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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W43 審判 全部取消 商標の同一性 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W43 |
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管理番号 | 1376842 |
審判番号 | 取消2019-300698 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2019-09-17 |
確定日 | 2021-07-14 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5828244号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5828244号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5828244号の商標(以下「本件商標」という。)は、「幸福堂の福ちゃん焼き」の文字を横書きしてなり、平成27年9月1日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),会議室の貸与,展示施設の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」を指定役務として、同28年2月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和元年10月2日である。 なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成28年10月2日から令和元年10月1日までを、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 本件商標権者について 本件商標権者は、1964年(昭和39年)に創業、2010年(平成22年)に現在の名称に改称して、パチンコ、スロットルを主とする娯楽施設の提供、及びそれに付帯する飲食物の提供などを行っている。 2 本件商標の使用について 本件商標権者は、2015年(平成27年)4月にパチンコ店「ベガスベガス狸小路二丁目店」をグランドオープンし、その入り口脇にパイ焼き店「幸福堂」を併設、出店し、そこで製造、販売するパイ焼きを「福ちゃん焼き」と命名し、そこで店頭販売する「福ちゃん焼き」のパッケージには、「幸福堂\福ちゃん焼き」と表示、使用し(乙4の1?3)、店頭の看板に「福ちゃん焼き\幸福堂」と掲げ、使用していた(乙4の4)。更にまた、店内広告の一例として、「幸福堂\福ちゃん焼き」として表示、使用していた(乙5)。 その結果、ブログ記事等において「幸福堂福ちゃん焼き」、「幸福堂の福ちゃん焼き」との表示がなされている(乙1?乙3)。 以上のとおり、本件商標権者がパイ焼き店「幸福堂」において製造、販売するパイ焼き「福ちゃん焼き」は、「幸福堂\福ちゃん焼き」だけでなく、実質「幸福堂の福ちゃん焼き」として認識、称呼され、判別されており、ネット検索においては、本件商標権者のほかには「幸福堂の福ちゃん焼き」はヒットしないことから、本件商標は、少なくとも要証期間内において、本件商標権者の店頭販売名及び商品名として使用、判別されていた。 本件商標権者のパイ焼き店「幸福堂」が、要証期間内において自在するものであったことは、その開店月2015年4月17日ないし閉店月2017年8月31日までの期間内における取引業者の【請求一覧】、及び【売上日報】(乙6、乙7)をもって明らかにする。 第4 審尋及び被請求人の回答 1 審尋 審判長は、令和3年1月28日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対する回答を求めた。 2 被請求人の回答 被請求人は、上記1の審尋に対し何らの応答もしていない。 第5 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (1)インターネットの検索サイトにおいては、本件商標権者、専用使用権者及び通常使用権者(以下「本件商標権者等」という。)ではない第三者(以下単に「第三者」という。)の作成によるウェブサイト記事、ブログ記事中の記載として「幸福堂の『福ちゃん焼き』」及び「幸福堂の福ちゃん焼き」の文字が検索される(乙2)。 (2)第三者のウェブサイト記事、ブログ記事及びSNSの記事(以下「ウェブサイト記事等」という。)においては、記事中に「幸福堂の福ちゃん焼き」の記載がある(乙2、乙3) (3)第三者のウェブサイト記事等に掲載されている写真の菓子の包装紙、店舗の看板、のぼり、ポスターには「福ちゃん焼き」の文字と「幸福堂」の文字が表示されているところ、これらは、(ア)「福ちゃん焼き」の文字の後に「幸福堂」の文字が表示されている(乙3、乙4の4)、(イ)「福ちゃん焼き」と「幸福堂」の文字が著しく離れて表示されている(乙4の1?3)、(ウ)「福ちゃん焼き」の文字が顕著に大きく表され、「幸福堂」の文字が小さく表されている(乙3?乙5)。そして、いずれの表示にも助詞の「の」の文字は使用されていない。 (4)「請求一覧(店舗・部門別)」の表題の書証(乙6)並びに売上集計と思しき書証、「御請求書」の表題の書証及び「幸福堂狸小路二丁目店売上日報」の表題の書証(乙7)には、要証期間の日付のものもあるが本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の表示はない。 2 判断 上記1によれば、以下のとおりである。 (1)本件商標と使用商標との社会通念上同一性について 上記1(2)におけるウェブサイト記事等は、本件商標権者等の作成に係るものではないところ、被請求人は、当該記事をもって本件商標の使用事実を主張しているから、当該記事に掲載されている写真の菓子の包装紙、店舗の看板、のぼり、ポスターについて検討する。 本件商標は、上記第1のとおり「幸福堂の福ちゃん焼き」の文字を書してなるところ、ウェブサイト記事等に掲載されている写真の菓子の包装紙、店舗の看板、のぼり、ポスターに表示されている「幸福堂」及び「福ちゃん焼き」の文字(別掲、以下、乙第3号証ないし乙第5号証に掲載されている写真に使用されている「幸福堂」及び「福ちゃん焼き」の表示をまとめて「使用商標」という。)は、「福ちゃん焼き」の文字の後に「幸福堂」の文字が表示されているもの、「福ちゃん焼き」と「幸福堂」の文字が著しく離れて表示されているもの及び「福ちゃん焼き」の文字と「幸福堂」の文字の大きさに顕著な相違があるものであって、いずれの表示にも助詞の「の」の文字が使用されていない。 そうすると、本件商標と使用商標とは、外観及び構成に著しい差異があるから、たとえ、「幸福堂」と「福ちゃん焼き」の文字部分が共通するとしても、外観において同視される商標とは認め難く、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められない。 したがって、使用商標が、本件商標権者等の使用に係るものであるとしても、本件商標権者等は本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用したということにはならない。 3 被請求人の主張について (1)被請求人は、「幸福堂の福ちゃん焼き」の文字が、本件商標権者等以外の第三者によるウェブサイト記事等に使用されていることから、当該文字によって、本件商標の使用を主張する。 しかしながら、ウェブサイト記事等中の「幸福堂の福ちゃん焼き」の文字は、当該記事の作成者が当該記事の内容として使用している文字であって、本件商標権者等による本件商標の使用とは認められないから、被請求人の主張は採用することはできない。 (2)被請求人は、「請求一覧(店舗・部門別)」の表題の書証(乙6)並びに売上集計と思しき書証、「御請求書」の表題の書証及び「幸福堂狸小路二丁目店売上日報」の表題の書証(乙7)を挙げて要証期間に本件商標権者のパイ焼き店「幸福堂」が自在した旨を主張する。 しかしながら、上記の書証における日付には、要証期間のものもあるが、これらの書証には、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の表示はないから、これらの書証のみで本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の使用は認められない。 したがって、被請求人の主張は採用することはできない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人が提出した証拠から認定できる使用商標は、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできず、他に被請求人が要証期間に本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標を使用していることを証明するものはない。 また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについての本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものということはできず、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(使用商標 色彩は原本参照) 乙第3号証 乙第4号証の1 乙第4号証の2 乙第4号証の3 乙第4号証の4 乙第5号証 |
審理終結日 | 2021-05-13 |
結審通知日 | 2021-05-18 |
審決日 | 2021-06-04 |
出願番号 | 商願2015-84376(T2015-84376) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(W43)
T 1 31・ 11- Z (W43) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 泉田 智宏 |
特許庁審判長 |
齋藤 貴博 |
特許庁審判官 |
岩崎 安子 相崎 裕恒 |
登録日 | 2016-02-19 |
登録番号 | 商標登録第5828244号(T5828244) |
商標の称呼 | コーフクドーノフクチャンヤキ、コーフクドーノ、コーフクドー、コーフク、フクチャンヤキ、フクチャン、フク |
代理人 | 佐々木 實 |
代理人 | 米田 耕一郎 |