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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1374084 
異議申立番号 異議2020-900281 
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-06-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-29 
確定日 2021-05-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第6284272号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6284272号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6284272号商標(以下「本件商標」という。)は、「JAPAN EARTH」の欧文字を標準文字で表してなり、令和元年7月11日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同2年8月7日に登録査定、同月26日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第6214836号商標(以下「引用商標」という。)は、「MISS EARTH JAPAN」の欧文字を標準文字で表してなり、平成30年12月21日に登録出願され、第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、令和2年1月9日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)第4条第1項第11号について
ア 外観の同一性又は類似性
本件商標の外観は、「JAPAN EARTH」であるところ、引用商標の外観は、「EARTH JAPAN」である。両者の外観上の主たる構成要素は、地球規模での大会開催を想起させる「EARTH」という単語と、日本での開催を想起させる「JAPAN」であり、人の視覚を通じて脳に記憶される両者の外観は完全に同一である。なお、両単語の順番に違いがあるが、それらの違いは外観上、人に与えるイメージに影響を及ぼさない軽微な違いに過ぎない。
イ 呼称の同一性又は類似性
本件商標の呼称は、「ジャパンアース」であるところ、引用商標の呼称は、「アースジャパン」であり、人の聴覚を通じて脳に認知、識別、記憶される呼称は完全に同一である。なお、「ジャパン」と「アース」という単語の順序が違う点については、上記アで述べたとおりである。
ウ 観念の同一性又は類似性
本件商標は、女性を表彰・選考するコンテストに「EARTH」との語を冠することで、「地球規模での美人コンテストである」といった観念を想起させる。また、同様に女性を表彰・選考するコンテストに「JAPAN」との語を冠することで、「日本における同コンテストの開催であること」という観念を想起させる。
これに対し、引用商標は、本件商標と全く同様に、女性を表彰・選考するコンテストについて「EARTH」、「JAPAN」との語を冠することで、「地球規模での美人コンテスト」であり「日本における同コンテストの開催であること」という観念を想起させる。
すなわち、本件商標と引用商標とは、人の頭脳において想起される観念が完全に同一である。
なお、ここまで引用商標の「EARTH JAPAN」という要部に着目して検討してきたが、引用商標を「MISS EARTH JAPAN」として検討しても上記検討に異なることがないことを付言しておく。なぜならば、引用商標の前に付着している「MISS」という語は未婚女性を意味する一般名詞にすぎず、取引者や需要者に対して、商品及び役務の出所識別標識として強く支配的、決定的に印象を与えている部分は「EARTH」の部分であり、「MISS」との語の有無は、上記の「外観」「呼称」「観念」に関する検討の結論に影響を及ぼさないからである。
エ 指定役務について
本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は同一又は類似の役務である。
オ 小括
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
(2)第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知・著名性
「MISS EARTH JAPAN」は日本において著名な「美人コンテスト」の1つであり、申立人はその主催者である。引用商標は当該コンテストの名称を商標としたものであり、以下のような経緯で長年使用され、現在に至っている。
甲第3号証に示すとおり、2001年に、フィリピンの団体が地球環境問題を訴えるミスコンテストとして、国際的なミスコンテスト「MISS EARTH」を開始し、その第1回の大会に、日本代表「MISS EARTH JAPAN」が参加している。
甲第4号証ないし第13号証が示すとおり、2011年以降、申立人が上記フィリピンの団体と契約し、「MISS EARTH」に出場する日本代表を選考するイベントとして、「MISS EARTH JAPAN」を毎年開催している。2020年9月16日に、申立人が開催した「2020 MISS EARTH JAPAN」は、甲第14号証及び第15号証が示すとおり、国内のスポーツ紙やウェブサイトで広く報道された。また、「MISS EARTH」は世界四大ミスコンテストのひとつとして、国内外ともに高く認知されている。
引用商標の使用期間は、2011年から現在に至る長期間であり、その使用地域は日本全域に及ぶ。
また、「MISS EARTH JAPAN」の名称を使用する「美人コンテスト」は他に存在しない。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度
上記(1)アないしウのとおり、本件商標と引用商標は、外観、呼称及び観念を共通にする類似の商標である。
ウ 引用商標の独創性の程度
「MISS EARTH JAPAN」は、これを構成する各語は一般的な言葉であるが、日本において歴史のある著名な「美人コンテスト」の名称として長年独占的に継続して使用されており、他の商品及び役務に関しても「MISS EARTH JAPAN」の文字を申立人以外に使用する者は存在しない。
エ 役務の関連性
本件商標の指定役務は、引用商標の役務と類似することは上記(1)エのとおりである。
オ 出所の混同のおそれについて
以上のとおり、引用商標は、本件商標の登録査定時には、我が国において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者及び取引者の間に広く認識されていたものである。また、本件商標と引用商標とは類似するものである。そして、申立人の業務と本件商標の指定役務の関連性は高いものである。
そうすると、本件商標権者が、本件商標をその指定役務に使用した場合、これに接する需要者、取引者は、引用商標を連想又は想起し、その役務が申立人あるいは申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者、申立人から何らかの許諾を受けている者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混乱を生ずるおそれがあるというべきである。
現に、甲第16号証が示すとおり、本件商標権者は、過去に本件商標権者が主催する本件商標の美人コンテストを広告宣伝するにあたり、申立人が主催する引用商標の美人コンテストの写真を無断でSNSサイトに掲載し、また引用商標の呼称「ミスアースジャパン」、「ミスアース」及び「アースジャパン」の文字を無断で当該サイトに記載した。甲第16号証の1に掲載されている写真は、甲第17号証が示す、ウェブサイトに掲載されている申立人が主催するイベントの写真を転用したものである。また、甲第16号証の2に掲載されている写真は、甲第9号証が示す、申立人が撮影し掲載した写真と同一である。甲第16号証の3ないし4については、いずれも申立人が主催するイベントの写真である。本件商標の役務の出所を、あたかも申立人であるかのように装うことを意図した行為であることは明白である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
(3)むすび
上記のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)フィリピンの団体「キャロセル・プロダクション」が地球環境問題を訴えるミスコンテストとして、2001年(平成13年)より、国際的なミスコンテスト「MISS EARTH」を開始し、その第1回の大会に、日本代表が参加している(甲3)。
(イ)申立人は、上記「MISS EARTH」に出場する日本代表を選考するイベントとして、2011年(平成23年)以降、「MISS EARTH JAPAN」を毎年開催している(甲4?甲13)。
(ウ)2020年(令和2年)9月16日に申立人が開催した「2020 MISS EARTH JAPAN」は、同日、同月17日及び同月23日付けで、国内のスポーツ紙やウェブサイトで報道された(甲14、甲15)。
イ 上記アの事実からは、申立人が、日本における、「MISS EARTH JAPAN」という「美人コンテスト」を、2011年(平成23年)以降、毎年開催している事実はうかがえるものの、申立人による引用商標の使用の量的な規模や、広告宣伝の方法、回数及び内容等の実績については、主張も立証もされておらず、確認することができない。
また、2020年(令和2年)の同コンテストに係る報道は、本件商標の登録査定後のものであるから、本件商標の登録出願時ないし登録査定時における引用商標の周知性を立証するものとみることはできない。
そうすると、申立人提出の甲各号証からは、引用商標が、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものということができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、「JAPAN EARTH」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は同書、同大で外観上まとまりよく一体的に表されてなるものである。また、その構成中「JAPAN」の文字は、「日本」等を意味し、「EARTH」の文字は「地球」等(出典:いずれも「大修館書店ジーニアス第5版」)を意味するいずれも親しまれた英単語であり、これより生ずると認められる「ジャパンアース」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体が一体不可分のものであって、「ジャパンアース」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標は、「MISS EARTH JAPAN」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は同書、同大で外観上まとまりよく一体的に表されてなるものである。また、その構成中「MISS」の文字は、「打ち損なう。捕らえ損なう。」又は「(1)[独身女性の姓・姓名の前で]・・さん。(2)[地名・国名などにつけて;ビューティーコンテストの優勝者を表して]ミス・・」を、「EARTH」の文字は、「地球」等を、「JAPAN」の文字は、「日本」等(出典:いずれも、同上)を意味するいずれも親しまれた英単語であり、これより生ずると認められる「ミスアースジャパン」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
したがって、引用商標は、その構成文字全体が一体不可分のものであって、「ミスアースジャパン」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否について検討すると、外観においては、両商標は、その構成文字において、「JAPAN」及び「EARTH」の文字を共通にするものの、その語順が逆であり、また、引用商標には語頭に「MISS」の文字があるという差異により、外観上明確に区別することができる。
そして、称呼においては、本件商標から生じる「ジャパンアース」の称呼と引用商標から生じる「ミスアースジャパン」の称呼とは、「ジャパン」と「アース」の音の語順が逆であり、語頭における「ミス」の音の有無という相違により、全体として明らかに異なるから、称呼上相紛れるおそれはない。
また、観念においては、両商標から特定の観念を生じないから、観念上比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができず、外観及び称呼において、明確に相違するものであるから、これらを総合的に勘案すれば、本件商標と引用商標とは、非類似の商標というべきである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について言及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものということはできないものであり、また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、観念において比較できず、称呼及び外観において相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者に引用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものではなく、その登録は同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
異議決定日 2021-04-22 
出願番号 商願2019-95789(T2019-95789) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W41)
T 1 651・ 263- Y (W41)
T 1 651・ 261- Y (W41)
T 1 651・ 262- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小林 智晴 
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 板谷 玲子
綾 郁奈子
登録日 2020-08-26 
登録番号 商標登録第6284272号(T6284272) 
権利者 株式会社RICHESSE
商標の称呼 ジャパンアース、アース 

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