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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W19 審判 全部申立て 登録を維持 W19 審判 全部申立て 登録を維持 W19 審判 全部申立て 登録を維持 W19 審判 全部申立て 登録を維持 W19 |
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管理番号 | 1369167 |
異議申立番号 | 異議2018-685016 |
総通号数 | 253 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-01-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-12-07 |
確定日 | 2020-08-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 国際登録第1376060号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 国際登録第1376060号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 国際登録第1376060号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,2017年(平成29年)9月13日に国際商標登録出願,第19類「Brick;non-metal tiles;terrazzo;non-metal wall tiles for buildings;ceramic tiles;glass mosaics.」を指定商品として,平成30年6月13日に登録査定,同年9月28日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第1336207号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,2015年(平成27年)9月4日にイタリア共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,2016年(平成28年)2月26日に国際商標登録出願,別掲3のとおりの商品を指定商品として,平成30年7月6日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 3 登録異議申立ての理由(要旨) 申立人は,本件商標は商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第11号及び同項第16号に違反して登録されたものであるから,その登録は同法第43条の2第1項により取り消されるべきであると申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について 本件商標を構成する「FAENZA」及び「法恩莎」の語は,イタリア共和国の都市である「ファエンツァ」の名称を,それぞれ欧文字(甲1?甲4)及び漢字(甲5)で表記したものである。 イタリア共和国ファエンツァは,古くから陶磁器の産地として栄えてきた街であり,現在でも陶磁器産業が盛んで,マジョリカ陶器の産地として日本を含め世界的に有名である。 そうすると,本件商標をその指定商品中「イタリア共和国ファエンツァ産の商品」について使用した場合には,当該商品がイタリア共和国ファエンツァ産であることを示すものにすぎず,また,商品の産地の名称を欧文字及び漢字で二段に表記することは,商品の産地の名称の表記方法として普通に用いられる方法であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。 また,本件商標をその指定商品中「イタリア共和国ファエンツァ産の商品」以外の商品について使用した場合には,本件商標は,当該商品の産地がイタリア共和国ファエンツァであると取引者,需要者を誤認させるものであるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標を構成する語のうち,「FAENZA」及び「法恩莎」はいずれも「ファエンツァ」と読むから,本件商標からは「ファエンツァ」の称呼が生じる。 なお,仮に「法恩莎」を「ファエンツァ」と読まないとしても,本件商標の構成上,「FAENZA」及び「法恩莎」の語は異なる段に配置され,その表記方法も欧文字と漢字という相違が存在するから,本件商標中「FAENZA」の部分を他の部分から独立して把握することが可能であり,「FAENZA」は前述のとおり「ファエンツァ」と発音するから,結局,本件商標からは「ファエンツァ」の称呼が生じ,「イタリア共和国ファエンツァ」との観念を有する。 イ 引用商標は「LAFAENZA」の欧文字及びその下段に小さく「TILE WITH STYLE」の欧文字を配置し,また,「LAFAENZA」の文字の左側に円形の図形を配置してなるものであるから,その構成上,図形部分と文字部分は相互に独立して把握することができる。 また,「LAFAENZA」と「TILE WITH STYLE」は異なる段に配置され,「LAFAENZA」の方がはるかに大きな文字で顕著な態様で表示されているから,引用商標中「LAFAENZA」の部分は,他の部分から独立して把握することが可能である。 さらに,「LAFAENZA」のうち「LA」は,イタリア語で女性名詞の前に付す定冠詞であり(甲7),それ自体は自他識別力を有しないため,引用商標中「FAENZA」の部分を他の部分から独立して把握することも可能であり,「FAENZA」からは「ファエンツァ」の称呼が生じ,「イタリア共和国ファエンツァ」との観念を有する。 ウ 本件商標と引用商標とを対比すると,「ファエンツァ」の称呼及び「イタリア国ファエンツァ」の観念を共通にするから,本件商標と引用商標の外観の相違を考慮したとしても,両者は相紛れるものであり,本件商標は引用商標と類似の商標であるというべきである。 そして,本件商標の指定商品は,いずれも引用商標の指定商品と類似する。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は,別掲1のとおり,「FAENZA」の欧文字及び「法恩莎」の漢字を上下二段に横書きしてなるところ,申立人の提出した証拠によれば,上段の「FAENZA」の欧文字は,イタリア共和国の都市名で「ファエンツァ」と称される語であり(甲1,甲2,甲4),また,下段の「法恩莎」の文字は,「FAENZA」の語を中国語(漢字)で表記したもの(甲5)と認められる。 上段の「FAENZA」の欧文字は,イタリア共和国の都市名で,中世以来,陶器の生産地として知られ,製陶学校,国際陶器博物館等があることが認められるとしても,我が国において一般に親しまれた地名とはいえず,本件商標の指定商品を取り扱う業界における取引者,需要者に,直ちにイタリア共和国の地名として認識されるといった事情を見いだすこともできない。 そして,下段の「法恩莎」の文字は,我が国の辞書等に掲載されていない語であり,我が国における中国語の普及度からすると,取引者,需要者が直ちにその読み及び意味を理解するとはいえないものである。 また,当審において職権をもって調査するも,本件商標の指定商品を取り扱う業界において,「FAENZA」の欧文字及び「法恩莎」の漢字が,本件商標の指定商品の産地,販売地を表示するものとして普通に使用されている事実は発見できなかった。 してみれば,本件商標をその指定商品に使用した場合,その取引者,需要者は,本件商標を商品の産地,販売地を表示するものとは認識せず,これをその指定商品に使用しても,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当しない。 以上からすると,本件商標をその指定商品中「イタリア共和国ファエンツァ産の商品」以外の商品について使用した場合であっても,本件商標は,当該商品の産地がイタリア共和国の都市ファエンツァであると取引者,需要者を誤認させるものとはいえず,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は,別掲1のとおり,「FAENZA」の欧文字及び「法恩莎」の漢字を上下二段に横書きしてなるところ,欧文字及び漢字という外観上の相違に加え,下段の「法恩莎」は中国語で読みを特定し難く,一連一体の称呼が生じるともいえないことから,上下それぞれの語を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど一体不可分に結合しているものと認めることはできない。 したがって,本件商標中の上段の「FAENZA」の欧文字のみも独立して自他商品の識別標識の機能を果たし得るものであり,当該文字は,上記(1)のとおり,「ファエンツァ」の称呼を生じ,辞書等には上記記載が認められるとしても,我が国において親しまれたものということはできないから,一種の造語とみるのが自然であり,特定の観念は生じないというのが相当である。 イ 引用商標 引用商標は,別掲2のとおり,上段に「LAFAENZA」の文字(以下「上段文字」という場合がある。なお,上段文字は,下段文字の3倍程度の大きさで顕著に表されている。),その下段に「TILE WITH STYLE」の文字(以下「下段文字」という。)を書し,また,上段文字及び下段文字の左側に円形の図形(以下「円形図形」という。)を配置してなるところ,視覚上,上段文字,下段文字及び円形図形は,それぞれ分離して看取し得るものであることに加え,円形図形は,抽象化して表された図形であって,直ちに特定の事物を想起させるものではないから,その円形図形からは,特定の称呼及び観念を生じないものである。 また,上段文字と下段文字とに観念的なつながりを見いだすことはできず,一連一体の称呼が生じるともいえないことからすると,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど一体不可分に結合しているものと認めることはできない。 そうすると,引用商標中の上段の「LAFAENZA」の文字のみも独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから,これを要部として他人の商標と比較して商標としての類否を判断することも許されるというべきである。 そして,「LAFAENZA」の文字は,その8文字全て大文字のややデザイン化された書体であって,同書,同大,等間隔で,視覚上まとまりよく一体的に表されているものであるから,これを一体のものとしてとらえ,その構成文字に相応して「ラファエンツァ」の一連の称呼を生じ,当該文字は辞書等に記載されていない語であるから一種の造語とみるのが自然であり,特定の観念を生じないものというのが相当である。 加えて,当審において職権をもって調査するも,上段文字中「FAENZA」の文字のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情も発見できなかった。 そうすると,引用商標に接する取引者,需要者が,「LAFAENZA」の構成中の「FAENZA」の文字に着目し,当該文字から生じる称呼をもって取引に資するというよりも,その構成全体をもって一体不可分のものと認識し,把握するとみるのが相当である。 ウ 本件商標と引用商標との類否 本件商標の要部である「FAENZA」の欧文字と引用商標の要部である「LAFAENZA」の文字とは,それぞれ,上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ,外観においては,その構成中の「FAENZA」の文字のつづりを共通にするものの,書体が相違することに加え,語頭の「LA」の文字の有無という差異を有することから,外観上,判然と区別し得るものである。 また,本件商標の要部である「FAENZA」の欧文字から生じる「ファエンツァ」の称呼と引用商標の要部である「LAFAENZA」の文字から生じる「ラファエンツァ」の称呼とは,構成音数が異なる上,称呼の識別上,重要な要素を占める語頭に「ラ」の音の有無という差異を有するから,称呼上,両者は,明確に聴別し得るものである。 さらに,観念においては,本件商標の要部である「FAENZA」の欧文字及び引用商標の要部である「LAFAENZA」の文字は,それぞれ造語であるから,観念上,両者を比較することはできない。 してみれば,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないものであるとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれがなく,両者の外観,称呼及び観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 エ 申立人の主張 申立人は,引用商標の構成中の「LAFAENZA」のうち「LA」は,イタリア語で女性名詞の前に付す定冠詞であり(甲7),それ自体は自他識別力を有しないことから,引用商標中「FAENZA」の部分を他の部分から独立して把握することも可能であり,引用商標から「ファエンツァ」の称呼及び「イタリア共和国ファエンツァ」の観念が生じる旨主張している。 しかしながら,請求人が示した事例(甲7)は,定冠詞「la」と次にくる名詞との間に必ずスペースが含まれていたり,「la」の次にくる国名や地理上の固有名詞の先頭の文字のみが大文字で表されていたり,外観上「la」の部分が独立して認識されやすいことに対し,引用商標の構成中の「LAFAENZA」の文字は,「LA」の文字の後にスペースはなく,8文字全て大文字のややデザイン化された書体であって,同書,同大,等間隔で,視覚上まとまりよく一体的に表されていることからすると,上記ウのとおり判断するのが相当であり,申立人の主張は,採用できない。 オ 小括 以上のとおり,本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから,両者の指定商品が類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)むすび 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第11号及び同項第16号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
【別記】 別掲3 引用商標の指定商品 第19類「Tiles,not of metal,for building;floor tiles,not of metal;parquet flooring and parquet slabs;floors,not of metal;building stone;mosaics for building;ceilings,not of metal;duckboards,not of metal;luminous paving blocks;partitions,not of metal;non-metal coverings for building;non-metal roof coverings;wood panelling;signalling panels,non-luminous and non-mechanical,not of metal;marble;stones;cement slabs;building materials and components,not of metal;tiles,not of metal;fireproof tiles;translucent tiles(not of metal);ceramic tiles for flooring;ceramic tiles for paving;ceramic tiles for internal walls;ceramic tiles for external floors;ceiling tiles(non-metallic);tiles,not of metal,for building exteriors;building bricks,not of metal;facing bricks,not of metal;parquet flooring;parquet wood flooring;parquet floor boards;roofing tiles,not of metal;roof construction materials,not of metal;cladding panels,not of metal,for roofs;covering panels,not of metal,for roofs;non-metal roof coverings;non-metallic roofing plates;veneers;pavements;floorboards;flooring screeds;pavement screeds;flooring(non-metallic);paving cobblestones;paving blocks not of metal;paving stones;ceramic coverings for floor;non-metallic paving products;floors,not of metal;non-metallic flooring materials;paving blocks,not of metal;building panels,not of metal;wall panelling,not of metal;non-metallic cladding panels;non-metal floor panels;non-metallic interlocking panels for building;translucent building panels made from plastic materials;non-metallic waterproofing boards for building materials;non-luminous and non-mechanical signs,not of metal;non-metallic sidings;coatings(building materials);non-metallic facing bricks;cementitious waterproofing coatings;non-metallic wall claddings;wall panelling made of non-metallic materials;facing panels of non-metallic materials;non-metallic building materials in the form of slabs;fire burrs;non-metallic ceiling tiles;non-metallic ceiling panels;non-metallic cladding for ceilings;non-metal coverings for ceilings;signs made of plastic(non-luminous and non-mechanical);partitions,not of metal;screed coatings;building glass;figurines,statuettes of stone,concrete or marble included in this class;marble for building.」 |
異議決定日 | 2020-07-29 |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(W19)
T 1 651・ 13- Y (W19) T 1 651・ 262- Y (W19) T 1 651・ 272- Y (W19) T 1 651・ 261- Y (W19) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 渡辺 航平 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
小松 里美 浜岸 愛 |
登録日 | 2017-09-13 |
権利者 | FOSHAN CITY FAENZA SANITARY WARE CO., LTD |
商標の称呼 | ファエンザ、ファエンツァ、ホーオンサ、ファエンシュア |
代理人 | 加藤 ちあき |
代理人 | 窪田 英一郎 |
代理人 | 乾 裕介 |