• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2020900117 審決 商標
異議2020900163 審決 商標
無効2017890005 審決 商標
異議2018900243 審決 商標
異議2018900217 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W354142
審判 一部申立て  登録を維持 W354142
審判 一部申立て  登録を維持 W354142
管理番号 1368390 
異議申立番号 異議2020-900142 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-05-21 
確定日 2020-11-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第6231794号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6231794号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6231794号商標(以下「本件商標」という。)は、「SUZUYE&SUZUYE Office」の文字を標準文字で表してなり、平成31年2月14日に登録出願、第35類「知的財産に関する事業の管理又は運営,知的財産権に関するコンピューターデータベースへの情報構築及び情報編集」、第41類「工業所有権関係の出願手続についての知識の教授,知的財産に関する教育研修,知的財産に関するセミナーの企画・運営又は開催,工業所有権の出願済み案件を記憶させた記憶媒体の貸与」、第42類「知的財産管理に関するコンピュータプログラムの設計又は作成に関するコンサルティング,知的財産権に関するウェブサイトのデザインの考案に関する情報の提供」をはじめ、第35類、第36類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、令和2年2月18日に登録査定され、同年3月3日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「SUZUYE&SUZUYE」の文字からなり、同人が所長代行として所属する「鈴榮特許綜合事務所」(以下「申立人事務所」という。)の正式英文名称として使用し、我が国及び世界で著名となっているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定役務中、第35類「知的財産に関する事業の管理又は運営,知的財産権に関するコンピューターデータベースヘの情報構築及び情報編集」、第41類「工業所有権関係の出願手続についての知識の教授,知的財産に関する教育研修,知的財産に関するセミナーの企画・運営又は開催,工業所有権の出願済み案件を記憶させた記憶媒体の貸与」及び第42類「知的財産管理に関するコンピュータプログラムの設計又は作成に関するコンサルティング,知的財産権に関するウェブサイトのデザインの考案に関する情報の提供」(以下「申立役務」という。)について、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第8号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標と引用商標との類似性及び混同性
ア 本件商標と引用商標の要部における同一性
(ア)本件商標の要部
本件商標は、「SUZUYE&SUZUYE Office」の構成よりなるものであるが、前半の「SUZUYE&SUZUYE」の部分は全てが大文字として表示され、一見して顕著であるのに対し、「Office」の部分は視覚的に見劣りし、外観的にも単なる付記的部分にすぎず、前半部との自然なつながりもない。
したがって、本件商標にあって出所標識として強く支配的な印象を与えるのは前半の「SUZUYE&SUZUYE」にあることは明らかである。
実際問題として、「Office」の語は「事務所、会社、営業所」等を意味する一般用語として用いられる日常語であり、それ自体が自他商品識別機能を発揮することがない(甲6)。
よって、本件商標は、引用商標とその要部において全く同一であり、事実上同一の商標といってよい。
(イ)引用商標(名称)の特徴(顕著な構成)
引用商標「SUZUYE&SUZUYE」の特徴は、第一に「SUZUYE」の文字を「&」を介し「SUZUYE&SUZUYE」とダブル構成とした点、第二に語尾を「YE」とした点にある。語尾を「YE」としたのは申立人事務所の英文名称であるため、外国人が発音する場合の便宜を考えてのものであり、引用商標(名称)の大きな特徴(特別顕著な構成)を成している(甲3)。
なお、平成26年3月7日にロゴマークが登録(商標登録第5654884号)されて以来、事務所の英文名称として当該ロゴマークも組み入れた表示の封書類を用いている(甲3)。
(ウ)本件商標は商標権者の名称のローマ字表記とはいえない
商標権者は本件商標を出願するに当たり、自己の名称「株式会社スズエ・アンド・スズエ事務所」をローマ字的に表記したものとの考えかもしれないが、これは正しいとはいえない。すなわち、本件商標は、法人であることを示す「Co.Ltd.」、「Inc.」等の表示が伴っていないこと、日本で「スズエ」をローマ字表記するとすれば「SUZUE」と綴るのが普通であり、人名についても社名についてもそのように綴られていること、また、日本人にとって「SUZUE」は素直に「スズエ」と発音できるが、「SUZUYE」に対しては、一見にどのように発音すべきか迷うところであり、直ちに「スズエ」との称呼は出ないことから、商標権者の法人名称を自然な方法でローマ字表記したものとはいえない。
また、その表示態様からみて前半部のローマ字による「SUZUYE&SUZUYE」と後半部の英語による「Office」との間に自然的なつながりもない。
よって、本件商標はすでに周知・著名となっている申立人事務所の名称(英文名称)をそっくり含み、実質的にはこれと同一の商標ともいえるものである。
イ 指定役務の類似性と混同のおそれ
(ア)申立役務中第41類の指定役務は、ほとんどの特許事務所が提供する日常的サービスであり、特許事務所の重要なサービスの一つである。
(イ)申立役務中第35類の指定役務は、申立人事務所のような総合的サービスを提供する特許事務所にとっては現に提供しているサービスの一つである。
(ウ)申立役務中第42類の指定役務は、知財に関する総合的サービスを提供する特許事務所にとっては、顧客より求められるサービスの一つである。事実、弁理士による企業の知財部向けや特許事務所向けの「特許期限管理システム」のソフトサービスを提供している例もある(甲19)。
ウ 引用商標の使用状況と周知・著名性
特許事務所が提供するサービスは、日用品や大衆物品の販売とは異なり、その需要者層は知的財産に関する主として企業及び企業の知的財産部門、弁護士、弁理士等の知的財産専門家、及び知的財産を取り扱う特許庁、裁判所等である。
したがって、本件における特許事務所の名称(英文名称)としての周知・著名性の判断は、自ずとこれらの需要者、取引者間においてどの程度浸透しているかがポイントとなる。
次のような事実から、日本の顧客はもちろん、それ以外の知財関係者一般、さらには海外の代理人にも、「SUZUYE&SUZUYE」が申立人事務所の名称として広く知られていたといえる。
(ア)各種講演会、セミナー等における使用状況
申立人事務所は、1979年に「SUZUYE&SUZUYE」を正式英文名称とし、使用を開始し(甲4)、以来当該英文名称を、講演会、セミナー、海外ニュース配信、海外案件の報告書等で使用している(甲7、甲8。一例である。)。
(イ)知財関係雑誌等における広告等
申立人事務所が加盟する知的財産に関する各種団体が発行する各種雑誌(特許ニュース、AIPPI、月刊「発明」等)等の広告において、1979年以来、引用商標が申立人事務所の日本語名称と共に併記して使用(掲載)されている(甲9、甲10)。
(ウ)名刺、請求書等による使用
引用商標は、申立人事務所に所属する弁理士等の名刺にも使用され、また、外国代理人から送付されてくる請求書、DHLやFedExからの請求書等の宛先として記載されている(甲11)。
外国代理人から送付されてくる請求書等の宛名は全て「SUZUYE&SUZUYE」であり、これら請求書で日本の顧客に送付された件数は、2016年18,504件、2017年17,207件、2018年16,084件である。
エ 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性
以上述べたとおり、本件商標は、その出願時において周知・著名となっている引用商標とその要部を同じくし、事実上同一といえるものであり、申立役務は申立人事務所が提供する役務と同一又はこれと密接な関連を有するものであるから、これを申立役務に使用すると、申立人事務所が提供するサービスであるかのごとく誤認、混同を与え、その営業主体について混同を生じることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に違反して登録されたものである。
オ 商標法第4条第1項第8号該当性
申立人事務所は日本の最大級の事務所の一つであり、その取り扱い件数も多く、「SUZUYE&SUZUYE」が申立人事務所の英文名称であることは日本の特許事務所、法律事務所、企業の知財関係者の間では勿論のこと、海外の同業者においても広く知られているものである。
よって、本件商標は、申立人が引用する周知・著名な名称(商標)をそっくり含み、実質的にはこれと同一ともいえるものであるので、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
(2)引用商標の国際的著名性の事実等
ア WIPO等の国際機関等における著名性
1979年以降、申立人事務所が行う海外業務、すなわち、WIPO、EUIPO等に対する手続きにおいて、全て「SUZUYE&SUZUYE」の名称で行っている(甲12)。
イ 海外代理人等に対する周知度
1980年及び2014年ないし2015年に海外代理人から申立人事務所に宛てられたレターは「SUZUYE&SUZUYE」の名称で宛てられており、海外代理人においても該名称が継続使用され、定着している(甲13、甲14)。
また、申立人事務所「SUZUYE&SUZUYE」は、2014年におけるアジアの特許事務所のランキングで、第2位(Tier2)にランクされている(甲15)。
ウ 海外での商標登録
「SUZUYE&SUZUYE」は、世界主要30か国以上で商標登録されている(甲16)。
エ 小括
以上から明らかなように、申立人事務所の海外業務は1979年以来、全て「SUZUYE&SUZUYE」の名称で行われ、WIPO等の公的機関が発行する文書も全て「SUZUYE&SUZUYE」宛てになされ、これら文書のコピーは全て日本の依頼者にも送付されるものであるから、「SUZUYE&SUZUYE」は申立人事務所の英文名称として日本の顧客のみならず、広く知財関係者(世界の同業者、公的機関も含む)に対して周知・著名性を獲得していることは明らかである。
(3)申立人事務所の主体的適格性
申立人事務所は、従前より個人経営の事務所であり、現所長に「個人」から「個人」へ事業承継され、申立人事務所の対内的及び対外的法的地位はすべて現所長に承継(無限責任)されており、かかる承継は日本弁理士会及び特許庁に届け出がなされ、一時の遮断もなく今日に至るまで事業承継がなされており、特許事務所としての同一性を保持してきた事務所である。なお、弁理士関連法規「事務所名称に関するガイドライン」(甲18)においては事務所承継者と事務所名称の継続使用について規定しており、外国名称についても当然のことである。
したがって、申立人事務所は、ア)今日に至るまで同一性を保った事務所であること、イ)「SUZUYE&SUZUYE」が申立人事務所の英文名称として1979年以来、40年間も継続使用してきたこと、ウ)その結果、日本国内のみならず、海外の同業者、公的機関(WIPO、EUIPO等)に対して著名性を獲得していること等から、「SUZUYE&SUZUYE」は申立人事務所を指すものとして内外に亘り広く知れ渡っていることは疑いをはさむ余地はない。
(4)他の関連法規との関係
弁理士関連法規における「外国名称」の扱い(甲17、甲18)に違反事実等が生じた場合は、不正競争防止法が関係してくるものと考えられる。また、引用商標は不正競争防止法で保護する「周知」、「著名」な「商品等表示」(同法第2条第1項第1号、同項第2号)に該当すると考えられるので、同法との関係で問題が生じるおそれが強いといわざるを得ない。
本件商標は、商標法のみならず、弁理士法及び同関連法規、不正競争防止法の趣旨にも反するおそれが強いものであるから、商標法が目的とする公正な競業秩序に違反するおそれが強いと考える。
(5)まとめ
以上を総合勘案すれば、本件商標は、申立人事務所が提供するサービスであるかのごとく誤認を生じさせ、あるいは、その営業主体について混同を生じさせるおそれがあるものであり、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第8号に違反して登録されたものといわねばならない。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報等)によれば、申立人事務所は、同事務所を表示するものとして、「SUZUYE&SUZUYE」の文字からなる標章(小文字表記を含む。)を、昭和54年頃から現在まで継続して使用していること(甲3、甲4、甲7?甲15)、及び申立人事務所の代表者は、米国、EU加盟国、中国等において、商標「SUZUYE&SUZUYE」の商標登録を保有していること(甲16)等がうかがえる。
しかしながら、申立人事務所における申立役務の取引額(売上高)等の取引実績、及び申立人事務所が提供する役務(以下「申立人事務所役務」という。)の取引額(売上高)等の取引実績は確認できない。
イ 上記アのとおり、申立人事務所は、同事務所を表示するものとして、「SUZUYE&SUZUYE」の文字からなる標章(引用商標)を、昭和54年頃から現在まで継続して使用していることがうかがえることから、引用商標は、知的財産に係る役務の需要者の間である程度知られているといい得るものの、申立人事務所の申立役務及び申立人事務所役務の取引実績は確認できないから、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人事務所を表示するものとして及びその略称として、並びに申立人事務所の業務に係る役務を表示するものとして、知的財産に係る役務の需要者はもとより、一般の需要者の間に広く認識されているもの(周知・著名なもの)と認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第8号について
ア 申立人は、本件商標は国内外の知財関係者の間で周知・著名な申立人事務所の英文名称「SUZUYE&SUZUYE」を含むので商標法第4条第1項第8号に該当する旨主張している。
イ 上記申立人の主張が、申立人事務所の英文名称「SUZUYE&SUZUYE」が周知・著名であることを前提に商標法第4条第1項第8号該当性をいうものかは必ずしも判然としないものの、仮に周知・著名性を前提とする主張であれば、上記(1)と同様の理由から、申立人が主張する申立人事務所の英文名称「SUZUYE&SUZUYE」は、需要者の間に広く認識されているもの(周知・著名なもの)と認めることはできないものであるから、上記申立人の主張は、その前提を欠くものである。
そして、申立人事務所名は「鈴榮特許綜合事務所」であるところ、「SUZUYE&SUZUYE」の文字は、「特許事務所」の文字に相当する一般的な英文表記(例えば「PATENT OFFICE」)等を伴わないものであって、申立人提出の証拠に徴しても「SUZUYE&SUZUYE」の文字のみで商標法第4条第1項第8号にいう「名称」にあたるといえる事実が見いだせない。さらに、該文字は同号にいう「略称」の一種(英文表示)にあたるとみる余地があるとしても、同号該当性の判断にあたっては、結局当該略称が著名であることを要するものであり、上述のとおり「SUZUYE&SUZUYE」の文字が著名性を有しないから、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標ということはできず、商標法第4条第1項第8号に該当するものということができない。
なお、仮に、申立人事務所の上記英文名称「SUZUYE&SUZUYE」が「名称」であることを前提に検討したとしても、法人格を有しない申立人事務所の名称については、いわば権利能力なき社団としての名称として、法人との均衡上、その名称は、商標法4条1項8号の略称に準ずるものとして著名性を要するものと解すべきであるから、その英文名称とされる「SUZUYE&SUZUYE」についても、同様に著名性を要するものと解すべきである(平成13年4月26日東京高裁平成12年(行ケ)第344号)。そして、上述のとおり「SUZUYE&SUZUYE」の文字が著名なものとは認められないものである以上、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当するものということができない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
ア 本件商標と引用商標の類否
本件商標は、上記1のとおり「SUZUYE&SUZUYE Office」の文字を標準文字で表してなるものであり、その構成中、語尾の「Office」の文字が「事務所、オフィス」等の意味を有し、役務の提供場所を表示するものとして認識させることの少なくないものであって、自他役務識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものであるから、語頭の「SUZUYE&SUZUYE」の文字部分が独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、「SUZUYE&SUZUYE」の文字からなる引用商標と類似する商標といえる。
イ 申立役務と申立人事務所役務の類否
申立人事務所役務について、具体的な役務の言及がないので、以下、申立役務と、いわゆる特許事務所が提供する役務との類否を検討することとする。
本件商標の申立役務は、上記3のとおり、第35類「知的財産に関する事業の管理又は運営,知的財産権に関するコンピューターデータベースヘの情報構築及び情報編集」、第41類「工業所有権関係の出願手続についての知識の教授,知的財産に関する教育研修,知的財産に関するセミナーの企画・運営又は開催,工業所有権の出願済み案件を記憶させた記憶媒体の貸与」及び第42類「知的財産管理に関するコンピュータプログラムの設計又は作成に関するコンサルティング,知的財産権に関するウェブサイトのデザインの考案に関する情報の提供」である。
そして、申立役務を提供する特許事務所があるとしても(例えば甲19)、申立役務といわゆる特許事務所が提供する役務の一般的、恒常的な取引の実情においては、両者の一部の需要者が一致するといえるものの、両者の提供手段、目的、場所、提供に関連する物品が一致する、業種や規制する法律が同じである、及び同一の事業者が提供するものである等というべき事情はいずれも見いだせない。
そうすると、これらの事情を総合して判断すれば、両役務は、それらに同一又は類似の商標を使用しても、それら役務が同一営業主の提供に係る役務と誤認混同するおそれのない非類似の役務と判断するのが相当である。
また、他に両役務が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、申立役務と特許事務所が提供する役務、換言すれば、申立人事務所役務とは、非類似の役務というべきものである。
ウ 小括
上記アのとおり本件商標と引用商標は類似するものの、上記(1)のとおり引用商標は申立人事務所の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記イのとおり、申立役務と申立人事務所役務とは非類似の役務というべきものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
上記(3)アのとおり本件商標と引用商標は類似し、申立役務と申立人事務所役務の一部の需要者が一致するとしても、上記(3)イのとおり申立役務と申立人事務所役務とは非類似の役務であって、特許事務所が付随して申立役務を提供することがあるとしても、本来的に申立役務はIT・ソフトウェア・情報処理事業や教育事業を営む者が取り扱う役務であり、両者の関連性の程度は強いとまではいえないものであり、何より、上記(1)のとおり引用商標は申立人事務所の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起するものということはできない。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれを登録異議の申立てに係る指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人事務所)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の指定役務中、登録異議の申立てに係る指定役務についての登録は、商標法第4条第1項第8号、同項第10号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

異議決定日 2020-11-04 
出願番号 商願2019-24641(T2019-24641) 
審決分類 T 1 652・ 25- Y (W354142)
T 1 652・ 23- Y (W354142)
T 1 652・ 271- Y (W354142)
最終処分 維持  
前審関与審査官 地主 雄利田崎 麻理恵 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 板谷 玲子
黒磯 裕子
登録日 2020-03-03 
登録番号 商標登録第6231794号(T6231794) 
権利者 株式会社スズエ・アンド・スズエ事務所
商標の称呼 スズエアンドスズエオフィス、スズエアンドスズエ、スズエ 
代理人 橋本 良樹 
代理人 幡 茂良 
代理人 矢野 ひろみ 
代理人 小出 俊實 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ