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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z42 |
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管理番号 | 1366259 |
審判番号 | 取消2019-300198 |
総通号数 | 250 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-10-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2019-03-14 |
確定日 | 2020-08-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4537045号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4537045号商標(以下「本件商標」という。)は、「三四郎」の文字を標準文字により表してなり、平成12年10月24日に登録出願、第42類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写貞の撮影,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与」を指定役務として、同14年1月18日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、平成31年3月27日である。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第42類「飲食物の提供」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、証拠方法として、甲第1号証を提出し、その理由として、本件商標は、その指定役務中、上記役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張した。 なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何らの意見も述べていない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、審判事件答弁書において、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第38号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 (1)本件商標の使用事実の要点 本件商標は、本件商標権者が、本件審判の請求の登録前3年(以下「要証期間」という。)以内に我が国において、その請求に係る指定役務「飲食物の提供」中の「焼肉を主とする飲食物の提供」について本件商標を使用している。 (2)本件商標の使用の事実 ア 本件商標権者の業務内容 本件商標権者は、福井県越前市において、昭和40年にドライブイン的な要素を盛り込み「ドライブイン三四郎」の店名で営業を開始し、その後、20年前からレストハウス的な要素を盛り込み「レストハウス三四郎」に店名を変更し、さらに、11年前から、「焼肉三四郎」に店名を変更して営業しており、飲食店に係る個人事業を「三四郎」という屋号で営んでいる。 イ 本件商標権者の業務の事実の立証 本件商標権者の飲食店(以下「本件飲食店」という。)の現在の写真(乙2の1ないし4)、本件飲食店の営業許可証(乙3)、本件飲食店の預金通帳(乙4の1及び2)、本件商標権者の消費税の納付書(乙5)、本件飲食店あての町会費の領収書(乙6、乙7)、本件商標権者の飲食店あての水道料の領収書(乙8)、本件飲食店あての取引先からの販売明細書(乙9)、本件飲食店あての労働保険料等納付通知書(乙10)及び本件飲食店が要証期間に実在することを証明する武生青年会議所の証明書(乙11)をもって、本件商標権者が要証期間内から現在まで飲食店を経営している事実を立証する。 なお、本件飲食店の店名は3回変わっており、その都度看板などを変えているが、公的機関や取引先によっては、名称変更を行わないで従前の店名を使用している場合がある。 ウ 使用に係る商標 本件商標権者は、目録1記載の使用商標l及び使用商標2を役務「焼肉を主とする飲食物の提供」に関し、要証期間内に使用している。 (ア)使用商標1は、中段に「三四郎」の文字を毛筆体で配し、上段に上記「三四郎」の文字の約3.5分の1の小ささで「焼肉」の文字を楷書体で配した構成からなる。 中段の「三四郎」の文字に比べて著しく小さく、しかも別書体で、段を違えて配されている「焼肉」の文字部分は役務「焼肉を主とする飲食物の提供」の質などを表すものと認められるものであり、独立して自他役務の識別標識としての機能を有するものとはいい難く、使用商標1において独立して自他役務の識別標識としての機能を有する部分は中段の「三四郎」の文字であるから、使用商標1は本件商標と社会通念上同一の商標である。 (イ)使用商標2は、中段に「三四郎」の文字を毛筆体で配し、上段に上記「三四郎」の文字の約3.5分の1の小ささで「焼肉」の文字を楷書体で配し、下段に黒字の長方形内に「YAKINIKU SANSHIRO」の文字を配した構成からなる。 中段の「三四郎」の文字に比べて著しく小さく、しかも別書体で、段を違えて配されている「焼肉」の文字部分は、役務「焼肉を主とする飲食物の提供」の質等を表すものと認められるものであり、独立して自他役務の織別標識としての機能を有するものとはいい難い。また、下段の「YAKINIKU SANSHIRO」の文字は、中段の「三四郎」の文字と外観上著しく態様を異にし、常に一体としてみるべき特段の理由はなく、仮に一体としてみるとしても、「YAKINIKU」部分は役務「焼肉を主とする飲食物の提供」の質等を表すものと認められるものであり、独立して自他役務の識別標識としての機能を有するものとはいい難く、独立して自他役務の識別標識としての機能を有するのは「SANSHIRO」部分である。 そして、「三四郎」の文字以外に「サンシロウ」の読みを生じる既成語はなく、「SANSHIRO」部分は「三四郎」をローマ字で標記したものであって、同様の観念を生じるものであるから、使用商標2において独立して自他役務の識別標識としての機能を有する部分は中段の「三四郎」の文字であるから、使用商標2は本件商標と社会通念上同一の商標である。 また、仮に下段の「YAKINIKU SANSHIRO」の文字を中段の「三四郎」の文字と一体にみるとした場合でも、独立して自他役務の識別標識としての機能を有する部分は中段の「三四郎」の文字及び「SANSHIRO」の文字であり、使用商標2は本件商標と社会通念上同一の商標である。 エ 商標の使用の態様 (ア)本件商標権者は経営する役務「焼肉を主とする飲食物の提供」を行う飲食店で使用するメニュー(メニュー表)に使用商標1を表示しているが、これは「役務に関する価格表若しくは取引書類に標章を付して展示する行為」と認められるから、商標法第2条第3項第8号に定める商標の「使用」に該当する。 (イ)本件商標権者は経営する役務「焼肉を主とする飲食物の提供」を行う飲食店の敷地内の通りに面した看板及び飲食店の建物の入り口付近の壁面に付した看板に前記使用商標2を表示しており、使用商標2には、役務「焼肉を主とする飲食物の提供」を表示するための「焼肉」の文字が表示されているから、これは「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」と認められるから、商標法第2条第3項第8号に定める商標の「使用」に該当する。 オ 要証期間内における使用商標1の事実の立証 乙第12号証は、平成30年4月6日に使用商標1を表示したメニューを印刷し、本件商標権者に納品したことの印刷業者の証明書である。また、乙第13号証は、当該印刷業者が本件商標権者から受領したメニューの印刷代金の領収書である。 以上をもって、本件商標権者が、使用商標1を、自身が経営する「焼肉を主とする飲食物の提供」を行う飲食店内のメニューに要証期間内において使用している事実を立証する。 カ 要証期間内における使用商標2の事実の立証 (ア)乙第14号証は使用商標2を表示した看板を本件飲食店の建物の入り口付近の壁面に付した状態を撮影した写真を平成29年11月2日に撮影したことの撮影業者の証明書であり、また、乙第15号証は当該撮影業者が本件商標権者から受領した撮影代金の領収書である。当該撮影業者が撮影日を正確に把握している理由は、当日本件商標権者に依頼されて店内や料理の商業写真の撮影をし、撮影終了後関係者の記念撮影を飲食店をバックにして撮影したからである。 (イ)乙第16号証ないし乙第32号証は、要証期間内において本件飲食店に使用商標2を表示した看板が付されていることの本件飲食店前を通行する近隣の住民、本件飲食店の顧客、取引先による証明書である。 (ウ)乙第33号証の1は、インターネット上の「GoogleMap」の本件飲食店の撮影画像であり、そこには使用商標2を表示した看板を付した本件飲食店が表れている。 当該画像の下には「撮影日:11月2017」の表示があることから、これが2017年11月に撮影されていることが明らかであり、要証期間内に使用商標2を表示した看板を付した本件飲食店が存在したことが分かる。 乙第33号証の2は、インターネット上の「GoogleMap」の本件飲食店の平成31年4月17日現在の紹介記事であり、そこには当該画像に関連して本件飲食店が「三四郎焼肉店」として特定されて記載され、「○週間前」、「○ケ月前」、「○年前」と投稿日を特定したロコミが掲載されており、要証期間内に使用商標2を表示した看板を付した本件飲食店が存在したことが分かる。 (エ)乙第34号証は「facebook」、乙第35号証は「YAHOO!JAPAN」、乙第36号証は「福井県大好き!!」、乙第37号証は「グルコミ」、乙第38号証は「食ベログ」のウェブサイトにおける本件飲食店の平成31年4月17日現在の紹介記事であり、これらには、投稿日を特定した口コミが掲載されており、要証期間内に使用商標2を表示した看板を付した本件飲食店が存在したことが分かる。 2 むすび 以上のとおり、本件商標は、要証期間内に日本国内において商標権者により指定役務「飲食物の提供」中の「焼肉を主とする飲食物の提供」について使用していることが明らかである。 第4 当審の判断 1 被請求人の主張の全趣旨及び提出された証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)本件商標権者は、平成20年頃から「焼肉 三四郎」の名称で飲食店を開始しており、福井県越前市の住所(以下「本件住所1」という。)を営業所として、平成28年3月3日ないし同33年(令和3年)4月末日までの「飲食店(食堂)」の営業許可を得た(乙3、乙36)。 (2)本件商標権者は、本件飲食店に係るメニューの作成及び印刷を合同会社アズワン・パートナーズに依頼し、これが、平成30年4月6日に印刷され、その後、本件商標権者に納品され、その代金が同月28日に支払われ、当該メニューには、主として焼肉に関するメニューが写真とともに掲載され、その上部には、筆書き風に大きく書された「三四郎」の文字の上部に小さく「焼肉」の文字が書されている(乙12、乙13)。 (3)平成29年11月2日に撮影された本件商標権者が営業する本件飲食店の写真には、上段に小さく「焼肉」の文字を、中段に大きく筆書き風に横書きした「三四郎」の文字を、下段に小さく「YAKINIKU SANSHIROU」の文字を配した看板(以下「本件看板」という。)(別掲)が当該店舗の壁面にある(乙14)。 (4)撮影日を2017年(平成29年)11月とする本件飲食店の「Googleストリートビュー」には、店舗壁面に本件看板が写っており、当該店舗の住所として越前市の住所(以下「本件住所2」という。)の記載がある(乙33の1及び2)。 また、2018年(平成30年)12月24日の表示があるウェブサイト記事(乙34)には、「焼肉三四郎 焼肉屋」の表題で、本件看板の写真が掲載され、当該店舗の住所として本件住所2の記載があり、さらに、2008年(平成20年)5月14日の表示があるウェブサイト記事(乙36)には、「三四郎(焼き肉店)」の表題で、本件看板の写真が掲載され、当該店舗の住所として本件住所2の記載がある。 2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標について 本件商標は、「三四郎」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、本件看板において、上段小さく書された「焼肉」の文字はその提供に係る役務の内容を表すにすぎないものであり、また、下段の「YAKINIKU SANSHIROU」の文字も小さく書されていることから、中段に大きく筆書き風に横書きされた「三四郎」(以下「本件使用商標」という。)は、看者の注意を強くひく要部といえ、その構成文字は本件商標と同じであることから、本件使用商標と本件商標は社会通念上同一である。 (2)使用役務について 本件商標権者の営業する本件飲食店は、上記1(2)から、「焼肉を主とする飲食物の提供」(以下「使用役務」という。)を行っているといえ、当該役務は、本件審判の請求に係る役務である第42類「飲食物の提供」の範ちゅうの役務である。 (3)使用時期について 本件商標権者は、上記1(1)のとおり、平成20年頃から本件使用商標を付した本件看板を掲示したことがうかがわれ、平成28年3月3日に飲食店の営業許可を得て、少なくとも、上記1(3)及び(4)のとおり、要証期間内である平成29年11月ないし同30年12月頃に、本件使用商標を付した本件看板を掲示していたことが認められる。 なお、営業許可証の営業所の住所(本件住所1)と本件飲食店の住所(本件住所2)は番地まで共通であることから同一店舗とみて差し支えないものである。 (4)小括 以上によれば、被請求人である本件商標権者が、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を使用役務に係る店舗の看板(広告)に付して掲示(展示)したと認めることができ、この行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当する。 3 むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、本商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する |
別掲 |
別掲 (本件看板) |
審理終結日 | 2020-06-12 |
結審通知日 | 2020-06-16 |
審決日 | 2020-07-06 |
出願番号 | 商願2000-115797(T2000-115797) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Z42)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
木村 一弘 |
特許庁審判官 |
山田 啓之 中束 としえ |
登録日 | 2002-01-18 |
登録番号 | 商標登録第4537045号(T4537045) |
商標の称呼 | サンシロー |
代理人 | 神保 欣正 |
代理人 | 原田 貴史 |