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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W43
審判 査定不服 外観類似 登録しない W43
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W43
管理番号 1368303 
審判番号 不服2019-6829 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-27 
確定日 2020-10-29 
事件の表示 商願2018- 67855拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成29年9月20日に登録出願された商願2017-125723に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同30年5月23日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5240823号商標(以下「引用商標」という。)は、「MEDUSA」の欧文字及び「メデューサ」の片仮名を上下二段に書してなり、平成20年7月15日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同21年6月19日に設定登録、その後令和元年6月25日に存続期間の更新登録がなされ、その商標権は現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断
1 商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、そのためには、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し、図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、経験則上、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合、取引の実際において、一部の構成部分のみによって称呼、観念されることも少なくないといえる。このことから、結合商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などは、当該構成部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号、最高裁平成3年(行ツ)第103号、最高裁平成19年(行ヒ)第223号、知財高裁平成27年(行ケ)第10079号参照)。
上記の観点から、本願商標と引用商標との類否について判断する。
2 本願商標について
(1)本願商標の構成態様について
本願商標は、別掲のとおり、構成の中心に、大きさの異なる二本の山型円弧状の曲線(以下、これらを単に「曲線」という。)の間に、濃いピンク色で大きく「Medusa」の欧文字を円弧に沿ってやや特殊な書体で横書きしてなり、上の曲線の上部にピンク色で書された「Girl‘s Bar」の欧文字と、下の曲線の下部に、ピンク色で書された「Roppongi」の欧文字を配し、これらの文字及び曲線の後面には、大きく数字の7を白抜きにし、7の上に冠、7の左右に、2羽の鳥が翼を広げた状態を表したと思しき2枚の羽根様図形からなるその一部が濃淡の異なるピンク色で描かれた紋章様図形(以下、後面の図形を「紋章図形」という。)からなるものである。
(2)本願商標の外観について
本願商標の構成を観察するに、本願商標は、曲線、その間に書された「Medusa」の欧文字、上の曲線の上部に書された「Girl‘s Bar」の欧文字、下の曲線の下部に書された「Roppongi」の欧文字及び紋章図形とで構成されているところ、構成中の紋章図形は、上記(1)のとおり、曲線、「Medusa」の欧文字、「Girl‘s Bar」の欧文字及び「Roppongi」の欧文字の後面に配されているため、構成全体が把握することができないものであり、かつ、曲線及び前記文字の背景のような印象を与えるものである。
また、本願商標の構成中の「Girl‘s Bar」、「Medusa」及び「Roppongi」の文字部分に着目すると、本願商標の構成の上部にピンク色で書された「Girl‘s Bar」の欧文字及び構成の下部にピンク色で書された「Roppongi」の欧文字と構成の中心に濃いピンク色で書された「Medusa」の欧文字とは、文字の大きさが明らかに相違し、また、「Medusa」の欧文字は、他の文字と比べ、濃く目立つ色彩で表されており、さらに、これらの文字は、上下三段に間を開けて配置されていることから、例え、これらの文字の後面に紋章図形が配されているとしても、「Medusa」の欧文字と他の文字とは、視覚的に分離して把握されるものである。
そうすると、本願商標は、視覚上、構成中の「Medusa」の欧文字が、特に印象深く認識される構成からなるものである。
(3)本願商標の観念について
本願商標の構成中の「Girl‘s Bar」の欧文字は、「バーテンダーが女性中心のショットバー」を表示する語として使用されていることから、本願商標の指定役務との関係において、役務の営業形態の一つであることを容易に認識させる語であると認められる。
また、本願商標の構成中の「Medusa」の欧文字は、「ギリシャ神話中の怪物ゴルゴン三姉妹の一人」(大辞林第三版[株式会社三省堂])を意味する語であるところ、当該文字が、本願商標の指定役務の質等を表示する等の特別な事情は存在しない。
さらに、本願商標の構成中の「Roppongi」の欧文字は、「東京都港区中央部の地名」(前掲書)を意味する「六本木」をローマ字表記したものと容易に認識できることから、当該文字は、本願商標の指定役務の提供場所を表示したものと容易に認識させる語であると認められる。
なお、本願商標の構成中の曲線及び紋章図形は、本願商標の指定役務の需要者の間で、これらの図形が、広く知られていると考え得る特別な事情は存在しないため、特に特定の意味合いが生じるものとは認められないものである。
(4)本願商標の称呼について
本願商標は、構成中「Medusa」の欧文字から「メドゥーサ」又は「メデューサ」の称呼が生じるものの、「Girl‘s Bar」の欧文字及び「Roppongi」の欧文字は、前記(3)のとおり、役務の営業形態及び役務の提供場所を表示したものであるから、当該文字は、役務の出所識別標識として、特定の称呼を生じるものとは認められないものである。
また、本願商標の構成中の曲線は、本願商標の指定役務の需要者の間で、広く知られていると考え得る特別な事情は存在しないため、特定の称呼を生じるものとは認められない。
さらに、本願商標の構成中の紋章図形は、その構成中の白抜き数字「7」は、数量等を表示するきわめて簡単、かつ、ありふれた標章であり、役務の出所識別標識として、特定の称呼を生じるものではなく、かつ、紋章図形の構成全体としては、本願商標の指定役務の需要者の間で、当該図形が、広く知られていると考え得る特別な事情は存在しないため、特定の称呼を生じるものとは認められない。
(5)小括
以上からすると、本願商標の構成中の「Girl‘s Bar」の欧文字、「Medusa」の欧文字及び「Roppongi」の欧文字は、視覚上分離して観察されるものであり、特に、「Medusa」の欧文字は、他の文字に比べて、大きくかつ色彩も濃く表されているため、外観上、需要者の目をひくものであることが認められる。
また、本願商標の構成中の「Girl‘s Bar」の欧文字、「Roppongi」の欧文字は、それぞれ、役務の営業形態の一つ及び役務の提供場所を表示するものであり、紋章図形中の数字「7」は、きわめて簡単、かつ、ありふれた標章であるから、これらの各文字及び数字は、本願商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能がない又は極めて弱いものであり、構成中の曲線は,ありふれた図形の一類型であって、かつ、本願商標の指定役務の需要者の間で、広く知られていると考え得る特別な事情は存在しないものであるから、自他役務の識別標識としての機能がない又は極めて弱いものである。
さらに、構成中の紋章図形は、本願商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能を有し得るものの、構成各文字の後面に配され、構成全体が表示されていないことや、当該図形が、本願商標の指定役務の需要者の間で広く知られている等の特別な事情は存在しないことから、これらが、特定の称呼及び特定の観念を生じるとする特別な事情は見当たらない。
そうすると、本願商標の構成中の「Medusa」の欧文字とその他の構成部分とは、それらを分離して観察することが取引上不自然であると考えられるほど不可分的に結合したものとはいえず、本願商標の構成の中心に濃いピンク色で大きく書された「Medusa」の欧文字が、見る者の注意をひきやすい構成態様であることから、当該文字が、需要者に対して、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。他方、本願商標の他の構成部分から、役務の出所識別標識として、独立した称呼及び観念が生じないと理解されることから、本願商標は、商標の構成部分の一部、すなわち、「Medusa」の欧文字のみを要部として抽出し、これを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものである。
したがって、本願商標は、本願商標の要部である「Medusa」の欧文字に相応して、「メドゥーサ」又は「メデューサ」の称呼及び「ギリシャ神話中の怪物ゴルゴン三姉妹の一人」の観念が生じるものである。
2 引用商標について
引用商標は、「MEDUSA」の欧文字及び「メデューサ」の片仮名を上下二段に書してなるところ、下段に書された「メデューサ」の片仮名は、上段の「MEDUSA」の欧文字の読み方を特定したものと理解されるものであるから、これらの構成文字に相応して、「メデューサ」の称呼及び「ギリシャ神話中の怪物ゴルゴン三姉妹の一人」の観念が生じるものである。
3 本願商標の商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本願商標と引用商標の類否について
ア 本願商標と引用商標の外観上の類似性について
本願商標の構成全体と引用商標の構成全体を観察した場合、これらの外観は相違するものであるが、本願商標の要部である「Medusa」の欧文字と引用商標の構成中の上段に書された「MEDUSA」の欧文字とは、2文字目以降に大文字と小文字の相違点はあるものの、これらの綴りを同じくすることから、本願商標の要部と引用商標との観察において、これらの外観が明らかに相違するものとはいえない。
イ 本願商標と引用商標の称呼上の類似性について
本願商標の要部である「Medusa」の欧文字から、「メドゥーサ」又は「メデューサ」の称呼を生じるものであり、他方、引用商標は、その構成文字から「メデューサ」の称呼を生じるものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、「メデューサ」の称呼を共通にするものである。
ウ 本願商標と引用商標の観念上の類似性について
本願商標の要部である「Medusa」の欧文字から、「ギリシャ神話中の怪物ゴルゴン三姉妹の一人」の観念が生じるものであり、他方、引用商標は、その構成文字から「ギリシャ神話中の怪物ゴルゴン三姉妹の一人」の観念を生じるものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、「ギリシャ神話中の怪物ゴルゴン三姉妹の一人」の観念を共通にするものである。
エ 小括
これらを総合勘案すると、本願商標と引用商標とは、外観において相違するものの、「メデューサ」の称呼及び「ギリシャ神話中の怪物ゴルゴン三姉妹の一人」の観念を共通にする互いに紛れるおそれのある類似する商標というべきである。
(2)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定役務「飲食物の提供」と引用商標の指定役務「飲食物の提供」は、同一の役務である。
(3)まとめ
以上によれば、本願商標と引用商標は、類似する商標であって、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一のものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張について
請求人は、「引用商標は、2019年6月19日に存続期間満了日を迎え、引用商標権者が所定の期間内に更新登録申請を行わなければ、当該商標権は存続期間満了により消滅する。仮にそのような事態に至った場合には、本願商標に係る商標法第4条第1項第11号に該当するとの拒絶理由は解消することとなる」旨主張する。
しかしながら、前記第2に記載のとおり、引用商標は、令和元年6月25日に存続期間の更新登録がなされ、その商標権は現に有効に存続しているものである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(5)結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲(本願商標)(色彩は、原本を参照。)




審理終結日 2020-07-21 
結審通知日 2020-07-28 
審決日 2020-09-03 
出願番号 商願2018-67855(T2018-67855) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W43)
T 1 8・ 263- Z (W43)
T 1 8・ 261- Z (W43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤田 和美 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 山田 正樹
豊田 純一
商標の称呼 ガールズバーメデューサロッポンギ、ガールズバーメデューサ、ガールズバー、ガールズ、ガール、バー、ビイエイアアル、メデューサ、ナナ、シチ、セブン 
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所 

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