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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W20 審判 全部申立て 登録を維持 W20 審判 全部申立て 登録を維持 W20 審判 全部申立て 登録を維持 W20 |
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管理番号 | 1367175 |
異議申立番号 | 異議2019-900372 |
総通号数 | 251 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-11-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-12-26 |
確定日 | 2020-10-05 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6191311号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6191311号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6191311商標(以下「本件商標」という。)は,「JL Comfurni」の欧文字を標準文字で表してなり,令和元年7月11日に登録出願,第20類「椅子」を指定商品として,同年9月10日に登録査定,同年10月25日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する標章 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する標章は,別掲のとおり,申立人が商品「椅子」に使用する標章(以下「使用標章」という。)である。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第7号該当性について ア 申立人は,中華人民共和国広東省において,2016年(平成28年)に設立された家庭用家具製品の設計・販売等を業とする法人で,主な市場は,ヨーロッパ,米国,日本,オーストラリアである(甲4,甲5)。 申立人は,本件商標の登録出願日以前から,英国を始めとするヨーロッパ,米国,オーストラリア,中国などにおいて,使用標章が付されたオフィスチェアなどを輸出し,販売しており,それらの国々で広く知られる商標であった(甲4,甲5,甲8,甲9,甲11)。 また,申立人は,椅子の図案と「JL Comfurni」の文字からなる商標を2017年5月3日に欧州連合商標として登録している(甲6,甲7)。 そして,日本においても,本件商標の登録出願日以前の2019年(平成31年)4月7日から申立人の製造に係るオフィスチェアに使用標章を付して,中国から日本に輸出している(甲13)。また,申立人は,使用標章を付したオフィスチェアを日本へ輸出するに当たって日本での輸入許可を得るため,例えば,2019年(平成31年)4月15日に東京税関宛に申告し,同月19日に輸入許可を得ている(甲14の1)。 申立人は,日本に輸出した使用標章を付したオフィスチェア等を自らのチャネルでAmazon.co.jp(以下「Amazon」という。)を通じて販売し,遅くとも本件商標の登録出願日より2か月以上前の2019年(令和元年)5月1日に当該オフィスチェアの注文を受けていたところ(甲16),当該オフィスチェアは,価格の割には品質が良いため,需要者からも好評であった(甲15)。 このように,申立人は,本件商標の登録出願日以前から,使用標章が付されたオフィスチェアなどを販売しており,広く知られる商標であった。 イ 一方,本件商標権者は,茨城県つくば市において,コンピュータ,その周辺機器及びそのソフトウェアの開発,インターネット等を利用した各種情報提供サービス,通信販売業務等を行う法人である(甲17)。そして,本件商標権者及びその代表者の登録商標又は登録出願をJ-PlatPatで検索すると,76件がヒットし(甲20,甲21),インターネット上の商標を販売するサイトを検索すると,取得した未登録商標を売りに出し(甲22,甲23),登録後短期間で個別に譲渡を行っている(甲24,甲25)。 また,本件商標権者の本件商標の取得により,申立人のAmazonにおける在庫管理サービスが停止され,申立人は,Amazonにおいて,同人の製造に係るオフィスチェアの販売ができなくなった(甲26の1)が,その後,「JL Comfurni」の文字が付されたオフィスチェアが,本件商標権者により申立人の製造に係るオフィスチェアよりも高い値段で販売されている(甲19)。 ウ 上記事実に照らすと,本件商標は,英国を始めとするヨーロッパ,米国,オーストラリア,中国,日本で広く知られていた使用標章について,やがて我が国においても出願されるとの推測のもと,当該商標が我が国で登録されていないことを奇貨として,これを先回りして,申立人に無断でひょうせつ的に出願した不正な目的を有するものといわざるを得ず,条理上許されないもので,商標法の目的にも反し,公正な商標秩序を乱すものであって,公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標に該当する。 (2)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標は,申立人の周知な標章と同一又は類似の商標であって,不正の目的を持って使用するものである。 (3)商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標は,申立人の周知な標章と同一又は類似の商標を,申立人の商品と同一又は類似の商品について使用するものである。 (4)商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標は,申立人の業務に係る標章と混同を生ずるおそれがある。 4 当審の判断 (1)使用標章の周知性について ア 申立人提出の証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。 (ア)申立人は,中華人民共和国広東省において,2016年(平成28年)に設立された家庭用家具製品の設計・販売等を業とする法人であって,申立人のホームページには,「JL BROTHER Technology」との表示がされている(甲4)。 (イ)申立人の「使用標章を付した椅子」(甲3)とその形状が似ている「椅子」及び家具等が,外国で販売されているのが認められる(甲5,甲8,甲9,甲11)ところ,当該椅子等の販売者及び販売国は不明である。 (ウ)「JL(MING)Co.,LIMITED」が,オフィスチェアを,日本での輸入許可を得て,2019年(平成31年)4月に中国から日本に輸出していることが認められる(甲13,甲14)ところ,申立人と「JL(MING)Co.,LIMITED」との関係は不明である。 (エ)我が国において,「JL Comfurni ゲーミングチェア」とする商品が,出荷予定日を2019年(令和元年)5月1日として,Amazonにおいて,注文を受けていたと認められる(甲16)ところ,Amazonへの出店者は不明である。 イ 上記アからすれば,「JL Comfurni ゲーミングチェア」とする椅子が我が国で販売されたことは認められるが,申立人が使用標章を付した商品を我が国及び外国において販売していることは確認できず,また,仮に申立人が使用標章を付した商品を,我が国又は外国で販売していたとしても,当該商品の販売数,売上高,市場シェア等の販売実績や広告期間,地域,規模等の広告実績を定量的に確認できる客観的な証拠の提出はないことから,使用標章の使用状況を把握することができず,使用標章の周知性の程度は明らかではない。 そうすると,使用標章は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の商品を表示するものとして,我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 商標法第4条第1項第10号は,「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定している。 そして,使用標章は,上記(1)のとおり,申立人の業務に係る商品を表すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 そうすると,同号の適用要件を欠くものといわざるを得ない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 使用標章の周知性について 使用標章は,上記(1)のとおり,申立人の業務に係る商品を表すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 イ 本件商標と使用標章の類似性について 本件商標は、上記1のとおり,「JL Comfurni」の欧文字を標準文字で表してなるものである。 一方,使用標章は,別掲のとおり,「JL」を大きく赤で着色し,その右に「COmFURnI」の文字を白抜きで表し,全体的にややデザイン化された「JL COmFURnI」の欧文字からなるものである。 そうすると、本件商標と使用標章とは,同一のつづりからなり,デザイン化の有無に差異を有するところ,両者は,特定の意味合いを想起させない造語であるから観念においては比較できないものの,外観上似通った印象を与え,同一の称呼を生じるというべきであるから,これらを総合して判断すれば、両者は類似するものである。 ウ 出所の混同のおそれについて 上記ア及びイのとおり,本件商標と使用標章とが類似するとしても,使用標章は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されているとはいえない。 そうすると,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者が,使用標章を連想又は想起することはなく,その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。 その他,本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 使用標章は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国又は外国の需要者の間で,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,広く認識されていたとは認められないものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号所定の他の要件を判断するまでもなく,同号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第7号該当性について 上記(1)のとおり,使用標章の周知性は認めることができず,申立人が提出した甲各号証を総合してみても,本件商標が不正の利益を得る目的,申立人の事業活動を阻害する目的その他不正の目的をもって使用するものであったり,その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあるなどと認めるに足りる具体的事実を見いだすことができない。 また,申立人は,本件商標の登録出願日以前の2017年(平成29年)5月に「JL Comfurni」の欧文字を含む商標を欧州連合商標として登録していること及び2019年(平成31年)4月に使用標章を付した椅子を我が国に輸出していることを主張していることからすると,本件商標の登録出願日以前に,我が国において使用標章を登録出願する機会は十分にあったにもかかわらず,これを怠っていたといわざるを得ない。 さらに,本件商標は,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないこと明らかであり,さらに,社会の一般的道徳観念に反するなど,公序良俗に反するものというべき証左も見あたらない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (6)むすび 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(使用標章:色彩については,甲第3号証参照。) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2020-09-14 |
出願番号 | 商願2019-101506(T2019-101506) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W20)
T 1 651・ 222- Y (W20) T 1 651・ 255- Y (W20) T 1 651・ 22- Y (W20) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 菊池 夏未、大井手 正雄 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
大森 友子 藤村 浩二 |
登録日 | 2019-10-25 |
登録番号 | 商標登録第6191311号(T6191311) |
権利者 | WES株式会社 |
商標の称呼 | ジェイエルコムファーニ、コムファーニ |
代理人 | 丸山 修 |