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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X35
管理番号 1375096 
審判番号 取消2019-300528 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-07-09 
確定日 2021-05-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第5458965号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5458965号商標(以下「本件商標」という。)は,「ふふふ」の文字を横書きしてなり,平成23年6月14日に登録出願,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同年12月22日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録は,令和元年7月26日である。
以下,本件審判の請求の登録前3年以内の期間(平成28年7月26日ないし令和元年7月25日)を「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は,その指定役務「第35類 飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について,継続して3年以上日本国内において,使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標と社会通念上同一と認められる商標の範囲について
被請求人は,使用証明期間内に使用商標1ないし5の5種の構成の標章を使用していると主張する。
本件商標は,ひらがな「ふ」を3つ横に併記した「ふふふ」の構成であるところ,その使用商標1,2は,本件商標の構成に対して活字体や筆記体に変更を加えた同一の文字からなる商標であるのに対して,その使用商標3ないし5は,「株」,「(株)」,「INC」を加えた構成となっている。
使用商標1,2は書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標に準じた変更といえようが,使用商標3ないし5はいずれも本件商標にはない,会社組織等を意味する「株式会社」の観念を生じさせるものであり,また称呼や外観における相違も大きいものがあるので,本件商標とは社会通念上同一とは認められない。
(2)被請求人は,本件商標の使用権者である株式会社ふふふ(以下「被請求人会社」という。)の会社登記簿(乙1)を使用証明に係る書証として提出しているが,会社登記簿は会社の実際の事業活動を証明するものではないので,失当である。
(3)小売等役務についての商標の使用について
乙第2号証(発行年月日は不明)は,被請求人会社が製造・販売する商品「最中味噌汁」(以下「被請求人商品」という。)に関する商品カタログと認められる。
しかし,それは,単に消費者に対する被請求人商品の広告,取引書類に使用商標1を付したにすぎず,小売役務に係る便益の提供に関する使用とはいえない。
乙第3号証は,被請求人会社のサイトと思われるが,被請求人商品の広告,説明,使用方法等の解説が記載されており,乙第2号証と同じく被請求人商品の広告,取引書類の情報に使用商標2を付して電磁的方法により提供するものにすぎない。
同サイトを利用しての販売に関する記載もあるが,消費者に対する商品製造メーカーのネット直販にすぎず,小売業務に伴う便益の提供行為はない。
乙第4号証は,本件商標の使用権者でもない第三者(乙4の1は「いなげや」, 同4の2は「新潟交通」,同4の3は「クロネコヤマト」)が作成し,第三者が業務を行うための商品ギフトカタログであり,被請求人商品がそのギフトの対象に含まれていることを示すにすぎない。被請求人会社の小売業務を証明するものではないことは明らかである。
被請求人は,乙第5号証は,被請求人会社が展示会,フェアにおいて小売役務を行っている事実を示すと主張する。
しかし,乙第5号証の1ないし3には使用商標1,2の表示がないうえ,仮に被請求人会社が,展示会や商品フェアにおいて,その製造する被請求人商品の展示即売会を行っていたとしても,それは小売等役務には該当しない。
商標審査基準によれば,小売等役務とは,小売又は卸売の業務において行われる総合的なサービス活動(商品の品揃え・陳列・接客サービス等といった最終的に商品の販売により収益を上げるもの)をいうものとされ,小売等役務には,小売業の消費者に対する商品の販売行為,卸売業の小売商人に対する商品の販売行為は含まれないものとされている。
したがって,自己製造商品の展示会等の臨時的な展示品コーナーにおける商品の販売行為があったとしても,小売等業務に該当しないので,乙第5号証は,本件商標の使用を証明するものとはいえない。
被請求人が使用証明として提出したカタログ(乙17),チラシ(乙9,乙11),インターネットの広告(乙15)等には,「株式会社ふふふは,『食品を通して,笑顔いっぱい!幸せいっぱい!!』を会社の大命題(テーマ)として製品づくりをしております。」,「弊社の製品」,「ふふふの製品ならではです。」(乙7),「ふふふの製品は,1つ1つていねいに手作りをしています。」(乙9,乙11),「最中味噌汁…は,…1つ1つ丁寧に心を込めて手づくりをしております。大量生産では表現できないほのぼのとした味わいは,株式会社ふふふの最中味噌汁…ならではです。」(乙15,乙23),「最中味噌汁『笑顔になれるお味噌汁』の製造・販売元【株式会社ふふふ】」(乙15),「ハートの最中味噌汁・ハートパスタの株式会社ふふふ食品・飲料会社」(乙16の1),「『ふふふ』は,株式会社ふふふのお米の登録商標です。」(乙16の2),「…『全国のお取り寄せ商品の特集』で弊社の『最中味噌汁』を,ご紹介いただくことになりました。」(乙19の3),「新潟県産米粉使用ふふふの『笑顔になれるパスタ』」(乙24)などと,個別の商品の出所を示す表示態様で被請求人に係る標章が付されているから,商品についての商標の使用であって,小売等役務についての商標の使用と認められるものではない。
また,被請求人が実店舗の陳列棚やその周囲に展示された案内板,ポスターに本件商標を使用した証拠として提出した実店舗と思しき写真のうち,乙第18号証の1の撮影日時2012年6月5日,乙第18号証の2の撮影日時2020年6月24日,乙第19号証の1の放送日時(2015年),乙第19号証の2のアップロード日時2020年6月2日は,いずれも要証期間を外れている。
さらに,被請求人は,第三者の問屋が主催する展示会イベント(2017年10月9日頃開催)で本件商標が表示されたポロシャツを着用して接客をした証拠として写真(乙20)を提出した。しかし,当該写真に係る展示会はそもそも小売ではなく,自社製品を展示するイベントにすぎない。その証拠に,当該展示会では,「ふふふの製品ならではです。」(乙7)などと個別の商品の出所を示す表示態様で「ふふふ」標章が付されたチラシも一緒に展示されている(乙5の2)。このように,上記展示会においても,明らかに商品の出所を示す態様で本件商標が表示されているから,これも小売等役務商標の使用証明とはならない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)被請求人による商標使用実態
被請求人は,自身が代表取締役を務める「株式会社ふふふ」(乙1)を通常使用権者として,本件審判の請求登録日(令和元年7月26日)前3年以前から現在に至るまで,日本国内において,継続して下記複数の使用商標を本件指定役務「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について並行して使用している(乙2?乙5)。

使用商標1:ふふふ
使用商標2:別掲
使用商標3:(株)ふふふ
使用商標4:株式会社ふふふ
使用商標5:FUFUFU INC.
(2)カタログ等の紙媒体を通じた小売等役務提供行為について
ア 乙第2号証のカタログの作成時期,頒布時期等について
(ア)乙第2号証のカタログは,その表面の右上に「1905」と記載されているとおり,2019年(令和元年)5月に作成したものであり,具体的には,被請求人が2019年4月6日に1000枚分を印刷会社「株式会社グラフィック」(乙6の1)に印刷を発注して作成したものである(乙6の2)。
(イ)また,乙第6号証の2及び乙第7号証に示すように,乙第2号証と同様のカタログは,乙第2号証のカタログ作成以前にも,1000枚ずつ,2回作成しており,作成した1000枚を頒布し終えるごとに,内容を更新しつつ次の印刷発注を行ってきたものである。
すなわち,2016年(平成28年)6月作成の乙第7号証の1のカタログは,2016年6月25日の「株式会社グラフィック」への印刷発注に基づき作成されたものであり,2017年(平成29年)11月作成の乙第7号証の2のカタログは,2017年10月23日の「株式会社グラフィック」への印刷発注に基づき作成されたものである(乙6)。
(ウ)これら乙第7号証及び乙第2号証のカタログは,本件商標の通常使用権者たる「株式会社ふふふ」(乙1)が後述する実店舗(乙19の1,2)やイベント(乙5)において展示又は手渡しによって頒布しているものであり,上述のように,頒布し終わるごとに内容を更新しながら作成してきたものである。
したがって,乙第7号証の1のカタログは,少なくとも2016年6月から乙第7号証の2のカタログを発注した2017年10月23日までの間に1000枚頒布されたものであり,乙第7号証の2のカタログは,少なくとも2017年11月から乙2のカタログを発注した2019年4月6日までの間に1000枚頒布されたものであり,乙第2号証のカタログは,具体的な頒布数は不明であるが,少なくとも2019年5月から本件審判の請求登録日(2019年7月26日)までの間に頒布していたものである。そして,乙第7号証及び乙第2号証のカタログの頒布は,いずれも要証期間内(2019年(令和元年)7月26日?2016年(平成28年)7月25日)における頒布である。
イ 乙第2号証のカタログによる本件商標の使用について
(ア)乙第2号証のカタログは本件通常使用権者が運営する実店舗(乙18の2)やイベントブースにおいて展示,頒布されているものであるから,乙第2号証のカタログによる本件商標(使用商標1,2,4,5)の使用行為は,「小売等役務に関する広告に標章を付して展示し,若しくは頒布する行為」であり,商標法第2条第3項第8号の規定に該当する行為である。
また,同様に,乙第7号証のカタログによる本件商標(使用商標1,2,4,5)の使用行為(乙5の1,2,4)も,商標法第2条第3項第8号に該当する行為である。
(イ)また,乙第2号証のカタログは,表紙の右下に,後述する本件通常使用権者のサイト(乙15)のURL「https://www.fufufunofu.com/」が記載されており,当該サイトで商品の詳細説明が見られると共に自社運営の通販サイト(乙3)にリンクするようになっている。よって,そもそも乙第2号証のカタログは,単なる「商品カタログ」ではなく,通販サイトにおける商品選択の便宜のための「通販用カタログ」でもある(乙8)。したがって,この点からも,乙第2号証のカタログによる本件商標の使用行為は商標法第2条第3項第8号の規定に該当する行為である。同様に,乙第7号証のカタログも「通販用カタログ」として機能するものであり,この場合においても,これらカタログによる本件商標を使用する行為は,商標法第2条第3項第8号の規定に該当する行為である。
ウ その他の紙媒体について
(ア)本件通常使用権者「株式会社ふふふ」は,上述した乙第7号証及び乙第2号証のカタログ以外にも,B5用紙に印刷された三つ折り可能なチラシ(乙9)を小売した商品と共に提供することによって,頒布している。
(イ)この三つ折りチラシ(乙9)は,本件通常使用権者が印刷会社「富士印刷株式会社」(乙10)に発注して作成させたものであり,要証期間に発注したものに限っても7000枚発注している(乙11:売上明細の20160924)?20190404までの受注数量参照)。
(ウ)そして,要証期間後も発注しているとおり(乙11:売上明細の20190802以降の明細参照),少なくとも,要証期間に発注した7000枚は頒布し終えたことは明らかである。
(エ)この乙第9号証のチラシも,乙第7号証及び乙第2号証のカタログと同様に,本件商標(使用商標1,2,4,5)を使用していると共に,本件商標の通常使用権者「株式会社ふふふ」運営の通販サイト(乙3)における商品選択の便宜のための宣伝広告物である。よって,乙第9号証のチラシによる本件商標の使用行為は,商標法第2条第3項第8号の規定に該当する行為である。
(3)ウェブサイト等の電子媒体を通じた小売等役務提供行為について
ア 乙第3号証のウェブサイトについて
(ア)乙第3号証のいずれにおいても,1頁には右上に「お買い物カゴを見る」とのリンクボタンがあり,2頁には左側に「お買い物ガイド」「送料・お支払いのご案内」「特定商取引法に基づく表記」等のリンクボタンがあり,最終頁には「送料について」「返品・交換について」「お支払方法について」等の説明があり,これらによって小売を行っている事実があることは明らかであり,同時に当該小売のために顧客に対する便益の提供を図っていることは明白である。
ウェブサイトヘの商品写真の掲載や商品説明の掲載は,「商品の広告」であるとの一面を持っているとしても,同時に,商品写真の掲載は「商品の品揃え」や「商品の陳列」であって小売等役務を構成するサービス活動であり,商品説明の掲載は「接客サービス」の一環であり,やはり小売等役務を構成するサービス活動である(乙8)。
(イ)そして,乙第3号証のサイトを通じて注文が入ると,乙第12号証の1,乙第13号証の1,乙第14号証の1に示すような本件商標(使用商標1)を表示した取引書類(注文確認メール)を注文者に送付し,乙第12号証の2,乙第13号証の2,乙第14号証の2に示すような本件商標(使用商標1)を表示した取引書類(納品書)と共に納品する。
(ウ)これら詰め合わせ商品が掲載されている通販用サイト(乙3)内のページを乙第23号証及び乙第24号証として提出し乙第12号証及び乙第13号証を補完する。
(エ)したがって,乙第3号証に示すサイトにおいて本件商標(使用商標1,2)を使用する行為は,正に「電磁的方法により行う映像面を介した小売等役務の提供に当たりその映像面に標章を表示する行為」であり,商標法第2条第3項第7号の規定に該当する行為である。また,取引書類(注文確認メール,納品書…乙12?乙14)に本件商標(使用商標1)を使用する行為は,「小売等役務に関する取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」であり,商標法第2条第3項第8号の規定に該当する行為である。
(オ)なお,請求人は,乙第3号証のサイトについて「同サイトを利用しての販売に関する記載もあるが,消費者に対する商品製造メーカーのネット直販にすぎず,小売業務に伴う便益の提供行為はない。」と主張するが,たとえば.「笑顔になれる新潟県産米4(フォー)」(乙3の4,乙16の2)という「精米」のように,本件通常使用権者が他者から仕入れた商品も販売している。本件通常使用権者は,自社商品をメインに他社商品も取り扱って品揃えを充実するというサービス活動を通じて小売等役務を提供しているのである。
イ 本件通常使用権者が運営する宣伝広告用電子媒体について
(ア)本件通常使用権者「株式会社ふふふ」は,上述した通販サイト(乙3:https://www.fufufunoippinkan.com/)ヘリンクする,以下の宣伝広告用の電子媒体を当該通販サイト(乙3)の開設当初より運営している。
〔電子媒体1〕
自社ウェブサイト「笑顔になれるお味噌汁ふふふ」(乙15)
URL:https://www.fufufunofu.com/index.htm
〔電子媒体2〕
SNSサイト「ハートの最中味噌汁・ハートパスタの株式会社ふふふ」(乙16)
URL:https://www.facebook.com/fufufusoup/ahout/?ref=page_internal
〔電子媒体3〕
SNSサイト「笑顔になれるぷちギフト」(乙17)
URL:https://www.facebook.com/fufufupetit/about/?ref=page_internal
(イ)よって,これら電子媒体1ないし3(乙15?乙17)は,通販サイト(乙3)における「商品選択の便宜」を図るサービス活動であって,通販用の広告ツールであり,これら電子媒体1ないし3(乙15?乙17)による本件商標(使用商標1,2,4)の使用は,商標法第2条第3項第8号の規定に該当する行為である。
(4)実店舗及び展示会等のイペントにおける小売等役務提供行為について
ア 実店舗について
(ア)本件通常使用権者は,本社(新潟県3条市)において,自身が製造した最中味噌汁等の飲食料品を小売する実店舗を運営し,陳列棚やその周囲に展示された案内板,ポスターに本件商標(使用商標2)を使用している(乙18)。
乙第18号証の1は2012年(平成24年)の実店舗の状態を示す書証であり,乙第18号証の2は2020年(令和2年)の実店舗の状態を示す書証であり,いずれも直接要証期間の状態を示していないが,本件通常使用権者は2012年から2020年,さらには現在まで継続して実店舗を運営しているものである。
当該行為は「小売等役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」であるから,商標法第2条第3項第3号の規定に該当する行為である。
なお,乙第2号証及び乙第7号証のカタログの展示については,乙第18の号証1では確認できないが,乙第7号証の1を作成した2016年以降,継続して,乙第18号証の2に示すように展示している。
(イ)また,上記実店舗の入り口には,使用商標2,4,5を用いた「看板」が掲げてある(乙19の1,2)。この看板(乙19)による本件商標(使用商標2,4,5)の使用は,「小売等役務に関する広告に標章を付して展示する行為」であり,商標法第2条第3項第8号に該当する行為である。
なお,乙第19号証の1は2015年(平成27年)当時に撮影された映像がテレビ山梨によって2020年4月23日に放映された時のキャプチャー画像であって(乙19の3),2015年の看板の状態を示す書証であり,乙第19号証の2は2020年(令和2年)の看板の状態を示す書証であり,いずれも要証期間の状態を示していないが,2015年から2020年,さらには現在まで継続して同じ看板を掲げているものである。この看板はL字形の二面構成となっており,乙第19号証の1では使用商標2を表示した面のみが確認でき,乙第19号証の2では当該使用商標2を表示した面と共に使用商標4,5を表示した面も確認できる。また,使用商標2を表示した面においては,営業中には「OPEN」と表示した板を取り付け(乙19の1),営業終了時には「OPEN」の板を外すと「本日の営業は終了いたしました。」との文字が現れるようになっている(乙19の2)。
(ウ)また,この実店舗や後述する展示会等のイベント(乙5)において,従業員は本件商標(使用商標2,5)が表示されたポロシャツ(制服)を着用して接客をする(乙20)。このポロシャツによる本件商標の使用は,「小売等役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」であり,商標法第2条第3項第3号に該当する行為である。
(エ)また,販売した商品は,本件商標(使用商標2)を表示した包装紙(役務提供を受ける者の利用に供する物)(乙21の1)で包んで顧客に手渡すのであり,この行為も商標法第2条第3項第3号に規定する行為である。なお,乙第21号証の1の包装紙も,本件通常使用権者が要証期間内に前述の富士印刷株式会社(乙10)に発注して作成させたものである(乙21の2)。
(オ)このように,本件通常使用権者は飲食料品の製造と小売を同一場所で行っているものであり,日本標準産業分類における「製造小売業」(乙22)に該当し,正に飲食料品を小売し当該小売の際に小売等役務を提供している。
イ 展示会等のイベントについて
(ア)被請求人は,最終的な販売行為の前段階の「商品の品揃え」「商品の陳列」「商品の説明,アドバイス等の接客サービス」等のサービス活動を顧客に対して行うことを小売等役務提供行為といっているのである。
むしろ,商品の販売行為を,商品の品揃え・陳列・接客サービスを行わずに実行すること自体が困難であり,商品の販売行為があれば,付随して小売等役務提供行為も行ったとみるのが自然である。
また,そもそもイベントに出展すること自体が実店舗や通販サイトにおける商品購入を促すための宣伝広告なのであるから,その実店舗又は通販サイトで小売等役務を提供していることをも併せて宣伝広告しているものである。
(イ)実際に,乙第5号証においては,案内板やポスター等の「小売等役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」に本件商標(使用商標1又は3)を使用しており,商標法第2条第3項第3号の規定に該当する行為を行っている。
(ウ)また,乙第5号証の1,2,4には,既述した乙第7号証のカタログが展示されているのが確認できる。この本件商標の使用行為は,既に説明したように,「小売等役務に関する広告に標章を付して展示し,若しくは頒布する行為」であり,商標法第2条第3項第8号の規定に該当する行為である。
(5)結論
以上の事実からすれば,日本国内において要証期間内に,本件通常使用権者たる「株式会社ふふふ」が本件商標を本件指定役務「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用していたものというべきである。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(1)株式会社ふふふに係る履歴事項全部証明書(乙1)には,会社成立の年月日の欄に「平成23年7月6日」,目的の欄に「1.食品の製造,卸売,販売及び輸出入」,役員に関する事項の欄に,住所を新潟県3条市北新保二丁目2番9号とする「取締役 韮澤拓」及び「代表取締役 韮澤拓」との各記載がある。
(2)2016年(平成28年)10月24日にウェイバックマシン(ウェイバックマシン(Wayback Machine)とは,アメリカの非営利団体インターネット・アーカイブが運用する,ある一時点でのウェブページの内容を保存するサービス)により保存された株式会社ふふふに係るウェブサイトにおいて,「ふふふ」(以下「本件使用商標」という。)のお味噌汁ギフトセット9個入り 3,800円(送料・税込み)」の見出しの下,「笑顔になれるお味噌汁ギフト9個入り(No.9P-591)」の記載とギフト商品の写真とともに多数の商品が掲載されている(乙23)。
(3)東京都目黒区在の顧客は,平成29年6月9日に,ふふふの逸品館(運営会社 株式会社ふふふ)に対し,[商品No]9P-591,[商品名]笑顔になれるお味噌汁ギフト9個入り(丸茶×5,丸白×4)3,800円を10個(38,000円),6月25日に使用予定としてメールで注文した(乙12の1)。そして,株式会社ふふふは,平成29年6月21日に,顧客(顧客はマスキングされている。)に対し,品番「9P-591」,品名「笑顔になれるお味噌汁9コ入ギフト」を10個(38,000円)納品したと推認し得る(乙12の2)。また,当該品番,数量,金額は,本件ウェブサイト(乙23)に掲載された「お味噌汁ギフトセット」の品番,数量,金額と一致するものである。
(4)2018年(平成30年)7月14日にウェイバックマシンにより保存された株式会社ふふふに係るウェブサイトにおいて,「ふふふ(本件使用商標)の星型パスタ50g5種×各2袋(計10袋)自家用お試しセット 2,900円(税込み)」の見出しの下,「星型パスタ50g入 自家用10個セット」の記載と自家用商品の写真とともに多数の商品が掲載されている(乙24)。
(5)宮城県の保育園は,平成30年8月13日に,ふふふの逸品館(運営会社 株式会社ふふふ)に対し,[商品名]星型パスタ50g5種×各2袋(計10袋)自家用お試しセット2,900円を1個メールで注文した(乙13の1)。そして,株式会社ふふふは,平成30年8月14日に,○○保育園(○○はマスキングされている。)に対し,品名「自家用星パスタ50g5種×各2個セット」を1個(2900円)納品したと推認し得る。また,当該品名,数量,金額は,本件ウェブサイト(乙24)に掲載された「星型パスタ50g5種×各2袋(計10袋)自家用お試しセット」の品名,数量,金額と一致するものである。
(6)そうすると,株式会社ふふふは,「ふふふ」(本件使用商標)を付した自己のウェブサイトで販売されている様々な商品の品揃えについて広告しており,平成28年10月24日には,「味噌汁」を小売等役務における取扱商品として,同30年7月14日には,「パスタ」を小売等役務における取扱商品としている旨の広告を行っていたということができる。
2 判断
(1)使用者について
上記1(1)によれば,本件商標権者と株式会社ふふふの代表取締役は同一人であるから,使用許諾を示す契約書等の提出はないとしても,本件商標権者は,株式会社ふふふに対して,本件商標の使用について,黙示の許諾を与えていたものと認められる。
したがって,株式会社ふふふは,本件商標の通常使用権者であると認めることができる。
(2)使用時期について
通常使用権者が自己のウェブサイトに取扱商品を掲載した平成28年10月24日及び同30年7月14日は,要証期間内である。
(3)使用役務について
被請求人の提出した証拠によれば,使用役務は「味噌汁の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」「パスタの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であると認められ,本件請求に係る指定役務は上記第2のとおり,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であり,「味噌汁の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」「パスタの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の範ちゅうに含まれるものである。
(4)本件商標と本件使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は,「ふふふ」の文字を横書きしてなるものであり,本件使用商標は,上記1(2)及び(4)のとおり「ふふふ」の文字を書してなるから,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(5)小括
上記(1)ないし(4)からすれば,本件通常使用権者は,要証期間に含まれる平成28年10月24日及び同30年7月14日に,日本国内において本件審判の請求に係る指定役務中に含まれる「味噌汁の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,パスタの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の広告を内容とする情報に,本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供したと認められる。
本件通常使用権者による上記行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が,本件審判の請求に係る指定役務に含まれる「味噌汁の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,パスタの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により取り消すことができない。
別掲 別掲 使用商標2


審理終結日 2021-03-30 
結審通知日 2021-04-02 
審決日 2021-04-13 
出願番号 商願2011-44723(T2011-44723) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X35)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 宮川 元平澤 芳行 
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 半田 正人
平澤 芳行
登録日 2011-12-22 
登録番号 商標登録第5458965号(T5458965) 
商標の称呼 フフフ 
代理人 生田 哲郎 
代理人 三田 大智 
代理人 高橋 隆二 
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