゼロシュガー ゼロ炭水化物 ゼロカロリー」「特長・・・3つのゼロ 0シュガー、0カーボ、0カロリーを実現しました。合成着色料、合成香料、保存料も不使用です。」の記載がある。 https://www.amwaylive.com/製品カテゴリから探す/サプリメント・飲料/XSドリンク/XS-エナジードリンク-エクストラバーンミックスベリー24本入り/p/5415 |
審理終結日 | 2021-05-17 |
結審通知日 | 2021-05-18 |
審決日 | 2021-06-01 |
出願番号 | 商願2020-28802(T2020-28802) |
審決分類 |
T
1
8・
16-
Z
(W32)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 野口 智代 |
特許庁審判長 |
佐藤 松江 |
特許庁審判官 |
石塚 利恵 大森 友子 |
商標の称呼 | ミッツノゼロ、ゼロ |