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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服202010920 | 審決 | 商標 |
不服20208621 | 審決 | 商標 |
不服202012161 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W29 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W29 |
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管理番号 | 1375139 |
審判番号 | 不服2020-6681 |
総通号数 | 259 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-07-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-05-16 |
確定日 | 2021-05-31 |
事件の表示 | 商願2018-125966拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第29類「栃木県宇都宮地域で製造したハムカツ」を指定商品として、平成30年10月6日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由(要旨) 本願商標は、ややデザイン化された楕円形の中に、「宇都宮」及び「ハムカツ」の文字と「MADE IN UTSUNOMIYA」の欧文字を三段書きしてなるところ、その構成中の「宇都宮」の文字は、本願の指定商品との関係において、「栃木県中央部の市。県庁所在地。」の意味を、「ハムカツ」の文字は、その指定商品を表す語として一般的に使用されており、また、「MADE IN UTSUNOMIYA」の文字は、「栃木県宇都宮市製」の意味を認識させるものである。 そして、楕円形の輪郭線をオレンジ色に着色したり、ややデザイン化した構成文字を同色で縁取りしたものであるが、文字をデザイン化したり枠で囲んだりすることは、商取引において文字を強調するために通常行われる表現方法であって、かかる装飾の程度は、特殊なものとはいえないから、本願商標は、いまだ普通に用いられる方法で表されたものといえる。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は「栃木県宇都宮市製のハムカツ」程の意味合いを認識、理解するにとどまり、何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものである。 また、出願人は、本願商標の使用事実として各種資料を提出しているが、これら資料からは、本願商標がその指定商品との関係において需要者の間で全国的に認識されているものということはできない。 以上のことから、本願商標は全体として、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することはできず、自他商品の識別標識としての機能を有さないものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。 3 当審における審尋 当審において、審判長は、請求人に対し、令和2年12月16日付けで、別掲2のとおりの事実を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。 4 審尋に対する請求人の回答(要旨) 請求人は、前記3の審尋に対し、令和3年2月25日付け回答書を提出し、要旨以下のように主張した。 (1)ひとことで文字を楕円形状や様々な形状の線で囲むといってもその構成・態様は様々であり、このような事情のもと、仮に文字を楕円形状や様々な形状の線で囲むことが食品を取り扱う業界において広く一般に行われているのであれば、殊さら需要者・取引者は、差異を把握するために注意を払い観察するから、それぞれの構成・態様に応じて需要者・取引者が受ける印象は大きく異なるものになる。 (2)本願商標に係る楕円形状の図形は、もやっとした幅広の輪の内にくっきりと濃い色の二つの輪を組み込むことで立体的な印象をも醸し出しており、このような印象も相まって、取引者・需要者らは、指定商品に係る商品「ハムカツ」が油で揚げられるときに当該ハムカツの周囲から湧き出る「泡」や当該油がハムカツ本体に浸透して揚がっていく様子、また、熱々のハムカツの状態をも連想し得るほどの造形が施されているとの印象を持つものと思料される。 したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものではなく、全体として自他商品等識別力を有し、登録適格性を備えたものである。 5 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性 本願商標は、別掲1のとおり、オレンジ色の縁取りを含めややデザイン化した「宇都宮」「ハムカツ」の文字を上下2段に、その下部に小さく「MADE IN uTSuNOMIYA」の文字を、それぞれ配し、それらの文字を、楕円形状のオレンジ色の線で囲った構成からなるものである。 そして、本願商標の構成中、「宇都宮」の文字は、指定商品の製造地である「栃木県宇都宮地域」を、「ハムカツ」の文字は指定商品の普通名称を、「MADE IN uTSuNOMIYA」の文字は「栃木県宇都宮地域で製造した」の意味を、それぞれ表したものであることから、これらの文字部分全体からは、「栃木県宇都宮地域で製造したハムカツ」であることを容易に認識させるものである。 他方、本願商標の構成中「宇都宮」及び「ハムカツ」の文字のように、文字に縁取りをしてデザイン化する表記方法は一般的に用いられるものであり、また、文字を楕円形状や様々な形状の線で囲むことは、別掲2のとおり、食品を取り扱う業界において広く一般に行われている事実が認められることから、本願商標は、その構成全体において、取引上普通に用いられる方法で表示されたものである。 そうすると、本願商標は、その指定商品との関係において、当該商品「栃木県宇都宮地域で製造したハムカツ」を、すなわち指定商品そのものを認識させるにすぎず、その表示方法も、取引上普通に用いられる方法で表示されたものであるから、これをその指定商品に使用するときは、その需要者及び取引者をして、単に商品の品質を表したものと認識、理解させるにとどまり、自他商品の識別標識又は商品の出所を表示する標識として認識させることはないとみるのが相当である。 したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項該当性 請求人は、本願商標について、その使用がされた結果、請求人の取り扱う「宇都宮ハムカツ」と称する商品(以下「請求人商品」という。)を表示する商標として取引者及び需要者に広く認識されているため、自他商品の出所識別標識としての機能を果たす旨主張し、その証拠方法として、甲第1号証ないし甲第30号証を提出しているため、本願商標の商標法第3条第2項該当性について、以下のとおり検討する。 ア 本願商標の使用開始時期 請求人は、2016年4月から請求人商品について本願商標を使用していることがうかがえる(甲3?甲5)。 しかしながら、下記のとおり、請求人の提出に係る証拠及び職権調査の限りでは、請求人商品の使用を現在まで継続していることは確認できず、またその販売規模、広告実績等も不明である。 イ 使用(出荷)数量及び使用(出荷)先 「宇都宮ハムカツ使用実績表」(甲3)によれば、2016年4月から2017年8月までの期間における飲食店、量販店等の17事業者への請求人商品の出荷実績は、約123万個であり、それを含め全体出荷実績として約627万個であることがうかがえる。 そして、請求人商品の具体的出荷先として、飲食店、高速道路サービスエリア及びパーキングエリア、量販店、道の駅等の22業者に出荷していたことがうかがえる(甲6?16、甲23)。しかしながら、当該実績表は、請求人がまとめた一覧表にすぎず、出荷の事実や使用数量(販売数量)の根拠が示されていない。 また、当該数量が実際に出荷されているとしても、その数は多いものとはいえず、高速道路サービスエリア及びパーキングエリアは栃木県内にとどまるものであり、請求人が請求人商品を販売していると主張する飲食店及び量販店においては、その全店舗に販売したかは不明である。 ウ 展示会への出展 請求人は、2016年7月から2017年7月にかけて、「外食 FOOD TABLE 2017」など10カ所の各種展示会へ出展していることがうかがえる(甲17?甲22)。しかしながら、いずれも、2016年7月から2017年7月にかけての1年間であり、場所についても、関東圏を主とした8都府県にとどまる。 エ 雑誌・新聞等における紹介記事 請求人商品が、「下野新聞」(2016年10月5日)及び「群馬・栃木・茨城『きたかんナビ』北関東を感じる観光情報サイト」において紹介されていることがうかがえる(甲4?甲5)。しかしながら、その数は、新聞1件、インターネット記事1件と少ないものである。また、「群馬 栃木 道の駅完全ガイド」(発行日:2019年6月25日)においては、「宇都宮ハムカツ」の文字は確認できるも(甲25?甲28)、請求人名称及び本願商標は確認することができない。 オ その他 請求人は、「宇都宮市リーディング企業支援事業」として認定されていることがうかがえる(甲29、甲30)。しかしながら、当該認定と、請求人商品の関連は不明である。 その他、請求人は、請求人商品に本願商標が使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができることを証する証拠の提出をしていない。 カ 小括 以上からすると、本願商標は、その指定商品「栃木県宇都宮地域で製造したハムカツ」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。 6 請求人の主張 請求人は、本願商標中の楕円形状について、もやっとしたグラデーション処理の内側にくっきりと濃い色の二重の楕円形状が組み合わさることで立体的な印象をも醸し出すことで、ありふれた楕円図形ではなく、特異性を有する旨主張する。 しかしながら、上記5のとおり、文字を楕円形状や様々な形状の線で囲むことは、食品を取り扱う業界において広く一般に行われている事実が認められることからすれば、本願商標中の楕円形状が高度な特異性を有するものとまではいえない。 また、請求人は、文字を楕円形状や様々な形状の線で囲むことが食品を取り扱う業界において広く一般に行われているのであれば、殊さら需要者・取引者は差異を把握するために注意を払い観察するから、それぞれの構成・態様に応じて需要者・取引者が受ける印象は大きく異なる旨主張する。 しかしながら、本願指定商品が属する食品は、日常的に消費される性質のものであり、広く一般の消費者を主たる需要者とするものである。こうした一般消費者は、商品の購入に際して、メーカー名や文字、図形の形状などについて常に注意深く確認するとは限らないと考えられる。さらに、請求人提出に係る本願商標の使用の状況(例えば、甲5、甲13、甲16、甲23)において、本願商標は、オレンジ色に近い茶色地を背景に表されていることも踏まえると、本願商標中の楕円形状は、その茶色地背景色と相まって、需要者に対して特段の印象を与えるとは認め難い。 7 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することはできない。 なお、原査定においては、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨認定、判断しており、当審の認定、判断とは相違する点はあるものの、本願商標の構成及び本願商標の指定商品に基づき、取引の実情等を総合勘案したときに、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないもの及び商品の品質、効能の誤認を生ずるおそれがあるものとする点を共通にするものであるから、原査定と当審の認定、判断との間に実質的な差異はない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本願商標:色彩については原本参照) 別掲2 令和2年12月16日付け審尋で示した食品を取り扱う業界において、文字を楕円形状等の線で囲むことが一般的に行われている事実 (1)「Mマート 業務用食材卸売市場」のウェブサイトにおいて、「JAS上級 あらびきポークウインナー 500g」の見出しの下、以下の画像が表示されている。 https://www.m-mart.co.jp/search/item.php?type=buybuys&no=number&id=kitamurafoods&num=60 (2)「業務スーパーNAVI」のウェブサイトにおいて、「業務スーパーのからあげ『和風鶏もも唐揚』を簡単アレンジ」の見出しの下、以下の画像が表示されている。 https://gyousu.love/fried-chicken/ (3)「日本食糧新聞電子版」のウェブサイトにおいて、「業務用加工食品ヒット賞給食・惣菜部門:ニチレイフーズ『こだわりのおいしさ完熟トマトのメンチカツ』」の見出しの下、以下の画像が表示されている。 https://news.nissyoku.co.jp/restaurant/hamada20150806115011029 (4)「mitok(ミトク)」のウェブサイトにおいて、「業務スーパー『たこ唐揚げ』のおすすめ度は? 気になる量や味をチェック」の見出しの下、以下の画像が表示されている。 https://mitok.info/?p=131250 (5)「DON online shop 楽天市場店」のウェブサイトにおいて、「【送料無料】理研ビタミン 三陸産わかめ唐揚げ (冷凍) 500g×10袋 業務用」の見出しの下、以下の画像が表示されている。 https://item.rakuten.co.jp/don-online01/90499/?gclid=CjwKCAiA-_L9BRBQEiwA-bm5fuI32rND4Mp8eqVMKKACnrCXre7J-GltDLqGaIc3hH5i5Vhzs81mEBoCAiMQAvD_BwE&scid=af_pc_etc&sc2id=af_113_0_10001868&icm_cid=1424180774&icm_acid=641-897-3033&gclid=CjwKCAiA-_L9BRBQEiwA-bm5fuI32rND4Mp8eqVMKKACnrCXre7J-GltDLqGaIc3hH5i5Vhzs81mEBoCAiMQAvD_BwE&icm_agid=56283020072 |
審理終結日 | 2021-03-26 |
結審通知日 | 2021-04-01 |
審決日 | 2021-04-13 |
出願番号 | 商願2018-125966(T2018-125966) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W29)
T 1 8・ 17- Z (W29) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 平野 美和 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
大森 友子 水落 洋 |
商標の称呼 | ウツノミヤハムカツメードインウツノミヤ、ウツノミヤハムカツ、メードインウツノミヤ |
代理人 | 藤掛 宗則 |