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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W29
審判 一部申立て  登録を維持 W29
審判 一部申立て  登録を維持 W29
管理番号 1372947 
異議申立番号 異議2020-900285 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-30 
確定日 2021-04-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第6280839号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6280839号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6280839号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおり,「ARCH」及び「CAFE & BAR」の欧文字を二段に横書きしてなり,令和2年2月27日に登録出願,第29類「食用油脂,乳製品,ヨーグルト,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,野菜サラダ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,スープ,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」を指定商品として,同年7月3日に登録査定,同年8月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1437301号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおり,「AACHI」の欧文字を横書きしてなり,2017年(平成29年)5月8日に国際商標登録出願,第29類「Meat, fish, poultry and game, meat extracts, preserved, frozen, dried and cooked fruits and vegetables, jellies, jams, compotes, eggs, milk and milk products, edible oils and fats.」,第30類「Coffee, tea, cocoa and artificial coffee, rice, tapioca and sago, flour and preparations made from cereals, bread, pastry and confectionery, ices, sugar, honey, treacle, yeast, baking- powder salt, mustard, vinegar, sauces (condiments), spices, ice.」及び第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,令和2年2月21日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,その指定商品中,第29類「食用油脂,乳製品,ヨーグルト,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,野菜サラダ,豆」(以下「申立てに係る指定商品」という。)については,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により,取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 本件商標の構成
本件商標は,「ARCH」及び「CAFE & BAR」の文字を二段に配してなる商標であり,「ARCH」の文字を大きく,「CAFE & BAR」の文字を「ARCH」の文字の4分の1程度の大きさで,小さく書してなる商標である。
2 引用商標の構成
引用商標は,「AACHI」の文字からなる商標である。
3 本件商標と引用商標との対比
本件商標は,「ARCH」の文字部分は「CAFE & BAR」の文字の4倍程の大きさで顕著に大きく表してなる外観上の特徴を有しており,「ARCH」の文字が視覚的に分離して認識されるとみるのが相当である。さらに,「CAFE & BAR」の文字は,「カフェとバー」という意味合いであり,飲食物の提供を行う店舗においては,店内での飲食物の提供だけでなく,持ち帰りのための飲食物の提供や食品の販売も行うことが少なくないことから,本件商標の指定商品との関係においては「カフェ・バーで提供される商品であること」など商品の品質を表示するものと認識されるものとみるのが相当である。したがって,「CAFE & BAR」の文字は,自他商品の識別標識としての機能がないか,極めて弱いものである。そして,「ARCH」の文字と常に一体不可分のものとして認識されなければならない特段の事情も認められない。
そうすれば,簡易迅速を尊ぶ商取引において,これに接する需要者,取引者は,顕著に表された「ARCH」の文字部分に着目し,該文字部分をもって取引に当たるとみるのが相当であるから,該文字部分から「アーチ」の称呼を生じるものである。
一方,引用商標は「AACHI」の文字よりなり,当該文字から「アーチ」の称呼を生じるものであり,本件商標と引用商標は「アーチ」の称呼を共通にするものである。また,引用商標の称呼を「アアチ」と表記される場合があるとしても,「アーチ」と「アアチ」の差異は表記上の差異にすぎず,「アアチ」と「アーチ」は称呼上同一であるというのが相当であり,聴別することが困難なほどに極めて近似するものである。
さらに,本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品は,いずれも飲食料品を中心とするものであり,主たる需要者層を一般消費者とする点で共通し,かかる一般消費者が通常有する注意力は高いとはいえない。
加えて,外観においては,本件商標も引用商標もいずれも欧文字からなる商標であり大きく相違するとはいえない。また,観念についても比較することができず相違するといえない。したがって,外観及び観念において差異があるとしても,当該差異は称呼の共通性を凌駕するものではない。
したがって,本件商標は,引用商標と称呼が共通の極めて類似する商標であり,その出所について誤認混同を生ずるおそれがある商標である。
4 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との対比
申立てに係る指定商品中,第29類「食用油脂」は,引用商標の指定商品中,第29類「edible oils and fats」(食用油脂)と同一であり,「乳製品,ヨーグルト」は「milk and milk products」(牛乳及び乳製品)と同一であり,「食肉」及び「食用魚介類(生きているものを除く。)」は「Meat, fish, poultry and game」(食肉,魚,家禽肉及び食用鳥獣肉)と同一であり,「卵」は「eggs」(卵)と同一である。
また,「冷凍野菜,冷凍果実」,「加工野菜及び加工果実」及び「野菜サラダ」は,第29類「preserved, frozen, dried and cooked fruits and vegetables」(保存処理・冷凍処理・乾燥処理及び調理をした果実及び野菜),「jellies, jams, compotes」(ゼリー,ジャム,コンポート)と同一又は類似の商品であり,「肉製品,加工水産物」は,「meat extracts」(肉エキス)と同一又は類似の商品である。
さらに,第29類「豆」は,引用商標の指定商品中,第30類「rice」(米)に類似する。
5 結論
以上より,本件商標と引用商標とは,称呼が共通の類似する商標であって,かつ,本件商標の指定商品中,申立てに係る指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似であるから,本件商標は申立てに係る指定商品について商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,上段に大きく表された「ARCH」の欧文字と,下段に小さく表された「CAFE & BAR」の欧文字からなるところ,「ARCH」の文字は「アーチ(弓形)」を,「CAFE」の文字は「カフェ」を,「BAR」の文字は「バー」を意味する英語(いずれも「プログレッシブ英和中辞典(第4版)」)である。
そして,本件商標の構成中「ARCH」の文字部分は,「CAFE & BAR」の文字部分と比較して大きく顕著に表示され,視覚上分離され,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められることから,独立して自他商品の出所識別機能を果たし得る部分ということができる(以下「ARCH」部分という。)。
そうすると,本件商標は,全体の構成文字に相応して生じる「アーチカフェアンドバー」の称呼に加え,「ARCH」部分に相応して「アーチ」の称呼をも生じるものであり,また,独立して自他商品の出所識別機能を果たし得る「ARCH」部分から「アーチ(弓形)」の観念が生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は,別掲2のとおり,「AACHI」の欧文字を横書きしてなるところ,当該文字は,一般的な辞書等には載録がなく,特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから,一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して,ローマ字読みの「アアチ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標は,それぞれ上記(1),(2)の構成からなるところ,外観においては,商標全体の構成文字やその配置が明らかに異なるものであり,また,「ARCH」部分と引用商標を比較した場合でも,4文字と5文字という少ない文字数である上,語頭の1文字目及び2文字目については,本件商標が「AR」と全く異なる文字が続くのに対し,引用商標が「AA」と同じ文字が連続するという差異や,語尾の「I」の文字の有無という差異により,看者に与える印象が大きく異なるものであって,両商標は判然と区別できるものである。
また,称呼においては,本件商標からは,全体の構成文字から「アーチカフェアンドバー」,「ARCH」部分から「アーチ」の称呼が生じるのに対し,引用商標からは,「アアチ」の称呼が生じる。
そうすると,「ARCH」部分と引用商標とを比較した場合には「アーチ」及び「アアチ」の称呼において類似する場合があるとしても,商標全体を比較すれば「アーチカフェアンドバー」の称呼と「アアチ」の称呼は明瞭に聴別できるものである。
さらに,観念においては,本件商標中,「ARCH」の文字部分から「アーチ(弓形)」の観念を生じるのに対し,引用商標は特定の観念を生じないから,両商標の観念は,相紛れるおそれはないものである。
してみれば,本件商標と引用商標は,商標全体及び「ARCH」部分の外観において判然と区別でき,また,全体の構成文字から生じる称呼においても明瞭に聴別でき,かつ,観念において相紛れるおそれはないものであるから,部分的な対比において「アーチ」と「アアチ」の称呼が類似する場合があるとしても,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,互いに別異の印象を与えるもので,両商標を同一又は類似の商品に使用した場合において,商品の出所について誤認混同を生ずるおそれはないというべきであって,本件商標と引用商標は非類似の商標とみるのが相当である。
(4)申立人の主張について
申立人は,本件商標に係る指定商品及び引用商標に係る指定商品は,いずれも飲食料品を中心とするものであり,かかる商品の需要者層たる一般消費者が通常有する注意力は高いとはいえないことを理由として,本件商標はその出所について誤認混同を生ずるおそれがある商標である旨主張している。
しかしながら,本件商標と引用商標は,称呼が類似する場合があるとしても,上記のとおり,外観において大きく相違し,観念においても紛れるおそれはないものであるから,両商標が使用される指定商品の分野における需要者の通常有する注意力を基準として考慮しても,本件商標と引用商標とを誤認混同することは考え難いというべきであり,この点に関する申立人の主張は採用することができない。
(5)小括
上記(1)ないし(4)のとおり,本件商標は,引用商標と非類似の商標であるから,その指定商品中,申立てに係る指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似であるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 むすび
以上のとおり,本件商標は,申立てに係る指定商品について,商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく,その登録は同条第1項の規定に違反してなされたものとはいえないものであり,他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標)


異議決定日 2021-04-06 
出願番号 商願2020-21104(T2020-21104) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (W29)
T 1 652・ 263- Y (W29)
T 1 652・ 261- Y (W29)
最終処分 維持  
前審関与審査官 斉藤 康平松浦 裕紀子 
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 佐藤 松江
鈴木 雅也
登録日 2020-08-14 
登録番号 商標登録第6280839号(T6280839) 
権利者 森ビル株式会社
商標の称呼 アーチカフェアンドバー、アーチカフェバー、アーチ、カフェアンドバー、カフェバー 
代理人 一色国際特許業務法人 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 

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