• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W31
管理番号 1371817 
審判番号 不服2019-12178 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-13 
確定日 2021-02-08 
事件の表示 商願2018- 58339拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標について
本願商標は,「総合栄養食」の文字を標準文字で表してなり,第31類「ペットフード」を指定商品として,平成30年5月2日に登録出願,その後,本願の指定商品については,当審における令和2年7月27日受付の手続補正書をもって,第31類「犬用及び猫用ペットフード(加工品に限る。)」と補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,『総合栄養食』の文字を標準文字で表してなるものであるところ,当該文字は,ペットフードの分野において,『ペットが必要とする栄養基準を満たし,毎日の主要な食事として与えるためのペットフード』程の意味合いとして使用されている語であるから,本願商標をその指定商品に使用したときは,上記商品であることを表したものとして理解させるにとどまり,自他商品の識別標識としては,機能しないものといえる。してみれば,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるというのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋
当審において,請求人に対し,令和2年5月11日付けで,別掲のとおりの事実を示したうえで,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品が「飼育に必要な栄養素をバランスよく(全て)配合したペットフード」であること,要するに,商品の品質,用途を普通に用いられた方法で表示したものと認識するにとどまることから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する旨の見解を示し,期間を指定して,これに対する回答を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は,上記3の審尋に対し,令和2年7月27日受付の回答書において,補正後の指定商品である「犬用及び猫用ペットフード(加工品に限る。)」との関係において,「総合栄養食」の文字は,「特定の品質を有するペットフード」についてのみ表示することが許された「独占性のある用語」であるなど本願商標は,自他商品の識別機能を有する旨,述べている。

5 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,上記1のとおり,「総合栄養食」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「総合」の文字は「個々別々のものを一つに合わせまとめること。」を,「栄養食」の文字は「もっぱら栄養価に主眼を置いた食品または食事。」(いずれも株式会社岩波書店 広辞苑第7版)等を,それぞれ意味する文字であることから,構成文字全体として,「一つに合わせまとまった栄養価のある食品」程の意味合いを容易に理解させるものである。
そして,「総合栄養食」の文字は,本願の指定商品である「犬用及び猫用ペットフード(加工品に限る。)」を,製造・販売する事業者をはじめ当該ペットフードを紹介する新聞及び書籍において,「必要な栄養素が全て配合されたペットフード」又は「栄養素がバランスよく配合されたペットフード」程の意味合いをもって,商品の品質,用途(目的)を表す語として使用されている事実(別掲 1(2),1(3),2(1),3(2)?(4))が認められるほか,「ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則」(別掲 3(1))においても,ペットフードの目的(用途)を表す語の一つとして掲載されている。
また,対象となるペットは異なるものの犬や猫以外のペットフードを製造・販売する事業者や当該ぺットフードを紹介する新聞及び書籍においても,上記と同様の意味合いをもって,商品の品質,用途(目的)を表す語として,使用されている事実が認められる(別掲 1(1),2(2))。
これらの事実を踏まえると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品が「飼育に必要な栄養素をバランスよく(全て)配合した犬用及び猫用ペットフード」であること,すなわち,商品の品質,用途(目的)を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきである。
してみれば,本願商標は,その商品の品質,用途(目的)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,「総合栄養食」の文字は,「特定の品質を有するペットフード」についてのみ表示することが許された「独占性のある用語」であること,自己の協会員に対し「総合栄養食」の表示を義務付けていること,本願を団体商標に変更するために検討する用意があること,などを主張している。
しかしながら,「総合栄養食」の文字は,上記(1)のとおり,商品の品質,用途(目的)を表す文字として一般に広く使用されている文字であるうえに,請求人が主張するように特定の「品質」を有するペットフードに表示する文字でもあることからすれば,いずれにしても,当該文字は商品の品質等を表示し自他商品を識別する機能を果たし得ないことに何ら変わりはなく,このような文字は誰もがその使用を欲するものであるから特定の者に独占させることは適当ではないというべきである。そうすると,請求人がその協会員に「総合栄養食」の表示を義務付けているとしても,そのことをもって「総合栄養食」の文字が自他商品を識別する機能を果たし得ることにはならないといわなければならない。また,本願を団体商標に出願変更したとしても,その審査において自他商品識別力の有無について判断すべきところ,出願変更により「総合栄養食」の文字が直ちに自他商品を識別する機能を果たし得るとみるべき事情は見いだせない。
したがって,請求人のいずれの主張も採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲
1 本願の指定商品である「ペットフード」を製造・販売する事業者において,「総合栄養食」の文字が「必要な栄養素が全て配合されたペットフード」又は「栄養素がバランスよく配合されたペットフード」程の意味合いをもって,ペットフードの品質,用途(目的)を表す語として使用されている事実(下線は合議体による。以下同じ)
(1)「株式会社黒瀬ペットフード」のウェブサイトにおいて,「ネオ・フード 小粒」の見出しの下,「『飼い鳥の栄養推奨量』を参考に動物用医薬品メーカーと開発した小鳥の総合栄養食(ペレット)です。成鳥の健康維持に必要な栄養素がバランスよく配合されているので,毎日の食事は本品と新鮮な水だけで充分!」との記載がある。
http://www.kurose-pf.co.jp/product/product-details?code=4972228230452(令和2年12月1日最終閲覧)
(2)「日本ペットフード株式会社」のウェブサイトにおいて,「犬の基礎知識」の見出しの下,「『総合栄養食』とは,そのフードとお水だけで健康を維持できる栄養バランスが整ったペットフードです。『一般食』『副食』とは総合栄養食に混ぜて与える“おかず”のようなもの。総合栄養食と一緒に与えましょう。缶詰などに多いので,気付かないうちに主食にしていることも。『総合栄養食』または『一般食』かどうか,パッケージ表記を確認して選んでくださいね。おやつなどの『間食』『スナック』は1日のカロリー必要量の20%以内におさえましょう。欲しがるだけ与えると,カロリー過多による肥満になったり栄養が偏ってしまいます。その他にも,特定の栄養素を補う『栄養補完食』や,食事療法のために獣医師の指示で与える『療法食』があります。」との記載がある。
https://www.npf.co.jp/kisoinu/kdp1-012.html(令和2年12月1日最終閲覧)
(3)「アイシア株式会社」のウェブサイトにおいて,「総合栄養食,一般食,副食,おやつ(間食)など,表示区分の違いと選び方 もう迷わないキャットフードの選び方」の見出しの下,「猫ちゃんの食事として理想的といわれている市販のキャットフードにも『総合栄養食』や『一般食』『副食』『おやつ(間食)』などの表示区分がされていますが,この違いをご存知ですか?」との記載及び「『総合栄養食』とは,猫ちゃんに必要な栄養素が全てバランスよく含まれていて,そのフードと水を与えるだけで,健康を維持できるペットフードです。」との記載がある。
https://www.aixia.jp/gohanjiten/catfooderabi/(令和2年12月1日最終閲覧)

2 新聞・書籍において,「総合栄養食」の文字が「必要な栄養素が配合されたペットフード」又は「栄養素がバランスよく配合されたペットフード」程の意味合いのように,ペットフードの用途(目的)を表す語として記載されている事実
(1)「改訂版 うちの猫との暮らし 悩み解決!Q&A100」(株式会社学研パブリッシング 2014年(平成26年)3月10日発行)の24ページにおいて,「フードの種類」という記載のもと,「総合栄養食 『毎日の主要な食事』として与えるためのフード。新鮮な水といっしょに与えるだけで,健康を維持することができるように,理想的な栄養素がバランスよく調整されています」との記載がある。
(2)2020年(令和2年)3月10日付け「北海道新聞朝刊全道(生活・くらし)」13ページにおいて,「<イイネ>インコの餌*消化に優れ栄養も」の見出しの下,「インコの餌にはシードとペレットがあります。シードはヒエ,アワ,キビなどそれぞれの味や食感の違いを楽しめますが,シードのみでは必要な栄養をすべて摂取するのは難しいです。ペレットはシードと比べて味は単調ですが,必要な栄養素が全て配合されている総合栄養食で,シードより消化に優れています。」の記載がある。

3 本願指定商品を扱う分野において,「総合栄養食」の文字が,ペットフードの用途(目的)の一つを表す語として,事業者により使用されている及び書籍や新聞等において紹介されている事実
(1)「ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則」(平成27年7月14日 公正取引委員会及び消費者庁承認)の第3条第1項第2号において,「ペットフードの目的」の見出しの下,「『総合栄養食』,『間食』,『療法食』,『その他の目的食』のいずれかを次に従い表示するものとする。」との記載がある。
(2)「価格.com」のウェブサイトにおいて,「ドッグフード 製品情報 ジャンル」の見出しの下,「療養・療法食(96) 総合栄養食(750) 一般食(63) おやつ・サプリメント(1943) 栄養補助食品(89) ミルク・ドリンク(39) 離乳食(4) その他(7)」との記載がある。
https://kakaku.com/pet/dog-food/(令和2年4月14日最終閲覧)
(3)「図解入門業界研究 最新ペット業界の動向とカラクリがよ?くわかる本」(株式会社秀和システム 2006年(平成18年)2月1日発行)の126ページにおいて,「ペットフードは給餌目的により『総合栄養食』(主食),「間食」(おやつ),「その他の目的食」に分かれています。」との記載がある。
(4)2007年(平成19年)12月3日付け「日経MJ(流通新聞)」4ページ」において,「農水省研究会,ペットフード法規制合意,犬猫用,品質基準や回収命令。」の見出しの下,「用途別では主食にあたる総合栄養食のほか間食,その他の目的食のすべてを規制する方向だ。このほか規制適用には一定の周知期間を設け,業者に対する指導も徹底するべきだとしている。」の記載がある。



特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2020-12-01 
結審通知日 2020-12-04 
審決日 2020-12-16 
出願番号 商願2018-58339(T2018-58339) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上山 達也堀内 真一馬場 秀敏 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
藤村 浩二
商標の称呼 ソーゴーエーヨーショク 
代理人 香原 修也 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ