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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W09 審判 一部申立て 登録を維持 W09 審判 一部申立て 登録を維持 W09 審判 一部申立て 登録を維持 W09 審判 一部申立て 登録を維持 W09 審判 一部申立て 登録を維持 W09 審判 一部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1368391 |
異議申立番号 | 異議2020-900029 |
総通号数 | 252 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-12-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-01-31 |
確定日 | 2020-11-16 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6196525号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6196525号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6196525号商標(以下「本件商標」という。)は,「AISIN BLUE ENERGY LIFE」の欧文字を標準文字で表してなり,平成30年9月7日に登録出願,「太陽電池,燃料電池,その他の電池及びその部品,電動式乗物の電力供給用蓄電池,バッテリーボックス,太陽光発電パネル,太陽光発電装置,燃料電池発電装置,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,使用電力制御用機械器具,エネルギー管理用の電気式制御装置,電力供給装置,バッテリー充電装置,コージェネレーション装置によって発生した電力と商用電力とを切替えるための電力切替器,蓄電器」を含む第9類,第7類,第11類,第35類,第37類,第39類,第40類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,令和元年9月26日に登録査定,同年11月8日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標に係る登録異議の申立ての理由において,引用する登録商標(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5241646号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:Blue Energy(標準文字) 登録出願日:平成21年1月9日 設定登録日:平成21年6月26日 指定商品及び指定役務:第9類「電池,配電用又は制御用の機械器具」及び第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 (2)登録第5334294号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲1のとおり 登録出願日:平成21年12月3日 設定登録日:平成22年7月2日 指定商品及び指定役務:第9類「電池,配電用又は制御用の機械器具」及び第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 (3)登録第5334295号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成21年12月3日 設定登録日:平成22年7月2日 指定商品及び指定役務:第9類「電池,配電用又は制御用の機械器具」及び第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は,その指定商品及び指定役務中,第9類「太陽電池,燃料電池,その他の電池及びその部品,電動式乗物の電力供給用蓄電池,バッテリーボックス,太陽光発電パネル,太陽光発電装置,燃料電池発電装置,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,使用電力制御用機械器具,エネルギー管理用の電気式制御装置,電力供給装置,バッテリー充電装置,コージェネレーション装置によって発生した電力と商用電力とを切替えるための電力切替器,蓄電器」(以下「申立てに係る指定商品」という。)について,商標法第4条第1項第11号及び同項第10号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきものと申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 引用商標は,「Blue」と「Energy」の2つの語を軽重の差なく強固に結合させた造語であり,外観上「Blue Energy」とまとまり良く一連に表現され,称呼上も「ブルーエナジー」とよどみなく短くスムーズに発音されるもので,爽やかさをイメージさせる「Blue」と,これに後続するエネルギーを表す「Energy」との結合であっても説明的な意味を持つものでないことを配慮すれば,単に選択に止まるディクショナリーワード等に比べて,ストロングマークたるにふさわしい商標であるといえる。 実際,申立人における「Blue Energy」,「ブルーエナジー」は,「クリーンなエネルギーで青い地球を守ってゆくのだ」を実現することを誓うもので,地球環境保全に貢献したいとの思いを表徴する造語標章であり(甲3),需要者,取引者に強い印象を与えるものである。 イ 本件商標は,「AISIN」,「BLUE」,「ENERGY」及び「LIFE」の4つの語の結合よりなるもので,全体としては,外観的にも長く,「アイシンブルーエナジーライフ」の冗長な称呼を生ずるが,「AISIN」が商標権者のハウスマークとして使用される商標であること,「LIFE」が「生活」,「人生」等を表すもので先行する語に後続する語として用いられやすい語であることを配慮すると,実質的には,「AISIN」と「BLUE ENERGY LIFE」の2つの語の結合に係るものと考えられる。 そして,「BLUE ENERGY LIFE」における「BLUE ENERGY」が軽重の差なく強固な結合語であって,ストロングマークたるにふさわしい造語商標であることに鑑みれば,「LIFE」の部分は,出所識別機能において極めて弱い部分であり,「BLUE ENERGY」部分が出所識別標識として分離して取り出されるべき部分であると評価できる。 また,「AISIN」は,商標権者のハウスマークとして1966年(昭和41年)には商標登録を受け(甲4,甲5)ているところ,商標権者の事業は,自動車部品の開発と生産に関し,ブレーキシステム,トランスミッション,エンジン,カーナビゲーション等に及び,他にも,自動車部品を離れ,エネルギー関連商品をも市場に展開しており,これらの分野においては,「AISIN」商標はいわゆる周知性を獲得していると考える(甲6)。しかし,一方で,商標権者は,引用商標の指定商品とする「電池」等に係る事業には参画しておらず(甲6),この事業分野においては,周知性を獲得しているとは考え難い。 そして,本件商標の構成中,「BLUE ENERGY」の部分がストロングマーク的に出所識別機能の大きい造語であることからすれば,本件商標は,「AISIN」部分と「BLUE ENERGY LIFE」の部分が抽出され,更には「BLUE ENERGY LIFE」部分からは「BLUE ENERGY」部分が単独で抽出されると考える。 さらに,申立てに係る指定商品は,引用商標の指定商品と類似する。 したがって,本件商標は,引用商標と類似し,引用商標に係る指定商品中,申立てに係る指定商品について商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 引用商標は,上記のとおり,「Blue」と「Energy」が強弱の差なく強固に結びついた造語であり,その出所識別機能の大きさと相まって,周知性を獲得し易い性質を有するものである。 そして,かかる「Blue Energy」は,2009年(平成21年)に設立された申立人のハウスマークとして,10年余継続的,かつ,独占的に使用され,しかもその使用分野が「電池」等に特化し,資本金75億円にして,その売上げは2017年(平成29年)には170億円に達しており,「電池」等の業界では,社名「ブルーエナジー」と共に広く認識されるに至っている。 一方,本件商標は,上記のとおり,商品「電池」等については,「AISIN」部分と「BLUE ENERGY」部分が単独で抽出されるから,申立人の業務に係る商品「電池」等を表示するものとして需要者の間に広く認識され周知性を獲得しているハウスマーク「Blue Energy」と類似する。 実際,本件商標を商品「電池」等に使用した場合,ハウスマーク「Blue Energy」を使用する申立人の商品との誤認混同を生ずるおそれも強い。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第10号該当性について 本号は,「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定されている。 ア 引用商標の周知著名性について 申立人の提出に係る証拠及び主張によれば,以下のとおりである。 (ア)申立人は,2009年(平成21年)に車載用リチウムイオン電池の開発・製造・販売会社として設立されたものであり,申立人の業務に係るハイブリッド車向けのリチウムイオン電池は,2011年(平成23年)から量産され,2017年(平成29年)8月までには,本田技研工業株式会社のハイブリット仕様車の70万台以上に搭載されたことがうかがえる(甲3,甲7)。 (イ)申立人は,申立人のリチウムイオン電池が2017年(平成29年)には売上げが170億円に達している旨主張しているが,その裏付けとなる証左はなく,該商品に関する宣伝広告の方法・範囲・回数等についても確認できない。 (ウ)引用商標が付されている車載用リチウムイオン電池は,ハイブリッド仕様車内の電池モジュール内に設置されるもの(甲7)であるから,引用商標を目にする者は,限られた者になるというべきである。 (エ)以上からすれば,申立人は,車に搭載するリチウムイオン電池に引用商標を使用して,本田技研工業株式会社のハイブリット仕様車に70万台以上に搭載したことはうかがえるものの,申立人の業務に係る「リチウムイオン電池」の販売数や販売額等の販売実績は明らかではなく,また,広告実績も不明である。 そうすると,申立人の業務に係る「リチウムイオン電池」が含まれる「電池」等に使用されている引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に,申立人の業務に係る商品「電池」等を表示するものとして,広く認識されていたと認めることはできない。 イ 本件商標と引用商標との類否について (ア)本件商標 本件商標は,上記1のとおり,「AISIN BLUE ENERGY LIFE」の欧文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,同書,同大で,外観上,全体がまとまりよく一体的に表されており,構成文字全体から生ずる「アイシンブルーエナジーライフ」の称呼は,やや冗長ではあるものの,よどみなく一連に称呼され得るものである。また,その構成中の「BLUE ENERGY」の文字部分は,上記アのとおり,広く認識されていたものではないため,当該文字部分が看者に強い印象を与え,当該文字部分が分離抽出されるとする事情はない。そして,本件商標の構成中,「AISIN」の文字は直ちに特定の意味を理解させない造語であり,また,「BLUE」の文字は「青い」の意味を,「ENERGY」の文字は「エネルギー」の意味を,「LIFE」の文字は「生活」の意味を,それぞれ有する英語である(いずれも株式会社研究社 新英和中辞典)ものの,本件商標全体としては,直ちに何らかの意味合いを理解させないことから特定の観念は生じない。 してみれば,本件商標は,その構成全体をもって看取,把握されるべきものであるから,その構成文字に相応して,「アイシンブルーエナジーライフ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものというべきである。 (イ)引用商標 a 引用商標1は,上記2(1)のとおり,「Blue Energy」の欧文字を標準文字で表してなるところ,上記(ア)のとおり,その構成文字中,「Blue」の文字は「青い」の意味を,「Energy」の文字は「エネルギー」の意味を有する英語であるものの,商標全体としては,直ちに何らかの意味合いを理解させないことから特定の観念は生じないものである。 したがって,引用商標1からは,構成文字に相応した「ブルーエナジー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものというべきである。 b 引用商標2及び引用商標3は,上記2(2)及び(3)のとおり,図形の下,又は右横に「Blue Energy」の欧文字を書してなるところ,図形部分と文字部分とは,視覚上分離して認識されるものであり,また,これらが一体となって特定の観念や称呼を生ずるものでもなく,さらに,図形部分と文字部分とを常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない特段の事由もないから,両者は分離して把握されるものであり,それぞれが自他商品及び役務の識別標識としての機能を有するものである。また,上記のとおり,その構成文字である「Blue Energy」の文字は,当該部分全体として,直ちに何らかの意味合いを理解させないことから特定の観念は生じない。 そうすると,引用商標2及び引用商標3は,構成中の文字部分に相応した「ブルーエナジー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものというべきである。 c 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標の類否について検討するに,本件商標と引用商標の文字部分を比較しても,構成文字が相違し,両商標の全体を見ても外観において紛れるおそれはない。 また,称呼についても,上記のとおり,本件商標から生ずる「アイシンブルーエナジーライフ」の称呼と引用商標から生ずる「ブルーエナジー」の称呼とは,音構成及び構成音数において明らかな差異を有することから,称呼においても互いに紛れるおそれはない。 そして,観念については,上記のとおり,本件商標及び引用商標からは特定の観念は生じないものであるから,観念において比較することはできない。 そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないものであるとしても,外観及び称呼において互いに紛れるおそれのないことが明らかなものであるから,本件商標と引用商標は,非類似の商標というのが相当である。 ウ 小括 引用商標は,上記アのとおり,申立人の業務に係る商品「電池」等を表すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 また,上記イのとおり,本件商標と引用商標は非類似の商標である。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから,同号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について 上記(1)イのとおり,本件商標と引用商標は非類似の商標である。 したがって,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)申立人の主張について 申立人は,本件商標中「BLUE ENERGY」の文字部分が申立人のストロングマーク的に出所識別機能の大きい造語であることから,本件商標からは「BLUE ENERGY」の文字部分が単独で抽出される旨,主張する。 しかしながら,「Blue Energy」の文字又はそれを含む引用商標は,上記(1)アのとおり,我が国の需要者の間に,申立人の業務に係る商品「電池」等を表示するものとして,広く認識されていたと認めることはできないものである上に,本件商標は,上記(1)イ(ア)のとおり構成全体をもって看取,把握されることからすれば,本件商標から「BLUE ENERGY」の文字部分が単独で分離,抽出されることはないというべきである。また,提出された証拠から「BLUE ENERGY」の文字に着目して取引されるとする特段の事情は見いだせない。 (4)むすび 以上のとおり,本件商標は,申立てに係る指定商品について,商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に該当するものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標2:色彩については原本参照。) 別掲2(引用商標3:色彩については原本参照。) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2020-11-05 |
出願番号 | 商願2018-112868(T2018-112868) |
審決分類 |
T
1
652・
253-
Y
(W09)
T 1 652・ 263- Y (W09) T 1 652・ 251- Y (W09) T 1 652・ 261- Y (W09) T 1 652・ 262- Y (W09) T 1 652・ 252- Y (W09) T 1 652・ 255- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 加藤 桜子、池田 光治 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
大森 友子 藤村 浩二 |
登録日 | 2019-11-08 |
登録番号 | 商標登録第6196525号(T6196525) |
権利者 | アイシン精機株式会社 |
商標の称呼 | アイシンブルーエナジーライフ、アイシンブルーエネルギーライフ、アイシン、ブルーエナジーライフ、ブルーエネルギーライフ、エナジーライフ、エネルギーライフ |
代理人 | 川瀬 幹夫 |
代理人 | 小谷 昌崇 |