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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1372929 
異議申立番号 異議2020-900174 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-07-17 
確定日 2021-03-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第6247563号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6247563号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6247563商標(以下「本件商標」という。)は、別掲の
とおりの構成からなり、令和元年6月6日に登録出願、第41類「技芸・ス
ポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,スポーツの興行の
企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽
の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関
するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の
提供」を指定役務として、同2年4月7日に登録査定、同月22日に設定登
録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての
理由のうち、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該
当するとして引用する商標は、「氣功経絡体操の会」の文字からなる商標(
以下「引用商標」という。)であり、現在、申立人が会長である「氣功経絡
体操の会」(以下、団体の名称として用いるときは「本件社団」という。)の業務に係る役務「氣功経絡体操と称する体操の教授,氣功経絡体操と称する体操に関するテキストの制作」等に使用しているというものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しておらず
、同法第4条第1項第8号、同項第10号及び同項第15号に該当するもの
であるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべき
であるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1
号証ないし甲第3号証を提出した。
1 商標法第3条第1項柱書違反について
(1)商標法第3条第1項柱書は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。」と規定するところ、同法第5条第1項により「出願人」の名称を記載しなければならず、「出願人が自然人(個人)の場合には、氏名は戸籍上のものを記載します。ペンネーム、芸名、雅名等の変名や通称名をもって出願することはできません」とされている(出願の手続(特許庁発行)459頁)。
(2)本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)の個人名称は
、通称であると思われるから、本件商標の出願人の記載としては不適格であ
り、本件商標は、適法な出願人の記載がないこととなる。
(3)よって、本件商標は、出願人の自己の業務に係る役務を使用する商標
には該当しないから、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備し
ない。
2 商標法第4条第1項第8号及び同項第10号違反について
(1)「氣功経絡体操の会」が需要者に広く認識されている商標であること
ア 本件社団は、昭和51年、社団法人生命の貯蓄体操普及会の東京支部
として活動を開始した。
その後、平成27年、同会を脱退し、「氣功経絡体操の会」との名称で、
東京・神奈川・千葉の各道場において、毎週1回、会員に対して、「氣功経
絡体操」の教授活動を続けており、本件商標の登録出願当時の本件社団の会
員数は、440名を超過している(甲2、4枚目「収支決算書」、「会費収
入」の欄参照。ただし、甲2の記載は月謝を支払った延べ人数である。)。
イ 「氣功経絡体操」は、広く地域住民の健康・長寿の実現のため、「氣
功」や「経絡」などの東洋医学の考え方を基礎とし、疾病予防と健康増進に
寄与することを目的とする体操であり、本件社団は、各道場での教授活動の
ほか、氣功経絡体操に関するテキストなども制作している。
ウ 本件社団に関する商標の需要者は、同様の体操を行う者であるところ
、本件社団の活動が実質的に40年を超えて行われていること、本件社団の
会員数、及び、書籍の制作等、本件社団の活動を総合的に勘案すれば、本件
社団に関する商標は、需要者に「広く認識された」ものである。
エ 以上のとおり、本件商標の登録出願当時、「氣功経絡体操」は、本件
社団の役務の商標として、需要者の間に広く認識されていたものである。
(2)申立人が、本件社団の代表者であること
ア 本件社団は、権利能力なき社団であるが、役員等に関する規約などを
設けて運営されている(甲1)。同会の規約によれば、役員の任期は2年と
され、総会代議員において互選するとされている(甲1、2頁第9条)。
イ 令和元年度の役員選任
令和元年度は、同会の第5期にあたり、役員の改選期にあたる。
当時の会長であった本件商標権者は、令和元年5月19日に開催された同
会の第5期通常総会において、自らを会長に選任する役員案を提出したが(
甲2 2枚目「役員名簿」)、異議があったことから、役員の選任の決議は
、後日の継続総会に持ち越された。
その後、令和元年7月21日に開催された継続総会において、申立人が、
会長に選任された(甲3)。
よって、現在、本件社団を代表するのは、申立人である。
(3)本件社団の名称が「他人の名称」に該当すること
ア 「ある団体が同号の『他人』に該当するかどうかは、当該団体に法人
格があるかどうかという基準で判断すべきではなく、団体が、個々の構成員から独立した社会的存在としての実体を備えているかどうかの実態に即して判断すべきであり、その実体を備えていれば、法人格の有無にかかわらず、同号にいう『他人』に当たるものと解すべきである。」(東京高裁平成10年1月14日判決)
イ この点、本件社団は、上記(1)及び(2)のとおり、役員等に関す
る規約等を設けて運営されているとともに、定期的に総会を開催する等、個
々の構成員から独立した社会的存在としての実体を備えている。
ウ よって、本件社団は、商標法第4条第1項第8号の「他人」に該当す
る。
(4)商標法第4条第1項第8号違反
「氣功経絡体操の会」は、本件社団の名称であるから、本件商標の「身も心
も軽く楽しく/しんしん・けいらく/氣功経絡体操の会」は、他人の名称を
含む商標に該当する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反するものである。
(5)商標法第4条第1項第10号違反
ア 前述のとおり、引用商標は、本件社団の役務を表示する商標として需要者に広く認識されているものである。
イ 本件商標は「身も心も軽く楽しく/しんしん・けいらく/氣功経絡体
操の会」であるが、「身も心も軽く楽しく」は、単なる形容詞であり、「氣
功経絡体操の会」の部分が、本件商標の要部である。
そして、本件商標と引用商標とは、要部において一致するものであるから、両者は類似している。
ウ また、本件商標の指定役務のうち、「技芸・スポーツ又は知識の教授
」は、本件社団が行っている「氣功経絡体操」の教授と同一である。
エ よって、本件商標は、「他人の役務を表示するものとして需要者の間
に広く認識されている商標に類似する商標であって、その役務について使用
をするもの」であるから、商標法第4条第1項第10号に違反するものであ
る。
3 商標法第4条第1項第15号違反について
仮に、本件商標が、商標法第4条第1項第10号に該当しないとした場合
、上記2(5)のとおり、本件商標は、引用商標に類似する商標であり、また、本件商標の指定役務は、本件社団の役務と同一であるから、本件商標は、「他人の役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反するものである


第4 当審の判断
1 「氣功経絡体操の会」(引用商標及び本件社団)の周知性について
申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば以下のとおりである。
(1)事実
ア 本件社団は、権利能力なき社団であって、役員の選出及び任期等の規
約を設け運営されている(申立人の主張、甲1)。
イ 「氣功経絡体操の会 規約」には、第4条に「地域住民に対して氣功
経絡体操『要の操法』『経絡体操』『組み操法』の普及、講演等に関するこ
と。道場の会員への体操指導等に関すること。」等が記載されている。
また、規約の附則には、「この規則は制定の日から施行し、平成27年6
月17日から適用する。」と記載されている(甲1)。
ウ 令和元年5月19日に行われた「氣功経絡体操の会 第5期通常総会
議案書」の役員名簿(平成31年4月1日)には、「会長」として本件商
標権者の氏名が記載されている。
また、収支決算書(平成30年度)の会費収入の備考欄には、「休み29
5名 平均444名」と記載されている(甲2)。
エ 令和元年7月21日付け「継続総会議事録」には、「令和元年5月1
9日に開催された通常総会において、教育開発センターの会計報告がなされ
ず、かつ、本会の会計報告についての承認がなされなかったことから、継続
して審議するために、同年7月21日に総会を開催した。」旨記載され、ま
た、「議案1 緊急動議」では、他の代議員から不信感が募っていることを
理由に本件商標権者を含む現役員を解任し、新役員を選任すべきと提案がさ
れた旨、「議案2 新幹事選任の件」では、新たな会長として申立人が選任
された旨記載されている(甲3)。
(2)判断
上記(1)からすると、「氣功経絡体操の会」(本件社団)は、氣功経絡
体操の普及及び講演等を事業とする権利能力なき社団と推認できるものであ
って、平成31年4月1日当時の会長は、本件商標権者であったところ、令
和元年7月21日の継続総会において、申立人が新会長となったものである。
そして、申立人は、「氣功経絡体操の会」(本件社団)は平成27年から
東京・神奈川・千葉の各道場において、毎週1回、会員に対して、「氣功経
絡体操」の教授活動を続けており、本件商標の登録出願当時の本件社団の会
員数は、440名を超過している(甲2)と主張するが、活動範囲は関東の
1都2県にとどまり、その会員数が格別多いものとはいい難いものである。
また、「氣功経絡体操の会」(引用商標及び本件社団)についての宣伝広
告を行ったことを示す証拠の提出もなく、その他、「氣功経絡体操の会」(
引用商標及び本件社団)が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において
、本件社団の業務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている事
実を客観的に示す証拠の提出もない。
さらに、当審において職権をもって調査しても「氣功経絡体操の会」(引用商標及び本件社団)の周知性を認め得る事実は見いだせない。
したがって、「氣功経絡体操の会」(引用商標及び本件社団)が本件商標
の登録出願時及び登録査定時において、本件社団の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第3条第1項柱書の要件について
申立人は、本件商標権者の個人名称は、通称であると思われるから、本件商標の出願人の記載としては不適格であり、本件商標は、適法な出願人の記載がないこととなる旨を主張する。
しかしながら、「氣功経絡体操の会 第5期通常総会 議案書」(甲2)及び「継続総会議事録」(甲3)によれば、令和元年7月21日の継続総会
において、申立人が新会長に選任されたものの、それ以前には、本件商標権
者が本件社団の会長の地位であったことが認められること、また、申立人の
主張を裏付ける証拠の提出がない。
そうすると、本件商標は、出願人の自己の業務に係る役務を使用する商標
には該当しないとはいえないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないも
のとはいえない。
3 商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は、別掲のとおり、「身も心も軽く楽しく」の文字を赤色の籠字
で表し、前記文字の下にやや小さい「しんしん・けいらく」の文字を赤色で
着色し、その下に「氣功経絡体操の会」の文字を青色で着色し、三段に横書
きしてなるものである。
そして、本件商標の構成中の「氣功経絡体操の会」の文字は、上記1(2
)のとおり、権利能力なき社団と推認できるところ、「権利能力なき社団の
名称については、法人との均衡上、その名称は、商標法第4条第1項第8号
の略称に準ずるものとして、同条項に基づきその名称を含む商標の登録を阻
止するためには、著名性を要するものと解すべきである。」と判事されている(平成13年4月26日判決 東京高等裁判所平成12年(行ケ)第34
4号、同第345号)。
また、権利能力なき社団の名称といえる「氣功経絡体操の会」(本件社団
)は、上記1(2)のとおり、需要者の間において広く知られているとは認
められないものであるから、他人の著名な略称ということはできない。
してみれば、本件商標は、その構成中に本件社団の名称である「氣功経絡
体操の会」の文字を含むものであるとしても、他人の著名な略称を含む商標
であるとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、別掲のとおり、「身も心も軽く楽しく」、「しんしん・けいらく」及び「氣功経絡体操の会」の文字を、書体及び色彩を異にして三段に横書きしてなるところ、その構成態様から、構成中の「氣功経絡体操の会」の文字部分が独立して看取されるといえるものである。
他方、引用商標は、「氣功経絡体操の会」の文字からなるものである。
そうすると、本件商標の独立して看取される文字部分と引用商標は、とも
に「氣功経絡体操の会」の文字を共通にするものであるから、類似の商標と
いうことができる。
しかしながら、上記1(2)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件社団の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1(2)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定
時において、本件社団の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に
広く認識されているものと認められないものである。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定役務について使
用しても、取引者、需要者をして、本件社団の使用に係る引用商標を連想、
想起させることはなく、その役務が他人(本件社団)あるいは同人と経済的
若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのよう
に、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきであ
る。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書、同法第4条
第1項第8号、同項第10号及び同項第15号のいずれにも違反してされた
ものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情もみいだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲
本件商標(色彩は、原本を参照。)


異議決定日 2021-03-19 
出願番号 商願2019-80214(T2019-80214) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W41)
T 1 651・ 23- Y (W41)
T 1 651・ 271- Y (W41)
T 1 651・ 18- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 杉本 克治 
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 小俣 克巳
豊田 純一
登録日 2020-04-22 
登録番号 商標登録第6247563号(T6247563) 
権利者 西浄 さえ
商標の称呼 ミモココロモカルクタノシクシンシンケイラクキコーケーラクタイソーノカイ、ミモココロモカルクタノシク、シンシンケイラク、シンシンケーラク、キコーケーラクタイソーノカイ、キコーケーラクタイソー、キコーケーラク 
代理人 井上 裕史 

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