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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1376066 
異議申立番号 異議2020-900197 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-09 
確定日 2021-06-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第6253525号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6253525号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6253525商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年10月30日に登録出願、第30類「茶,茶飲料,果実入りの茶,タピオカ入りの茶飲料,コーヒー豆,コーヒー飲料,ココア飲料,菓子,クッキー,パン,洋菓子,ポップコーン,プディング,調味料及び香辛料,即席麺,アイスクリーム,氷,砂糖」を指定商品として、令和2年4月13日に登録査定、同年5月22日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する登録第6090664号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成30年1月22日登録出願、第30類「茶,茶飲料,果実入りの茶,タピオカ入りの茶飲料,コーヒー豆,コーヒー飲料,ココア飲料,菓子,クッキー,パン,洋菓子,ポップコーン,プディング,調味料及び香辛料,即席麺,アイスクリーム,氷,砂糖」及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同年10月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取消しを免れないと申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第30号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標及び引用商標は、ともに商標の一部に赤地で「陳家」の文字を白抜きにした落款的な部分がある。
(2)「陳」の姓について、世界で当該姓を有する者は、かなりの数が存在するが、「姓名分布&ランキング」のウェブサイトで、2007年10月までに発刊された全国の電話帳に掲載されている情報をもとに「陳」の姓を有する者の数を検索すれば、全国では、約529件で、4,136位との結果(甲3)であって、審決(甲4)に説示されていることを踏まえれば、我が国においては、多い数の姓ではない。加えて、本件商標及び引用商標は、事業者が使用するものであって、個人の姓が多いかどうかは商標の類似性に与える影響は少ないと考えられる。
(3)事業者名の「陳家」は、「iタウンページ」検索サイトで、指定商品名でそれぞれの指定商品毎に検索すると、「陳家」の文字を含む名称を使用した企業はなかった(甲5?甲23)。
ちなみに、同サイトで「幸福堂 菓子」を検索した結果、13件の事業者があり、「幸福堂 茶」については、0件、「幸福堂 パン」については1件の事業者があった(甲24?甲26)。
少なくとも、本件商標及び引用商標の指定商品の分野において、「陳家」の文字を使用する事業者は多くはないものといえる。
(4)本件商標及び引用商標の落款部分は、他の文字と比べ小さく表されているとしても、一般的には商品の出所を表示する重要な部分といえ(甲27)、また、「家」の文字は、接尾語として使用される場合には、「家号や雅号、書斎に用いる語」(甲28、甲29)等を意味することから「家号(屋号)の一種」を表示したものと需要者は認識することもあり、需要者に対して出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分である。
本件商標又は引用商標の全体の構成からみて、「陳家」の落款部分とその他の各部分が色彩、大きさ及び独立した態様で構成して配置されていること並びに上述のとおり、需要者は、本件商標又は引用商標から出所識別標識として「陳家」の落款部分を分離して認識し、「陳家」の文字により生ずる称呼で取引に資される場合も少なくない。
そして、本件商標又は引用商標の構成中に出所識別力がある部分が当該「陳家」部分以外にあったとしても、本件商標又は引用商標の「陳家」部分が出所識別標識として機能しなくなるわけではなく、それぞれが独立して出所識別標識として機能を果たすものである(甲30)。
本件商標及び引用商標の落款部分は、赤地部分の形状及び書体が多少異なるとしても、赤地で「陳家」の文字を白抜きにした外観で近似し、「陳家」の文字から生じる称呼及び観念が同一である。
本件商標及び引用商標全体としても、本件商標の「手炒黒糖」の文字の品質的な表示をする印影部分を除けば、ともに落款部分の赤地色抜きで表した「陳家」以外の文字は、黒色からなり、ともに大きく表示されている「幸福堂」又は「一芳」の末尾付近に落款の「陳家」を配した構成を有していることから、表現も似通っており、時と場所を異にして観察するとなおのこと似通るものである。
2 むすび
よって、本件商標は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用した場合、引用商標と相紛らわしく類似する商標であって、指定商品も互いに抵触するものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「幸福堂」の漢字を横書きに大きく表したその右側に縦長の赤色の略楕円形の中に「陳家」の文字を白抜きにした落款があり、前記の「幸福堂」の文字の「福」の文字幅に合わせて小さく「HAPPY HALL」の欧文字を配し、最下段には、「XING FU TANG」の欧文字とその右側に赤色の正方形内に「手炒黒糖」の文字を表したと理解される白抜きにした印を配してなるものである。
そして、「幸福堂」の文字と落款を合わせた横幅と「XING FU TANG」の文字と印を合わせた横幅とはほぼ同じ長さであること、本件商標を構成する各構成要素はいずれも近接して、バランス良く配置されていることなどから、本件商標は全体として外観上まとまりのよい印象を与えるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成全体をもって一体不可分のものとして認識し、把握するというのが相当であり、本件商標の構成中の「陳家」の文字のみが取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせない。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、楷書で「一芳」の漢字を大きく表した右側下に縦長の赤色の略楕円形の中に「陳家」の文字を白抜きにした落款があり、前記「一芳」の文字の下に該文字幅で「台湾水菓茶」(決定注:「湾」の文字は異体字。)の漢字を配し、さらに、その下に同文字幅で「YIFAGNG TAIWAN FRUIT TEA」の欧文字を配してなるものである。
そして、引用商標の構成中のそれぞれの文字は、全体でまとまりよく一体的に配置されているものとみるのが自然である。
そうすると、引用商標に接する取引者、需要者は、その構成全体をもって一体不可分のものとして認識し、把握するというのが相当であり、引用商標の構成中の「陳家」の文字のみが取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせない。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標とは、上記(1)及び(2)のとおりの構成態様であって、いずれも、その構成全体をもって一体不可分のものとして認識し、把握するというのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標は、いずれもその構成中の「陳家」の文字のみを分離、抽出して、他の商標との類否を判断することが許されないものであるから、当該文字のみを分離、抽出した上で、本件商標と引用商標とは同一又は類似する商標であるとする申立人の主張は、その前提において失当であるし、仮に、本件商標と引用商標とについて、それぞれの外観、称呼及び観念に基づく印象、記憶、連想等を総合して全体的に考慮したとしても、両商標が各指定商品に使用されたときに、互いに紛れるおそれがあるとは認められない。
そして、申立人は、「本件商標又は引用商標の全体の構成からみて、『陳家』の落款とその他の各部分が色彩、大きさ及び独立した態様で構成して配置されていること及び『家』の文字は接尾語として使用される場合には、『家号や雅号、書斎に用いる語』(甲29)等を意味することから『家号(屋号)の一種』を表示したものと需要者は認識するものであることから、需要者は本件商標又は引用商標から出所識別標識として『陳家』の落款を分離して認識し、『陳家』の文字により生じる称呼で取引に資される場合も少なくない。」旨を主張する。
しかしながら、上記のように、落款に色彩が施されているとしても、本件商標と引用商標は、それぞれその構成全体がまとまりよく表されていることに加え、「陳家」の文字部分は、それ以外の文字の大きさに比して、小さく、特別な特徴もない一般的な書体で表されているから、その外観上、「陳家」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできないし、さらに、本件商標及び引用商標の構成中の「陳家」の文字のみが取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると、本件商標の構成中の「陳家」の文字を分離、抽出して、その上で引用商標の構成中の「陳家」の文字を分離、抽出して両商標の称呼を共通にする類似の商標であるとした、申立人の上記主張は、採用することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、相紛れるそれのない非類似の商標であるといえる。
(4)小括
したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似の商品であるとしても、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、両商標は互いに相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
その他、本件商標と引用商標とが類似するとすべき事情は見いだせない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するという事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1(本件商標:色彩については原本参照。)




別掲2(引用商標:色彩については原本参照。)




異議決定日 2021-06-09 
出願番号 商願2018-134968(T2018-134968) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W30)
T 1 651・ 263- Y (W30)
T 1 651・ 262- Y (W30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉野 晃弘上山 達也加藤 優紀馬場 秀敏 
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 小俣 克巳
榎本 政実
登録日 2020-05-22 
登録番号 商標登録第6253525号(T6253525) 
権利者 陳泳良
商標の称呼 コーフクドー、コーフク、ハッピーホール、チンカ、チンヤ、チンケ、シュショーコクトー、シュソーコクトー、シュショー、シュソー、シングフタング、シンフタン、シーンフターン 
代理人 米田 耕一郎 

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