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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20204429 審決 商標
不服20208228 審決 商標
不服202013856 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W41
管理番号 1374053 
審判番号 不服2020-5187 
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-16 
確定日 2021-05-06 
事件の表示 商願2018-154205拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「コンサルティング研修」の文字を標準文字で表してなり、第35類及び第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務とし、平成30年12月17日に登録出願されたものである。その後、指定役務については、原審における令和元年7月24日受付の手続補正書によって、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,通訳,翻訳」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『コンサルティング研修』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『コンサルティング』の文字は、『相談に乗ること。専門的助言。コンサルタント業。』の意味を有することから(出典:自由国民社「現代用語の基礎知識2019」)、本願商標は、その構成全体として『コンサルタント業になるための研修』といった意味合いを認識させるものである。そうすると、本願商標をこの商標登録出願に係る指定役務中、第41類『知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催』に使用しても、これに接する需要者は、『コンサルタント業になるための知識の教授を内容とする研修』であること、『コンサルタント業になるための研修を内容とするセミナーの企画・運営又は開催』といった程度の意味合いを認識するにとどまり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができないと言うのが自然である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審おける証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、令和2年11月4日付け証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 職権証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、前記3の通知に対して、令和2年12月15日受付けの意見書において、要旨以下のとおり意見を述べた。
(1)本願商標が意味する「コンサルティング研修」とは、「コンサルティング手法を用いた研修」のことであり、具体的には、「分析セッション」として「策定した実践テーマの中間チェックを1人当たり60分?90分をかけ実施」するものであると共に、「評価セッション」として「取り組んだ実践テーマの成果発表・分析・検討と相互評価を1人当たり60分?90分をかけ実施」するものであり、夫々において、「適宜、担当講師よりスポット講義と個別コンサルティング指導を実施する」という構成になっている。証拠調べ通知で示された事例は、いずれも、本願商標が意味する「コンサルティング手法を用いた研修」と同一の意味内容として使用されているものではない。また、いずれも「コンサルティング研修」の意味内容を一義的に示す使用例はなく、かつ、GoogleやYahooの検索で上位にヒットするものではない。
(2)本来、「コンサルティング」の概念と「研修」の概念とは、関連性のない別個の概念であり、相互に結合可能性のない語である。したがって、「コンサルティング研修」の語は一種の造語である。さらに、請求人は本願商標を、1988年の会社設立以来継続して、ウェブ広告等において積極的に使用してきている。よって、証拠調べ通知書において示された15件の例との対比においても、本願商標は、商標法第3条第1項第6号には該当しない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「コンサルティング研修」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「コンサルティング」の文字は「専門的な事柄について、相談に乗ったり指導したりすること。」を、「研修」の文字は「学問や技芸などをみがきおさめること。」(出典:いずれも株式会社岩波書店「広辞苑第七版」)を意味する語である。
そして、例えば、「年間、ホテルに100泊以上宿泊するホテルの達人である日本サービスマナー協会理事長直接のホテルスタッフを対象とした接客サービスコンサルティング研修です。/事前に貴ホテルに宿泊させていただき、サービスレベルの調査や、事前調査による評価の事実に基づいて、貴ホテルの接客サービスの改善点を中心としてオリジナルオーダーコンサルティング研修をおこないます。」(別掲の1.)や「〈商品コンサルティング研修〉・・・コンサルティングを行うために必要な『心構え』を理解し、基本的な進め方とスキルを習得します。」(別掲の14.)のように、特定の知識を有する者がコンサルティングをする(専門的な助言をする)研修や、コンサルティングをする(専門的な助言をする)ためのスキルを習得する研修などにおいて「コンサルティング研修」の文字が一般的に使用されている実情を考慮すると、本願商標全体からは、「コンサルティング手法を用いた研修(専門的助言をする研修)」又は「コンサルティングを行うための研修(専門的助言ができるようになるための研修)」の意味を理解させるものというのが相当である。
そうすると、標準文字からなる本願商標を、第41類「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」に使用した場合には、これに接する需要者、取引者は、「コンサルティング手法を用いた(専門的助言をする)研修を内容とする知識の教授」や「コンサルティングを行うための(専門的助言ができるようになるための)研修を内容とする知識の教授」、又は、「コンサルティング手法を用いた研修(専門的助言をする研修)を内容とするセミナーの企画・運営又は開催」や「コンサルティングを行うための研修(専門的助言ができるようになるための研修)を内容とするセミナーの企画・運営又は開催」程の意味合いを認識するにとどまると判断するのが相当である。
してみれば、「コンサルティング研修」の文字からなる本願商標を、上記指定役務について使用しても、前記意味合いを表したものと理解させるにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と認められる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、1988年の会社設立以来、「コンサルティング研修」の語を、「経営診断、マネジメントに関するアドバイス等の教育を行うにあたって、コンサルティング手法を使用しながら研修を行う。」という意味で継続して使用しており、「企業向け研修事業」を事業内容とする業界において、かかる意味合いでの「コンサルティング研修」の語の使用は、請求人以外にないのであるから、本願商標は、何人かの業務に係るものであるかを認識できないものとは考えられず、本願商標を指定役務「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」に使用した場合には、商標として自他役務識別力を発揮し、商標法第3条第1項第6号には該当しない旨主張している。
しかしながら、請求人が、本願商標を特定分野の事業において、上記の意味で使用しているとしても、本願商標が自他役務の識別力を発揮するか否かは、本願商標に係る指定役務において、これに接する需要者、取引者がどのように認識するかによって判断すべきものであるところ、前記(1)のとおり、企業向け研修事業に限られない、指定役務「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」において、本願商標からは、「コンサルティング手法を用いた研修(専門的助言をする研修)」又は「コンサルティングを行うための研修(専門的助言ができるようになるための研修)」の意味を理解させるものというのが相当である。
そして、当該指定役務との関係において、別掲のとおり「コンサルティング研修」の語は、請求人以外に、上記で認定した意味合いで一般的に使用されていることに照らすと、本願商標は、指定役務「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」について特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
イ 請求人は、「コンサルティング」や「研修」の語を含む過去の登録例を挙げて、「コンサルティング」の語及び「研修」の語がよく知られた語であるとしても、それらが結合した語である本願商標においても、指定役務との関係では造語として自他役務識別力があるものと判断されるべきである旨主張している。
しかしながら、請求人の挙げる登録例は、商標の具体的構成において本願商標とは事案を異にするものであり、それらの登録例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは適切とはいえない上、商標が自他役務識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定役務の取引者、需要者の認識を基準に個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当することは上記のとおりであって、請求人の挙げる登録例の存在によって、その判断は左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲 職権証拠調べ通知で示した事実
「コンサルティング研修」の文字が、「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」の分野において、「コンサルティング手法を用いた研修」又は「コンサルティングを行うための研修」の意味合いで使用されている例。

1.「NPO法人日本サービスマナー協会」のウェブサイトにおいて、「ホテル宿泊の達人によるホテルスタッフ対象接客サービスコンサルティング研修」の見出しの下、「年間、ホテルに100泊以上宿泊するホテルの達人である日本サービスマナー協会理事長直接のホテルスタッフを対象とした接客サービスコンサルティング研修です。/事前に貴ホテルに宿泊させていただき、サービスレベルの調査や、事前調査による評価の事実に基づいて、貴ホテルの接客サービスの改善点を中心としてオリジナルオーダーコンサルティング研修をおこないます。」の記載がある。
(https://www.japan-service.org/training/hotel/)

2.「株式会社日本能率協会コンサルティング」のウェブサイトにおいて、「JMAC WEBトレーニング『Jwebトレ』サービスを開始。オンラインで研修を受けられます。」の見出しの下、「2020年3月11日」として、JMACの研修の特徴は、コンサルティングの現場で経験と知見を積んだ現役のコンサルタントが研修実施の背景・課題やゴール感をヒアリングしながら、お客さまの業務・業態・業界にマッチした研修企画を提示することです。/この特徴をそのまま生かし、JMACのリモート研修サービスにおいても、お客さまのネット環境、ニーズに対応しながら、最適なWEBトレーニングを組み立てます。/パッケージ型ではないからこその双方向型コミュニケーションを主軸に置いたコンサルティング研修の醍醐味をリモートで提供します。」の記載がある。
(https://www.jmac.co.jp/news/news/jmac_web.html)

3.「株式会社けんこう総研」のウェブサイトにおいて、「期待の新入社員を辞めさせない新人研修のコツ/コンサルティング研修」の見出しの下、「今日の職場のストレス対策/その研修本当に必要ですか?/問題となる原因を分析してどのような研修が適切か見極めましょう。」の記載がある。
(https://www.kenkou-souken.co.jp/kenkouleader/colum180404.html)

4.「塚越グローバルコンサルティング」のウェブサイトにおいて、「研修・セミナー/目的別研修」の見出しの下、「ライフコンサルティング研修」の記載がある。
(http://www.t-g-c.co.jp/kennsyuu)

5.「e-JINZAI for finance」のウェブサイトにおいて、「事業承継コンサルティング」の見出しの下、「事業承継コンサルティング研修 一覧/相続法 ファミリービジネス総論 ファミリービジネス研究 後継者育成 事業承継実務の手法 節税対策」の記載がある。
(https://www.mw-ejinzai.com/webseminar/financial_practice/business_succession/)

6.「宮城県」のウェブサイトにおいて、「2020年3月3日更新」として、「農政部/農政部関係記者発表資料」の項目に、「【!開催中止!】栽培コンサルティング技術高度化セミナー 講演会・成果報告会」の見出しの下、「【成果報告1】/『いちご栽培におけるコンサルティング研修の実施状況と成果について』」の記載がある。
(https://www.pref.miyagi.jp/site/nosei/stage-up-houkokukai.html)

7.「田中消化器科クリニック」のウェブサイトにおいて、「医療接遇コンサルティング研修」の見出しの下、「10月31日(木)にラ・ポール株式会社 福岡かつよ様による医療接遇コンサルティング研修が行われました。今回はスタッフ全員を対象にティーチング、コーチングについて教えて頂きました。」の記載がある。
(https://www.tanaka-cl.or.jp/hospital-activity/kennsyuu1101/)

8.「有限会社グレイズ」のウェブサイトにおいて、「ブランディング導入1日コンサルティング研修」の見出しの下、「この『ブランディング導入コンサルティング研修1日入門編(4時間)』は、貴社にブランディングを導入し活用するためのきっかけをつくる講義・ワーク・ディスカッションの場となります。本格的なブラディングを取り入れることで、企業の価値向上、広告・販促の成果アップなど大きなメリットとなっていくことでしょう。」の記載がある。
(http://ozawaayumu.com/bc1day/)

9.「株式会社GRiP’S」のウェブサイトにおいて、「研修・教育制度/全新入社員」の見出しの下、「コンサルティング研修/コンサルティングの基礎/ショップにて接客スキルを学ぶ」の記載がある。
(https://grip-s.co.jp/recruit/training/)

10.「ミルラーニングメディア株式会社」のウェブサイトにおいて、「考課者訓練とSE/CEコンサルティング研修について」の見出しの下、「2015.2.24」として、「お客様の問題解決ができる営業マインドをもったコンサルティングSE/CEの育成がIT企業に求められています。技術者のコンサルティング能力や営業能力とは?」の記載がある。
(https://mirulm.co.jp/%E8%80%83%E8%AA%B2%E8%80%85%E8%A8%93%E7%B7%B4%E3%81%A8sece%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%A0%94%E4%BF%AE%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/)

11.「Vision Consulting」のウェブサイトにおいて、「研修・キャリア制度」の見出しの下、「1.コンサルティング研修/プロジェクト先で即使える研修を定期的に開催/コミュニケーション能力 マネジメント能力 プレゼン能力 セルフブランディング AsIs-ToBe分析 ロジカルシンキング デザインシンキング 資料作成能力 業界別知識など」の記載がある。
(https://visioncon.co.jp/recruit/training/)

12.「パテント2016 Vol.69 No.8」中の、「知財経営コンサルティング委員会の経営支援」の記事中、第24頁に「模擬コンサルティング研修 2日目(研修第5回)/・課題の見直し・課題の解決策の検討・解決策の提案(その1)・修正検討・解決策の提案(その2)・解説/本研修では,できるだけ実践的に学べること,少しでも受講者が自身の課題に気付いて修正し,レベルアップを図れることに重きを置いた。そのため,1回の提案で終わるのではなく,それに対してコメントをし,修正案を検討して,再度の提案を行う流れとしている。実りある研修とするためにはメイン講師の力量も問われるため,慎重に人選を行った。」、「原稿受領2016.5.9」の記載がある。
(https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/201606/jpaapatent201606_018-027.pdf)

13.「展示会営業(R)売上アップ実践会」((R)は欧文字Rを円で囲んだものである。以下同じ。)のウェブサイトにおいて、「展示会営業(R)コンサルティング研修」の見出しの下、「展示会出展をきっかけとして、自社の価値をダイレクトに伝え、受注に直結させるプロセスを構築するためのコンサルティング研修です。」の記載がある。
(https://tenjikaieigyo.com/tenzi-con/)

14.「徳島トヨタ」のウェブサイトにおいて、「メーカー研修」の見出しの下、「〈商品コンサルティング研修〉/営業1?3年次を目安に、トヨタ日進研修センターで行われます。コンサルティングを行うために必要な『心構え』を理解し、基本的な進め方とスキルを習得します。様々なお客様に合わせた対応ができるようになることが目的です。」の記載がある。
(https://www.t-tokushima.jp/recruit/training)

15.「Recurrent」のウェブサイトにおいて、「部下育成のためのキャリアコンサルティング研修【上司・人事向け】」の見出しの下、「部下の自律的なキャリア形成を支援し、個人と組織の成長を目指す/本研修では、部下のキャリア形成に関する適切な助言や指導に役立つキャリアコンサルティングの知識や手法を身につけます。/コンサルティングやカウンセリングの実践スキルを短時間で定着させるために、受講生同士でのロールプレイングを行います。/実際の場面を想定しながら繰り返し演習することで、すぐに実践できるノウハウが会得できます。」及び「部下育成のためのキャリアコンサルティング研修とは?」の項に、「キャリアコンサルティング研修とは、キャリアに関する相談を行うために必要な知識や手法を学び、実践することで個々のパフォーマンスを向上させることを目的とした研修です。」などの記載がある。
(https://www.recurrent.jp/listings/development-interview-career)


審理終結日 2021-02-25 
結審通知日 2021-02-26 
審決日 2021-03-18 
出願番号 商願2018-154205(T2018-154205) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 板谷 玲子
綾 郁奈子
商標の称呼 コンサルティングケンシュー 
代理人 木村 高明 

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