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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W31
管理番号 1367137 
審判番号 不服2019-9793 
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-24 
確定日 2020-10-07 
事件の表示 商願2018- 42881拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標について
本願商標は,「常緑キリンソウ」の文字を標準文字で表してなり,第31類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成30年4月5日に登録出願,その後,本願の指定商品については,原審における同31年1月10日受付及び当審における令和元年7月24日付けの手続補正書をもって,第31類「キリンソウの種子類・草・苗・花・盆栽」と補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,『常緑キリンソウ』の文字を標準文字により表してなるところ,その構成中の『常緑』の文字部分は,『植物が1年を通じて緑色の葉をつけていること。』を表す語であり,『キリンソウ』の文字部分は,『ベンケイソウ科の多年草。』の一名称であると容易に理解されることからすると,本願商標全体として『1年を通じて緑色の葉をつけているキリンソウ(常緑のキリンソウ)』程の意味合いが容易に認識されるものである。そして,種苗業界においては,1年を通じて緑色の葉をつけている植物について,『常緑』の語を対象の植物名に冠して使用している例が広く認められ,このことは『キリンソウ』が属する多年草においても同様である。そのため,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者等は,該商品が『1年を通じて緑色の葉をつけているキリンソウ(常緑のキリンソウ)』であると認識するにとどまり,単に,商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当である。また,本願商標はその構成中に『キリンソウ』の文字を含むものであることから,『キリンソウの種子類・草・苗・花・盆栽』以外の『種子類,草,苗,花,盆栽』に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,「常緑キリンソウ」の文字を標準文字で表してなるところ,構成中の「常緑」の文字は,「植物が1年を通じて緑色の葉をつけていること。」の意味を,「キリンソウ」の文字は,「ベンケイソウ科の多年草。」の意味を有する(いずれも株式会社岩波書店 広辞苑第六版)語である。
そして,原審において示した別掲1と同様に,別掲2に示す例からも,「キリンソウ」を含む常緑性の多年草が取引,販売されていることが認められる。
さらに,原審において示した別掲3の例に加え,別掲4に示す例からも,「常緑」の文字を植物名に冠して,一般に常緑性の植物を「常緑○○(「○○」は植物名)」のように称している実情が認められる。
そうすると,「常緑」の文字を植物(キリンソウ)に冠した構成からなる本願商標に接する取引者,需要者は,「常緑」及び「キリンソウ」(植物)の各文字の意味及び上記の取引の実情から,「常緑性(植物が1年を通じて緑色の葉をつけている)のキリンソウ」の意味合いを容易に理解するというべきである。
してみれば,本願商標を補正後の指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,「常緑性(植物が1年を通じて緑色の葉をつけている)のキリンソウの種子類,草,苗,花及び盆栽」であること,すなわち,商品の品質を表示したものとして理解し,認識するにとどまると判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「常緑のキリンソウ」という概念は従来存在しておらず,「常緑キリンソウ」の名称は,品種改良の結果生まれた新しい品種に対して請求人が付けた独自のものであり,一種の造語である,旨主張する。
しかしながら,上記(1)のとおり,「キリンソウ」を含む常緑性の多年草が取引,販売されていることが認められることに加え,一般に常緑性の植物を「常緑○○(「○○」は植物名)」のように称している実情が認められることからすれば,本願商標に接する取引者,需要者にあっては,本願商標から,単に「常緑性(植物が1年を通じて緑色の葉をつけている)のキリンソウ」であることを理解,認識するものと解すべきであり,ひいては,本願の指定商品の品質を表示したものと認識するとみるのが相当であるから,仮に,「常緑キリンソウ」の語が,請求人が考案した造語であるとしても,そのことは,本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断を左右するものではない。
したがって,請求人の主張は採用できない。
イ 請求人は,「常緑キリンソウ」の語は,少なくとも10年以上という長期にわたり,継続的に請求人の商品名を表す商標として使用されており,取引者間においても広く認識されている,旨主張する。
しかしながら,請求人が,「常緑キリンソウ」の文字を商品梱包用資材,商品カタログ等に,使用していることがうかがわれるとしても,本願商標は,取引者,需要者に商品の品質を表示したものと理解させること,上記(1)のとおりであり,また,請求人の使用によって,「常緑キリンソウ」の文字が,「常緑性(植物が1年を通じて緑色の葉をつけている)のキリンソウ」とは異なる意味合いを理解させるといったような事情も見当たらないことからすれば,本願商標については,上記(1)のとおり判断するのが相当である。
したがって,請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲
1 原審において示した,常緑性の多年草が取引,販売されていることを示している例(下線は合議体による。以下同じ)
「暮らし?の」のウェブサイトにおいて,「ツワブキとは?」の見出しの下,「ツワブキとは,キク科ツワブキ属に分類される常緑多年草です。常緑多年草とは,一年を通して葉が茶色くならず,緑色のまま何年も生きる植物のことを指します。」との記載がある。
https://kurashi-no.jp/I0022987(令和2年7月1日最終閲覧)

2 別掲1と同様に,「キリンソウ」を含む常緑性の多年草が取引,販売されていることを示している例
(1)「おぎはら植物園」のウェブサイトにおいて,「セダム ‘アトランティス’(PVP)」の見出しの下,「タケシマキリンソウの斑入り品種 鮮やかに入ったマーブル状の斑が美しく,日当たりの良い乾燥地のグランドカバーに向く キリンソウには珍しく冬も常緑なので都市緑化用として近年注目されている」との記載がある。
https://www.ogis.co.jp/gallery/page01.php?gallery=search&p=58&id=2746(令和2年7月1日最終閲覧)
(2)「日本園芸協会」のウェブサイトにおいて,「コーカサスキリンソウ‘トリカラー’(Sedum spurium ‘Tricolor’)」の見出しの下,「コーカサス地方原産のベンケイソウ科の多年草です。葉に白色と紅色が混ざっている斑入り品種です。耐寒・耐暑・耐陰性にすぐれ,常緑ですので,ハンギングやコンテナガーデン,グランドカバーなど多用途で活躍します」との記載がある。
https://ssl.gardening.or.jp/colum/2012/02/index.html(令和2年7月1日最終閲覧)
(3)「苗木部」のウェブサイトにおいて,「常緑多年草 トキワナルコユリ 鉢植え 庭木 カラーリーフ」の見出しの下,「耐陰性の強い植物はたくさんいますが,この『トキワナルコユリ』は別格。1日中日陰で暗いお庭でも栽培できる,しかも寒さに強い常緑性の多年草です。」との記載がある。
https://www.hanahiroba.com/c/0000005597/0000006223/0000006250/0000007019/niwaki_tokiwanarukoyuri_01(令和2年7月1日最終閲覧)
(4)「熊本の大型総合園芸店 ナーセリーズ」のウェブサイトにおいて,「ヒューケラ 〔常緑多年草〕」の見出しの下,「キレイな葉色を1年中楽しめる常緑多年草です」との記載がある。
http://nurserys.jp/merchandise/wii/cat137/post_55.html(令和2年7月1日最終閲覧)

3 原審において示した,常緑性の植物が,「常緑○○(「○○」は植物名)」と称されている例
(1)「あいあいパーク」のウェブサイトにおいて,「冬咲きクレマチスの育て方」の見出しの下,「ユンナンエンシス(旧名アンスンエンシス,ウンナンエンシス):開花期:12?1月,花径:3?4cm,草丈:3?4m。中国原産の常緑クレマチスで,冬咲き種のなかでも一番の人気」との記載がある。
http://www.aiaipark.co.jp/kanri/huyuzakiclematis.php(令和2年7月1日最終閲覧)
(2)「【楽天市場】千草園芸」のウェブサイトにおいて,「常緑アヤメ(ディエテス・イリディオイデス)」の見出しの下,「南アフリカ原産の常緑性のアヤメで日本にない花を咲かせます。 暖かい地方では露地植えで着ますが,冬の最低気温が0度になる地域では育てることができません。」との記載がある。
https://item.rakuten.co.jp/chigusa/10016943/(令和2年7月1日最終閲覧)

4 別掲3と同様に,常緑性の植物が,「常緑○○(「○○」は植物名)」と称されている例
(1)「ゲキハナ」のウェブサイトにおいて,「【送料無料】常緑アジサイ 碧の瞳 6号 大株 花付 ナチュラル おしゃれ かわいい 珍しい」の見出しの下,「碧の瞳はアジサイには珍しい『常緑』の紫陽花なので,花が終わった後も綺麗なグリーンを楽しんでいただけますよ♪」との記載がある。
https://www.gekihana.jp/shopdetail/000000001995/(令和2年7月1日最終閲覧)
(2)「Yahoo!Japan ショッピング」の「大福樹苗園」のウェブサイトにおいて,「常緑モクレン ミヤマガンショウ 約1.9m 1本株 現品発送 特大植木苗木 深山含笑い 常緑木蓮 オガタマミケリア 常緑樹 送料無料」の見出しの下,「モクレンの木の常緑タイプです(厳密にはオガタマ属になります)」との記載がある。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/daifukujyubyou/200283gansyo1917.html(令和2年7月1日最終閲覧)
(3)「花と緑の図鑑-Garden vision」のウェブサイトにおいて,「ツツジ(常緑)」の見出しの下,「『オオムラサキツツジ』ヒラドツツジ系。公共施設の植え込みなどによく見かける常緑ツツジ。」との記載がある。
http://garden-vision.net/tree/t_line/tutuji_jo.html(令和2年7月1日最終閲覧)


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審理終結日 2020-07-14 
結審通知日 2020-07-27 
審決日 2020-08-18 
出願番号 商願2018-42881(T2018-42881) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 晃弘 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
藤村 浩二
商標の称呼 ジョーリョクキリンソウ、ジョーリョクキリンソー 
代理人 鈴木 徳子 
代理人 高松 孝行 

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