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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1371916 
異議申立番号 異議2020-900201 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-12 
確定日 2021-03-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第6253862号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6253862号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6253862号商標(以下「本件商標」という。)は、「ゲームトレード」の片仮名を標準文字で表してなり、平成31年3月15日に登録出願、第41類「オンラインゲームの利用者アカウントデータの提供の仲介・取次,オンラインゲームで使用されるゲーム内通貨データ・アイテムデータ・キャラクターデータの提供の仲介・取次,オンラインゲーム利用者のゲーム進行状況・技術レベル等のデータの提供の仲介・取次,オンラインゲームのプレー代行の仲介・取次」を指定役務として、令和2年4月6日に登録査定、同年5月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、別掲のとおりの構成からなるもの及び「GAMETRADE」の欧文字からなるもの(以下、両者をまとめて「引用商標」という。)であり、同人が運営する「ゲームアカウントやゲーム用アイテムの売買サイト」において使用しているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
ア 本件商標の指定役務と引用商標の役務の類似について
本件商標に係る指定役務中「オンラインゲームの利用者アカウントデータの提供の仲介・取次,オンラインゲームで使用されるゲーム内通貨データ・アイテムデータ・キャラクターデータの提供の仲介・取次」と引用商標に係る「オンラインゲームの利用者アカウントデータの提供の仲介・取次,オンラインゲームで使用されるゲーム内通貨データ・アイテムデータ・キャラクターデータの提供の仲介・取次」は同一関係にある。
申立人の行っている役務は、同人のホームページ(甲3)及び会社概要資料(甲4)で確認でき、申立人がゲームアカウントやゲーム用アイテムの売買サイトを運営していることが、これらの資料からわかる。
イ 本件商標と引用商標の類似について
本件商標は、標準文字「ゲームトレード」より構成され、当該文字から「ゲームトレード」の称呼が生じる。
引用商標は、アルファベット文字で構成されているが、当該アルファベット文字「GAMETRADE」部分からは、本件商標と同じ「ゲームトレード」の称呼が生じる。
したがって、本件商標と引用商標とは称呼が共通し、互いに類似する。
ウ 引用商標の周知性について
申立人は、2016年8月に設立され、「GAMETRADE」という名称のもとにゲームアカウントやアイテム売買の仲介を行っている(甲3)。
「GAMETRADE」という名称が周知であることを示す証拠として、2016年8月から2020年7月までの会員数の推移、売上げ、サイト訪問者数及び広告費についての情報を提供する(甲5?甲7)。
上記情報のように、会員数は年々大幅に増加し続け、また、サイト訪問者数、売上げ及び広告費からすれば、「GAMETRADE」という名称は、日本のゲーム人口の間では広く知れ渡っているということができる。
なお、本件商標が出願された期間である2018年期のサイト訪問者数、売上げ額が増加していることからすれば、この期間において、引用商標は一気に世間に知られることになり、周知性を獲得したということができる。
また、申立人が当該業界で占めるシェア率については、ゲームデータ売買市場規模推計(甲8)から推察するに、63.3%となる。60%を超えるシェア率を誇るということは、ゲームのデータ売買等をする者が一度は検討するサービスといえ、このことからも引用商標が周知であるといえる。
以上をまとめると、当該ゲームサービスには引用商標が付され、多くの需要者に強く記憶され、引用商標は、我が国において周知商標に該当する。
また、当該事実は、本件商標の登録出願前より継続している。
エ 小括
以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号について
ア 本件商標と引用商標の類似について
本件商標と引用商標は、上記(1)イで説明したように、称呼が同一であるため、類似関係にあるのは明らかである。
イ 引用商標の周知性について
上記(1)ウで説明したように、引用商標は、多くの需要者に強く記憶され、我が国において周知商標に該当する。
また、当該事実は、本件商標の登録出願前より継続している。
ウ 本件商標の登録が不正の目的でされたことについて
本件商標の出願人の取締役であるY氏は、以前、申立人に在籍していたが、2019年3月31日に退職している。その後、本件商標の出願人の取締役に就任している(甲9?甲11)。
Y氏は、申立人に在籍していたことから、「ゲームトレード」という商標の存在を認識しており、また、この商標に化体された信用についても認識していたと考えるのが妥当である。そのため、Y氏は、申立人が使用していた「ゲームトレード」という商標の信用にただ乗りすることを目的に、本件商標を出願したと考えられる。
エ 小括
したがって、引用商標は本件商標の登録出願前より申立人によって使用され、我が国で高い業務上の信用を獲得し、一方、本件商標は該信用にただ乗りをする目的で商標登録されたことが明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は、本件商標の登録査定日後である2020年(令和2年)8月7日において、同人の業務について引用商標(色彩の異なるものを含む。)を使用していること(甲3)、申立人は、2016年(平成28年)8月に設立された企業であって「インターネットを利用したシェアリングサービスの展開」を事業内容とすること(甲4)、並びに、申立人の売上額及び広告宣伝費は、2016年(平成28年)期が0円及び15,623円、2017年(平成29年)期が63,838,907円及び15,949,847円、2018年(平成30年)期が351,924,786円及び71,908,303円であること(甲6)が認められる。
しかしながら、申立人が引用商標の使用を開始した時期、引用商標が使用されている具体的な役務、引用商標を使用した役務の売上額及び同役務の広告宣伝費が確認できる証左は見いだせず、また、広告宣伝の具体的な内容も確認できない。さらに、会員数、サイト訪問者数及び業界シェア率に係る証左(甲5、甲7、甲8)は、容易に作成可能な書面であり、それらの数値を裏付ける証左はない。
イ 上記アのとおり、申立人が引用商標を同人の業務に使用していることは認められるものの、引用商標が使用されている具体的な役務、引用商標を使用した役務の売上額、同役務の広告宣伝費及び広告宣伝の内容などを確認できる証左は見いだせないから、引用商標の周知性を推し量ることができず、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するというためには、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていなければならないとするところ、上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認められないものである。
また、上記(1)のとおり、引用商標が使用されている役務を確認できないことから、本件商標の指定役務と引用商標が使用されている役務が同一又は類似するものということはできない。
したがって、本件商標と引用商標が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
また、申立人提出の甲各号証によっては、本件商標が、引用商標の名声にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものというべき事情は見いだせない。
なお、申立人は、同人が使用していた「ゲームトレード」という商標との関係で商標権者の不正の目的を述べるところがあるが、主張するのみで、これを裏付ける具体的な証拠の提出がないから、当該商標との関係においても、本件商標が不正の目的をもって使用をするものとみることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲(引用商標)(色彩は甲2(原本)を参照。)




異議決定日 2020-12-10 
出願番号 商願2019-39120(T2019-39120) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W41)
T 1 651・ 222- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中尾 真由美貳方 勝太 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 小田 昌子
山田 正樹
登録日 2020-05-25 
登録番号 商標登録第6253862号(T6253862) 
権利者 寿Gaming株式会社
商標の称呼 ゲームトレード、トレード 
代理人 特許業務法人IPX 

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