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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W30
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W30
管理番号 1368310 
審判番号 不服2019-6526 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-20 
確定日 2020-10-28 
事件の表示 商願2017-42211拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ステーキしょうゆ」の文字を標準文字で表してなり、第30類「醤油を加味した調味料」を指定商品として、平成29年3月29日に登録出願され、その後、本願の指定商品については、当審における令和2年3月23日付け手続補正書により、第30類「醤油を加味したステーキソース,醤油を加味したステーキスパイス」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「ステーキしょうゆ」の文字を標準文字で表してなり、その構成中の「ステーキ」の文字は、「肉や魚の厚めの切り身を焼いた料理。特に、ビーフ-ステーキの略。」を表し、また、「しょうゆ」の文字は、調味料を指称し、「しょうゆ」は、ステーキ用の調味料に普通に使用されている実情が認められるところ、本願商標は、その指定商品との関係において、「醤油を加味したステーキ用の商品(調味料)」程の意味合いを無理なく看取させるものといえる。
したがって、本願商標は、単に商品の原材料、用途、品質を普通に用いられる方法で表したものであって、自他商品識別機能を果たさないものとみるのが相当であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
さらに、出願人は、意見書において、出願人の永年にわたる使用によって、出願人の提供する商品を指称する商標として、需要者に広く認識されるに至っている旨主張するが、提出に係る各資料をみると、使用に係る商標は、使用商品の容器状のパッケージの側面に、やや太字でデザイン化された「ステーキ」の文字及び「しょうゆ」の文字を縦書きの二行で表し、その下部に、「Kikkoman」のローマ文字を配した構成からなるもの又はキッコーマンの文字及びやや太字でデザイン化された「ステーキ」の文字並びに「しょうゆ」の文字を縦書きの3行で表した構成からなるものである。また、使用商品の紹介記事、広告宣伝等においても、商標「キッコーマン」の文字と併せて紹介又は使用していることがうかがえる。
そうとすれば、商標の使用態様に係る諸事情に照らし、使用商品又はその宣伝広告媒体に接した取引者、需要者は、「ステーキ」「しょうゆ」の文字のみによって、商品の出所が出願人であると認識することはなく、むしろ、商標「Kikkoman」又は「キッコーマン」の文字に着目して、その商品の出所が出願人であると認識すると解するのが自然であるから、使用商品を他社商品から識別する機能を有する商標部分は「ステーキ」「しょうゆ」ではなく、「Kikkoman」又は「キッコーマン」にあるといわざるを得ない。
したがって、出願人による本願商標の使用の実際を総合して勘案しても、使用の結果、「ステーキ」「しょうゆ」の文字のみにより、当該商品が何人かの業務に係るものであることを認識できるほど、取引者、需要者間に広く知られるに至ったものとまでは認めることができない(から商標法第3条第2項の用件を具備しない)。

3 当審においてした審尋
当審において、審判長は、請求人に対し、令和2年2月3日付けで、別掲1に示すとおりの用例を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、同条第2項に規定する要件を具備しないとする旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答
請求人は、前記3の審尋に対し、令和2年3月23日付け回答書及び同年6月5日付け上申書を提出し、要旨以下のように主張した。
(1)ステーキ用の調味料の名称としては、むしろ「ステーキソース」や「ステーキスパイス」が一般的であり、本願商標は、その指定商品である醤油を加味したステーキソースやステーキスパイスを暗示するものではあっても、単にその商品の品質を表すにすぎないものには当たらない。また、僅か数件の、ある特定の地域で製造、販売されている商品の使用例のみをもって、その取引者、需要者間において、その商品の品質を直接的に表示したものとまでいうことはできない。
(2)仮に、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、その使用がされた結果、需要者が請求人の業務に係る商標であることを認識できるに至っていると確信する。
(3)請求人が本願商標を使用している「ステーキしょうゆ」商標には、毛筆風の書体による「ステーキ」の文字と「しょうゆ」の文字とを2列に縦書きしてなるものも存在するが、両者に書体や文字の書き表し方などにおいて相違する場合があるとしても、外観上同視し得るものであって、商標としての同一性を損なうものではない。
(4)商品のラベルには、「ステーキしょうゆ」の文字のほか、「キッコーマン」の文字及び「kikkoman」の文字からなる標章、請求人のれん記号等の表示があるとしても、「ステーキしょうゆ」の文字及びのれん記号等は、文字の大きさ、色彩において顕著に相違しており、外観上、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合してはいない。そして、請求人は、「ステーキしょうゆ」の文字と「kikkoman」の文字及びのれん記号を、一個の商標として扱うような積極的な行為に及んでいる訳ではない。したがって、「ステーキしょうゆ」の文字が「キッコーマン」等の文字に連続して表示されている態様のものも含めて、「ステーキしょうゆ」の文字よりなる本願商標が、標章として独立して指定商品に使用され、自他商品識別機能を備えているに至ったものと認められる。
(5)請求人が本願商標を使用しているとする商品(以下「本件商品」という。)は、販売開始の翌年である1995年(平成7年)には、販売量が約40万ケースとなり、年間販売額も10億円を超えていることをも考慮すると、発売当初の1994年(平成6年)から1996年(平成8年)におけるテレビCMは、莫大な費用を投じ、全国規模で出稿されたことは容易に推認できるものである。また、請求人は、本件商品の広告(販促)活動を複数回行い、本件商品は、テレビ番組、雑誌等にも多数取り上げられている。このことからも、本願商標は、請求人の商標として認知され、現実に自他商品の識別標識として機能しているものである。
(6)本件商品の販売金額や販売容量は、2012年(平成24年)4月1日から2019年(平成31年)3月31日までの間、全国及び首都圏のいずれにおいてもシェア1位である。
(7)本願商標について、銘柄想起調査を実施した。このアンケート調査によれば、調査対象者の47.5%、調味料の主たる需要者層である40代から60代の女性334人にあっては、その54.2%が、本願商標から請求人を想起した事実が認められた。そして、これら40代から60代の女性のうち、「本願商標と同一の文字を見せて、思い浮かぶメーカー」において「キッコーマン」と回答した者は44.3%であり、「その理由」について、主として「(店頭等で)見たことがある。」、「有名である。」又は「購入したことがある。」のいずれかを回答している。本願商標が仮に、生来的な識別力が弱いとしても、この調査結果をもって、長期にわたる本願商標の継続的な使用により、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと判断することができる。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「ステーキしょうゆ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「ステーキ」の文字は「肉や魚の厚めの切り身を焼いた料理。特に、ビーフ-ステーキの略。」の意味を、「しょうゆ」の文字は「調味料。旨味(うまみ)と鹹味(からみ)とを有し、特有の香気をもつ褐色の液汁。」の意味を、それぞれ有する語(各語の意味については、いずれも「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店)から引用。)として、一般に広く知られているものであるから、本願商標は、当該両語を組み合わせてなるものと看取、理解されるものといえる。
そして、本願の指定商品である「醤油を加味したステーキソース,醤油を加味したステーキスパイス」を含め、調味料を取り扱う業界においては、例えば、原審で示した例(甲1?甲9)のように、ステーキ用の調味料などとして、醤油を原材料としたソース又はスパイス、あるいはステーキ用の醤油等が一般に製造、販売されており、そのような調味料について、「ステーキ醤油」と称しているものもある(別掲1)。
そうすると、「ステーキ」の語と「しょうゆ」の語とを組み合わせてなる本願商標をその指定商品である「醤油を加味したステーキソース,醤油を加味したステーキスパイス」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、本願商標について、醤油を加味したステーキ用の調味料であること、すなわち、商品の品質を表したものとして看取、理解するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
ア 商標法第3条第2項について
商標法第3条第2項が、同条第1項第3号等所定の商標であっても、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものについては、商標登録を受けることができるとする趣旨は、特定人が、当該商標を、その者の業務に係る商品の自他識別標識として、永年の間、他人に使用されることなく、独占的排他的に継続使用した実績を有する場合には、当該商品に係る取引界においては、事実上、当該商標の当該特定人による独占的使用が事実上容認されているといえるので、他の事業者にその使用の機会を開放しておく公益上の要請が乏しくなるとともに、当該商標が、自他商品識別力を獲得したことにより、商標としての機能を備えるに至ったことによるものと解される。
ところで、同条第2項の規定上、同項によって商標登録が認められるのは、使用されていた商標に限られることは明らかであるが、上記のように、同条第1項第3号等の規定に対する例外規定である同条第2項の規定は、当該商標が、特定人によりその業務に係る商品の自他識別標識として使用されてきた事実に基づく、公益上の要請の後退及び自他商品識別力の取得という現象に基礎を置くものであって、当該「使用」の範囲に含まれない構成態様の商標には、同条第2項により商標登録を受けることを許容する根拠が認められるわけではない(すなわち、当該「使用」の範囲に含まれない構成態様の商標が、なお同条第1項第3号等に当たる場合であれば、上記公益上の要請及び識別力の欠如という状態が存在する)のであるから、同条第2項の適用において、登録出願に係る商標と使用されていた商標との同一性は、厳格に判断されるべきものと解するのが相当である(平成19年4月10日判決言渡、平成18年(行ケ)10450号 知的財産高等裁判所第4部判決参照)。
そして、請求人は、本願商標について、仮に、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、その使用がされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至った商標であるから、同条第2項の規定により、商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠方法として、甲第10号証ないし甲第108号証を提出しているため、本願商標が同条第2項の要件を具備するかについて、上記判決に照らし、以下、検討する。
イ 商標の使用について
(ア)商標の同一性について
本願商標は、標準文字による「ステーキしょうゆ」の文字を、横書きに一連に表してなるものである。
これに対し本件商品の容器には、1994年(平成6年)9月の発売開始時から、別掲2のとおり、毛筆風の書体による「ステーキ」の文字と「しょうゆ」の文字とを2列に縦書きしてなる標章(「しょうゆ」の文頭はその右上にある「ステーキ」の「ス」及び「テ」の間の位置あたりから始まり、「しょうゆ」が字下げされた段違いの配列。以下「使用商標」という。)のほか、商品の出所を表したと認識され得る標章(「キッコーマン」の文字からなる標章、亀甲形の中に「萬」の文字を配してなるいわゆるのれん記号からなる標章(以下「請求人のれん記号」という。)等)の表示のあるラベルが付されている(甲12、甲18)。
その後、本件商品は、例えば、別掲3ないし5に示すように、商品の包装のデザイン等に差異があるものの、その商品のラベルには、上記発売当初のものと同様に、毛筆風の書体による「ステーキ」の文字と「しょうゆ」の文字とを2列に縦書きしてなる使用商標のほか、商品の出所を表したと認識され得る標章(「キッコーマン」の文字又は「kikkoman」の文字からなる標章、請求人のれん記号等)の表示がある(甲16、甲26、甲27、甲34、甲41、甲46、甲49、甲50、甲77、甲81、甲90等)。
そうすると、本願商標と使用商標が、構成文字において一致するとしても、本願商標と使用商標とでは、外観において相当程度に相違しており、商品の出所を表したと認識され得る標章の有無を置くとしても、使用商標の使用が、実質的に本願商標の使用に当たるということはできない。
(イ)商品の同一性について
請求人が使用商標を付して販売する商品は、「丸大豆しょうゆ」を原材料として使用したステーキソース(甲12)及び「粉末しょうゆ」を原材料として使用した肉専用スパイス(甲90)であるから、これらは本願の指定商品「醤油を加味したステーキソース,醤油を加味したステーキスパイス」とは同一のものといえる。
ウ 商標の使用状況に関する事実について
(ア)使用開始時期及び使用期間
請求人の販売に係る本件商品は、1994年(平成6年)9月に、肉料理専用の調味料「キッコーマン・ステーキしょうゆ」(「にんにく風味」、「あらびきおろし」及び「オニオン風味」の3タイプ。)として発売されたものである(甲12、甲15、甲17?甲19)。その後も、本件商品は、風味の種類(タイプ)が追加(甲19、甲24?甲27)され、業務用のものが発売(甲23)され、また、粉末タイプの商品が追加(甲90?甲92、甲98、甲99)される等して、継続的に製造、販売されている(甲12、甲16、甲18、甲26、甲27、甲34、甲41、甲46、甲49、甲50、甲52?甲55、甲58、甲59、甲68、甲69、甲71、甲74、甲77、甲80、甲81、甲90?甲94、甲96?甲99、甲103、甲106)。
そうすると、請求人は、26年間にわたり、使用商標を使用した商品を販売しているといえる。
(イ)商品の販売数及び市場占有率等
本件商品は、販売開始の翌年である1995年(平成7年)には、販売量が約40万ケースとなったとされ、年間販売額が10億円を超えたとされる(甲19、甲20)。
また、「牛肉対応品のメーカー別売上状況」とされるもののうち、区分を「ステーキソース」とするものにおいては、2013年(平成25年)から2016年(平成28年)までの間、「キッコーマン」が金額1位であったことがうかがえる(甲35?甲37)。
さらに、株式会社インテージのデータベースを用いた調査結果(調査対象品目:肉用調味料(ステーキソース))によれば、2012年(平成24年)4月1日ないし2017年(平成29年)3月31日の期間に、「キッコーマン」が金額及び容量について、全国及び首都圏のいずれにおいてもシェア1位であったとされ(甲38)、同じく株式会社インテージのデータベースを用いた「ステーキソース 市場規模月別推移(全国)(金額ベース)」によれば、2017年(平成29年)度ないし2019年(令和元年)度(ただし、2019年度の集計は、1月まで。)の期間に、「キッコーマン」が金額1位であったとされている(甲102)。
なお、本件商品は、時期は不明であるものの、北海道(札幌市、石狩市)、埼玉県(ふじみ野市)、東京都(町田市)、神奈川県(横浜市、藤沢市)、愛知県(名古屋市、尾張旭市、大府市、岡崎市、蒲郡市)、兵庫県(西宮市)のスーパーマーケット等において陳列されている様子がうかがえる(甲57)ほか、2018年(平成30年)3月には、「楽天市場」及び「Amazon.co.jp」を通じた通信販売がされていることがうかがえる(甲58、甲59)。
(ウ)広告宣伝等の方法、期間、地域及び規模
a テレビCM
請求人は、本件商品について、発売当初の1994年(平成6年)に「見抜いていた女編」、1995年(平成7年)に「コンサート編」、1996年(平成8年)に「サイコロ編」と称するテレビCMを制作した(甲18)ところ、これらのテレビCMは、1994年(平成6年)ないし1996年(平成8年)の期間に、関東地区のテレビ局(日本テレビ放送網、TBSテレビ、フジテレビジョン、テレビ朝日)、関西地区のテレビ局(毎日放送、朝日放送テレビ、関西テレビ放送、讀賣テレビ放送)及び名古屋地区のテレビ局(東海テレビ放送、CBCテレビ、名古屋テレビ放送、中京テレビ放送)において、それぞれ放送されたことがうかがえる(甲105)。そして、テレビCMの内容の一部として、本件商品のラベル部分の映像や、本件商品の映像が含まれていることが認められる(甲106)。
しかしながら、これらのテレビCMは、審決時から20年以上も前のものであり、1997年(平成9年)以降に、請求人が、本件商品について、テレビCMを制作したとする証拠は提出されていない。
b キャンペーン等
請求人は、1997年(平成9年)8月頃、1998年(平成10年)6月頃、2005年(平成17年)7月ないし9月頃、2012年(平成24年)5月頃、2013年(平成25年)9月頃、2015年(平成27年)8月頃、2016年(平成28年)11月ないし2017年(平成29年)2月頃、2018年(平成30年)2月頃、同年11月ないし2019年(平成31年)1月、2019年(令和元年)10月ないし2020年(令和2年)1月に、本件商品等の購入者を対象にステーキ肉、大皿、ゲーム、ペンダント、ギフト券等をプレゼントするキャンペーンを行ったり、2009年(平成21年)6月に大阪のショッピングセンター、2016年(平成28年)2月に東京の専門店街でタイアップによる販促活動をしたことがうかがえる。
このうち、2016年(平成28年)11月ないし2017年(平成29年)2月頃に行われたキャンペーンの応募者総数は20,808人であり、2018年(平成30年)11月ないし2019年(平成31年)1月及び2019年(令和元年)10月ないし2020年(令和2年)1月に行われたキャンペーンの応募者総数は、前者が6,299人、後者が4,110人であったことがうかがえる(甲39?甲48、甲84?甲87)。
エ アンケート調査
(ア)請求人は、以下のとおり、株式会社インテージに依頼して、2020年(令和2年)4月2日ないし同月6日の間に、「文字商標に関する調査」を実施した。この調査は、インターネット調査として実施されたものであって、16歳ないし69歳の全国の男女を対象として行われたものであり、調査の集計対象数は1,071であった。また、調査対象者からは、本人及び同居家族が「マスコミ・広告、新聞・放送業/市場調査」「食品のうち、しょうゆ・ソース製造メーカー」に従事している者は除外されている。なお、前の質問に戻って回答することはシステム上不可能となっていた(甲108)。
(イ)上記調査の具体的内容は、まずQ4として、回答者に本願商標を提示し、「この商品名を見て、あなたが思い浮かべたメーカー名、企業名をお答えください。」と質問した(自由回答)。
回答結果は、「キッコーマン」と回答した者は36.0%であり、残りの64%の回答者は、「エバラ」「いきなりステーキ」「味の素」「ヤマサ」「モランボン」「ミツカン」「日本食研」等と回答した。
(ウ)次に、Q6として、回答者に本願商標を提示し、「この商品のメーカー名をお選びください。」と質問し、選択肢として、「キッコーマン/ヤマサ醤油/正田醤油/ヒゲタ醤油・・・/エバラ食品/日本食研/モランボン・・・/カゴメ/ブルドックソース/その他:具体的に( )」のように、22社の社名及び自由回答欄が提示された。
回答結果は、「キッコーマン」と回答した者は41.2%であり、残りの58.8%の回答者のうち、最も多かった回答は、「その他」であった。
オ 第三者による紹介
(ア)テレビ番組や新聞等
2017年(平成29年)7月18日に、テレビ東京において放送された「液体グルメバラエティー たれ」と称する深夜テレビ番組において、テレビ画面上に「第1回たれ会議『焼肉に合うたれは?』」及び「伊集院の好きなタレ/キッコーマン/ステーキしょうゆたまねぎ風味」のテロップとともに、本件商品(業務用と思しきもの)が映し出されている様子がうかがえる(甲51、甲88、甲89)。
また、2016年(平成28年)の秋頃発行のフリーマガジン「素材のちから」(2016Autumn第23号)に本件商品(業務用と思しきもの)の紹介記事が掲載された(甲16)。
その他、本件商品のうち、「キッコーマン ステーキしょうゆ トリュフ&ポルチーニ風味」と称するものが2017年(平成29年)8月21日に、また、「キッコーマン ステーキしょうゆ 粉末しょうゆ&スパイス」と称するものが2019年(令和元年)8月19日に、それぞれ新発売されるに当たり、その前後の時期に、新聞記事やウェブ記事において、商品紹介記事が掲載されたことが認められる(甲49、甲50、甲52?甲54、甲56、甲91?甲94、甲96?甲99)。
(イ)ブログ記事
甲第60号証ないし甲第76号証は、主に本件商品を購入した者がその購入の経緯や使用したときの感想等を述べているブログ記事であり、その内容において商品を紹介する際には、例えば、「キッコーマンの“ステーキしょうゆ”」(甲61)や「キッコーマンステーキしょうゆ」(甲67)、「キッコーマン ステーキしょうゆ」(甲62、甲63、甲66、甲68、甲69、甲71、甲72、甲74)のように、おおむね「キッコーマン」の文字が商品の出所を表示するものと看取、理解されるような記載がされていることが認められる。
(ウ)SNS(ソーシャルネットワークサービス)への投稿
請求人は、「ステーキしょうゆ」の文字が、単独で、本件商品を指称するものとして、需要者の間に広く認識されている証拠として、「ステーキしょうゆ」のハッシュタグにより投稿されたツイッターやインスタグラムを提出している(甲100、甲101)。
しかしながら、ツイッターにおける投稿件数は、僅か約20件強(2020年2月14日時点)にとどまるものであると共に、その投稿の6割以上において、「キッコーマン」のハッシュタグが併記されていることがうかがえる。
また、提出された50件強のインスタグラムにおける投稿記事(2020年2月14日時点)においても、その半数近くにおいて、「キッコーマン」(kikkoman、キッコウマン)のハッシュタグが併記されていることがうかがえるほか、「キッコーマン」のハッシュタグが併記されていない投稿記事においては、「コストコのステーキしょうゆ」「洋食屋さんのステーキ醤油」といった記載も見受けられ、需要者の投稿が、必ずしも本件商品を意図している訳ではないこともうかがえる。
カ 請求人以外の事業者による本願商標と同一又は類似する文字の使用の有無及び使用状況
上記(1)のとおり、「ステーキ醤油」と称する、醤油を原材料としたステーキ用の調味料が、他人の取扱いに係る商品として、複数存在し、流通している事実がある。
キ 判断
以上によれば、本件商品は、肉料理専用の調味料として、1994年(平成6年)9月に発売され、その後、風味の種類(タイプ)の追加や業務用のものの発売等がされながら、26年の間、継続的に製造、販売されていることは認められる。
しかしながら、「ステーキ」の文字と「しょうゆ」の文字とを毛筆風の書体で2列に縦書きしてなる使用商標は、「ステーキしょうゆ」の文字を標準文字で表してなる本願商標と比較した場合、「ステーキ」の文字と「しょうゆ」の文字とを組み合わせてなるという点は共通するものの、その書体や配置といった態様において少なからず差異があるものであるから、本願商標と同一のものとは認め難い。
また、本件商品については、発売当初の1994年(平成6年)から1996年(平成8年)までの間にテレビCMが制作されたことは認められるものの、その期間は短い上、1997年(平成9年)以降に、請求人が、本件商品について、テレビCMを制作したとする証拠は提出されておらず、本件商品等の購入者を対象とするプレゼントキャンペーンやショッピングセンター等とのタイアップによる広告(販促)活動も、その回数はさほど多くない。
そして、本件商品がテレビ番組や新聞等において紹介されたとする点についてみても、その多くは、主に本件商品のうちの特定の商品の新発売に合わせてその紹介がされたにすぎないものである。
さらに、本件商品がブログ記事やSNSにおいて記載されることはあるものの、その内容によっては、「ステーキしょうゆ」の文字が、単独で、請求人の製造、販売する商品を指称するものとして、需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。
そして、アンケート調査においても、その回答者、回答率によっては、本願商標が、需要者の間に広く認識されているとまではいえない。
加えて、「ステーキ醤油」と称する、醤油を原材料としたステーキ用の調味料が、他人の取扱いに係る商品として、複数存在し、流通している事実がある。
してみれば、請求人が主張する本件商品の販売金額やシェアを考慮してもなお、本願商標は、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものになっているとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、その指定商品である醤油を加味したステーキソースやステーキスパイスを暗示するものではあっても、単にその商品の品質を表すにすぎないものには当たらず、また、僅か数件の、ある特定の地域で製造、販売されている商品の使用例のみをもって、その取引者、需要者間において、その商品の品質を直接的に表示したものとはいえない旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品を取り扱う業界において、醤油を加味したステーキ用の調味料を「ステーキ醤油」と称する例が複数存在する事実は、取引者、需要者が、商品「醤油を加味したステーキソース,醤油を加味したステーキスパイス」に使用される本願商標「ステーキしょうゆ」の文字に接した場合、「醤油を加味したステーキ用の調味料(ソース、スパイス)」であると容易に認識することにつながるものであるといえ、取引者、需要者をして、商品の品質を表したものとして認識するにとどまるというべきこと、上記(1)において述べたとおりである。
したがって、上記請求人による主張は、採用することができない。
イ 請求人は、本願商標を使用している「ステーキしょうゆ」商標には、毛筆風の書体による「ステーキ」の文字と「しょうゆ」の文字とを2列に縦書きしてなるものも存在するが、これらの使用商標は、本願商標との対比において、大きな書体の相違があるわけではなく、両者に書体や文字の書き表し方などにおいて相違する場合があるとしても、外観上同視し得るものであって、商標としての同一性を損なうものではない旨主張する。
しかしながら、標準文字のみによって、商標登録を受けようとする場合(商標法第5条第3項)には、文字につき具体的な構成態様を指定することができないことは当然である(同法第12条の2第2項第3号かっこ書き参照)が、この場合の文字の構成態様については、標準文字の書体から成るものとして扱われ(同法第12条の2第2項第3号かっこ書き、第27条第1項参照)、格別、文字の構成態様について同一性を有するものの範囲が広がるというものではないから、毛筆風の書体により2列に縦書きしてなる使用商標が、標準文字を横書きに表してなる本願商標と同一性を有するとする請求人の主張は、採用することができない。
ウ 請求人は、上記(2)エにおいて述べた「アンケート調査」について、調査対象者の47.5%にあたる40代から60代の女性(調味料の主たる需要者層)にあっては、その54.2%が、本願商標から請求人を想起した事実が認められ、そのうち、Q4の自由回答において「キッコーマン」と回答した者は44.3%であった旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品「醤油を加味したステーキソース,醤油を加味したステーキスパイス」」の需要者は、40代から60代の女性に限定されているわけではなく、当該アンケート調査が設定した「母集団(需要者)」のとおり、「『醤油やソースなど』の購買層や使用者層、潜在購買層、仕入れ・販売担当者、販売店従業員なども含めた広く一般の方」(甲108、3頁目)であり、本願商標の商標法第3条第2項該当性は、一般需要者における認識も含めて検討すべきものであるから、請求人の主張はその前提において、ことさらに、需要者層を限定しているといえる。
さらに、請求人が主張する54.2%の内訳は、調査対象者のうち、40代から60代の女性334人を分母とし、Q4の自由回答において「キッコーマン」と回答した148人と、Q4においては不正解だったものの、Q6の選択肢から「キッコーマン」を選択した33人を合計した181人を分子とした際の、その割合(54.2%)であり、Q4及びQ6のいずれかで「キッコーマン」を想起した回答者の割合を主張するものであるが、需要者を限定してもなお、本願商標から請求人との関係を想起するのは半数程度にすぎないのだから、残りの半数程度は、請求人以外との関係を想起する、又は特定の出所を認識することができていないといえる。
したがって、原告の上記主張を採用することはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものではないから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 令和2年2月3日付け審尋で示した調味料の分野における「ステーキ醤油」の用例
(1)「伊勢醤油本舗」のウェブサイトにおいて、「ステーキ醤油 200ml」の見出しの下、「伊勢神宮奉納『伊勢醤油』を使用し、ワインを使用した上品な味わいです。そのままステーキにかけるのはもちろん、大根おろしやわさびを付けて頂いてもおいしくお召上がり頂けます。」の記載とともに、「ステーキ」の文字と「醤油」の文字とを2列に縦書きしてなる標章のほか、商品の出所を表したものと認識され得る標章(「伊勢醤油」の文字からなるもの等)の表示のあるラベルが付された商品の画像が掲載されている。
(https://www.isesyoyu.co.jp/products/detail/91)
(2)「株式会社丸正醸造」のウェブサイトにおいて、「洋食屋さんのステーキ醤油 150mlビン」の見出しの下、「信州野菜農家直営の洋食屋さん『ひげじい』監修で、天然醸造醤油と玉葱をベースに作ったたれです。」の記載とともに、「洋食屋さんの」の文字、「ステーキ」の文字及び「醤油」の文字を3列に縦書きしてなる標章(その構成中、「洋食屋さんの」の文字は黄色、その他の文字は白色で表されている。)のほか、商品の出所を表したものと認識され得る標章(○の中に「正」の文字を配してなるいわゆるのれん記号等)の表示のあるラベルが付された商品の画像が掲載されている。
(https://www.mi-so.com/shop/products/detail.php?product_id=188)
(3)「川中醤油株式会社」のウェブサイトにおいて、「ステーキ醤油 霧里ワイン使用 180ml」の見出しの下、「川中醤油の『天然かけ醤油』と広島三次ワイナリーの『霧里ワイン赤』を使用した、優しい甘みと深いコクが味わえるステーキ醤油です。」の記載とともに、「ステーキ」の文字、「醤油」の文字及び「霧里ワイン使用」の文字を3列に縦書きしてなる標章のほか、商品の出所を表したものと認識され得る標章(「川中醤油」の文字からなるもの等)の表示のあるラベルが付された商品の画像が掲載されている。
(http://www.kawanaka-shouyu.net/shopdetail/000000000211/)
(4)「株式会社なかやま牧場牛肉通販」のウェブサイトにおいて、「なかやま牧場オリジナル ステーキ醤油 150ml」の見出しの下、「素材の旨みを引き出す有機醤油に芳醇なワインとにんにくをブレンド。」の記載とともに、「ステーキ」の文字と「醤油(「しょうゆ」の振り仮名付き)」の文字とを2段に横書きしてなる標章のほか、商品の出所を表したものと認識され得る標章(「なかやま牧場」の文字からなるもの等)の表示のあるラベルが付された商品の画像が掲載されている。
(https://www2.enekoshop.jp/shop/nakayama-farm/item_detail?category_id=0&item_id=1912939)
(5)「ガーデンパナ オンラインショップ」のウェブサイトにおいて、「新発売!うちなーステーキ醤油」の見出しの下、「美味しいステーキ醤油をを召し上がれ!沖縄ステーキにぴったりの、濃厚スパイシー醤油です。」の記載とともに、「うちなー」の文字、「ステーキの文字」及び「醤油」の文字(各文字は、順に白色、金色、赤色で表されている。)の文字を3列に縦書きしてなる標章のほか、商品の出所を表したものと認識され得る標章(「GARDEN PANA」の文字からなるもの等)の表示のあるラベルが付された商品の画像が掲載されている。
(https://www.gardenpana.biz/SHOP/833872/1008014/list.html)
(6)「ガーデンパナ オンラインショップ」のウェブサイトにおいて、「石垣島ステーキ醤油 【180ml】」の見出しの下、「沖縄のステーキにぴったりの、濃厚スパイシー醤油です。」の記載とともに、「石垣島」の文字と「ステーキ醤油」の文字とを2列に縦書きしてなる標章のほか、商品の出所を表したものと認識され得る標章(「GARDEN PANA」の文字からなるもの等)の表示のあるラベルが付された商品の画像が掲載されている。
(https://www.gardenpana.biz/SHOP/1401.html)

2 甲第18号証

3 甲第41号証(2005年の使用態様)

4 甲第46号証(2016年の業務用商品に係る使用態様)

5 甲第49号証(2017年の使用態様)



審理終結日 2020-08-18 
結審通知日 2020-08-24 
審決日 2020-09-08 
出願番号 商願2017-42211(T2017-42211) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W30)
T 1 8・ 17- Z (W30)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 吉野 晃弘大島 康浩 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 石塚 利恵
大森 友子
商標の称呼 ステーキショウユ、ステーキショーユ、ステーキ 
代理人 黒川 朋也 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 森川 邦子 
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