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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X12
管理番号 1375142 
審判番号 取消2017-300703 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-09-15 
確定日 2021-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第483964号の2商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第483964号の2商標(以下「本件商標」という。)は,「COBRA」の欧文字を横書きしてなり,昭和30年5月18日に登録出願,同31年7月6日に設定登録された,登録第483964号商標の商標権の分割に係るものであって,第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成17年12月14日に商標権の分割移転が登録され,その後,平成19年11月28日に指定商品を第7類「自動車(トラクターを除く。)の発動機の部品」及び第12類「自動車(トラクターを除く。)並びにその部品及び附属品,自動車(トラクターを除く。)の発動機(その部品を除く。),自動車(トラクターを除く。)のベアリング,自動車(トラクターを除く。)の緩衝器,自動車(トラクターを除く。)の制動機」とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成29年9月29日であり,商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは,同26年9月29日ないし同29年9月28日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,第12類「自動車(トラクターを除く。)並びにその部品及び附属品」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由及び答弁に対する意見を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中「自動車(トラクターを除く。)並びにその部品及び附属品」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 意見書の理由
本件商標についての通常使用権の存在を裏付ける根本的な証拠は1997年1月22日に締結されたライセンス契約(乙1)ということになるが,このライセンス契約書は,当該通常使用権の存在を裏付けるには不十分であると考えられる。
なぜなら,本件商標権者が本件商標の商標権者となったのは,2005年(平成17年)12月14日であり,上記のライセンス契約が結ばれた1997年1月22日より8年以上も後である(甲2)。上記契約が結ばれた時点では,第12類「自動車並びにその部品及び附属品」等の商品について,登録商標「COBRA」は本件商標権者とは別の企業により保有されていたため,他社が保有する登録商標が使用許諾の対象になるとは考えられないのである。
また,当該ライセンス契約書の中で使用許諾の対象として明記されているのは「・‥Ford’s federally registered marks COBRA and Snake Design・・・」であり(乙1),この「federally registered marks」というのは通常アメリカ合衆国の連邦登録商標を示すものなので,この中に我が国の登録商標が含まれるとは考えられないのである。
以上の理由から,上記のライセンス契約書は,本件商標についての通常使用権の存在を裏付ける根拠とはなり得ないというべきである。そうとすれば,上記のライセンス契約に基づき,本件商標権者からキャロル・シェルビー氏(Shelby American Management Company)に対して本件商標の使用許諾が与えられたとする被請求人の主張は成り立たないから,シェルビーによる我が国での「COBRA」の使用も,正当な使用許諾に基づく本件商標の使用とはいえない。
したがって,要証期間に本件商標が日本国内において「商標権者又は使用権者によって」本件審判請求に係る指定商品について使用されていたとはいえないから,本件商標は取り消されるべきものである。
第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を答弁書及び回答書等において要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁書及び回答書の理由
(1)本件商標権者と通常使用権者の契約関係について
ア 本件商標権者とキャロルシェルビー氏の間の1997年1月22日付世界的商標使用許諾契約(以下「使用許諾契約書1」という。:乙1,乙14)
本件商標権者がキャロルシェルビー氏とその承継人に対して,商標「COBRA」の使用を許諾した事実が記載されている(乙1)。当該契約では,「COBRA」とコブラの図形商標との使用態様や,「SHELBY」と同時に「COBRA」を使用する使用態様について言及されている。当該契約は,キャロルシェルビー氏とその承継人による行為が一定の解約事由に該当し,本件商標権者による通知後60日以内にその解約事由が治癒しない場合にのみ解約されることになっており,当該契約は,本件審判における要証期間はもちろんのこと,現在も有効に存続している。
イ キャロルシェルビー氏とキャロル シェルビー ライセンシング インク(以下「シェルビー ライセンシング」という。)の間の2004年8月20日付使用許諾契約(以下「使用許諾契約書2」という。:乙5,乙8)
本件商標の使用権者であるキャロルシェルビー氏は,2004年8月20日,シェルビー ライセンシングとの間で,商標「COBRA」を含む商標の使用許諾に係る契約を締結した(乙5)。当該契約によれば,「COBRA」とコブラの図形商標等を,自動車を含む自動車関連商品や,おもちや等の商品化関連商品についての使用を許諾する旨が記載されている。当該契約の効力範囲は,イラン,シリア,北朝鮮を除く全世界とされており,これに日本が含まれることは明らかである。当該契約は,契約条件が守られる限り永久に有効であるとされており,当該契約は,本件審判における要証期間はもちろんのこと,現在も有効に存続している。
ウ シェルビー ライセンシングとシェルビーアジアの間の2011年5月27日付使用許諾契約(以下「使用許諾契約書3」という。:乙6,乙9)
本件商標の再使用権者であるシェルビー ライセンシングは,2011年5月27日,シェルビーアジアとの間で,商標「COBRA」を含む商標の使用許諾に係る契約を締結した(乙6)。
エ 上記アないしウを証するために,本件商標の使用権者キャロル シェルビー氏の承継人であり,再使用権者シェルビー ライセンシング(乙5)の最高経営責任者でもあるニール エム.カミング氏の宣誓供述書及びその訳文を提出する(乙10)。
オ 以上のとおり,シェルビーアジアが本件商標に係る通常使用権者であることは明らかである。
(2)本件商標の「自動車」についての使用事実
ア 使用証拠
シェルビーアジアのウェブサイト(乙4)において販売の申し出を行っているウェブページ(平成29年2月27日時点)において,少なくとも,ウェブサイトの右上部に「COBRA」の文字とコブラをモチーフにした図形の組み合わせ(以下「使用商標1」という。)に係る標章が表示されるとともに,「シェルビー・コブラ427 S/C CSX 4000(CSX6000)」(以下「使用商標2」という。)の記載がある。
なお,使用商標1及び使用商標2を併せていうときは,以下「使用商標」という。
イ 使用商標について
本件商標の通常使用権者である,シェルビーアジアのウェブサイトにおいて,要証期間に作成され閲覧が可能になっていたWebカタログを提出する(乙11)。当該カタログは1頁目の最上部において「2015年11月(改訂版)」と記載されているから,要証期間に作成され,閲覧が可能になっていた事実が明らかとなる。そして,カタログの8葉目の「シェルビーアジア取扱車種」において,「Shelby Cobra 427 S/C CSX4000」が掲載されており(乙11),これはインターネットアーカイヴサイトで保存された,シェルビーアジアのウェブサイト(乙4)に係る,同社の「取り扱い車種」として紹介されている「Shelby Cobra 427 S/C CSX4000」と同一の車種に係るものである。そうすると,インターネットアーカイヴサイトで保存された情報(乙4)と,要証期間に作成された情報との間に整合性があることから,本件事案におけるインターネットアーカイブサイト(乙2?乙4)の情報については,十分に正確性,信頼性の高いものといえる。
ウ 使用商標と本件商標との社会通念上同一性
乙第4号証に係る証拠には使用商標が付されている。
(ア)使用商標1(欧文字「COBRA」と図形の組み合わせでの使用)
使用商標1は,シェルビーアジアのウェブサイト(乙4)の右上部に,円形の輪郭内に太い横線の内部に「COBRA」の文字を大きく表し,その背後には,蛇(コブラ)をモチーフにしたと思しき図形を配した構成よりなるところ,その構成中の「COBRA」の文字部分は,大きく明瞭に書されているのに対し,その背後に表された図形部分は,一見したところでは何を表現したものか容易には理解し得ないものであるから,これより特定の称呼,観念を直ちに把握できないところである。他方,該図形を子細にみれば,蛇を正面から見た形状を表したものと理解することもできるところ,その前面に明瞭に記載された「COBRA」の文字とあいまって,該図形が「COBRA」を表したものと理解することもできる。これらの構成部分の周囲に表された円形の輪郭図形や「COBRA」の背後に表した太い線は,これら構成部分を目立たせるために装飾的に付加されたにすぎないものであり,それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を有しない部分である。
そうすると,使用商標1に接する需要者は,その構成中,外観上見やすく,かつ,称呼しやすい「COBRA」の文字部分に強く印象づけられるというのが相当であるから,使用商標1中の「COBRA」の文字部分は,他の構成要素と切り離されて独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
また,仮に,「COBRA」の文字の背後に表した図形が「蛇(コブラ)」を表したものと理解された場合でも,「コブラ」の称呼・観念が生じるものと無理なく理解・把握できるところである。
したがって,使用商標1の構成中,「COBRA」の文字部分は,本件商標を構成する「COBRA」と同一のつづり文字よりなるものであり,その背後に表された図形部分からも「コブラ」の称呼,観念が生じる場合があるところから,使用商標1からは本件商標と同一の称呼,観念を生ずることは明らかである。
してみれば,使用商標1は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(イ)使用商標2(「シェルビー・コブラ427 S/C CSX 4000(CSX6000)」での使用)
使用商標2は,シェルビーアジアのウェブサイト(乙4)の上部中央に,「シェルビー・コブラ427 S/C CSX 4000(CSX6000)」の文字を表してなる。まず,「シェルビー」と「コブラ」の両文字の間には,「半角文字程度のスペース」「・」「半角文字程度のスペース」が存在するので,視覚上自ずと分離して看取されるばかりでなく,観念上も両文字を常に一体のものとして把握しなければならないような格別の事情も認められない。
そして,「シェルビー」の文字は,本件商標の通常使用権者である,アメリカ人の元F1レーサーであって高性能スポーツカーの製造・販売を行う実業家,キャロルシェルビー氏が設立した一連の企業の代表的出所標識(生産又は販売主体を表す標識)として,取引者,需要者間において無理なく理解・把握されるものである。また,商取引の実際においては,代表的出所標識と個別商標(個別商品について使用される商標)を併記して商品に付すことが普通に行われている。
してみれば,「コブラ」の文字部分は,本件商標の通常使用権者が製造・販売した,商品「自動車」の特定の車種名を表す個別商標である。
さらに,その余の「427 S/C CSX 4000(CSX6000)」の部分は,商品「自動車」の型式・品番を表したにすぎない記述的な文字であり,自他商品識別標識としての称呼又は観念は生じないところである。
したがって,使用商標2において「コブラ」の文字部分が独立して自他商品識別の機能を発揮するといえ,上記(ア)を踏まえれば,使用商標2に係る「コブラ」は,本件商標に係る「COBRA」を日本語(片仮名)で表したものと容易に理解できる。
してみれば,使用商標2は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
エ 使用商標の商品と本件商標の指定商品の同一性
シェルビーアジアのウェブサイト(乙4)においては,「自動車」の写真が掲載されているところから,使用商標の商品は「自動車」であることは明らかであり,本件商標の指定商品「自動車(トラクターを除く。)」と同一の商品である。
オ 商標法第2条第3項各号への該当性
シェルビーアジアのウェブサイト(乙4)においては,商品である「自動車」の写真,商品の品番(427 S/C CSX4000(CSX6000)),及び,商品の説明文と共に,「・グラスファイバーボデー 販売価格・・・円(税別 登録諸費用別途)・アルミナムボデー 販売価格・・・円(税別 登録諸費用別途)」の記載がある。
よって,少なくとも,商品(自動車)に関する広告又は価格表又は取引書類を内容とする情報に標章を付して,インターネットを通じた電磁的方法により提供した事実が証明される。そして,このような使用態様は,少なくとも商標法第第2条第3項第8号に規定される商標の使用行為に該当する。
また,上記イのWebカタログ(乙11)に係る本件商標の使用は,商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為に該当する。
(3)使用許諾契約1と本件商標権の分割について
使用許諾契約書1(乙1)の冒頭には「フォードは,本契約別紙Aにおいて特定されるCOBRA及び各種の蛇の図形商標,米国及びカリフォルニア州の商標登録,当該標章の登録出願を,自動車,自動車のエンジン,部品,附属品,被服その他の製品に使用するために所有している。」と記載されている(乙14)。また,使用許諾契約書1(乙1)の冒頭には「シェルビーに『SHELBY COBRA』又は『SHELBY COBRAと蛇の図形』の商標を使用する限定的な権利を与える」と記載されているものの,「シェルビーは,SHELBYの名称及び商標を,1960年代の自動車,被服,及び関連する附属品のレプリカに使用するために所有している。」と記載されており(乙7),「SHELBY」は使用権者が自ら保有する商標であるから,その対象が「COBRA」にあることは明らかである。使用許諾契約書1(乙1)の第1条には,「シェルビーとその承継人に対して認める,世界的ロイヤリティーフリーの独占的な使用許諾を与える。」と記載されており(乙14),「日本」がその対象から除外されていないから,「日本」が対象とされていると無理なく理解することができる。さらに,各使用許諾契約書(乙1,乙5,乙6)は,いずれも同一の商標である「COBRA」の使用に関する許諾を対象としており,それらはいずれも同一の商標を示すことは明らかである。
してみると,本件商標権者は,各使用権者に対し,商標「COBRA」について使用許諾を行っているとみるのが自然であり,商標「COBRA」について使用許諾は,アメリカ国内に限られるものではなく,全世界においてなされていると解するべきであり,「日本」がその対象国から除外されておらず,これに含まれていることは明らかである。
そして,上記の事実は,シェルビー ライセンシング(乙5)の最高経営責任者でもあるニール エム.カミング氏の宣誓供述書(乙10)においても明らかにされている。
(4)請求人の意見書について
請求人は「当該ライセンス契約書の中で使用許諾の対象として明記されているのは,アメリカ合衆国の連邦登録商標であり,我が国の登録商標が含まれているとは考えられない」と述べているが,使用許諾契約書1(乙1)の第1条には,「シェルビーとその承継人に対して認める,世界的ロイヤリティーフリーの独占的な使用許諾を与える。」と記載されており(乙14),「日本」がその対象から除外されていないから,「日本」が対象とされていると容易に理解することができる。また,使用許諾契約書1(乙1)が締結された(1997年)4年も前の1993年に,現に,日本において商標「COBRA」についての商標登録を取得するべく,登録出願(平成5年商標登録願第58040号)を行っており,当時,引用された本件商標の商標権者であった,レールロード社と交渉を行い,1996年3月には,レールロード社との間で商標権の分割譲渡を受けることで合意していた(乙13)のであるから,当該ライセンス契約書の中で使用許諾の対象として我が国の商標が含まれていたと,無理なく理解できるところである。よって,請求人の意見には理由がない。
(5)使用許諾されている使用商標について
ア 使用許諾契約書1(乙1)の原文の記載からすれば,文脈上,フォードがシェルビーにライセンスを供与したのは,あくまでも「COBRA」と「蛇の図形」であると理解するのが自然であり,これらが「ライセンス商標」(the “Licensed Trademarks”)として記載されていることは原文から明らかなものである。そして,それら「COBRA」と「蛇の図形」が,「SHELBY」の文字と同時に使用され,すなわち「SHELBY COBRA」や「SHELBY COBRA」と「蛇の図形」の組み合わせの一部となることを容認していることが理解できる。
そして,使用許諾契約書1(乙1)において,使用許諾の対象には「COBRA」が含まれていることが明らかとなった。これにより,使用許諾契約書2(乙5)において「許諾資産」として「COBRA」とあること,使用許諾契約書3(乙6)には「許諾資産」として「COBRA 1960年代コブラ車両に関するフォード モーター カンパニーによる独占的使用権の許諾に基づいて使用されるもの)」とあることと整合する。
以上より,被請求人が提出した,各使用許諾契約書(乙1,乙5,乙6)においては,いずれも,商標「COBRA」の使用に関する許諾が対象とされていることが明らかである。
そして,使用商標1と本件商標との対比では,使用商標1には「COBRA」の文字部分に「蛇の図形」が付加されているものの,使用商標1に接する需要者は,その構成中,外観上見やすく,称呼しやすい「COBRA」の文字部分に強く印象づけられるというのが相当であり,使用商標1中の「COBRA」の文字部分は,他の構成要素と切り離されて,独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。同様に,使用商標2と本件商標との対比では,使用商標2には「シェルビー」「427 S/C CSX4000(6000)」の文字が付加されているものの,「シェルビー」と「コブラ」は「・(中点)」を挟んで表示されており,視覚上分離して看取されることから,使用商標2に接する需要者をして「シェルビー」と「コブラ」それぞれが別個の商標として理解されるというのが相当である。そして,使用商標2中「シェルビー」の文字部分が自動車会社名を表し,「コブラ」の文字部分が,自動車名を表し,残りの「427 S/C CSX4000(6000)」が型式を表すことから,依然として「コブラ」の文字が,独立して自他商品の識別標識としての機能を果たす要部として理解,把握される場合も少なくないといえるところである。
してみると,使用商標1及び使用商標2に係る商標は,使用許諾に係る「COBRA」と社会通念上同一といっても差し支えないものであり,これら使用商標はこれら使用許諾に係る商標に含まれるというべきである。
イ 本件商標の商標権者であるフォード モーター カンパニーから,我が国における再使用権者であるシェルビーアジアの間には複数の契約書が関係していることから,フォード モーター カンパニーは,シェルビーアジアが,要証期間において,本件商標の再使用権を内容とする使用権者である事実を認めており,さらに,その使用態様として,使用商標1と使用商標2の態様として使用されることも容認しているところである。この事実を客観的に示す証拠として,本件審判請求についてフォード モーター カンパニーの代表権のあるシャロン シー.ソーキン氏の宣誓書及びその訳文を提出する(乙15)。
(6)新たな使用証明資料について
本件商標の通常使用権者であるシェルビーアジアによる商品「自動車」の販売活動の一環として要証期間に行われた,同社担当者と顧客の間で交わされた商談を内容とする電子メールの写し,注文書又は見積書を提出する。
ア 乙第16号証の1は,国内在住のA氏に対して送信された,「2014年12月1日付電子メール」の写しであり,品番「CSX6163」が付された,「Shelby Cobra 427」のレプリカの新車販売に関する商談が行われた事実を示すものである。
イ 乙第16号証の2は,乙第16号証の1の「2014年12月1日付電子メール」に添付された,商品「自動車」の見積書であり,「Shelby Cobra 427」において「Cobra」の文字が使用されており,これは本件商標と社会通念上同一の商標というべきものであるとともに,「427」の品番が与えられていることから,使用許諾契約書1(乙1)を基礎とする一連の使用許諾契約2及び使用許諾契約3(乙5,乙6)の範ちゅうに属するものである。そして,上記各書類は「商品に関する取引書類」に該当し,上記使用行為は,商標法第2条第3項第8号の使用に該当する。
ウ 乙第17号証は,国内在住のH氏に対して送信された,「2014年12月5日付電子メール」(計2通)「2014年12月6日付電子メール」及び「2014年12月10日付電子メール」を含む電子メールの写しである。「2014年12月5日付電子メール」においては,「CSX6000シリーズ」の記載があることから,乙第4号証のウェブサイトに記載のある「シェルビー・コブラ 426 S/C CSX4000(CSX6000)」に係る商品(自動車)に照応する商品であることが無理なく理解できる。
エ 乙第18号証の1は,国内在住のS氏に対して送信された,「2016年7月10日付電子メール」「2016年7月11日付電子メール」を含む電子メールの写しであり,品番「CSX6000」が付された,427 Shelby Cobraのレプリカの新車販売に関する商談が行われた事実を示すものである。
2 上申書の理由
本件商標権者は,シェルビーアジアが販売する自動車「Shelby Cobra 427」の実車においては,その製品の仕様として,「使用商標1」(「COBRA」の文字とコブラをモチーフにした図形を組み合わせた商標)を表したエンブレムが,自動車のボンネットフード前部に貼り付けされていた。
そこで,上記1(6)の使用証明資料を補充するべく,シェルビーアジアが過去(2013年5月)に販売した,自動車(車種名)「Shelby Cobra 427」の写真を掲載したウェブページの写し(乙19)を提出するとともに,同ウェブページに掲載された,使用商標1を表したエンブレムが実車に付されている状態を示す写真画像(写真1:乙20)と,当該エンブレムの写真画像(写真2:乙20)を提出する。
上記各写真画像(写真1,2)は,ウェブページの写し(乙19)に掲載された「Shelby Cobra 427」の車両を被写体として,2013年5月にシェルビーアジアより同車両を購入した静岡県在住のN氏が,2015年3月10日に,静岡県掛川市付近において撮影したものである。これらウェブページの写し及び写真画像は,概ね同時期にシェルビーアジアにより作成された「2014年12月1日付電子メール」とそれに添付された「見積書」(乙16の1・2)に記載された車種である「Shelby Cobra 427」と同じであり,「Shelby Cobra 427」の実車において,その車種の仕様として,自動車のボンネットフード前部に,使用商標1を表したエンブレムが貼付けられていた事実を裏付けるものである。
なお,「Shelby Cobra 427」は,1960年代に販売された自動車のレプリカであって,大手各自動車メーカーが製造,販売するような,2年から3年という短期間でモデルチェンジ,製品の仕様の変更が行われる一般的な新型自動車とは異なり,製品の仕様の変更が行われることは一般的ではなく,特に車体外観における仕様変更が行われることはほとんどないといっても過言ではない。
3 結論
以上により,要証期間内に,本件商標と社会通念上同一の商標が,通常使用権者によって,その指定商品「自動車」について使用された事実が証明される。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標の使用者について
ア 本件商標権者は,1996年(平成8年)に,当時,本件商標の商標権者であった,レールロード社との間で本件商標権(指定商品「自動車」の部分)の分割譲渡を受ける契約を締結した(乙13)。
イ 本件商標権者とキャロルシェルビー氏間の使用許諾契約書1について
使用許諾契約書1(乙1,乙14)には,「1.使用許諾」の項において本件商標権者は,本契約において,・・・「COBRA」と蛇の図形を,「SHELBY COBRA」や「SHELBY COBRAと蛇の図形の商標の一部として使用することを,1960年代の427 シェルビー コブラ ロードスター,427 シェルビー コブラ ロードスターSC(1965),・・・に限って,シェルビーとその承継人に対して認める。」の記載がある。
また,「5.解約」の項において,キャロルシェルビー氏とその承継人による行為が一定の解約事由に該当し,本件商標権者による通知後60日以内にその解約事由が治癒した場合には,当該契約は解約されないと記載されている。
そして,この契約書は,1997年(平成9年)1月に契約されている。
ウ キャロルシェルビー氏とシェルビー ライセンシング間の使用許諾契約書2について
使用許諾契約書2(乙5,乙8)には,「背景」の「A.契約当事者」の項において,2004年(平成16年)8月20日に,個人及びキャロル ホール シェルビー トラスト(以下「トラスト」という。)の受託者としてのキャロルシェルビーと・・・キャロル シェルビー ライセンシング,インク(以下「ライセンシー」という。)の間で締結された。」の記載があり,「第1条 許諾財産及び許諾商品」の項において,「1.1 許諾財産」において,「トラストは,ライセンシーに対し,トラストが管理しかつ各種シェルビー自動車に関連して使用される,以下の商標・・・の使用を許諾する。」,「(5)COBRA」の記載がある。
また,「1.2 許諾商品」において,「ライセンシーは,以下の商品(以下「許諾商品」という。)の製造,販売及び・・・許諾財産を使用することを希望する。」,「(A)自動車製品(自動車,自動車部品,構成車両,販売後のスタイリング及びデザインを含むが必ずしもこれらに限定されない。)」の記載がある。
そして,「第3条 契約期間及び独占性」の項において,「3.1 契約期間」において,「本契の契約期間は,2004年8月1日に開始し,本契約に定める条項及び条件が満たされることを条件として,永続的に存続する。」の記載がある。
エ シェルビー ライセンシングとシェルビーアジア間の使用許諾契約書3について
使用許諾契約書3(乙6,乙9)には,「背景」の「A.契約当事者」の項において,「本使用許諾契約書(以下「本契約」という。)は,2011年(平成23年)5月27日に,・・・キャロル シェルビー ライセンシング,インク.(以下「ライセンシー」という。)及び日本の株式会社シェルビーアジアの間で締結された。」の記載がある。
「B.目的」の項において,「シェルビー コブラ シリーズ構成部品車両・・・及びその部品・・・の販売,引渡し及びサポートに関連して一定の知的財産の使用権を許諾する。」の記載がある。
また,第1条 許諾財産及び許諾製品」の項において,「1.1 許諾財産」において,「(5)COBRA〔1960年代コブラ車両に関するフォード モーター カンパニーによる独占使用権の許諾に基づいて使用されるもの〕」の記載がある。
そして,「第3条 契約期間及び非独占性」の項において,「3.1 契約期間」において,「本契の契約期間は,2011年5月1日に開始し,2013年6月30日又はライセンシーが本ディーラー契約に基づく認定ディーラーとしての地位を喪失したとき若しくは本契約が終了したときのいずれか最初に発生する時点をもって終了する。」,「3.2 更新オプション」において,「本契約は,当初の契約期間の満了時に,当初の契約期間又は後続の期間が終了する30日前までに,いずれかの当事者が他方当事者に対して更新しない旨の書面による通知を行わない限り,その後の2年間更新されるものとする。」の記載があり「第4条 ロイヤルティ」の項において,「4.1 ロイヤルティ」において,「契約期間は第3.2条に基づいて毎年更新される場合がある。」の記載がある。
オ なお,本件商標は,上記第1のとおり,平成17年12月14日にフォードモーターカンパニーを商標権者とする商標権の分割移転が登録された。
(2)本件使用商標について
ア ウェイバックマシン(インターネット上のキャッシュデータ閲覧サービス)によれば2017年(平成29年)2月27日のシェルビーアジアのウェブサイト(乙4)において,「シェルビー・コブラ・ 427 S/C CSX4000(CSX6000)」の見出しの下,1997年に「Shelby Cobra 427 S/C」(CSX4000シリーズ)の生産を再開し“継続生産モデル”として販売され,現在はCSX6000シリーズが販売されています。・・・ボディはグラスファイバー製です。」の記載があり,その左には自動車の写真が掲載され,その上に,円形の中に蛇の図形と「COBRA」の文字(以下「本件使用商標」という。)が記載された図形が表示されている。
イ 電子メール(乙16の1)は,2014年(平成26年)12月1日において,シェルビーアジアから,A氏にCSXの即納車を提案するための定価,業販と2種類の見積書を送った内容のメールである。
そして,その見積書(乙16の2)には,「車名」として「Shelby Cobra 427」,「販売価格合計」の記載とともに自動車の写真が表示され,その右下には,「株式会社シェルビーアジア」の記載がある。
ウ シェルビーアジアのウェブサイト(乙19)において,「2013年式 シェルビーコブラ 427S/C CSX6168」の見出しの下,「2013年式 シェルビーコブラ 427SC」,「車体番号:CSX6168」,「初年度 登録年月日2013年(平成25年)」の記載がある。
また,右下の大きな写真には,当該「シェルビーコブラ 427SC」のボンネットのフロント部分に円形の図形が表示されている。
そして,その大きな写真の左側には,当該「シェルビーコブラ 427SC」のボンネットのフロント部分を拡大した写真には,円形の中に蛇の図形と「COBRA」の文字が表示されている。
エ 乙第20号証は,上記ウェブサイトで使用された当該「シェルビーコブラ 427SC」の写真の元となる写真であるとされるものである。
2 上記1において認定した事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)本件使用商標の使用者について
ア 本件使用商標が表示されているウェブサイトは,シェルビーアジアのウェブサイトであるから,本件使用商標の使用者はシェルビーアジアである。
イ 上記1(1)のとおり,本件商標権者であるフォード モーター カンパニーは,1996年(平成8年)にレールロード社との間で本件商標権の分割譲渡を受ける契約を締結した(乙13)。
その後,使用許諾契約書1により,1997年(平成9年)1月に本件商標権者であるフォード モーター カンパニーからキャロルシェルビー氏に使用権が与えられ,使用許諾契約書2により,2004年(平成16年)8月にキャロルシェルビー氏からシェルビー ライセンシングに使用権が与えられ,使用許諾契約書3により,2011年(平成23年)6月にシェルビー ライセンシングからシェルビーアジアに使用権が与えられ,これらの契約は現在まで更新されているものと推認される。
そして,これらの使用許諾契約の内容は,自動車(1960年代の427 シェルビー コブラ ロードスター)に対し「COBRA」の商標を使用する権利を許可されていることが認められる。
したがって,本件使用商標の使用者であるシェルビーアジアは,本件商標の通常使用権者と認められる。
(2)本件使用商標について
本件商標は,上記第1のとおり,「COBRA」の文字を書してなるところ,通常使用権者のウェブサイト(乙4)には,本件使用商標が表示され,同じく通常使用権者のウェブサイト(乙19)には,自動車のボンネットのフロント部分に「COBRA」の文字(本件使用商標)が表示されている。
そして,本件使用商標は,本件商標に書体のみの変更を加えた同一のつづりからなる文字であるから,本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
(3)使用商品について
通常使用権者のウェブサイト(乙4)には,取り扱う自動車の解説文やその自動車の写真が表示され,その上部には「COBRA」の文字が使用され,また,通常使用権者のウェブサイト(乙19)には,自動車のボンネットのフロント部分に「COBRA」の文字が使用されていることからすれば,当該商品は「自動車」(以下「使用商品」という。)であり,これは,本件取消審判請求に係る指定商品中の「自動車(トラクターを除く。)並びにその部品及び附属品」の範ちゅうに含まれるものである。
(4)本件使用商標の使用及び使用期間について
ア 上記1(2)のとおり2017年(平成29年)2月27日の通常使用権者のウェブサイト(乙4)には,「シェルビー・コブラ427 S/C CSX4000」の文字と共に本件商標と社会通念上同一の商標である「COBRA」の文字が使用され,この日付は,要証期間の日付である。
イ 上記アのウェブサイトは,ウェイバックマシンを使用したものであるが,上記1(2)のとおり,上記アの日付より前の2014年(平成26年)12月1日付けで「Shelby Cobra 427」の見積が行われ(乙16),当該「Shelby Cobra 427」については,車体のボンネットのフロント部分には本件使用商標が表示されている(乙19)。
ウ そうすると,通常使用権者は,少なくとも2014年(平成26年)12月1日には本件使用商標が表示された「シェルビー・コブラ427」の見積を行っていたのであるから,上記アの日付(2017年(平成29年)2月27日)において,自社のウェブサイトに本件使用商標を表示したことに不自然な点はない。
(5)小括
以上によれば,通常使用権者であるシェルビーアジアは,要証期間に,本件取消審判請求に含まれる商品「自動車」において,その商品に関する広告に標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)をしていたものと認められる。
3 請求人の主張について
請求人は,本件商標権者が本件商標の商標権者となったのは,2005年(平成17年)12月14日であり,上記2(1)のライセンス契約が結ばれた1997年(平成9年)1月22日より8年以上も後であるから,他社が保有する登録商標が使用許諾の対象になるとは考えられない旨主張している。
しかしながら,我が国における通常使用権者であるシェルビーアジアに使用権が与えられたのは平成23年であり,本件商標の分割移転の登録後であるから,請求人の主張は採用できない。
4 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間に日本国内おいて,通常使用権者が,本件取消審判の請求に係る指定商品,第12類「自動車(トラクターを除く。)並びにその部品及び附属品」に含まれる商品「自動車」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したことができる。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2020-09-14 
結審通知日 2020-09-17 
審決日 2020-10-01 
出願番号 商願昭30-13369 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X12)
最終処分 成立 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 大森 友子
榎本 政実
登録日 1956-07-05 
登録番号 商標登録第483964号の2(T483964-2) 
商標の称呼 コブラ 
代理人 實川 栄一郎 
復代理人 石田 昌彦 
代理人 渡辺 紫保 
代理人 稲葉 良幸 
復代理人 右馬埜 大地 
代理人 田中 克郎 
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