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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z42
管理番号 1370989 
審判番号 取消2020-300220 
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-03-24 
確定日 2021-01-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4463471号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4463471号商標の指定商品及び指定役務中、第42類「飲食物の提供」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4463471号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成12年3月3日に登録出願、第10類「医療用機械器具,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,家庭用電気マッサージ器,耳かき」及び第42類「飲食物の提供,美容,理容,マッサージ及び指圧,医療情報の提供,健康診断,調剤,栄養の指導」を指定商品及び指定役務として、同13年3月30日に設定登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年4月8日である。
なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年4月8日から令和2年4月7日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第42類「飲食物の提供」(以下「請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をした事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「飲食物の提供」について
被請求人は、主として「ヘルストロン」と称した電位治療器等の家庭用・医療用ヘルスケア機器の製造販売及び健康食品等の製造販売を業として行っており、日本各地にあるサロン(治療室)において上記機器を用いた治療も行っていて、その店舗の1つとして、東京都墨田区両国所在の店舗(以下「両国店」という。)にあるサロンを挙げている。
このようなサロンの利用者は、ヘルストロン等の医療機器で治療すること(購入のための体験を含む)を目的として訪れるものであって、飲食することを目的として訪れることはまずあり得ない。
また、仮に、この店舗内で飲み物が提供されているとしても、それは治療行為又は被請求人の商品の販売行為の一環として「治療」を受けた者に対して付随的に行われるものであって、何ら不特定多数の者に対して「飲食物の提供」が行われているとはいい難い。
したがって、被請求人が主張するサロンにおいて飲み物等を提供する行為は、商標法上の役務として「飲食物の提供」に該当するものではない。
(2)使用証拠について
ア 被請求人が提出したリーフレット(乙1、乙2)は、「飲食物の提供」に関する情報は全く記載されておらず、ましてや丸テーブルが置かれた店内の写真から当然に「飲食物の提供」が行われていると理解することもできないので、「飲食物の提供」についての広告物に該当するものではない。
したがって、これらのリーフレットに表示された「花模様状の図」と「Hakujukan」のローマ字を上下2段で表示した本件商標は、被請求人の主たる業務である「マッサージ」等の治療行為に使用されていることが認められるとしても、「飲食物の提供」に使用されているとは到底認められるものではない。
また、乙第1号証のリーフレットには、2017年11月6日に両国店がオープンする旨が記載されているが、その作成日時や頒布日時及び頒布した事実等を客観的に証明するには至っていない。
イ 被請求人が提出したサロンの写真(乙3の1?4)には、サプリメントや飲食物等の商品が表示されているが、これをもって「飲食物の提供」が行われていると理解することはできない。
また、被請求人は、上記商品等が掲載されたリーフレット(乙4)あるいは小冊子(乙5)から注文した飲食物等をカップなどの器に入れてあるいは容器のまま店員がテーブル席まで運んできたり、陳列棚で現物を手に取って確認して注文し、コーンスープや熊笹緑茶等の健康茶、青汁、緑黄色野菜ジュースなど、必要に応じて店員が温めて提供してくれる旨を述べているが、これらの行為については単に答弁書で主張するのみで、何ら客観的な証明がなされていない。
さらに、前記サロン写真(乙3?乙3の4の上段)は、その撮影日時のみならず、乙第1号証で示された両国店を示すものであるかどうかも全く不明である。
なお、少なくとも乙第3号証の1ないし乙第3号証の4は、陳列された商品が異なっており、同時期に撮影されたものではないことは明らかである。
ウ 被請求人が提出したサロンの窓ガラスの写真(乙3の4、乙3の5)には、本件商標や商標「白寿館」が表示されていると述べているが、これらの写真は撮影日時が不明であり、「両国店」の室内・店舗外側の写真として一致しているのかどうかも定かではない。
エ 被請求人が販売する飲食物等が掲載されたリーフレット(乙4)や小冊子(乙5)には、本件商標と同一の商標は表示されておらず、「飲食物の提供」に関する情報も全く記載されていない。
そして、被請求人は、これらの証拠資料があたかも喫茶店やレストラン等に置いてある「メニュー表」であるかのように述べているが、これらは商品販売用のカタログに過ぎず、「飲食物の提供」の際に用いられる「メニュー表」であるとはいい難いので、両国店において飲食物等の商品の販売が行われていることが認められるとしても、これらのカタログを根拠として「飲食物の提供」が行われていることを当然に導き出すことはできない。
(3)むすび
以上述べたとおり、被請求人が提出した証拠資料は、その作成日時や撮影日時、頒布日時のみならず、被請求人のサロン「両国店」に関するものとして全てが完全に一致しているものかどうかも不明であって、添付の証拠資料からは「飲食物の提供」を行っていることを示す客観的事実が全く証明されていないので、乙第1号証、乙第2号証、乙第3号証の4の下段、乙第3号証の5に表示された商標「花模様状の図とHakujukan」は、「マッサージ及び指圧」、あるいは「商品の小売サービス」等の役務において使用されていると認められる場合はあっても、「飲食物の提供」に使用されていることまでは到底認められるものではない。
したがって、被請求人が提出した全ての証拠資料をもってしても、本件審判請求登録前3年以内に、被請求人が本件商標を「飲食物の提供」に使用した事実を証明したことにはならず、商標法第50条第1項の規定により本件商標の取消しは免れない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。なお、書証番号「乙第3号証」については「乙第3号証の1」と振り直す。)を提出した。
1 請求人の主張に対する答弁
(1)被請求人は、東京都墨田区両国に家庭用ヘルストロンのショールームと、ユーザーのアフターサービスを目的としたサロン「白寿館」が2017年11月6日にオープンとうたった広告用リーフレット(乙1)を提出する。このリーフレットには、「白寿館」、上下二段に併記された「花模様状の図とHakujukan」の商標が上部に大きく表示され、電位治療するための電位治療器を複数台並べたショールームや治療前後にリラックスするためのサロン(丸テーブルのある室)が館内に設けられている。リーフレットの下部には、被請求人である株式会社白寿生科学研究所の記載が認められる。
乙第2号証は、乙第1号証のリーフレットの作成後にサロンを改装した改訂版であり、乙第1号証同様に頒布されたものである。
乙第3号証は、利用者が利用しやすいようにすこし配置換えをした現在使用されているサロンを写したものであり、乙第3号証の2ないし乙第3号証の4は、乙第3号証の1に写っているサプリメントや飲食物などを拡大した写真の写しである。
乙第3号証の4の下段の写真の写し及び乙第3号証の5の写真の写しは、サロンの窓に表示されている二段併記された商標「花模様状の図とHakujukan」、「白寿館」とを室の内外から撮影したものである。
サロンは電位治療に訪れるユーザーは勿論のこと、当然のことながらユーザー以外の不特定多数の人も自由に利用でき、店員によるサービスを受けられるようになっている。
冷蔵が必要な飲食物は冷蔵のショーケースに収納されており(乙3の2、乙3の3)、常温で保存するものは陳列棚に並べられている(乙3の1、乙3の2、乙3の4)。
しかして、サロンの利用者は、テーブルに座ってテーブル上の飲食物のリーフレット(乙4)あるいは小冊子(乙5)をメニューとして注文すると、注文の飲食物をカップなどの器にいれてあるいは容器のまま店員が席まで運んできてくれるのである。
前記リーフレットあるいは小冊子に記載の飲食物は陳列棚で現物を手に取って確認して注文することもできる。飲み物を例にとれば、コーンスープ、くま笹緑茶などのいわゆる健康茶、青汁、緑黄色野菜ジュースなどが必要に応じて温められるなどして手軽な飲物として提供されるのである。
これは喫茶店が注文を受けて客にコーヒーや紅茶を店内にて提供することと内容において異なることはない。
乙第1号証、乙第2号証、乙第3号証の4及び乙第3号証の5から登録商標「花模様状の図とHakujukan」が飲食物の提供をする役務に関する広告に使用されていることは明白である。
(3)乙第1号証ないし乙第5号証の書証から本件商標は要証期間に商標権者によって第42類「飲食物の提供」について使用されたことは事実である。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により第42類「飲食物の提供」についての登録を取消されるべきでない。

第4 審尋及び被請求人の回答
1 審尋
審判長は、令和2年9月23日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解及び請求人提出の審判事件弁駁書に対する意見を求めた。
2 被請求人の回答
被請求人は、上記1の審尋に対し何らの応答もしていない。

第5 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人提出の乙各号証によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証は、被請求人によれば、広告用のリーフレットであるところ、当該リーフレットの1葉目には、上部に、図形と「Hakujukan」(「Hakujukan」の下の文字は視認できない。)の文字とを上下に配した標章(以下「Hakujukan標章」という場合がある。)及びその右側に「白寿館」の文字を表し、その下に「この度、両国に家庭用ヘルストロンのショールームと、ユーザー様のアフターサービスを目的としたサロン、『白寿館』がオープンしました!・・・」と記載されている。
また、ビルの外観及び室内を写した画像及び「株式会社白寿生科学研究所」の記載がある。
さらに、2葉目には、右上にHakujyukan標章が表示され、「ご利用案内」として受付時間、休館日、ユーザー会員・ファミリー会員のサロンを利用する場合の料金、当該サロンの案内図、住所、電話番号、利用交通等が掲載されている。
(2)乙第2号証は、被請求人によれば、広告用リーフレットの改訂版であるところ、当該リーフレットの1葉目には、上部にHakujukan標章及び「白寿館」の文字を表し、その下に「ヘルストロン購入者様専用サロン、一般有料通電者様サロン、ショールーム・・・がございます。・・・どなたでもご利用頂けます。・・・」と記載されている。
また、ビルの外観及び室内を写した画像及び「株式会社白寿生科学研究所」の記載がある。
さらに、2葉目には、右上にHakujyukan標章が表示され、「ご利用案内」として、受付時間、休館日、へルストロン購入者専用サロン又は一般有料通電サロンを利用する場合の料金、ヘルストロンショールームの案内、当該サロンの案内図、住所、電話番号、利用交通等が掲載されている。
(3)乙第3号証は、被請求人によれば、サロンを写した画像であり、乙第3号証の1は陳列棚、テーブル及び椅子が複数配置された室内を写した画像、乙第3号証の2ないし乙第3号証の4の上段は、乙第3号証の1の画像内の陳列棚にサプリメントや飲食物が置かれている状況を示す拡大画像である。
(4)乙第4号証及び乙第5号証は、被請求人によれば、サロンの利用者用の飲食物のリーフレット及び小冊子であり、当該リーフレット及び小冊子には、「ハクジュすこやかサプリ/Hakuju Dietary Supplement」の表題の下、液状又は粒状の各種サプリメント、調味料、化粧品及び日用品が販売価格とともに紹介されている。また、「作成2020.5」の記載がある。
2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)被請求人(本件商標権者)は、乙第1号証及び乙第2号証のリーフレットは広告用であって、頒布されたものであると主張するところ、当該リーフレットには、本件商標権者の名称及びサロンの利用案内に関する記載はあるものの、飲食物の提供に関する記載はないから、本件商標権者により飲食物が提供されることを謳った広告であるとはいえない。また、これらを頒布した事実などは明らかでない。
(2)サロンを写した画像(乙3)からは、当該サロンが要証期間に存在したこと、本件商標権者により飲食物が提供されていたこと及び本件商標が使用されていたことを確認することができない。
(3)被請求人は、乙第4号証及び乙第5号証のリーフレット及び小冊子は利用者のメニューとなっており、当該リーフレット及び小冊子の掲載物がサロンで提供される旨主張するが、これらが仮に飲食物のメニューであるとしても、これらには本件商標の表示がなく、作成日は要証期間外である令和2年(2020年)5月であることがうかがえる。
また、当該リーフレット及び小冊子に掲載された飲食物が、当該サロンにおいて本件商標権者により要証期間に提供されたことを確認することができない。
(4)小括
上記(1)ないし(3)のとおり、被請求人が提出した全証拠によっては、要証期間に本件商標権者が、その請求に係る指定役務について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用をしたものと認めるに足る事実を見いだせない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、その請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしていることを証明したものということができない。
また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲 本件商標



審理終結日 2020-12-01 
結審通知日 2020-12-03 
審決日 2020-12-18 
出願番号 商願2000-20214(T2000-20214) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z42)
最終処分 成立  
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 小俣 克巳
齋藤 貴博
登録日 2001-03-30 
登録番号 商標登録第4463471号(T4463471) 
商標の称呼 ハクジュカン 
復代理人 原嶋 成時郎 
代理人 浅賀 一樹 
代理人 松永 善蔵 

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