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審決分類 審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 登録しない W31
管理番号 1367104 
審判番号 不服2018-7967 
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-09 
確定日 2020-10-08 
事件の表示 商願2016-143501拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「粉雪」の文字を標準文字で表してなり、第31類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成28年12月22日に登録出願されたものである。
その後、本願の指定商品については、原審における平成29年12月28日提出の手続補正書により、第31類「ハオルシア,ハオルシアの苗,ハオルシアの種子」と補正された。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、種苗法に基づき「Solanum tuberosum L.」(ばれいしょ種)の品種名として登録されている「コナユキ」(品種登録第21865号)と類似のものであり、かつ、その品種の種苗に類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第14号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、前記1のとおり、「粉雪」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は「粉のようにさらさらとした細かい雪。」(「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店))の意味を有する語として慣れ親しまれているものであるから、本願商標は、その構成文字に相応して、「コナユキ」の称呼及び「粉のようにさらさらとした細かい雪。」の観念を生じるものである。
(2)引用標章について
ア 原審において本願の拒絶の理由として引用した種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の名称は、「コナユキ」の文字からなり、「ばれいしょ種」の品種名として、平成24年7月26日に、種苗登録第21865号として、品種登録されたもの(以下「引用標章」という。)である。
イ 引用標章は、上記のとおり、「コナユキ」の文字からなるところ、該文字は「粉のようにさらさらとした細かい雪。」の意味を有する語として慣れ親しまれている「粉雪」の語を片仮名で表したものと看取、理解されるものといえるから、引用標章は、その構成文字に相応して、「コナユキ」の称呼及び「粉のようにさらさらとした細かい雪。」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用標章との類否について
本願商標と引用標章との類否について検討すると、両者は、外観において漢字と片仮名の差異を有するものの、「コナユキ」の称呼及び「粉のようにさらさらとした細かい雪。」の観念を同一にするものであり、これらを総合的に勘案すると、相紛れるおそれのある類似のものというべきである。
(4)本願の指定商品と種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の種苗との類否について
種苗法は、「新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。」(種苗法第1条参照)のに対し、商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発展に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」(商標法第1条参照)と規定する。
このように、種苗法は、農産物や園芸植物の新品種開発者を保護するために制定された法律であるのに対し、商標法は、商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図ることを通じて、産業の発達に寄与し、一方で需要者の利益を保護するために制定された法律であり、種苗法における品種の名称と商標法における商標とでは、種苗法が品種における類似の範囲を品種の名称の禁止権とするのに対し、商標法は商品又は役務における類似の範囲を商標の禁止権とする点において、保護の範囲が異なるものといえる。
ところで、本願商標は、商標として登録出願されたものであるから、商標登録を受けることができるか否かは、商標法に基づいて判断されることはいうまでもない。
そして、本願の指定商品は、第31類「ハオルシア,ハオルシアの苗,ハオルシアの種子」であるところ、商標法施行規則別表には、第31類に属する商品として、「十二 種子類」及び「十三 木 草 芝 ドライフラワー 苗 苗木 花 牧草 盆栽」が例示されており、本願の指定商品は、上記別表に例示された「種子類」及び「「木 草 芝 ドライフラワー 苗 苗木 花 牧草 盆栽」の範ちゅうに属する商品である。また、「種苗」とは、「植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるもの」(種苗法第2条第3項)であるから、その形態は、別表に例示された上記商品の範ちゅうに属する商品が該当するといえ、このことは、種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種である「ばれいしょ種」の種苗についても同様である。
したがって、本願の指定商品は、種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の種苗に類似する商品というべきものである。
(5)小括
上記(3)及び(4)のとおり、本願商標は、種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の名称と類似の商標であって、その品種の種苗に類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第14号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、商標法第4条第1項第14号は後段で品種登録を受けたその品種の種苗又はこれに類似する商品に適用を限定しているが、ここでいう「類似する商品」とはその直前の文言から「類似する種苗」の意であることは明確であり、法律の中でわざわざ適用対象を限定しているのは、適用除外となる対象が存在することを想定しているのであり、「類似する商品」と限定したのは、「類似しない商品(種苗)」があることを法律が想定しているからに他ならず、それはまさに「同じ名称だが属が異なっていて混同されるおそれがない種苗」を指すものと考えるのが自然な解釈であり、審査官のいう品種登録された品種と同じ又は類似の名前の種苗で同一店舗で売られている種苗はすべて類似商品であるから登録できない、とするのは商標法第4条1項14号の解釈を誤ったものである旨主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第14号で規定する「その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用するもの」における「これに類似する商品」とは、「種苗に類似する商品」と解釈するのが自然であって、請求人が主張する「類似する種苗」と解釈すべき理由はないから、請求人の主張は、その前提において妥当といえず、採用することができない。
イ 請求人は、審査官のいう類似の定義に従えば、品種登録では混同されるおそれのある品種が登録されていることになり、また、類似であるとは、混同する(おそれがある)と同義であるから、別個の法律だからといって同じ対象に対して全く正反対のことが規定されているとするのは同じ言語の一国の法律体系として大きな矛盾である旨主張する。
しかしながら、種苗法及び商標法は、それぞれ、目的に即した保護の範囲があり、商標法における商品又は役務の類否は、取引の実情を総合的に考慮し、取引者、需要者が、商品又は役務の出所について誤認混同を生じるおそれがあるか否かによって判断されるべきものである。そして、本願商標は、上記(4)のとおり、商標法に基づいて判断されるものであり、本願の指定商品と種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の種苗とは類似する商品であるから、本願商標は、これをその指定商品に使用するときには、取引者、需要者をして、引用標章と商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあるものである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第14号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2019-06-20 
結審通知日 2019-07-12 
審決日 2019-07-24 
出願番号 商願2016-143501(T2016-143501) 
審決分類 T 1 8・ 21- Z (W31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菅沼 結香子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 小松 里美
有水 玲子
商標の称呼 コナユキ 

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