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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W05 |
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管理番号 | 1367122 |
審判番号 | 不服2020-2705 |
総通号数 | 251 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-02-28 |
確定日 | 2020-10-01 |
事件の表示 | 商願2018-70594拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,「甘草」の漢字及び「KANZOU」の欧文字を上下二段に横書きしてなり,第5類に属する願書記載の商品を指定商品として,平成30年5月28日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同31年3月27日付け手続補正書により,第5類「甘草を使用した栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」と補正されたものである。 2 原査定における拒絶の理由(要点) 原査定は,「本願商標は,『マメ科の多年草。中国北部に自生。高さ約1メートルで全体粘質。羽状複葉。夏,淡紫色の蝶形花を穂状につける。根は赤褐色で甘根・甘草と呼び,特殊の甘味をもつ。漢方生薬として鎮痛・鎮咳剤によく使われ,また,醤油などの甘味剤とされた。あまき。あまくさ。』(『広辞苑第六版』株式会社岩波書店)の意味を有する『甘草』の文字と,その読み方をローマ字で表したものと直ちに理解させる『KANZOU』の文字とを二段に横書きしてなるところ,甘草を原料とした飼料や飼料添加物が製造,販売されている実情(別掲)が見受けられることからすれば,これをその指定商品に使用しても,単に商品の品質,原材料を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は,「甘草」の漢字及び「KANZOU」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ,上段の「甘草」の漢字は,「マメ科の多年草」の意味を有する語であって,一般的に,「カンゾウ」と読まれる語であることから,当該漢字の下段に書された「KANZOU」の欧文字は,上段の「甘草」の読みをローマ字で表記したものと無理なく認識できるものである。 そして,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,甘草を原料とした飼料や飼料添加物が製造,販売されている実情があることは,別掲に掲げる原審で開示した「甘草」の使用事実からも明らかである。 してみれば,本願商標をその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,単に,「甘草」の漢字及びその読みをローマ字で表記したにすぎないものとして看取するものであって,本願商標の構成全体として,格別独創的な表示態様からなるものとは認識し得ず,これよりは「甘草(マメ科の多年草)」の意味合いのみを想起するにすぎないというべきである。 そうすると,本願商標は,これをその指定商品に使用しても,単に「甘草を原料として使用した商品」であるという商品の品質(原材料)を表示したものとして理解されるにとどまり,自他商品の識別標識としては認識され得ないというのが相当である。 したがって,本願商標は商品の品質(原材料)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり,商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は,我が国の取引者,需要者にあってはその生活習慣上古来より,漢方としての「甘草」と,かかる漢方薬が作用する臓器としての「肝臓」が強くひも付けられていることから,本願商標の構成中,下段の「KANZOU」の欧文字は,単に甘草の文字のローマ字表記との理解を超えて,「肝臓」の観念を強く暗示しており,また,本願商標全体として,「動物の肝臓に良い影響を及ぼす」,ひいては「動物の体調を良くする」といった複合的な観念を取引者,需要者に暗示的に与えることから,本願商標は自他商品の識別標識としての機能を果たしていることは明らかである旨主張し,その証拠として,当審において甲第1号証ないし甲第8号証を提出している。 しかしながら,請求人が提出した証拠から,甘草が肝臓疾患の治療に利用されている事実等は理解できるとしても,本願商標のように「カンゾウ」と読まれる「甘草」の漢字と「KANZOU」の欧文字が上下二段で表された場合,漢字の読みを平仮名や片仮名で振り仮名を付す場合と同様に上記の漢字の読みを欧文字で表示したものと考えるのが自然であり,「KANZOU」の欧文字から「肝臓」の観念を想起するとはいい難い。 よって,本願商標の構成においては,下段の「KANZOU」の欧文字は上段の「甘草」の漢字の読みを特定したものと理解するのが相当であり,請求人の主張は,採用できない。 (3)まとめ したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することはできない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 原審において示した事実(甘草を原料とした飼料や飼料添加物が製造,販売されている事実) 1.バイエル薬品株式会社が運営するウェブサイト内,「スークラム」の商品ページに,「原材料名及び含有する飼料添加物」の項に「含有する飼料添加物:サッカリンナトリウム,着香料,甘草抽出物,ステビア」の記載がある。 (https://chikusan.bayer.com/products/sukura) 2.株式会社スリーライク商会が運営するウェブサイト内,「取扱原料一覧表 > 飼料添加物」のページに,「・・・マタタビの実粉末 ウコン粉末 甘草粉末・甘草エキス末 ビタミンC 水産・畜産飼料原料・・・」の記載がある。 (http://threelikeshokai.com/hf20fxw6/) 3.株式会社北海道バイオ農研が運営するウェブサイト内,「商品紹介」のページに,「ポテトアミノ酸入り牛・豚用飼料(A飼料)ビグラッド-N」「甘草入りビグラッドは,上記ビグラッド-Nに『甘草』を配合した新製品です。甘草は,健康な肝臓の維持や受胎成功率の向上,受精卵の数・質の向上などに,良い結果をもたらすと評価されています。また,ケトーシスに対する効果や,疾病を軽減する効果も期待されています。」の記載がある。 (http://www.hokkaido-bio.com/content1.html#anchor1) 4.あすかアニマルヘルス株式会社が運営するウェブサイト内,「アルビタイースト」の商品ページに「特徴 アルビタイーストはアミノ酸,酵素,ビタミン,オリゴ糖,ペプチド亜鉛,ファフィア酵母,カルニチンをバランスよく配合しています。暑熱期における造成能力の維持が期待できます。」,「原材料名等 ビール酵母,炭酸カルシウム,フラクトオリゴ糖,無水ケイ酸,ファフィア酵母,アルファルファミール,パン酵母(セレン入り),甘草抽出物,ステビア,クエン酸」の記載がある。 (http://www.aska-animal.co.jp/products/detail/mix/arvita.html) |
審理終結日 | 2020-07-15 |
結審通知日 | 2020-07-20 |
審決日 | 2020-08-17 |
出願番号 | 商願2018-70594(T2018-70594) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W05)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 清川 恵子、吉田 昌史 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
豊田 純一 浜岸 愛 |
商標の称呼 | カンゾウ、カンゾー、アマクサ |
代理人 | 原 信海 |