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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W3536
管理番号 1370226 
審判番号 取消2018-300943 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-12-14 
確定日 2021-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第5623716号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5623716号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5623716号商標(以下「本件商標」という。)は、「未来住宅展示場」の文字を標準文字で表してなり、平成25年5月22日に登録出願、第35類「建築物における来訪者の受付及び案内,販売促進のための住宅展示場の企画及び運営」及び第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定役務として、同年10月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成30年12月28日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成27年12月28日から同30年12月27日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務(以下「取消請求役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)セミナー資料(乙3、乙7)の使用者について
セミナー資料(乙3、乙7)の使用者は、本件商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれでもない。
平成29年1月22日に開催された「宮城・仙台住宅リフォームフェア」(以下「宮城イベント」という。)において、被請求人の代表者である四十万靖氏(以下「四十万」という。)による「頭のよい子が育つ家」という表題のセミナー(以下「四十万セミナーA」という。)が予定されていたことが記載されている(乙1)。
同様に、平成29年1月26日に福井コンピュータアーキテクト株式会社(以下「福井コンピュータアーキテクト社」という。)大阪梅田ショールームにおいて、同年2月3日に同社東京銀座ショールームにおいて、それぞれ被請求人の代表者である四十万による「頭のよい子が育つ家SSTECH(空間工学)講座」という表題のセミナー(以下、これらの2日間にわたるセミナーを総称して「四十万セミナーB」という。)が開催されたことが記載されている(乙6)。
一方、セミナー資料(乙3)の最初のスライドには、「頭のよい子が育つ家」の表題とともに、また、セミナー資料(乙7)の最初のスライドには、「頭のよい子が育つ家SSTECH(空間工学)講座」という表題とともに、「一般社団法人四十万未来研究所代表理事」という肩書きで四十万の名前が記載されている。
したがって、セミナー資料(乙3、乙7)は、四十万が、被請求人の代表者としてではなく、「一般社団法人四十万未来研究所(以下「四十万未来研究所」という。)」の代表理事として発表するために使用されたものである。
乙第2号証及び乙第6号証は、セミナー開催を報告する四十万未来研究所のホームページの記載であり、被請求人のホームページには、セミナー開催について何ら記載がないことから、セミナー資料(乙3、乙7)の使用者は、四十万未来研究所である。
(2)セミナー資料(乙3、乙7)の使用の客観性について
被請求人は、セミナー資料(乙3、乙7)を四十万セミナーA及びBで使用したと主張するが、当該資料は、被請求人の代表者である四十万自身が作成及び提出したものであり、第三者により作成又は提供されたものではない。実際に当該資料のスライドが四十万セミナーA及びBにおいてスクリーン等に投影されたことは、乙第1号証ないし乙第7号証のいずれにも客観的に示されていない。
(3)セミナー資料(乙3、乙7)の広告該当性について
セミナー資料(乙3、乙7)が、商標法第2条第3項第8号に規定する「広告」であるといえるためには、セミナー資料(乙3、乙7)において何らかの商品又は役務を広告宣伝する情報が含まれていなければならないところ、セミナー資料(乙3、乙7)中のほとんどのスライドは、写真やグラフ又は図であり、文章や文字も断片的な情報を提供するにすぎず、セミナーの内容を十分に理解することができないから、そもそも広告とはいえない。
被請求人は、セミナー資料(乙3、乙7)における「未来住宅展示場」の使用は、役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当する旨主張している。
しかしながら、セミナー資料(乙3、乙7)における「未来住宅展示場」の語が使用されているのは、それぞれ42枚のスライドのうちわずか1枚のスライド(乙3)、51枚のスライドのうちわずか1枚のスライド(乙7)にすぎない。
以上より、セミナー資料(乙3、乙7)からは、セミナーの内容が十分に理解できないだけではなく、「未来住宅展示場」の語が使用されているスライドもわずかに1枚だけであるから、当該セミナー資料は、広告とはいえない。
(4)「未来住宅展示場」の使用態様について
セミナー資料(乙3、乙7)のスライドにおける「未来住宅展示場」の語は、「これからの住宅展示場」程度の意味を看者に想起させる標語の類にす
ぎないものであるから、商標としての機能を発揮する態様で使用されていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、答弁書及び回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は、以下のとおり、本件商標を使用している。
(1)平成29年1月21日及び同月22日、「宮城イベント」が開催され、同月22日に被請求人代表者四十万がセミナーを行い(乙1、乙2)、四十万セミナーAで使用したパワーポイントの14頁目に「未来住宅展示場」と明示している(乙3)。
被請求人は、「頭のよい子が育つ家」という住空間のプロデュース事業を行っており、ハウスメーカー等とライセンス契約を締結し、住宅の販売促進などを行っており(乙4)、未来住宅展示場は、福井コンピュータアーキテクト社等と提携し、実際のモデルルームに行かずとも、VR(バーチャルリアリティ)(乙5)で、「頭のよい子が育つ家」を体感することができるようにするという販売促進を行って使用した。
(2)平成29年1月26日、福井コンピュータアーキテクト社大阪梅田ショールーム、同年2月3日、同社東京銀座ショールームにおいて、被請求人代表者四十万は、四十万セミナーBを行い(乙6)、同セミナーで使用したパワーポイントの17頁目に「未来住宅展示場宣言!」と明示している(乙7)。
(3)パワーポイント(乙3、乙7)において、「未来住宅展示場」を明示することによる使用は、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告」を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当するものである。
2 合議体からの審尋に対する回答書
(1)合議体からの審尋の要旨
ア 被請求人は、住空間プロデュース事業をしており、他社と提携し、住宅の販売促進を行っている旨主張しているところ、被請求人が、取消請求役務を行っている事実を確認することができないから、被請求人が取消請求役務を行っている事実及び当該取消請求役務に係る本件商標の使用の事実が確認できる書面を提出されたい。
イ 被請求人が、四十万セミナーAで使用した資料とする乙第3号証、四十万セミナーBで使用した資料とする乙第7号証について、当該セミナー資料の作成日及び作成者を客観的に示す書面の提出がないことから、当該セミナー資料を、要証期間内に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが使用したことを確認することができず、当該セミナー資料からは、セミナーの内容を明確に把握することができないことから、当該セミナー資料が、取消請求役務中のどの指定役務についての使用であるかが不明である。
ついては、当該セミナー資料の作成日及び作成者を客観的に把握できる書面及び当該セミナーにおける使用が取消請求役務中のどの指定役務についての使用であるかを把握できる書面を提出されたい。
(2)被請求人の回答
ア 被請求人は、頭のよい子が育つ家とはどのような家かを研究した上、その設計を「頭のよい子が育つ家」としてブランド化し(乙4)、ハウスメーカーや工務店との間においてライセンス契約を締結し、「頭のよい子が育つ家」のブランドを付した建物の売却を許諾し(乙4、乙8)、「頭のよい子が育つ家」の情報を提供した上、同ブランドを付した建物の販売を許諾しているから、第36類「建物又は土地の情報の提供」の役務を提供している。
イ 被請求人は、被請求人代表者(乙9) のセミナーによる広告宣伝によりモデルルームヘの集客を図っており(乙4)、「頭のよい子が育つ家」を体験できるモデルルームを「未来住宅展示場」とし、福井コンピュータアーキテクト社と業務提携して「頭のよい子が育つ家」のモデルルームをVR体験できるサービスを提供している(乙5、乙6、乙10、甲1)。写真(甲1)には、「四十万靖の頭のよい子が育つ家」ののぼりが置かれており、同モデルルームのイベントが「頭のよい子が育つ家」の販売促進のために実施されたものであるから、第35類「販売促進のための住宅展示場の企画及び運営」の役務を提供している。
ウ 被請求人は、本件商標の商標権者であり、ハウスメーカー及び工務店とのライセンス契約の当事者であり、四十万未来研究所(乙11)は、四十万から「頭のよい子が育つ家」の商標に関する通常使用権を付与されてセミナーを主催、被請求人とハウスメーカー及び工務店とのライセンス契約を促し、また、エンドユーザーとハウスメーカー及び工務店との不動産売買契約を促進するという役割を担っている。
そして、四十万未来研究所の代表理事は、被請求人代表者と同じ四十万であり(乙12)、四十万未来研究所が本件商標の通常使用権を有していることは、その代表が同じであり、同人が提唱する「頭のよい子が育つ家」に関連することからも明白である。
エ セミナー資料(乙3、乙7)の作成日及び作成者を客観的に示す書面は存在しないが、いずれも作成者は、四十万未来研究所の代表理事であり、被請求人代表者である四十万である。セミナー資料(乙3)が2017年1月22日に使用されたことはセミナー案内(乙2)、セミナー資料(乙7)が2017年2月3日に使用されたことはセミナー案内(乙6)から明らかである。
オ 被請求人は、福井コンピュータアーキテクト社と共同で、同年2月11日及び12日に「HOMES住まいの窓ロユニモちはら台店、18日及び19日に「HOMES住まいの窓ロトレッサ横浜店において「頭のよい子が育つ家」の住宅展示場のイベントを開催した(甲1)。
カ 四十万未来研究所は、本件商標の通常使用権者として、被請求人が締結したハウスメーカー及び工務店とのライセンス契約の一環として、セミナー(乙2、乙3、乙6、乙7)により、「頭のよい子が育つ家」を広告、宣伝し、それを実際に体感できるものとして「未来住宅展示場」を使用しているから、第36類「建物又は土地の情報の提供」及び第35類「販売促進のための住宅展示場の企画及び運営」の役務に係る使用を行ったものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、「宮城・仙台住宅リフォームフェア2020」(主催:株式会社リフォーム産業新聞社)」のホームページの写しであるところ、本件商標の表示は見いだせない。
また、同ホームページのトップページの右上に、「2/15(土)・16日(日)夢メッセみやぎ」の記載があり、「2017年 過去実績」の見出しの下、「2017年のイベント内容」として、「セミナー」の項目があり、「2日目(1/22)実施/頭のよい子が育つ家」、「スペース・オブ・ファイブ 四十万靖氏」の記載がある。
(2)乙第2号証は、「四十万未来研究所」のホームページの写しであるところ、本件商標の表示は見いだせない。
また、同ホームページに「セミナー・イベント情報」の見出しの下、「1月22日(日)東北地方にお住まいのエンドユーザー&工務店・ビルダーの皆さまにセミナーのご案内・・・四十万靖がセミナーに登場します。」として、「セミナー名/頭のよい子が育つ家 0歳?12歳の教育・学習環境を考える!」の記載、「セミナーをお聞きいただいたのち、福井コンピュータアーキテクトのブース・・・にお立ち寄り頂いて、・・・頭のよい子が育つ家にリフォーム!・・・をarchitrend VRで体感してください」の記載がある。
(3)乙第3号証は、四十万セミナーAで使用したセミナー資料の写しとするものであり、同セミナー資料の冒頭のスライドに「頭のよい子が育つ家」の表題と共に「2017.1.22 一般社団法人四十万未来研究所代表理事 四十万靖」の記載がある。
また、同セミナー資料の14頁目中段のスライドに「未来住宅展示場/VRで空間工学を体感しよう。/インタビューに応えて素敵な賞品をゲット!・・・福井コンピュータアーキテクトブース/でお待ちしています!」の記載があり、同頁下段のスライドに「福井コンピュータアーキテクトブース」の場所を指し示す記載がある。
(4)乙第4号証は、「Space of Five」のホームページの写しであるところ、同ホームページに記載された住所(東京都渋谷区宇田川町2-1 渋谷ホームズ517)は、本件商標権者の住所と相違するものである上、本件商標の表示は見いだせない。
また、同ホームページに「事業紹介」の見出しの下、「住空間プロデュース事業」の記載があり、「代表【四十万靖】著書」として「頭のよい子が育つ家」が紹介されている。
さらに、「“頭の良い子が育つ家”講演会を開催し、・・・モデルルーム・モデルハウスへの集客を促します。」、「ライセンスブランドを使用する事により新たな顧客を堀り起こします。また、既存顧客にもリフォーム受注を促すことが出来ます。」、「ライセンスについて」として、「スペース・オブ・ファイブ株式会社が展開する『頭のよい子が育つ家』は、住宅を供給されている法人様向けに、・・・『コーポレートライセンス』・『プロジェクトライセンス』の2つの仕組みをご用意・・・」の記載があり、当該2つのライセンスの仕組みの紹介がされている。
(5)乙第5号証は、「福井コンピュータアーキテクト社」のホームページの写しであるところ、本件商標の表示は見いだせない。
また、「バーチャル空間体感システム アーキトレンド ブイアール/ARCHITREND VR」の紹介と共に、同システムを使用したVR体験についての記載がある。
(6)乙第6号証は、「四十万未来研究所」のホームページの写しであるところ、本件商標の表示は見いだせない。
また、同ホームページに「セミナー・イベント情報」の見出しの下、「1月26日(木)・2月3日(金)工務店・ビルダー経営者の皆さまにセミナーのご案内」として、「セミナー名/頭のよい子が育つ家SSTECH(空間工学)講座」、「セミナー講師/四十万靖(しじまやすし)/一般社団法人四十万未来研究所代表理事/スペース・オブ・ファイブ株式会社代表取締役」、「セミナー開催要項/日時:2017年1月26日(木)13時?15時/場所:福井コンピュータアーキテクト株式会社大阪梅田ショールーム」、「日時:2017年2月3日(金)13時?15時/場所:福井コンピュータアーキテクト株式会社東京銀座ショールーム」、「問い合わせ/1月27日大阪梅田会場/福井コンピュータアーキテクト株式会社/関西営業所主任・・・2月3日東京銀座会場/福井コンピュータアーキテクト株式会社/関東営業所主任・・・」の記載がある。
(7)乙第7号証は、四十万セミナーBで使用した資料とするものであり、
同セミナー資料の冒頭のスライドに「2017.2.3 一般社団法人四十万未来研究所代表理事 四十万靖」、17頁目の下段のスライドに「SSTECH/未来住宅展示場宣言!」の記載がある。
(8)乙第8号証は、株式会社中広地所のホームページの写しであるところ、本件商標の表示は見いだせない。
また、同ホームページには、「頭のよい子が育つ家」として、「開発者 四十万氏靖(しじま やすし)」、「・・・ノウハウを正しくお客様に伝える為に、私たちはスペース・オブ・ファイブ社の正規研修を受け、さらに認定テストに合格してライセンスを受けております。」の記載がある、
さらに、「新築・中古住宅、土地販売などお気軽にご相談ください!」の記載と共に、同社の電話番号が記載されている。
(9)乙第9号証は、「Space of Five」のホームページの写しであるところ、同ホームページに記載された住所(東京都渋谷区宇田川町2-1 渋谷ホームズ517)は、本件商標権者の住所と相違するものである上、本件商標の表示は見いだせない。
また、同ホームページには、「代表取締役会長/四十万 靖の著書」として「頭のよい子が育つ家」「頭のよい子が育つ本棚」等が紹介されている。
(10)乙第10号証は、「四十万未来研究所」のホームページの写しであるところ、本件商標の表示は見いだせない。
また、同ホームページには、「頭のよい子が育つ家VR体験会 イベントレポート」の見出しの下、「12月15日、16日両日・・・福井コンピュータアーキテクト株式会社と出展いたしました。・・・来場者に頭のよい子が育つ家の3次元体感をしてもらうためです。」の記載、「【神奈川県】頭のよい子が育つ家セミナー」の見出しの下、「頭のよい子が育つ家著者四十万靖が開発した3Xメソッドによってお子さんの最適教育・学習環境を解説します。」の記載、「【福島県】頭のよい子が育つ家セミナー開催!」の見出しの下、「9月4日(金)に福島県で弊会代表理事の四十万靖が、『頭のよい子が育つ家セミナー』を開催致します。」の記載と共に、当該セミナーのポスターとおぼしき写真が掲載され、講師として「四十万 靖」の記載、「幕張ハウジングパークで頭の良い子が育つ家セミナー開催!」の見出しの下、「8月29日(土)に【幕張ハウジングパーク】で弊会代表理事の四十万靖が、『頭のよい子が育つ家セミナー』を開催致します。」の記載、「(公社)日本不動産学会・田中啓一賞を受賞しました!」の見出しの下、「弊会代表理事の四十万靖が代表を務めるスペース・オブ・ファイブ株式会社が、・・・受賞致しましたことをご報告致します。この賞は不動産・住宅業界において、特に新規性にとんだ学術調査・研究に基づいた事業に送られるものです。」の記載がある。
(11)乙第11号証は、「四十万未来研究所」のホームページの写しであるところ、本件商標の表示は見いだせない。
また、同ホームページに、「オンラインセミナー情報」の見出しの下、2015年4月から2020年6月にかけて開催された「頭のよい子が育つ家」を含むセミナー及びイベントが記載されている。
(12)乙第12号証は、「四十万未来研究所」のホームページの写しであるところ、本件商標の表示は見いだせない。
また、同ホームページには、「代表理事 四十万靖」の【略歴】として「現在 株式会社SOFホールディングス スペース・オブ・ファイブ株式会社 代表取締役」の記載がある。
2 判断
(1)使用者、使用時期及び使用役務について
被請求人は、住空間プロデュース事業を行う企業(乙4)であること、被請求人が、不動産・住宅業界において学術調査・研究に基づいた事業に送られる賞を受賞していること(乙11)から、被請求人が、住宅関連の事業を行っていることがうかがわれる。
また、被請求人の代表者及び四十万未来研究所の代表理事である四十万が提唱する「頭のよい子が育つ家」に関する著書が存在し、工務店やビルダーを対象とした「頭のよい子が育つ家」に関するセミナーやイベント等が2015年から開催(乙1、乙2、乙4、乙6、乙9、乙10、乙11)されていること、「頭のよい子が育つ家」をテーマとした住まいが紹介されていること(乙8)から、被請求人が、「頭のよい子が育つ家」に関する上記各事業を行っていることが推認できる。
さらに、被請求人の代表者及び四十万未来研究所の代表理事である四十万が、平成29年1月22日に開催された四十万セミナーA及び同年2月3日に開催された四十万セミナーBにおいて講師を務めたことが認められる(乙1、乙2、乙6)。
しかしながら、被請求人の主張及び提出した証拠は、専ら、被請求人の代表者が提唱する「頭のよい子が育つ家」に関するものであり、「未来住宅展示場」に関するものではなく、被請求人(商標権者)の代表者と四十万未来研究所の代表理事が同一人であることから、四十万未来研究所が、商標権者
から、本件商標の使用について黙示の許諾を得ていると推認できるとしても、平成29年1月22日に開催された四十万セミナーA及び同年2月3日に開催された四十万セミナーBで使用されたとするセミナー資料(乙3、乙7)の作成日及び作成者を客観的に示す書面の提出がなく、当該セミナー資料中のほとんどのスライドは、写真やグラフ又は図であり、文章や文字についても断片的な情報を提供するにすぎないことから、当該証拠によっていかなる役務を提供しているのかが明確ではなく、当該セミナー資料から、要証期間に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を取消請求役務に使用したことを確認することはできない。
さらに、福井コンピュータアーキテクト社が、自社の「バーチャル空間体感システム」を使用したVR体験できるサービスを提供し(乙5)、四十万セミナーAと同日に同社がVR体験を行っていることをうかがわせる記載(乙2)があることから、福井コンピュータアーキテクト社が、自社のVRシステムを使用したVR体験できるサービスを行っていることは推認できるものの、取消請求役務を提供している事実は把握できない。
以上のとおり、被請求人の提出した証拠からは、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を取消請求役務について使用している事実を確認することができない。
(2)使用標章について
被請求人が、四十万セミナーAで使用したとする資料(乙3)のスライドには、説明内容の一部として、本件商標と同一の「未来住宅展示場」の文字を含む「未来住宅展示場/VRで空間工学を体感しよう。/インタビューに応えて素敵な賞品をゲット!・・・福井コンピュータアーキテクトブース/でお待ちしています!」の記載があり、同頁下段のスライドに「福井コンピュータアーキテクトブース」の場所を指し示している記載があることから、当該記載は、全体として、未来住宅展示場という名称のVRシステムで空間工学を体感し、インタビューに応えることによって賞品がもらえるという、他人のブースの紹介を理解させるにすぎず、これらの記載をもって、本件商標が取消請求役務の識別標識として機能しているものとは認め難く、その使用を取消請求役務についての商標としての使用であると認めることはできない。
また、被請求人が、四十万セミナーBで使用したとする資料(乙7)のスライドの説明内容中に「SSTECH/未来住宅展示場宣言!」の記載があるものの、当該表示は、本件商標とは異なる上、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることもできない。
さらに、被請求人が、福井コンピュータアーキテクト社と業務提携して「頭のよい子が育つ家」のモデルルームをVR体験できるサービスを提供しているとする証拠(乙5、乙6、乙10)には、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の表示はない。
そして、他に商標権者、専用使用権者及び通常使用権者が、取消請求役務について、本件商標ないしこれと社会通念上同一と認められる商標を使用したと認めるに足りる証拠は見いだせない。
(3)小括
上記のとおり、要証期間に、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれかが、第35類「販売促進のための住宅展示場の企画及び運営」及び第36類「建物又は土地の情報の提供」を含む取消請求役務について、本件商標を使用した事実を認めることはできない。
3 被請求人の主張について
(1)被請求人は、セミナー資料(乙3)の作成者は、四十万未来研究所の代表理事かつ被請求人の代表取締役である四十万であり、当該セミナー資料が2017年1月22日に使用されたことはセミナー案内(乙2)から明らかである旨主張する。
しかしながら、上記2(1)のとおり、当該セミナー資料の作成日及び作成者を客観的に示す書面の提出がなく、当該セミナー資料がセミナー会場のスクリーン等に投影された等の事実を裏付ける証拠も何ら提出されていないことから、当該セミナー資料が、要証期間内に取消請求役務に使用された事実を認めることはできないというべきである。
(2)被請求人は、「頭のよい子が育つ家」のブランドを付した建物の売却を許諾し(乙4、乙8)、「頭のよい子が育つ家」の情報を提供した上で、同ブランドを付した建物の販売を許諾しているから、第36類「建物又は土地の情報の提供」の役務を提供している旨主張する。
しかしながら、被請求人が、住宅を供給している法人向けに「頭のよい子が育つ家」のライセンスを行っている旨の記載(乙4)、被請求人の研修を受けた後、認定テストに合格してライセンスを受けている旨の記載(乙8)があるものの、当該記載をもって、第36類「建物又は土地の情報の提供」の役務についての使用と認めることはできない。
また、上記事実を客観的に裏付ける証拠も提出されておらず、被請求人は、第36類「建物又は土地の情報の提供」の役務を行っている事実について立証していないから、被請求人(商標権者)が、本件商標を、第36類「建物又は土地の情報の提供」の役務について使用していたと認めることはできない。
(3)被請求人は、被請求人代表取締役のセミナーによる広告宣伝により、モデルルームヘの集客を図り(乙4)、「頭のよい子が育つ家」を体験できるモデルルームを「未来住宅展示場」とし、他社と業務提携して「頭のよい子が育つ家」のモデルルームをVR体験できるサービスを提供(乙5、乙6、乙10)していることから、第35類「販売促進のための住宅展示場の企画及び運営」の役務を提供している旨主張する。
しかしながら、上記2(1)のとおり、四十万セミナーAで使用されたとする資料(乙3)が要証期間内に使用された事実を認めることはできないものであり、仮に、他社と業務提携してVR体験できるサービスを行っている(乙2、乙5)としても、当該サービスのいかなる点が取消請求役務に係るものであるかを明確に把握することができず、「頭のよい子が育つ家」を体験できるモデルルームをVR体験できるイベントとおぼしき写真(乙10))に、本件商標の表示は見いだせないことから、これらの証拠をもって、被請求人(商標権者)が、本件商標を、第35類「販売促進のための住宅展示場の企画及び運営」の役務に使用していたと認めることはできない。
したがって、被請求人の上記主張はいずれも採用することができない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、取消請求役務について、本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2020-10-28 
結審通知日 2020-11-02 
審決日 2020-11-25 
出願番号 商願2013-38400(T2013-38400) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (W3536)
最終処分 成立  
前審関与審査官 真鍋 伸行 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 山田 正樹
小田 昌子
登録日 2013-10-18 
登録番号 商標登録第5623716号(T5623716) 
商標の称呼 ミライジュータクテンジジョー、ミライ 
代理人 小林 芳男 
代理人 一杉 昭寛 
代理人 大岡 雅文 
代理人 荒木 真人 

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