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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
管理番号 1368244 
審判番号 取消2018-300417 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-06-13 
確定日 2020-10-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第5622109号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5622109号商標の指定商品中,第30類「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5622109号商標(以下「本件商標」という。)は,「てんし」の文字を縦書きしてなり,平成25年6月17日に登録出願,第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同25年10月11日に設定登録され,その後,商標登録の取消し審判により,第29類「全指定商品」について取り消すべき旨の審決がされ,同30年12月28日に,その確定審決の登録がされた。その結果,本件商標は,第30類「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」を指定商品として,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成30年6月28日であり,本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同27年6月28日から同30年6月27日までを,以下「要証期間」という場合がある。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第30類「ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をしていないものであるから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は,本件商標はその指定商品中「即席菓子のもと」について要証期間内に日本国内において,本件商標権者により使用されている旨主張しているが,以下のとおり,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものではないから,本件商標の登録は取り消しを免れないものである。
(1)被請求人のウェブサイトの画面について
ア 乙第6号証ないし乙第10号証について,被請求人はこれが広告であることを意図しているのかもしれないが,広告ならば,それが商標法上の「使用」というためには,標章を付して展示,頒布等をしなければならない(商標法第2条第3項第8号)にもかかわらず,被請求人は,その広告を展示,頒布等をしていることを証明してはいない。
また,商標の使用があるとするためには,当該商標が,必ずしも指定商品そのものに付されて使用されていることは必要でないが,その商品との具体的関係において使用されていることを必要とする(最高裁昭和42年(行ツ)第32号)と解される。すなわち,広告に使用される標章が,その広告中において商品との具体的関係において使用されていなければ,商品についての標章の使用があるとはいえない。
上記の解釈を本件にあてはめるに,乙第6号証ないし乙第10号証に示される「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の記載は,「天使」という語が被請求人の登録商標であるとの事実を記述的に示したものであって,商標の本質的機能である自他商品の識別標識としての機能を果たすものとは認識し得ず,商品との具体的関係において使用されているともいえない。
イ 乙第6号証ないし乙第10号証のウェブサイトには,被請求人が取り扱っていると思しき商品写真が掲載されているものの,具体的な商品の内容・品質についての紹介や,商品の金額,販売場所等といった商品に関する情報が何ら記載されていない。すなわち,乙第6号証ないし乙第10号証の内容は,インターネットを介して被請求人が需要者に飲食料品のレシピ情報を提供するサービスであって,このような役務は,甲第1号証に示されるような第43類に属する「インターネットによる料理のレシピに関する情報の提供」等の役務であって,本件審判の請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品又は役務ではない。
ウ 乙第6号証ないし乙第10号証のウェブサイトは,「森永天使のお菓子レシピ」として「天使」の語を含む表示があるが,その態様は「天使のお菓子レシピ」の語の前後に羽を模した図形を配置し,「の」の文字の上にコック帽の図形を配するなど「天使のお菓子レシピ」としての一体的な態様を有するものであって,「天使」を除く「お菓子レシピ」の語も本件商標に係る指定商品との関係において記述的な表示とはいえず,社会通念上同一のものと認められる商標ということはできない。さらには,後述するように「天使」の語についても,本件商標「てんし」とは社会通念上の同一による商標とはいえない。
エ 以上のとおり,乙第6号証ないし乙第10号証は,要証期間内にその広告を展示,頒布等をしていることが証明されておらず,またこれらのウェブサイトの画面に記載されている「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」は記述的に表示された説明文章であり,また「天使のお菓子レシピ」の表示は,本件審判の請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品の使用とはいえず,仮にこれらの商品の使用であったとしても本件商標とは社会通念上同一の商標とはいえないことから,いずれも本件商標を請求に係る商品に使用したことを客観的に証明したとはいえない。
したがって,乙第6号証ないし乙第10号証は,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものということはできない。
(2)被請求人が示す判決・審決について
被請求人が示す乙第14号証ないし乙第17号証の判決及び審決例は,その前提として,その商品との具体的関係において使用されていることを必要とすることを示した判断であって,商標の本質的機能である自他商品の識別標識としての機能を果たさないような記述的な記載について使用を認めた事案ではなく,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明する根拠となるということはできない。
以上により,乙第14号証ないし乙第17号証において示されている判決及び審決は,請求人のこれまでの主張とは相違するものではなく,むしろ請求人の主張を裏付けるものである。
(3)本件商標と本件使用商標の同一性について
ア 被請求人は,本件商標である平仮名「てんし」と漢字「天使」(以下「本件使用商標」という場合がある。)の語は,称呼及び観念を同一とする場合の平仮名及び平仮名と漢字の相互間の使用であって,登録商標の使用にあたると主張する。
イ 商標法第50条第1項における「社会通念上の同一」の商標については,審判便覧の規定を本件に照らしてみると「てんし」の語から別異の観念を生じる漢字が存在する場合は,本規定における社会通念上の同一とは認められないところ,「てんし」の語からは以下に示すような別異の漢字が存在している(甲3,甲4)。
・「天子」:天帝の子の意,天皇のこと
・「天枝」:天子・天皇の子孫
・「天姿」:生まれつきの容姿
・「天資」:生まれつきの資質
・「天賜」:天からの贈り物,天使から賜ったもの
・「点紙」:礼紙(書状を出す時,本文を書いた紙に儀礼的に添える白紙)に同じ
・「展翅」:標本にするための昆虫のはねを広げ,固定すること
・「てん詞」(審決注:「てん」は「土」偏に「眞」の漢字):中国の歌曲の一体
・「転子」:脊椎動物の大腿骨の上部にある突起
このように本件商標と被請求人が主張する本件使用商標は,社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
ウ 以上のとおり,被請求人が主張するいずれの本件使用商標についても,審判便覧等の規定からも社会通念上の同一でない商標であることは明らかであるから,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものということはできない。
(4)まとめ
以上述べたとおり,被請求人によって提出された答弁書及びその証拠書類によっては,本件商標権者又はその使用権者が,本件商標を要証期間内に,その請求に係る指定商品のいずれかについて使用していたということはできない。
よって,被請求人は,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明していないから,本件商標の上記請求に係る指定商品についての商標登録は取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第35号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は,本件商標権者によって,本件審判の請求に係る指定商品中の「即席菓子のもと」(以下「本件商品」という場合がある。)に使用されている。
(1)被請求人等について
被請求人(本件商標権者)は,日本有数の菓子・食品の製造・販売を業とする会社であり,「天使(エンゼル)」を創業の精神を体現するシンボルとして,天使図形からなる標章を採用し,明治38年(1905年)以来1世紀以上の長きにわたって自社製品に使用し続けている。これは,裁判所においても認められており(乙1)。特許庁における審判事件においても,天使図形のみならず,「天使」,「てんし\天使」,又は,「てんし\天使\テンシ」等の語からなる商標については,強い出所識別能力を有していることが認定されている(乙2?乙5)。
(2)本件商標の使用について
被請求人は,「天使」の語からなる商標を,以下のとおり,本件商品について,要証期間内に使用している。
ア 被請求人のウェブサイト画面
乙第6号証は,被請求人が提供している「森永天使のお菓子レシピ」の画面(以下「本件レシピ画面」という。)の写しである。本件レシピ画面は,自社商品を宣伝するとともに,自社商品を使用した菓子・副菜等のレシピを紹介することによって,商品の拡販を目的とするものである。本件レシピ画面では,被請求人の商品である「モントン」(卵と牛乳を加えてオーブンで焼くとスポンジケーキが作れる),「ホットケーキ」(卵と牛乳を加えてフライパンで焼くとホットケーキが作れる),「クックゼラチン」(お湯で溶かして混ぜ,冷蔵庫で冷やすとゼリーが作れる)等の宣伝広告がなされており,その下には,「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」との注書きがなされている。これらの行為は,商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」にあたる。
イ 乙第7号証は,ウェイバック機能を使用して入手した,平成27年(2015年)11月4日付の本件レシピ画面の写しである。また,同様に,乙第8号証ないし乙第10号証は,それぞれ,同28年(2016年)5月2日,同29年(2017年)5月30日,同30年(2018年)5月29日時点の本件レシピ画面である。本件レシピ画面には,例外なく,被請求人の商品である「即席菓子のもと」等の商品の宣伝広告に加えて,「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の表示がなされている。この表示中の「天使」の部分は,括弧で他の文字と分けて記載されていることから,需要者にも視覚的に分離して看取され,独立して自他商品の識別機能を果たしている。この記載に関するブログもあるほどである(乙11)。
以上より,本件使用商標は,要証期間内に使用されている。
なお,「即席菓子のもと」とは,「例えば,湯を混ぜればすぐにゼリー菓子になるような商品(「ゼリーの素」)のことであり(略),文字どおり,『即席』でできる『菓子』の『もと』のことで・・・,菓子製造の際にその一材料として使用される商品とは区別され」,「一般に家庭における使用を念頭において販売される」ものである(乙12)。
したがって,上記被請求人の商品が,「即席菓子のもと」であることは明らかである。
この点,特許庁の審判においても,メールマガジン及びWeb版に表示された商標について「メールマガジン及びWeb版には,加工食料品を中心とした被請求人商品に直接関係し,被請求人商品を広告宣伝する情報が掲載されているから,メールマガジン及びWeb版は,顧客に被請求人商品を認知させ理解を深め,いわば,電子情報によるチラシとして,被請求人商品の宣伝媒体としての役割を果たしているものということができる。このように,メールマガジン及びWeb版が被請求人商品を宣伝する目的で配信され,多数のリンクにより,直接加工食品等の被請求人商品を詳しく紹介する被請求人ウェブサイトの商品カタログ等のページにおいて商品写真や説明を閲覧することができる仕組みになっていることに照らすと,メールマガジン及びWeb版は,被請求人商品に関する広告又は被請求人商品を内容とする情報ということができ,そこに表示された『クラブハウス』標章は,被請求人の加工食料品との具体的関係において使用されているものということができる。」と認定し,商標としての使用にあたると判断している(乙13)。
(3)上記ア及びイの使用態様と商標法第50条第1項に基づく審判における登録商標の使用について
本件使用商標は,上記のとおり,「即席菓子のもと」等の商品の宣伝広告として使用されている。
したがって,本件商標がそのまま「即席菓子のもと」の名称でなかったとしても,第50条第1項に基づく審判における登録商標の使用にあたる。この点は,乙第14号証ないし乙第17号証の事件においても,同様に判断されている。
(4)本件商標と本件使用商標の同一性
本件商標は,平仮名で「てんし」と縦書きにしてなる。他方,本件使用商標は漢字で「天使」と横書きにしてなる。これは「平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当するから,登録商標の使用であることは明らかである。
以上より,本件商標は,要証期間内に,本件商標権者によって,指定商品である「即席菓子のもと」について使用されているから,本件審判の請求は成り立たない。
2 審尋に対する被請求人の意見
(1)被請求人の意見
特許庁の審判便覧において,「同一の称呼を生ずる場合があって,平仮名及び片仮名と漢字のいずれかに別異の観念が含まれるときの相互間の使用」は社会通念上同一と認められない商標として例示されていることは被請求人も認める。
しかしながら,「登録商標の使用に当たるか否かの認定に当たっては,登録商標に係る指定商品及び指定役務の属する産業分野における取引の実情を十分に考慮し,個々具体的な事例に基づいて判断すべきものである」という原則も同時に明記されている(甲2)。
文字商標は,全くの造語商標を除けば,当該文字に即した観念を有するし,その観念がただ一つという場合は少ない。本件においても「てんし」の語に接した需要者が,「天使」を連想することは明らかで,かつ,永年「天使」の標章を,企業理念を体現するシンボルとして使用し続けてきた被請求人の「取引の実情を十分に考慮」すべきである。
ア 「てんし」の語からは「天使」が認識される
一般的な需要者にとって「てんし」の語からは,「天使」が認識される。換言すれば,現在使用されていない,あるいは,一部の業界又は学会でしか使用されていないような特殊な語義もあることをもって,社会通念上(観念上)の同一性を否定するのは妥当でない。上記のとおり,観念が1つしかない語というのは少ないし,この点は,特許庁の審決(乙18,乙20,乙21,乙23,乙25,乙27,乙29,乙31)でも,柔軟に判断されて同一性が認められている。上記審決は,必ずしも,平仮名と漢字相互のみではないが,充分参考に値すると考える。
以上の審決に明らかなように,全くの造語はともかくとして,平仮名や片仮名で構成された語は,各種の漢字に置き換えることが可能である。
しかしながら,日常使用されていないような語や,需要者が想起できないような語にも転換できることをもって,社会通念上(観念上)の同一性を否定するのは妥当でないし,上記のとおり多くの審決において,かかる趣旨の主張は,排斥されている。
なお,乙第6号証ないし乙第10号証に明らかなように,それぞれのウェブサイト画面には,「『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です」の標章に近接して天使の図形が描かれていることからも,需要者は「てんし」の語を「天使」であると認識する。
イ 被請求人の属する産業分野における取引の実情
既述のとおり,被請求人は,日本有数の菓子・食品の製造・販売を業とする会社であり,「天使(エンゼル)」を創業の精神を体現するシンボルとして,天使図形からなる標章を採用し,明治38年(1905年)以来1世紀以上の永きにわたって自社製品に使用し続けている。
そして,この点が,裁判所においても,特許庁における審判事件においても,認定されていることは既に述べたとおりである(乙1?乙5)。
本件商標についても,これらの認定と別異になされるべき理由はないと考える。
(2)弁駁書の主張に対する被請求人の意見
ア 乙第6号証ないし乙第10号証について
(ア)被請求人の広告及び配布行為
請求人は,乙第6号証及び乙第10号証について,単に掲示されただけであるから,広告としての使用にあたらないと主張する。
しかしながら,乙第6号証ないし乙第10号証は,ウェブサイトを通じて自社製品を広告することを目的としており,充分,本件商標の「使用」に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
また,これらの行為が要証期間中になされたことは,既に答弁書において述べたとおりである。
(イ)「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の記載
請求人は,「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の記載は,「天使」という語が本件商標権者の登録商標であるとの事実を記述的に示したものであるから,「商標の本質的機能である自他商品の識別標識としての機能を果たすものとは認識しえず,商品との具体的関係において使用されているともいえない」と主張する。
しかしながら,この点についても,答弁書において既に述べたとおりである。
すなわち,乙第14号証ないし乙第17号証の審決・判決に明らかなように,商標がその指定商品について何らかの態様で使用されておれば十分であって,識別標識としての使用(すなわち,商品の彼比識別など商標の本質的機能を果たす態様の使用)に限定しなければならぬ理由は,全く考えられない。
被請求人は,「天使」の部分を鍵括弧で,他の文章から目立つように表示しており,かつ,文字どおり「天使」が,被請求人の登録商標であることも,明確に表示している。
(ウ)インターネットを通じた広告
請求人は,乙第6号証ないし乙第10号証の広告は,「インターネットを介して本件商標権者が需要者に飲食料品のレシピ情報を提供する」役務にあたり,商品の広告にはあたらないと主張するようである。
しかしながら,上述のとおり,乙第6号証ないし乙第10号証は,専らウェブサイトを通じて自社製品を広告することを目的としており,レシピの提供は,同画面に紹介された商品を使用してできる飲食料品を紹介しているにすぎない。
この点,乙第12号証の審決では,メールマガジンのWeb版上に表示された商標については,「メールマガジン及びWeb版には,加工食料品を中心とした被請求人商品に直接関係し,被請求人商品を広告宣伝する情報が掲載されているから,メールマガジン及びWeb版は,顧客に被請求人商品を認知させ理解を深め,いわば,電子情報によるチラシとして,被請求人商品の宣伝媒体としての役割を果たしているものということができる。このように,メールマガジン及びWeb版が,被請求人商品を宣伝する目的で配信され,多数のリンクにより,直接加工食料品等の被請求人品を詳しく紹介する被請求人ウェブサイトの商品カタログ等のページにおいて商品写真や説明を閲覧することができる仕組みになっていることに照らすと,メールマガジン及びWeb版は,被請求人商品に関する広告又は被請求人商品を内容とする情報ということができ,・・・被請求人の加工食料品との具体的関係において使用されているものということができる。」と説示されている。
乙第6号証ないし乙第10号証のウェブサイトは,菓子等の商品を使用したレシピを提供するにとどまらず,「被請求人商品を宣伝する目的で配信され」,「商品カタログ等のページにおいて商品写真や説明を閲覧することができ」,「顧客に被請求人商品を認知させ理解を深め,いわば,電子情報によるチラシとして,被請求人商品の宣伝媒体としての役割を果たしているものということができる」から,「本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付し,これを電磁的方法により提供したものであ(り)・・・被請求人の上記行為は,商標法第2条第3項第8号に該当する。」という特許庁の説示が本件についても妥当する。
乙第6号証ないし乙第10号証のウェブサイトは,これを通じて,被請求人の主たる扱い商品の関連情報にアクセスすることができるし,それらに関する詳細情報も得ることができる(乙33?乙35)。
(エ)本件商標と本件使用商標との社会通念上の同一性
請求人は,被請求人の商品に表された「『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」等の表示は,本件商標との社会通念上の同一性が認められないと主張する。
しかしながら,これらの表示は,いずれも「即席菓子のもと」について使用され,また,商標態様の同一性については,上記(1)で詳述したとおりである。
以上より,本件商標と本件使用商標との社会通念上の同一性は肯定されるべきであり,本件商標の「即席菓子のもと」についての要証期間内における使用も証明されている。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば,以下のとおりである。
(1)乙第6号証ないし乙第10号証は,本件商標権者のウェブサイト画面の写しであるところ,いずれも表題を「森永天使のお菓子レシピ」とし,「条件検索」のもとに列挙された商品の中には,「ホットケーキ」等の文字とともに商品の画像が掲載されているが,当該商品の画像は小さく不鮮明であり,さらに,商品によっては画像全体が表示されていないものもあることから,当該商品における商標の表示の有無など,その詳細は確認できない。
また,当該ウェブサイト画面には「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の記載がある。
(2)乙第1号証ないし乙第5号証,乙第12号証ないし乙第32号証は,過去の審決,判決又は辞書の写しである。
(3)乙第11号証は2013年(平成25年)3月17日に掲載された他人のブログ記事の写しであり、乙第33号証ないし乙第35号証は2019年(令和元年)9月25日に出力された本件商標権者のウェブサイトの写しである。
2 上記1によれば,当審の判断は,以下のとおりである。
本件商標権者のウェブサイト画面(乙6?乙10)には「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の表示があるところ,被請求人は,当該表示中の「天使」の部分は,括弧で他の文字と分けて記載されていることから,需要者にも視覚的に分離して看取され,独立して自他商品の識別機能を果たしており,この「天使」の部分も商標の使用に該当する旨主張する。
しかしながら,「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の表示は,「天使」の文字からなる商標が本件商標権者の所有する商標であることを記述したにすぎないものであり,また,この表示とウェブサイト画面(乙6?乙10)に掲載された商品との関係は明らかではなく,この表示のうちの「天使」の部分がウェブサイトに掲載された商品の出所を表示する商標として使用されたものと認めることはできない。
ところで,本件商標は「てんし」の文字を縦書きしてなるところ,これより,「テンシ」の称呼を生じること明らかであり,また,「てんし」の文字は,「天使(天子の使。エンゼル)」,「天子(天皇のこと。)」及び「天姿(生まれつきの容姿)」(甲5,甲6,広辞苑第七版)等といった様々な意味を有する語を平仮名表記したものと認められるから,「てんし」の文字からは,それぞれの語に相応した複数の観念を生じるといわなければならない。
そして,本件商標と被請求人が使用商標であると主張する「天使」の文字からなる商標との比較においては,両者は「テンシ」の称呼を同一にするものの,本件商標からは,上記のとおり,複数の観念が生じるのに対し,「天使」の文字からなる商標は「天子の使。エンゼル。」の観念のみ生じるものである。
そうすると,本件商標と「天使」の文字からなる商標とは,同一の称呼を生じるものの,観念においては,常に同一であるとは認められないから,「天使」の文字からなる商標は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
その他,上記1(2)は、本件商標の使用を立証するための直接的な証拠とはいえないし、また、上記1(3)は、いずれも要証期間外の証拠であることから,被請求人が提出した全証拠によっては,要証期間に被請求人(本件商標権者)が,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。
3 被請求人の主張について
被請求人は,文字商標は,当該文字に即した観念を有するし,その観念がただ一つという場合は少なく,本件商標「てんし」に接した需要者が,「天使」を連想することは明らかで,かつ,長年「天使」の標章をシンボルとして使用し続けてきた被請求人の「取引の実情を十分に考慮」すべきである旨主張する。
しかしながら,本件商標権者が,長年「天使」の標章を使用していることは認められるとしても,上記2のとおり,「てんし」の文字は,同音異義語の平仮名表記であるうえに,「てんし」の文字が「天使」以外の意味を有する語を全く認識させないとする事情は見当たらないことに加えて,請求に係る指定商品の分野において,「てんし」の文字が直ちに「天使」を連想させるような取引の実情も見当たらないことからすれば,被請求人が主張する取引の実情を考慮したとしても,上記判断は左右されないといわなければならない。
したがって,被請求人の主張は,採用することはできない。
4 まとめ
以上のとおり,被請求人が提出した証拠からは本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用があったことを認めるに足る事実を見いだせないものであり,ほかに被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に本件審判請求に係る指定商品について,本件商標を使用していることを証明するものはない。
そうすると,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものということはできない。
また,被請求人は,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,「結論掲記の商品」について,商標法第50条の規定により登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2020-07-31 
結審通知日 2020-08-05 
審決日 2020-09-09 
出願番号 商願2013-46362(T2013-46362) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W30)
最終処分 成立 
前審関与審査官 齋藤 貴博北口 雄基 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 小松 里美
榎本 政実
登録日 2013-10-11 
登録番号 商標登録第5622109号(T5622109) 
商標の称呼 テンシ 
代理人 鳥海 哲郎 
代理人 廣中 健 
代理人 小林 彰治 
代理人 小野寺 隆 
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