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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W4145
管理番号 1371782 
審判番号 不服2020-1689 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-01-22 
確定日 2021-02-12 
事件の表示 商願2018- 81166拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「エンジョイスイミング」の文字を標準文字で表してなり、第41類及び第45類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年6月20日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における令和元年5月23日付けの手続補正書において、第41類「水泳の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,水泳に関するセミナーの企画・運営又は開催,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),水泳に関する興行の企画・運営又は開催,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),水泳施設の提供,運動施設の提供,会員制による教育・娯楽施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,水泳に関する用具の貸与,運動用具の貸与,書籍の制作,音響用又は映像用のスタジオの提供,写真の撮影」及び第45類「水泳着の貸与,水泳帽の貸与」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「『エンジョイスイミング』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『エンジョイ』の文字は、『楽しむこと。』の意味を、『スイミング』の文字は、『泳ぐこと。水泳。』の意味を、それぞれ有する外来語として知られているものであるから、本願商標は、その構成全体として『水泳を楽しむこと』程の意味合いを容易に認識させるものである。また、教育の分野において、実際に『エンジョイサッカー』や『エンジョイテニス』などのように、『エンジョイ○○(『○○』はスポーツ等の名称)』の文字が、『○○を楽しむこと』程の意味合いで一般に使用され、地方自治体や教育に関する役務を提供する企業の信念、教育方針や役務の宣伝広告等に広く用いられている実情がある。そうすると、本願商標は、全体として『水泳を楽しむことを目的とした役務』であるという役務の特徴を簡潔に表した、顧客の吸引、役務の提供促進等のための宣伝広告の一種として認識、理解するにすぎないというのが相当であるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、『水泳を楽しむことを目的とした役務』以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和2年6月25日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 証拠調べに対する請求人の意見
前記3の「証拠調べ通知」に対して、所定の期間を経過するも、請求人は何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「エンジョイスイミング」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中「エンジョイ」の文字は「楽しむこと。」を、「スイミング」の文字は「泳ぐこと。水泳。」を意味する(いずれも岩波書店「広辞苑第七版)我が国において親しまれた平易な英語を片仮名表記したものであるから、当該文字全体から「水泳を楽しむこと」の意味合いを需要者、取引者に容易に認識、理解させるものというのが相当である。
そして、別掲のとおり、「エンジョイスイミング」の文字が、「水泳の教授」の分野において、例えば、「スイミングスクールでは『エンジョイスイミング』をコンセプトに『カラダ』『アタマ』『ココロ』の3つの健全な発達を促し子供たちの可能性を広げていきます。・・・水泳の基本から教え、泳ぐ楽しさを感じてもらい、体力の向上・より綺麗に速く泳げるように指導します。」(別掲1.)や「発育促進、運動能力向上に『安全指導』と『無理のない段階指導』を基本とし、どの年齢のどの泳力段階のクラスにおいても『エンジョイスイミング』を指導理念とし、生涯水泳に発展することを目的とします。」(別掲4.)のように、「水泳を楽しむこと」の意味合いで、その役務のコンセプトや指導理念を謳った宣伝広告等として普通に用いられている実情がある。
そうすると、本願商標は、これを構成する各語の意味や、前記の実情を勘案するならば、本願商標をその指定役務のうち「水泳の教授」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、水泳を楽しむことをコンセプトや指導理念とした水泳の教授であるという宣伝広告又は企業理念・経営方針等を普通に用いられる方法で表示したものとして認識、理解するにすぎず、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、商標全体を同書同大で外観上まとまりよく一体的に表記してなり、商標全体から生じる「エンジョイスイミング」の称呼も一気に称呼し得るものであるから、かかる態様においては、一連一体の商標とみなされるのが相当であり、本願商標を「エンジョイ」と「スイミング」を結合したというよりは、むしろ、全体として一体不可分のいわゆる造語として認識するとみるのが相当である旨主張している。
しかしながら、上記(1)のとおり、「エンジョイ」及び「スイミング」の文字は、我が国において親しまれた平易な英語を片仮名表記したものであるから、本願指定役務との関係において、取引者、需要者は、一連に表示された「エンジョイスイミング」の文字から、容易に「エンジョイ」及び「スイミング」の文字を結合したものであることを理解し、当該文字全体から「水泳を楽しむこと」の意味合いを認識するというのが相当であり、また、別掲のとおり、「エンジョイスイミング」の文字が「水泳の教授」の分野において広く使用されていることに照らしても、本願商標に接する需要者が、これを請求人の造語として認識するとはいい難い。
イ 請求人は、本願商標から、「水泳を楽しむこと」の意味合いが生じるとしても、どのように水泳を楽しむのかが不明であり、曖昧な感は否めないから、本願商標を、指定役務に使用したとしても、役務の質や役務の説明、宣伝、広告の直接的な表現とはいい難い旨主張している。
しかしながら、別掲のとおり、「水泳の教授」の分野の宣伝広告又は企業理念・経営方針等において、「エンジョイスイミング」の文字とともに、「泳ぐ楽しさを感じてもらい」、「水泳を楽しんで好きになり」や「みなさんで楽しく泳ぐ」等のような説明がなされているから、どのように水泳を楽しむのかについての言及がないとしても、本願商標は、「水泳を楽しむこと」を直接的に表現したものとみるのが相当であり、役務の宣伝広告としてのみ認識されるものというべきである。
ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲 証拠調べ通知書において示した事実
「エンジョイスイミング」の文字が、「水泳の教授」の分野において、「水泳を楽しむこと」の意味合いで使用されている例

1.「Fitness Club WING」のウェブサイトにおいて、「スイミング」の見出しの下、「スイミングスクールでは『エンジョイスイミング』をコンセプトに『カラダ』『アタマ』『ココロ』の3つの健全な発達を促し子供たちの可能性を広げていきます。お子様の年齢・発育発達段階を踏まえた無理のない指導で水泳技術習得を図ることはもちろん、集団行動の中で自主性を高めながら社会性・協調性も養います。」、また、「小中学生クラスで、クロール・背泳ぎ・平泳ぎ・バタフライの順で4泳法の完成まで習得します。水が怖い、プールが苦手、水泳が嫌いというお子様でも安心してください。水泳の基本から教え、泳ぐ楽しさを感じてもらい、体力の向上・より綺麗に速く泳げるように指導します。」の記載がある。
(https://www.fc-wing.co.jp/kids/swim/)

2.「Re.Life」のウェブサイトにおいて、「子供の自主性を高める、日立ライフの習い事スイミングスクール!」の見出しの下、「水泳を楽しんで好きになり、続けることで上手くなる。『ジュニアスイミングスクール』は、そんな好循環を生む『エンジョイスイミング』をコンセプトに、各年代の体の発育や発達に合わせた段階的なプログラムで少しでも成長できた部分を褒めて伸ばす指導を採用しています。それらを通じて『知育』、『徳育』、『体育』をバランス良く習得することで、自然と健全な心と身体が育まれると評判です。」の記載がある。
(https://www.re-life-club.jp/webmaga/items/details/43.html)

3.「CENTRAL」のウェブサイトにおいて、「親子コースとは/いつも一緒で一安心。だからレッツエンジョイスイミング」の見出しの下、「お子様に水泳を習わせたい。でも、もう少しそばで見守ってあげたい。まだ1人でスクールに通わせるのは不安。そんな親子が一緒に参加できるのがセントラルスポーツの『親子コース』です。スキンシップを楽しみながら一緒にインストラクターの指導が受けられ、レッスンのサポートをしたり、間近でお子様の上達を見守ることができます。また、集団行動の中での礼儀やルール、マナーを身に付け、社会性を養うためのアドバイスも行います。セントラルスポーツは『親子コース』を通じて、親御さんと共にお子様の健やかな成長を応援します。」の記載がある。
(https://www.central.co.jp/program/item/pool/feature/oyako/)

4.「ERG URBAN WELLNESS CLUB TECHNO」のウェブサイトにおいて、「Junior Swimming School」の見出しの下、「発育促進、運動能力向上に『安全指導』と『無理のない段階指導』を基本とし、どの年齢のどの泳力段階のクラスにおいても『エンジョイスイミング』を指導理念とし、生涯水泳に発展することを目的とします。」の記載があります。
(https://www.erg-techno.com/programs/junior-swimming-school/)

5.「WATER MATES SWIM CLUB」のウェブサイトにおいて、「本年もウォーターメイツスイムクラブでエンジョイスイミング!」の見出しの下、「昨年以上に水泳を楽しく!昨年以上に水泳を上手に!昨年以上に楽しいイベントを!今年もウォーターメイツスイムクラブを宜しくお願い致します。」の記載がある。
(https://www.watermates.net/2014/01/17/%E6%9C%AC%E5%B9%B4%E3%82%82%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%84%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96%E3%81%A7%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0/)

6.「スポーツクラブエンターテインメントA-1笹塚店」のウェブサイトにおいて、「スイミング」の見出しの下、「エンジョイスイミング/みなさんで楽しく泳ぐクラス。キックだけ、手だけ、コンビネーションなどバリエーションを変えて泳ぎます。」の記載がある。
(https://nacs.co.jp/school/program/pool/swimming)

7.「サイズXYZスイミングスクール」のウェブサイトにおいて、「コースカリキュラム」の見出しの下、「■マスターズ MS(成人:高校生以上)大人(高校生以)のスクールです。まったく泳げない人から、上級者まで、レベルにあった指導を行います。健康増進、シェイプアップ、競技指向など、目的は様々ですが、テーマはひとつ『エンジョイ スイミング!』」の記載がある。
(http://xyz-ss.com/course/)

8.「碧南スイミングスクール」のウェブサイトにおいて、「プログラム」の見出しの下、「スイムメイトクラブ/中学生・高校生を対象としたメンバーズクラブ。自由に、きままにエンジョイスイミング!」の記載がある。
(http://www.hekinanss.com/introprog/prog_top.html)

9.「MACメイワエアロビクスクラブ」のウェブサイトにおいて、「【Jrスイミングスクール】夏の1日無料体験会」の見出しの下、「夏に『できた!!』を実感、子供に自信をつけよう!!・学校のプールが苦手な子・お家のシャワーが苦手な子・新しい事に挑戦したい子/この夏はマックでエンジョイスイミング!!」の記載がある。
(https://meiwa-g.jp/info/2016-07/page/1)

10.「豊島区水泳連盟」のウェブサイトにおいて、「エンジョイスイミング」の見出しの下、「『ゆったり歩く』『ゆっくり習う』『のんびり泳ぐ』と三つのコースがある水泳教室です。毎回自分の体調に合わせて、参加するコースを自由に選ぶことが出来皆様に大変喜ばれています。体調の良い時やちょっと疲れている時など”泳ぎたい””歩きたい”と好きなところを選んでいいからです。その名のとおり、”楽しいこと”が一番のテーマで楽しく歩く、楽しく泳ぐ、ことをいつも心がけ心身とも健康になるのを目標にしています。」の記載がある。
(http://toshimasuiren.web.fc2.com/kyoshitsu/pk2-ENsui.htm)

11.「アルコ清洲オフィシャルブログ」のウェブサイトにおいて、「エンジョイスイミング1日目♪」の見出しの下、「今日は清須市内の小学生を対象としたアルコ清洲のプールを使った楽しい遊びが盛りだくさんのイベントを行いました!」の記載がある。
(https://www.arcokiyosu.com/blog/about_arco/13780)

12.「マエダハウジング東区スポーツセンター」のウェブサイトにおいて、「健康・体力づくり」の見出しの下、「マエダハウジング東区スポーツセンターでは、さまざまな方法で気軽に健康・体力づくりを楽しむことができます。スポーツセンター主催の教室へ参加したり、体育室やトレーニング室、プールなどを個人で利用することもできます。また、健康運動指導士の資格を保有した職員が、ライフステージに応じた健康づくり・体力づくりのアドバイスを行っています。スポーツセンターの様子や、過去に開催された教室の一部を写真でご紹介します。/プール/親子ふれあい!エンジョイスイミング」の記載がある。
(http://www.sports-or.city.hiroshima.jp/facilities/higashi-sc/health)

13.「NSI清和台スポーツクラブ」のウェブサイトにおいて、「おとなスイミング」の見出しの下、「お仕事終わりでもご参加いただけるよう、夜8時からのスイミングレッスンです。初心者?上級者まで個々の力に合わせて、適切なレッスンをご用意しております。エンジョイスイミングを完全にサポートします!忘年会などの楽しいイベントもあります!」の記載がある。
(https://www.nsi-sports.co.jp/school/hyogo/nsi_seiwadai/swim2)

14.「みとよカルチャー・スポーツ.jp」のウェブサイトにおいて、「ジュニアスイミングスクール」の見出しの下、「たくまシーマックスのジュニアスイミングスクールは『エンジョイスイミング』をコンセプトに、お子様の健全な心と体を育むことを目標としています。年齢・体力・能力に応じて、ベビーの水なれ?選手育成まで幅広く対応しています。」の記載がある。
(https://mitoyocs.jp/school/juniorswim/)

15.「仙台市中田温水プール」のウェブサイトにおいて、「子供・成人スクール情報(プール)」の見出しの下、「■ジュニアスイミングスクール5,400円(税込)/月4回 ※4才(年少)?12才(小6)『プールが初めて』というお子様から、4泳法習得まで、年齢に応じた正しい泳ぎの習得を目指し、無理なく段階的に技術を習得するコースです。『エンジョイスイミング』をコンセプトに“知育・徳育・体育”の3つをバランスよく形成しつつ、健全な心と身体を楽しく育むことを目標とします。」の記載がある。
(http://yokobs.net/images/public/nakada/20190624.pdf)

審理終結日 2020-12-02 
結審通知日 2020-12-09 
審決日 2020-12-24 
出願番号 商願2018-81166(T2018-81166) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W4145)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉本 克治佐藤 純也 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 綾 郁奈子
鈴木 雅也
商標の称呼 エンジョイスイミング、エンジョイ 
代理人 村山 靖彦 
代理人 高柴 忠夫 
代理人 石川 香菜子 
代理人 眞島 竜一郎 

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