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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W36
審判 全部申立て  登録を維持 W36
管理番号 1375217 
異議申立番号 異議2020-900275 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-26 
確定日 2021-06-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第6276503号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6276503号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6276503号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和元年7月4日に登録出願、第36類「金融又は財務に関する情報の提供,外国為替証拠金取引に関する情報の提供,株式の取引に関する情報の提供,投資に関する情報の提供,建物又は土地の情報の提供,前払い式電子仮想通貨の発行に関する情報の提供,仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換に関する情報の提供,企業の信用に関する調査」を指定役務として、同2年7月13日に登録査定され、同年8月4日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである。
1 登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「MONSTER」(標準文字)
指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成22年7月8日
設定登録日 平成22年12月24日
2 登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成18年6月9日
設定登録日 平成19年6月22日
3 登録第5393681号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 「MONSTER ENERGY」(標準文字)
指定商品 第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成22年7月8日
設定登録日 平成23年2月25日
4 登録第6388666号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定役務 第36類に属する商標登録原簿に記載の役務
優先権主張 2019年(令和元年)11月8日 アメリカ合衆国
登録出願日 令和2年5月7日
設定登録日 令和3年5月13日
5 登録第5727127号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 「MONSTER ENERGY ULTRA GREEN」(標準文字)
指定商品 第5類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
優先権主張 2014年(平成26年)5月14日 アメリカ合衆国
登録出願日 平成26年11月4日
設定登録日 平成26年12月19日
6 登録第5562023号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様 「JAVA MONSTER GREEN BEANS」(標準文字)
指定商品 第5類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成24年7月3日
設定登録日 平成25年3月1日
7 登録第5714891号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の態様 「MONSTER ENERGY GREENLIGHT」(標準文字)
指定商品 第5類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成26年6月11日
設定登録日 平成26年10月31日
以下、引用商標1ないし引用商標7をまとめて「引用商標」という。また、引用商標は、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第458号証(枝番号を含む。)及び別紙1ないし別紙9を提出した。
1 申立人の使用に係る「MONSTER」(以下「申立人商標」という場合がある。)の周知性について
(1)申立人商標と取扱い商品
ア 申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり、創業以降、アルコールを含有しない飲料、すなわち、炭酸飲料、フルーツジュース、エネルギー補給用飲料等の様々な飲料製品の企画、開発、製造、マーケティング、販売の事業に従事していたが、2015年(平成27年)6月からはエネルギー補給飲料(エナジードリンク)の事業に注力している(甲2、甲58)。
イ 申立人商標は、申立人が2002年(平成14年)に創設した「MONSTER」なるエナジードリンクのブランドの製品シリーズの出所識別標識としてブランド創設時から現在に至るまでの長年にわたり継続して使用されているものであり、同ブランドのエナジードリンク(以下「MONSTERエナジードリンク」という。)は、2002年(平成14年)に米国で最初に販売を開始後、日本では2012年(平成24年)5月から販売を開始し、現在では日本を含む世界130以上の国及び地域で販売中である。申立人は2002年(平成14年)以降、現在まで継続して、MONSTERエナジードリンクには一貫して「MONSTER」の文字を基調とする個別商品名が採用されており、各々の個別製品の包装容器には、特徴的な書体で大きく表示した「MONSTER」の文字(甲416)を独立してみる者の目を惹きつける態様で顕著に表示している(別紙1、別紙2)。
このように、「MONSTER」の文字に他の語を結合する方法で命名された個別製品名と「MONSTER」の文字を顕著に表示した包装容器を使用したMONSTERエナジードリンク事業の成功は、経済界でも高い評価を受けている(甲2?甲33、甲51?甲58、甲391?甲393)。
ウ 2012年5月以降に、我が国において販売されたMONSTERエナジードリンク(リニューアル製品及び季節限定製品を含む。以下「本件申立人商品」という。)は次のとおりである(別紙1)。
(ア)「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー 缶355ml)」(甲7、甲14)、「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー ボトル缶473ml)」(甲353?甲356)
(イ)「MONSTER KHAOS(モンスターカオス 缶355ml)」(甲7、甲14、甲128)
(ウ)「MONSTER ABSOLUTELY ZERO(モンスターアブソリュートリーゼロ 缶355ml)」(甲10、甲15、甲253)
(エ)「MONSTER ENERGY M3(モンスターエナジーM3 ワンウェイびん150ml)」(甲59、甲61、甲127)、「MONSTER ENERGY M3(モンスターエナジーM3 缶160ml)」(甲361)
(オ)「MONSTER COFFEE(モンスターコーヒー 缶250ml)」(甲60、甲62)
(カ)「MONSTER ENERGY ULTRA(モンスターウルトラ 缶355ml)」(甲101?甲103)
(キ)「MONSTER ENERGY THE DOCTOR(モンスターロッシ缶355ml)」(甲256、甲257、甲263、甲264)
(ク)平野歩夢コラボ缶 「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー スペシャルデザイン缶355ml)」及び「MONSTER ENERGY ULTRA(モンスターウルトラ スペシャルデザイン缶355ml)」(甲291)
(ケ)「MONSTER CUBA LIBRE(モンスターキューバリブレ 缶355ml)」(甲323、甲324)
(コ)「MONSTER PIPELINE PUNCH(モンスターパイプラインパンチ 缶355ml)」(甲353、甲357?甲360)
(2)広告及び販売促進活動
申立人によるMONSTERエナジードリンクの広告及び販売促進活動は、国際的に活躍する多数の有名アスリート・チーム及びイベントに対するスポンサー活動を中核として、ウェブサイト及びプレスリリースによる広告、本件申立人商品サンプルの配布、大手コンビニエンスストアやイベント主催者と提携した大規模な販売キャンペーン(景品・賞品のプレゼントを含む)、スポーツイベント等の開催、契約アスリート等の動画・画像の公開、MONSTERブランドのライセンス商品の開発及び販売、ビデオゲーム会社と提携したMONSTERブランドを使用したビデオゲームの開発及び共同販売促進活動の実施など極めて多彩な内容である。こうした広告宣伝活動は、「MONSTER」の文字(特徴的な書体で表示したものを含む。)、爪の図柄と特徴的な書体で表示した「MONSTER」の文字と活字体で表示した「ENERGY」の文字からなるロゴマーク、「MONSTER ENERGY」の文字(以下、これらを併せて「MONSTERブランドマーク」という。)を使用して、本件商標の登録出願日前から継続的かつ頻繁に全国規模で実施されている(別紙3?別紙7)。また、申立人はMONSTER エナジードリンクの需要者に人気が高いエクストリーム分野を中心にスポンサー活動を行い、さらに、ウェブサイト及びソーシャルメディアのアカウントを創設して、MONSTERブランドを強くアピールするための効果的な広告を実施している(別紙9)。
(3)ライセンスによる申立人商標の使用
申立人は、2002年(平成14年)から、ブレスレット、ラベルピン、キーホルダー、Tシャツ、スウェットシャツ、帽子、レーシングジャケット、手袋などのアパレル製品、運動用ヘルメット、バッグ類、ステッカー、傘、ビデオゲームなどの「MONSTER」ライセンス商品の製造販売を第三者に使用許諾している。当該ライセンス商品はライセンシー等を通じてネットショッピングサイトでも販売されているほか、申立人がスポンサー参加するスポーツイベント等の会場で販売したり、イベント来場者に無料配布したり、本件申立人商品の販売キャンペーンの応募者・当選者に景品・商品として配布することもしている(甲92、甲93、甲98?甲100、甲144、甲145、甲148?甲151、甲153、甲156、別紙7)。
これらのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも平成25年7月から現在に至るまで継続して度々発生している(甲169?甲224、別紙8)。
(4)世界における商標出願及び登録
申立人は、MONSTERブランドマークについて引用商標をはじめとして、国内外において多数の商標登録を取得している(甲432?甲444)。
(5)申立人のMONSTERエナジードリンクの国内市場占有率など
第三者による市場調査報告書やエナジードリンクの市場に関する記述によれば、2013年(平成25年)時点で申立人のMONSTERエナジードリンクの国内市場占有率は既に25%を超えており、それ以降も着実に売上げを伸ばし、男子若年層を中心とした従来の主要需要者層に止まらず、女性層にも知名度、人気を拡大しており、また、MONSTERエナジードリンクは市場で「モンスター」と称され、「MONSTER」又は「モンスター」の表記で認知されている(甲311?甲322、甲383?甲385、甲391?甲393 ほか)。
(6)小括
以上の事柄に照らせば、申立人商標及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたことが明らかである。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標は、その構成中「MONSTER」の文字が、「GREEN」の文字と段及び書体を変えて大きく表示されているから、出所識別標識として強い印象を取引者、需要者に与えるのは、「MONSTER」の文字部分であること明らかであり、これより「モンスター」の称呼及び観念が生じる。
したがって、本件商標は、「MONSTER」の文字、「モンスター」の音(称呼)、「モンスター」の観念を包含する点で、引用商標及びMONSTERエナジードリンクの製品名(以下「MONSTERエナジードリンク商標」という場合がある。)と一致し、外観、称呼及び観念が類似する。
また、本件商標の構成文字は、「MONSTER」に他の語を結合する方法によって構成されている点でも上記個別製品名と一致する。
よって、本件商標は、引用商標及びMONSTERエナジードリンク商標と類似性の程度が極めて高い。
加えて、申立人は2002年から現在に至るまで、「MONSTER」の文字と緑色(GREEN)をMONSTERブランドのシンボルカラーとして継続的に使用しているから、本件商標を構成する「MONSTER」及び「GREEN」の文字の組合せは、MONSTERエナジードリンク及び申立人を直観させるといえる。
(2)本件指定役務と、MONSTERエナジードリンクは、それぞれ一般消費者を需要者に含む点で共通する。また、一般消費者を需要者に含む本件指定役務の通常の需要者の注意力の程度はさほど高いものとはいえない。
(3)申立人商標及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。
(4)したがって、本件商標が本件指定役務に使用された場合、これに接した需要者は、申立人商標及び申立人を直観し、申立人又は申立人と経済的若しくは組織的関係を有する者の取り扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがある。
また、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所識別力希釈化するものであり、また、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人商標の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、次のとおりである。
ア 申立人は、米国の飲料メーカーであって、我が国においてはアサヒ飲料株式会社を通じて2012年(平成24年)5月にエナジードリンク「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)」の販売を開始し、その販売量は同年9月には累計100万箱を超え、12月には累計157万箱となった(甲7?甲9)。
イ 申立人は、我が国において2013年(平成25年)5月に「MONSTER ABSOLUTELY ZERO(モンスターアブソリュートリーゼロ)」(甲10、甲15)、2014年(平成26年)8月に「MONSTER ENERGY M3(モンスターエナジー M3)」(甲59、甲61)、同年10月に「MONSTER COFFEE(モンスターコーヒー)」(甲60、甲62)、2015年(平成27年)7月に「MONSTER ENERGY ULTRA(モンスターウルトラ)」(甲101?甲103)、2017年(平成29年)6月に「MONSTER ENERGY THE DOCTOR(モンスターロッシ)」(甲256、甲257、甲263、甲264)、2018年(平成30年)4月に「MONSTER CUBA-LIBRE(モンスターキューバリブレ)」(甲323、甲324)、2019年(平成31年)4月に「MONSTER PIPELINE PUNCH(モンスターパイプラインパンチ)」(甲353、甲357?甲360)の販売を開始し、製品によってはリニューアルしたりコラボ缶の製品を販売した(甲127、甲128、甲253、甲291、甲353?甲356、甲361)(以下、これら商品と上記アの商品をまとめて「申立人商品」という。)。
ウ 申立人商品のうち、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER KHAOS」(2016年(平成28年)5月から)、「MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO」、「MONSTER ENERGY M3」、「MONSTER ENERGY ULTRA」、「MONSTER ENERGY THE DOCTOR」及び「MONSTER PIPELINE PUNCH」の容器には、別掲4のとおり、デザイン化された「MONSTER」の文字(以下、この文字部分を「MONSTERロゴ」という。)及び「ENERGY」の文字を2段に表した商標(色彩が異なるものを含む。以下「使用商標」という。)が表示されている(甲7、甲10、甲59、甲101、甲130、甲257?甲263、甲357 ほか)。
また、「MONSTER COFFEE」の容器には「MONSTERロゴ」及び「COFFEE+ENERGY」の文字が2段に表示され、「MONSTER CUBA-LIBRE」の容器には、「MONSTERロゴ」が表示されている(甲60、甲324 ほか)。
そして、これら一連の商品を指称する際は、「モンスターエナジー」ブランドと総称されている(甲8、甲10、甲59、甲60、甲129、甲130 ほか)。
エ 申立人は、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベントにおいて、看板、ユニフォーム、車体など多種多様なものに、使用商標を表示している(甲73?甲80、甲82 ほか)。
オ 我が国において、使用商標が表示されたステッカー、衣類、帽子、ヘルメットなどが販売されている(甲47、甲48、甲98 ほか)。
カ 平成25年7月以降、我が国の税関において、申立人の商標権(国際登録第1048069号など)を侵害する疑いがある貨物(帽子、ショートパンツ、Tシャツなど)が多数発見されている(甲169?甲224、別紙8)。
キ JMR生活総合研究所による消費者調査 No.196「エナジードリンク(2014年(平成26年)7月版)」によれば、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」で45%、2位が「モンスターエナジー」で31%であった(甲311)。また、同消費者調査 No.232「エナジードリンク(2016年(平成28年)8月版)」でも、ブランド認知率の1位は「レッドブル・エナジードリンク」であり、2位は「モンスターエナジー」であったと推認できる(甲312)。
ク 有限会社飲料総研の調査によれば、我が国における2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数は約950万ケース(1ケース30本換算)であり、首位のレッドブルが550万ケース、2位のモンスターエナジーは240万ケースであった(甲317、甲318、甲320)。
ケ ジャストシステムによるエナジードリンクに関する調査(2014年(平成26年)4月)によれば、認知度が高い商品の1位は82.8%の「RedBull」、2位は47.6%の「MONSTER ENERGY」であった(甲319)。
コ JMR生活総合研究所による消費者調査データ No.269「エナジードリンク(2018年(平成30年)5月版)」には、「モンスター、レッドブル、リアルゴールド 寡占化すすむエナジードリンク市場」のタイトルのもと、「今回の調査では、『リアルゴールド(日本・コカコーラ)』『レッドブル・エナジードリンク(レッドブル・ジャパン)・・・』『モンスターエナジー(アサヒ飲料)』の3ブランドがほとんどの項目で上位3位を独占した。」の記載がある。
(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking269.html)
また、同消費者調査データ No.293「エナジードリンク(2019年(令和元年)5月版)」には、「リアルゴールド、レッドブル、モンスターエナジー。3強上位独占」のタイトルのもと、「エナジードリンクの市場は、2桁の伸びの後に、2016年(平成28年)は対前年比5%増、2017年(平成29年)は同じく8%増とやや落ち着いたものの、依然として成長を続けている。」の記載がある。
(職権調査:https://www.jmrlsi.co.jp/trend/mranking/02-drink/mranking293.html)
サ 申立人及びアサヒ飲料株式会社は、本件商標の登録出願の日前から、申立人商品のキャンペーンに係るニュースリリース、ポスターなどで申立人商品を「モンスター」と表示しているものが見受けられ、また、両社以外のウェブページにおける当該キャンペーンについてのポスターやその他の記事においても「MONSTER」及び「モンスター」の文字が表示されているところ、当該ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト等には、申立人商品の画像又は使用商標若しくは「モンスターエナジー」の文字と共に表示又は掲載されている(甲69、甲71、甲79、甲101?甲103、甲111、甲113、甲115、甲118、甲119、甲124 ほか)。
(2)上記(1)のとおり、申立人は、我が国において、2012年(平成24年)5月からエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売を開始し、その後現在まで、計9種の申立人商品を販売するとともに、各種のスポーツ競技会、イベント及びキャンペーンなどを通じ、申立人商品の広告宣伝を行っていたこと、2013年(平成25年)のエナジードリンクの出荷数約950万ケースのうち、申立人商品の出荷数は240万ケースで第2位であったこと、申立人商品の認知度が2014年(平成26年)において、その数値は31%と47.6%と差異はあるものの、いずれの調査でも第2位であったことが認められ、2016年(平成28年)の認知度はその数値は不明であるものの2位であったと推認できることに加え、2018年(平成30年)及び2019年(令和元年)の調査において、いずれも申立人商品はエナジードリンクで3強の一つとされ、また、エナジードリンクの市場は2017年(平成29年)において成長を続けているとされていることを併せみれば、申立人商品は、本件商標の登録出願の日(令和元年7月4日)前から、登録査定日(令和2年7月13日)はもとより現在においても継続して、我が国のエナジードリンクの需要者の間に広く認識されているものといい得るものである。
また、申立人商品は、個別の商品名があるものの、これらの一連の商品を指称する際には「モンスターエナジー」ブランドと称されており、そのほとんどの容器の中央に「MONSTERロゴ」及び「ENERGY」の文字が別掲4のとおりの態様(使用商標)で表示されている。
申立人は、我が国で開催される各種のスポーツ競技会、イベントにおいて、看板、ユニフォーム、車体など多種多様なものに、使用商標を表示しており、また、我が国において、使用商標が表示されたステッカー、衣類、帽子、ヘルメットなどが販売されている。
申立人商品の認知度を紹介するインターネット記事情報(甲311、甲319)で「モンスターエナジー」(MONSTERENERGY)の認知度が紹介されているものの、申立人商標単独での認知度が紹介されている記事は示されていない。
以上からすると、申立人商品は「モンスターエナジー」ブランドと称されて、その容器に表示された「MONSTERロゴ」及び「ENERGY」の文字(使用商標)は近接してまとまりよく表示されており、また、使用商標が、我が国における各種競技会及びイベント等並びに販売されているステッカー及び衣服等に表示されていることからすれば、申立人商品の獲得した上記認知度は、「Monster Energy」(モンスターエナジー)を中心とした「モンスターエナジー」ブランドのエナジードリンクとして、集合的に生じているというべきである。
そうすると、使用商標は、その構成全体をもって我が国の取引者、需要者の間において、申立人商品を表示するものとして広く認識されているというべきである。
他方、申立人商標は、ニュースリリース、ポスター、ウェブサイト、宣伝文句等において、申立人又は申立人商品の略称として表示又は掲載が見受けられるとしても、それらは必ずしも統一的に使用されているものではなく、常に申立人商品又は「モンスターエナジー」の文字若しくは使用商標と共に表示等されていること、申立人商標単独での認知度は示されていないことなどからすれば、特殊な態様とはいえない「MONSTER」の文字からなる申立人商標については、提出された証拠から、その周知性の程度を推し量ることはできないから、我が国の取引者、需要者の間において、申立人商品を表示するものとして広く認識されているとはいえない。
したがって、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできるものの、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお、申立人商標の表音である「モンスター」の文字が、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る事情は見いだせない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)使用商標及び申立人商標の周知性
上記1のとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできるものの、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)本件商標と使用商標又は申立人商標の類似性の程度
ア 本件商標は、別掲1のとおり、「GREEN」及び「MONSTER」の文字から構成されるところ、各文字は色彩や書体の差異はあるものの、構成文字全体から「緑の怪物」ほどの意味合いを容易に理解させる上に、これより生じる「グリーンモンスター」の称呼もよどみなく一連に称呼できるものである。
さらに、本件商標は、その構成中「MONSTER」の文字部分が取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるとか、それ以外の文字部分が、指定役務との関係において、出所識別標識としての機能を果たし得ないとみるべき事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、全体から生じる観念、称呼及び上記事情から、構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識、把握されるというべきである。
したがって、本件商標は、「グリーンモンスター」のみの称呼、「緑の怪物、緑の化け物」ほどの観念を生じるものの、「モンスター」の称呼及び「怪物、化け物」の観念は生じない。
イ 使用商標は、別掲4のとおりの構成からなるところ、上記1のとおり、その構成全体をもって、需要者等に広く知られているものであるから、その構成全体に応じて、「モンスターエナジー」の称呼及び「申立人のブランド」程の観念を生じる。
ウ 申立人商標は、「MONSTER」の文字からなるところ、その構成文字に相応して「モンスター」の称呼及び「怪物、化け物」の観念を生じる。
エ そうすると、本件商標と使用商標又は申立人商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相違するものであるから、両者は非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
(3)本件商標の指定役務と申立人商品との関連性
本件商標の指定役務は、金融業務や財政業務に係る役務であるから、申立人商品「エナジードリンク」とは、提供する事業者、用途、目的、需要者等が明らかに異なるものであり、その関連性は低いというべきである。
(4)出所混同のおそれ
上記(1)のとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできるものの、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできず、上記(2)のとおり、本件商標は使用商標及び申立人商標とは別異の商標であり、さらに上記(3)のとおり、本件商標の指定役務と申立人商品との関連性は低いものである。そして、これらを踏まえて、本件商標の指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務に使用しても、取引者、需要者をして申立人商標又は使用商標を連想又は想起することはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)申立人の主張
申立人は、申立人商標が周知であることを前提に、本件商標の構成中「MONSTER」の文字から、「モンスター」の称呼及び「怪物、化け物」の観念が生じ、本件商標は引用商標及びMONSTERエナジードリンク商標と外観、称呼、観念が類似することから、両者は類似性の程度が高いことなどを主張している。
しかしながら、上記(1)のとおり、申立人商標の周知性を認めることはできず、また、本件商標からは「モンスター」の称呼及び「怪物、化け物」の観念は生じないことに加え、申立人が提出した証拠から、本件商標と引用商標及びMONSTERエナジードリンク商標との類似性の程度が高いと認めるに足る事情も見いだせないことからすれば、本件商標と引用商標又はMONSTERエナジードリンク商標とは類似性の程度が高いと認めることはできない。
また、上記(1)のとおり、使用商標が周知性を有することから、これを構成中に含む例えば引用商標2についても周知性を有する場合があるとしても、上記(2)及び(3)のように、本件商標と使用商標との類似性の程度及び本件商標の指定役務と申立人商品との関連性を考慮すると、上記(4)のように、本件商標と使用商標の場合と同様に、本件商標は引用商標2と出所の混同を生ずるおそれはないというべきである。
さらに、申立人が提出した証拠から、本件商標が引用商標及びMONSTERエナジードリンク商標と出所の混同を生ずると認めるに足る事情は見いだせない。
したがって、申立人の主張は採用することはできない。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、別掲1のとおり、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
また、本件商標は、上記2のとおり、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして申立人商標を連想又は想起させることのないものである。
その他に、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る具体的な証拠の提出はない。
そうすると、本件商標は、申立人商標の出所表示力を希釈化するとか、その名声にフリーライドするなど不正の目的をもって使用するものとはいえず、また、他に商標権者が本件商標をその指定役務に使用することが社会一般の道徳に反し公正な取引秩序を乱す、あるいは国際信義に反するなど、公序良俗に反するものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではなく、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1 本件商標(色彩は原本参照)


別掲2 引用商標2


別掲3 引用商標4


別掲4 使用商標



異議決定日 2021-06-11 
出願番号 商願2019-92887(T2019-92887) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W36)
T 1 651・ 271- Y (W36)
最終処分 維持 
前審関与審査官 東 眞歌渡邉 潤 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 板谷 玲子
岩崎 安子
登録日 2020-08-04 
登録番号 商標登録第6276503号(T6276503) 
権利者 グリーンモンスター株式会社
商標の称呼 グリーンモンスター、モンスター 
代理人 柳田 征史 
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