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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W09 |
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管理番号 | 1369066 |
審判番号 | 取消2019-300591 |
総通号数 | 253 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-01-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2019-07-29 |
確定日 | 2020-11-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5721560号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5721560号商標(以下「本件商標」という。)は、「USAGI」の欧文字を標準文字で表してなり、平成26年7月25日に登録出願、第9類「写真機械器具,硬貨投入式写真シール作成機並びにその部品及び付属品,電子計算機用プログラム,硬貨投入式写真シール作成機用プログラム,ダウンロード可能な携帯情報端末機用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,硬貨投入式写真シール作成機で作成したダウンロード可能なデジタル画像ファイル」、第40類「写真のプリント,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真の修正,写真の補正,写真の合成,携帯情報端末機による写真の修正・補正・合成,硬貨投入式写真シール作成機によるデジタル写真画像の修正・補正・合成,印刷,写真の印刷,硬貨投入式写真シール作成機による写真の印刷」及び第41類「電子出版物の提供,映画の上映・制作又は配給,通信を用いて行う画像・映像の提供及びそれらに関する情報の提供,通信を用いて行う硬貨投入式写真シール作成機で作成した画像・映像の提供及びそれらに関する情報の提供,硬貨投入式写真シール作成機による画像・映像の提供及びそれらに関する情報の提供,写真の撮影,硬貨投入式写真シール作成機による写真の撮影,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),撮影会・フォトコンテスト・イベント・パーティの企画・運営又は開催,硬貨投入式写真シール作成機に関連する撮影会・フォトコンテスト・イベント・パーティの企画・運営又は開催」を指定商品及び指定役務として、同年11月28日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和元年8月15日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成28年8月15日から令和元年8月14日までの期間(以下「要証期間」という。)である。 なお、本件商標の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、令和元年10月23日受付の特定承継による本権の移転の登録がされた結果、商標権者は、「株式会社メイクソフトウェア」(以下「前商標権者」という場合がある。)から「加賀デバイス株式会社」(以下「加賀デバイス」という。)になったものと認められる。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「写真機械器具,硬貨投入式写真シール作成機並びにその部品及び付属品,電子計算機用プログラム,硬貨投入式写真シール作成機用プログラム,ダウンロード可能な携帯情報端末機用プログラム,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,硬貨投入式写真シール作成機で作成したダウンロード可能なデジタル画像ファイル」(以下「請求に係る商品」という。)についての登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のとおり述べた。 本件商標は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである旨主張している。 なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。 第3 被請求人の主張 被請求人(前商標権者)及びその破産管財人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「乙第○号証」を「乙○」のように省略して記載する。 1 答弁の理由 被請求人(前商標権者)及び現商標権者は、請求に係る商品について、本件商標を使用していた。 2 本件商標の使用について (1)本件商標の付された「硬貨投入式写真シール作成機並びにその部品及び付属品」が平成30年12月1日付けで譲渡されていること 被請求人(前商標権者)は、大阪地方裁判所に対し、平成30年10月24日、破産手続開始の申立てを行い、同裁判所より、同日付けで破産手続開始決定がなされ、弁護士中西敏彰氏が破産管財人に選任された。これにより、被請求人の破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、破産管財人に専属することとなった。以下、被請求人の主張において、「被請求人」というときは、前商標権者及びその破産管財人の双方を含むものとする。 その後、被請求人は、加賀デバイスとの間で、平成30年11月30日、同年12月1日を譲渡実行日として、被請求人が破産手続開始時まで営んでいた電子遊戯機器(プリントシール機)の企画、開発、販売事業の譲渡に関する事業譲渡契約を締結した。当該事業譲渡の譲渡対象には、プリントシール機筐体一式が含まれている(乙1)。 そして、被請求人は、加賀デバイスに対し、当該事業譲渡契約に基づいて、本件商標が付されたプリントシール機(以下「使用商品」という。)4台を譲渡した(乙3)。 なお、被請求人は、本件商標を登録後、本件商標が付された使用商品である「USAGI」(乙4)、「USAGI2」(乙5)、「USAGI3」を販売やレンタル等していた。 乙2の商品説明にあるように、使用商品である「USAGI3」の筐体には、アルファベットで「USAGI」の文字が付されている。 以上のとおり、被請求人が、加賀デバイスに対し、平成30年12月1日、本件商標が付された使用商品である「USAGI3」を譲渡した事実は、第9類の指定商品中、「硬貨投入式写真シール作成機並びにその部品及び付属品」に本件商標を付し譲渡する行為にあたり、本件商標の使用といえる。 したがって、被請求人は、平成30年12月1日に、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類との関係で本件商標を「使用」しているものである。 (2)被請求人から本件商標の商標権を譲り受けた加賀デバイスが、「硬貨投入式写真シール作成機で作成したダウンロード可能なデジタル画像ファイル」に本件商標を付していること 被請求人が、加賀デバイスに対し、使用商品「USAGI3」及び本件商標の商標権を譲渡した後、加賀デバイスは、ゲームセンター等に当該「USAGI3」の商品を設置している。 ユーザーが「USAGI3」で撮影すると、撮影された画像ファイルは、プリントシール機に設置された通信機器により、加賀デバイスが管理するサーバに送信される。 ユーザーは、撮影した画像が印刷されたシールだけでなく、加賀デバイスが管理するスマートフォン専用ウェブサイトから、画像ファイルをダウンロードすることができ(乙6)、画像ファイルには本件商標が付されている(乙7)。 そして、画像ファイルのログには、撮影日時が記録され、ファイル名とログを照合すると、画像ファイルの撮影日時を特定することができ、「4776363.ee14a2f484f6c2c3d63dff5342880c41.jpg」というファイル名の画像ファイルは(乙8)、アカウントIDが「4776363」であることを示し、画像ログ(乙9)と照合すれば、撮影日時は令和元年8月13日17時であると分かるとおり、加賀デバイスが、令和元年8月13日、画像ファイルに本件商標を付した事実は、第9類の指定商品中、「硬貨投入式写真シール作成機で作成したダウンロード可能なデジタル画像ファイル」に本件商標を付す行為に当たり、本件商標の使用といえる。 したがって、商標権者である加賀デバイスは、令和元年8月13日に、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類との関係で、本件商標を「使用」しているものである。 (3)まとめ 本件は、商標法第50条第1項の要件を充足していないことが明らかであるので、本件商標取消審判請求は成り立たないものである。 第4 当審の判断 1 事実認定 (1)被請求人(前商標権者)及びその破産管財人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。 ア 被請求人(前商標権者)の破産管財人は、加賀デバイスとの間で、平成30年11月30日付けで、同年12月1日を譲渡実行日として、被請求人(前商標権者)が破産手続開始時まで営んでいた電子遊戯機器(プリントシール機)の企画、開発、販売事業の譲渡に関する事業譲渡契約を締結した(乙1)。当該事業譲渡の譲渡対象には、プリントシール機筐体一式が含まれている(乙1別紙 引継資産明細表)。そして、被請求人(前商標権者)の破産管財人は、加賀デバイスに対し、当該事業譲渡契約に基づいて、プリントシール機(以下「本件使用商品」という。)4台を譲渡し、その売却代金の請求が平成31年1月15日付けで行われた(乙2及び乙3)。 イ 被請求人(前商標権者)は、本件商標を登録後、「USAGI」の文字を付した使用商品、「USAGI2」の文字を付した使用商品、及び別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「本件使用商標」という。)を付した使用商品を販売及びレンタルを行っていた(乙2、乙4、乙5及び被請求人の主張)。 ウ 本件使用商品には、別掲1のとおり、本件使用商標が当該商品の筐体の側面2面の上部にそれぞれ顕著に大きく表示されている。(乙2)。 2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)譲渡した者 前記1のとおり、本件使用商品を譲渡したのは被請求人(前商標権者)の破産管財人であるが、譲渡時において本件使用商品は、被請求人(前商標権者)が所有していたものであるから、被請求人(前商標権者)が譲渡したとみて差し支えない。 (2)本件商標と本件使用商標について ア 本件商標 本件商標は、「USAGI」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ、該文字は、辞書等に載録のない語であり、これをローマ字とする日本語として、一般に親しまれている「ウサギ(兎)」の語を表記したものとして容易に理解されるものであるから、「ウサギ」の称呼及び「ウサギ(兎)」の観念が生じる。 イ 本件使用商標 本件使用商標は、別掲2のとおり、「Usagi3」の欧文字及び数字(「i」の欧文字の上部の点はハート図形で表され、また、「U」の欧文字はややデザイン化され、全体的に筆記体風に表されている。)を横書きし、当該文字中の「gi」の文字の上部に、平仮名で小さく「うさぎさん」の文字を配した構成からなるものであり、上記平仮名は、その下部の文字の読みを表したものと理解されるものであって、上記構成に照らせば、筆記体で大きく顕著に表された「Usagi3」の文字部分が、看者の注意を強く惹くといえるところ、その構成中「3」は、商品の規格、形式等を表示するための記号、符号として商取引上類型的に使用され得るものであり、前記1(2)イによれば、被請求人(前権利者)は、使用商品を「Usagi」、「Usagi2」として、販売していることがうかがわれることからすれば、本件使用商標中の「3」の数字は、シリーズ商品の規格、形式を表すにすぎないものというのが相当である。 そうすると、本件使用商標中の「Usagi」の文字部分が、自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきであり、これより、「ウサギ」の称呼及び「ウサギ(兎)」の観念が生じる。 ウ 本件商標と本件使用商標との同一性 上記ア及びイのとおり、本件商標と本件使用商標とは「USAGI(Usagi)」のつづりを共通にするものであり、また、いずれも「ウサギ」の称呼及び「ウサギ(兎)」の観念を同じくするものであるから、両者は、社会通念上同一の商標である。 (2)使用商品について 前記2(1)のとおり、使用商品は「プリントシール機」であり、当該商品は提出された証拠(乙2)によれば、本件商標の指定商品中、「硬貨投入式写真シール作成機」と認められるから、使用商品は請求に係る商品に含まれているといえる。 (3)使用者及び使用時期について 被請求人(前商標権者)の破産管財人は、平成30年12月1日に本件使用商品を加賀デバイスに譲渡したことが推認でき、上記(1)のとおり、譲渡した者は被請求人(前商標権者)と認められることから、前記1によれば、上記譲渡実行日において、本件商標の使用者は前商標権者であり、また、当該譲渡日は要証期間内である。 (4)小括 以上によれば、商標権者が、要証期間内に、請求に係る商品中、「硬貨投入式写真シール作成機並びにその部品及び付属品」の範ちゅうの使用商品の筐体に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを譲渡したと認めることができる。 この行為は、商標法第2条第3項第2号に該当する。 3 むすび 以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者がその請求に係る商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、請求に係る商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 使用商品 別掲2 使用商標 |
審理終結日 | 2020-09-02 |
結審通知日 | 2020-09-07 |
審決日 | 2020-09-30 |
出願番号 | 商願2014-62525(T2014-62525) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(W09)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉田 聡一 |
特許庁審判長 |
木村 一弘 |
特許庁審判官 |
中束 としえ 庄司 美和 |
登録日 | 2014-11-28 |
登録番号 | 商標登録第5721560号(T5721560) |
商標の称呼 | ウサギ |
代理人 | 寺島 英輔 |
代理人 | 高橋 隆二 |
代理人 | 上野 晋 |
代理人 | 杉原 誉胤 |