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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W29303243
審判 全部申立て  登録を維持 W29303243
審判 全部申立て  登録を維持 W29303243
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審判 全部申立て  登録を維持 W29303243
管理番号 1366311 
異議申立番号 異議2019-900360 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-12-10 
確定日 2020-08-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第6184840号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6184840号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6184840号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成よりなり,平成30年10月10日に登録出願,第29類「ヨーグルト,乳製品,スープ,スープのもと,サラダ,加工野菜及び加工果実」,第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,オートミール,穀物の加工品」,第32類「ビール,スムージー,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として,令和元年8月9日に登録査定,同年9月27日に設定登録されたものである。

第2 引用標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する標章は,別掲2の構成よりなる標章(以下「引用標章1」という。)及び別掲3の構成よりなる標章(以下「引用標章2」という。なお,「引用標章1」と「引用標章2」をまとめて「引用標章」という。)であり,申立人の業務に係る商品「サラダ」等や役務「飲食物の提供」に使用して,本件商標の出願時及び登録時において,需要者の間に広く認識されている標章であると主張するものである。

第3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第8号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第51号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は,本件商標権者のひょうせつ的行為に基づいて出願されたものであり,法律及び社会一般の道徳観念に反し,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標であるから,商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は,申立人の名称の「要部」である「ハイファイブ」と称呼を同一にする「HIGH FIVE」という文字を含んでいる。また,申立人は,本件商標権者に対し,申立人の名称の全部又は一部の使用を承諾していない。したがって,本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当する。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は,申立人の業務に係る商品「サラダ」等や役務「飲食物の提供」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用標章1の一部であることは明らかであり,引用標章1と類似,引用標章2と同一の商標である。また,本件商標の指定商品及び指定役務中,第29類「乳製品,スープ,スープのもと,サラダ,加工野菜及び加工果実」,第30類「コーヒー,菓子,パン」,第32類「ビール,スムージー」及び第43類「飲食物の提供」は,申立人が引用標章を使用している商品及び役務と同一又は類似の商品及び役務であるから,商標法第4条第1項第10号の規定に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用標章は上記3のとおり同一又は類似であり,引用標章が需要者の間に広く認識されていることに加え,本件商標の指定商品及び指定役務中,第29類「乳製品,スープ,スープのもと,サラダ,加工野菜及び加工果実」,第30類「コーヒー,菓子,パン」,第32類「ビール,スムージー」及び第43類「飲食物の提供」は,申立人の業務に係る商品又は役務と同一又は類似のものであることに鑑みれば,消費者に対して出所混同を惹起する蓋然性は高い。よって,本件商標は,「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」であるといえ,商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
申立人の使用する引用標章は日本国内における需要者の間に広く認識されており,本件商標と引用標章は同一又は類似であることに加え,本件商標が本件商標権者のひょうせつ的行為に基づいて出願されたものであり,申立人に対し好戦的かつ挑発的な態度を示していることから,商標権者に不正目的があることは疑う余地がない。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用標章の周知性について
申立人の提出に係る証拠及び主張によれば,以下のとおりである。
(1)申立人は,平成28年9月16日に設立登記されたレストラン・喫茶店の経営,調理食品の製造・販売及び宅配業務,食品又は飲料品の輸出入並びに販売等を事業内容とする株式会社である(甲7)。
(2)申立人は,「パワーサラダ専門店 HIGH FIVE SALAD」を運営し,「奥神楽坂店」を平成28年10月28日にオープンした(甲26)。また,申立人は「市ケ谷店」及び「牛込神楽坂店」の店舗を展開している(甲8)。そして,「サラダ」,「パン」,「スープ」,「スムージー」等の商品(以下「使用商品」という。)を販売するとともに,「飲食物の提供」の役務(以下「使用役務」という。)を提供しており,それらの使用商品及び使用役務に,引用標章を表示している(甲8?甲19)。
(3)使用商品(サラダ)の販売数については,「奥神楽坂店」で平成29年度に30,863個,平成30年度基準時までに24,262個,「市ヶ谷店」で平成30年度に7,916個,「法人向け配送サービス」の販売数は,平成29年度に7,507個,平成30年度基準時までに59,507個である旨の記載が見受けられる(甲24)ものの,提出された表は,申立人により容易に作成できるものであり,当該表によっては,使用商品(サラダ)の売り上げを客観的に確認することができない。
(4)使用商品及び使用役務が,平成28年11月及び平成29年8月の新聞(甲26,甲27,甲49,甲50)及び平成29年1月ないし5月頃の雑誌(CanCan,美的,saita,VERY,女性セブン等)(甲28?甲48)において,紹介されている。なお,平成29年1月及び同年7月に発行された雑誌に掲載された写真には,店舗内に引用標章2が表示された備品が置かれていることが認められる(甲31,甲46)。
(5)使用商品(サラダ)が,一般社団法人全国スーパーマーケット協会が実施した「お弁当・お総菜大賞2019」において,優秀賞を受賞している(甲51)。
(6)上記(1)ないし(5)によれば,申立人は,平成28年10月より「パワーサラダ専門店 HIGH FIVE SALAD」を展開し,日本国内の3店舗において,使用商品及び使用役務に引用標章を使用していることがうかがえるものの,その使用期間は,僅か4年弱であり,決して長いものとはいえない。
そして,その間に新聞及び雑誌に使用商品及び使用役務に関する記事が掲載された事実は確認できるものの,その掲載期間は平成28年11月からの9ヶ月にすぎず,その掲載回数もさほど多いものとはいえないものである上,紹介記事中に引用標章が確認できるのはわずかである(甲26?甲50)。加えて,その他に,宣伝広告の期間,地域及び規模等の広告実績を定量的に確認できる客観的な資料は提出されていない。また,使用商品及び使用役務の販売数,売上高,市場シェア等の販売実績についても提出されていない。さらに,引用標章が外国の需要者の間に広く認識されているとする証拠も提出されていない。
そうすると,使用商品及び使用役務に使用されている引用標章は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品(サラダ等)又は役務(飲食物の提供)を表示するものとして,我が国又は外国の需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。
2 申立人の名称の略称の著名性について
申立人の名称が「株式会社ハイファイブ」であり(甲7),使用商品及び使用役務に引用標章が表示されているとしても,「HIGH FIVE(ハイファイブ)」の文字が単独で使用されている事実等,「HIGH FIVE(ハイファイブ)」の文字が,使用商品及び使用役務の取引者,需要者のみならず,我が国において,申立人の略称を表示したものとして一般に認識されていることを認め得る証左は見いだせないから,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,当該文字が申立人の略称として著名となっていたとは認められない。
3 本件商標と引用標章との類似性について
本件商標は,別掲1のとおり「HIGH FIVE SALAD」の欧文字を大きく表し,該文字中の「H FIVE SA」の文字部分の幅に合わせて,その下に「Step out of your comfort zone」の欧文字を小さく配した構成よりなるものである。
これに対して,引用標章1は,別掲2のとおりの構成よりなるところ,その構成中の文字部分は本件商標と近似した構成態様及び同一の綴り字よりなるものである。
また,引用標章2は,別掲3のとおりの構成よりなるところ,その構成文字は本件商標と近似した構成態様及び同一の綴り字よりなるものである。
そうすると,本件商標と引用標章1及び引用標章2とは,近似した構成態様や綴り字を同一にするから,類似するものである。
4 商標法第4条第1項第10号該当性について
引用標章は,上記1のとおり,申立人の業務に係る商品又は役務を表すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
したがって,本件商標と引用標章が類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり,引用標章が日本国内における需要者の間に広く認識されているものと認められないことからすると,上記3のとおり,本件商標と引用標章が類似の商標であるとしても,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件商標権者が,本件商標をその指定商品又は指定役務について使用をしても,取引者,需要者が,引用標章を連想又は想起することはなく,その商品又は役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。また,その他,本件商標が引用標章と出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は,「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて,不正の目的(不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
しかしながら,引用標章は,上記1のとおり,他人(申立人)の業務に係る商品又は役務を表示するものとして我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号所定の他の要件を判断するまでもなく,同号に該当しない。
7 商標法第4条第1項第8号該当性について
上記2のとおり,「HIGH FIVE(ハイファイブ)」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,当該文字が申立人の略称として著名となっていたと認めることはできない。
してみれば,本件商標は,その構成中に「HIGH FIVE」の文字を含むとしても,本件商標を申立人の略称を含むものと認識し,把握されることはなく,本件商標は,他人の著名な略称を含む商標であるとは認められない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
8 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は,本件商標の出願は,申立人の取締役を務めていた本件商標権者により,申立人の内部混乱に乗じて申立人の現に利用している商標を申立人の許可を得ずに,申立人の事業を遂行することを抑止するため,ひょうせつ的に行われたものであり,社会一般道徳観念に反し,公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある旨,主張する。
しかしながら,申立人の主張及び同人の提出した証拠から,本件商標権者が申立人の事業の遂行を妨害や阻止しようとしていること,本件商標の登録出願がひょうせつに当たることなどを具体的に裏付ける証拠を見いだすことはできない。加えて,申立人は,引用標章の使用開始にあたって,その商標を自ら登録出願する機会は十分にあったというべきであって,自ら登録出願しなかった責めを本件商標権者に求めるべき事情を見いだすこともできない。
そうすると,本件商標について,商標法の先願登録主義を上回るような,その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあるということはできないし,そのような場合には,あくまでも,当事者間の私的な問題として解決すべきであるから,社会の一般道徳観念に反し,公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということはできない。
その他,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であると認めるに足りる証拠の提出はない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものとはいえない。
9 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第8号,同項10号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものではなく,その登録は,同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲
別掲1(本件商標)


別掲2(引用標章1)


別掲3(引用標章2)



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異議決定日 2020-07-28 
出願番号 商願2018-126597(T2018-126597) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W29303243)
T 1 651・ 22- Y (W29303243)
T 1 651・ 271- Y (W29303243)
T 1 651・ 255- Y (W29303243)
T 1 651・ 23- Y (W29303243)
最終処分 維持  
前審関与審査官 古橋 貴之 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 藤村 浩二
大森 友子
登録日 2019-09-27 
登録番号 商標登録第6184840号(T6184840) 
権利者 仙洞田 真也
商標の称呼 ハイファイブサラダステップアウトオブユアコンフォートゾーン、ハイファイブサラダ、ハイファイブ、ファイブサラダ、ステップアウトオブユアコンフォートゾーン 
代理人 伊藤 海 

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