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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W0532
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0532
管理番号 1366239 
審判番号 不服2019-12643 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-24 
確定日 2020-08-26 
事件の表示 商願2017-145117拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「エクオール ゼリー」の文字を標準文字で表してなり、第5類「サプリメント,薬剤,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第32類「ゼリー状の清涼飲料,清涼飲料,清涼飲料のもと,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール」を指定商品として、平成29年11月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『エクオール ゼリー』の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の『エクオール』の文字は、『大豆イソフラボンの一種であるダイゼインから腸内細菌により生成し、イソフラボンの効能を示す成分』を指称するものであり、近年、様々な効果が期待できる成分として注目され、『ゼリー』の文字は、『ゼリー状の商品』を容易に認識させるものであるから、本願商標は、全体として、『エクオールを原材料とするゼリー状のもの』ほどの意味合いを認識させるものといえる。そうすると、本願商標をその指定商品中、『エクオールを原材料とするゼリー状のサプリメント・清涼飲料』等、『エクオールを原材料とするゼリー状の商品』に使用しても、これに接する需用者は、単に商品の原材料、形状及び品質を表示したものと認識するにとどまるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「エクオール ゼリー」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成中、「エクオール」の文字は、原審説示及び別掲1のとおり、「大豆イソフラボンの一種であるダイゼインから腸内細菌により生成し、イソフラボンの効能を示す成分」を意味する語であり、また、「ゼリー」の文字は、「動物性(魚肉類)のゼラチンまたは植物性(果実)のペクチンを煮出して採取した澄明な汁。また、これを利用して固めた弾力のある食品や薬品」等を意味する語(「広辞苑第七版」参照)であって、一般消費者に広く親しまれている語であるといえる。
そして、本願商標の指定商品中、例えば「サプリメント」を取り扱う業界において、別掲2のとおり、エクオール成分を配合した商品が製造販売されている実情のもとに、「エクオール」の語が商品の含有成分(原材料)を表すものとして使用されているものであり、また、指定商品を取り扱う業界において、別掲3のとおり、特定の原材料又は成分等を配合したゼリー状の商品を表すものとして、「コラーゲンゼリー」、「プラセンタゼリー」、「乳酸菌ゼリー」のように、「○○(原材料名又は成分名等)ゼリー」の語が使用されていることが認められるものである。
そうすると、「エクオール ゼリー」の文字を標準文字で表してなる本願商標を、その指定商品に使用するときは、取引者、需要者をして、エクオール成分を配合してなるゼリー状の商品であることを認識、理解されるというのが相当であるから、本願商標は、単に商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当し、また、これを「エクオール成分を配合した商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標の構成中「ゼリー」より、必ずしも「ゼリー状の商品」なる意味合いを理解することはできず、また、本願商標は、請求人が創作した造語であって、本願の指定商品を取り扱う分野において、一般的に使用されている語ではないから、自他商品の識別機能を欠き、商標としての機能を果たし得ないものには該当しない旨を、主張している。
しかしながら、前記(1)のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界において、原材料又は成分等を配合したゼリー状の商品が「○○(原材料名又は成分名等)ゼリー」と称して販売されている実情を鑑みれば、本願商標を、その指定商品に使用したときは、「エクオール成分を配合したゼリー状の商品」を表したものと容易に認識されるものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものということはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 「エクオール」の内容、効能について(合議体注:下線は当審の合議体が付したものである。以下、引用箇所において同じ。)
(1)「Dr.クロワッサン『女性ホルモン』力で元気に、若々しく。」(株式会社マガジンハウス 2018年5月25日発行)において、表紙に「エストロゲンと似た働き。」、「エクオールに注目です。」との記載が、また、「PART2」の項目に、「Equol」、「女性の元気をサポートするエクオール」、「エクオールで改善できる4つのこと」、「1 更年期障害」、「2 シミ・シワ」、「3 骨粗しょう症」、「4 メタボ」との記載がある。
(2)「株式会社ヘルスケアシステムズ|名古屋大学発ベンチャー」のウェブサイトにおいて、「エクオール検査」の見出しの下、「エクオールは、お肌の老化とも関係があるのでしょうか?」、「12週間のエクオール摂取によって、目じりのシワ(面積率と一番深いシワの深さ)を測定したところ、目じりのシワの進行を押さえるという結果が報告されています。」、「エクオールとは?」、「大豆にはイソフラボンという成分が含まれています。イソフラボンは、その構造が女性ホルモン(エストロゲン)に似ていることから、女性ホルモンに似た作用をもっており、更年期症状の緩和や骨密度の維持に対する効果が知られてきました。」、「その大豆イソフラボンの健康効果は、個人差があるということが近年の研究で明らかになってきました。食事から摂った大豆イソフラボン(ダイゼイン)は腸から吸収されますが、そのときに、ダイゼインという成分のまま吸収される人と、エクオールという成分として吸収される人がいます。この違いによってイソフラボンの健康効果に差がうまれ、エクオールの方がより高いエストロゲン活性を持つことがわかってきました。」、「エクオールをつくってくれるのは、腸内細菌です。」との記載がある。
https://hc-sys.com/service/equol/
(3)「コスモ・バイオ株式会社」のウェブサイトにおいて、「特集:エクオール(Equol)」の見出しとともに、「イソフラボンよりも高い女性ホルモン様作用を保持」との記載がある。
https://www.cosmobio.co.jp/product/detail/equol.asp?entry_id=34569

別掲2 「エクオール」が、「サプリメント」の含有成分として使用されている事実
(1)「健康食品のDHC」のウェブサイトにおいて、「大豆イソフラボン エクオール 30日分」の見出しの下、「[エクオール]は、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインからつくられ、女性の元気と若々しさを保つのに役立つはたらきの元になっている成分。」との記載がある。
https://www.dhc.co.jp/goods/goodsdetail.jsp?gCode=32780
(2)「小林製薬株式会社」のウェブサイトにおいて、「製品情報」の見出しの下、「発酵大豆イソフラボン エクオール」、「エクオールを摂りましょう」、「健康成分『大豆イソフラボン』は、おなかの中で腸内細菌により『エクオール』という成分になることでそのパワーを発揮します。この『エクオール』を体内で作れるのは日本人の約2人に1人と言われており、『エクオール』を直接摂ることをおすすめします。」との記載がある。
https://www.kobayashi.co.jp/seihin/eq/
(3)「アドバンスト・メディカル・ケアのサプリメント」のウェブサイトにおいて、「エクオール+ラクトビオン酸」の見出しとともに、「婦人科専門医と共同開発」、「40代以降の女性のうつろいやすい心と体に」、「エクオールサプリ 人気No.1」との記載がある。
https://www.suppli-tm.com/Page/equol.aspx
(4)「ドラッグストア マツモトキヨシ」のウェブサイトにおいて、「matsukiyo LAB エクオールwithラクトビオン酸 40粒」の見出しの下、「●管理栄養士推奨」、「●2粒あたりエクオール5mg含有」との記載がある。
https://www.matsukiyo.co.jp/store/online/p/4580101204140

別掲3 特定の原材料又は成分等を配合したゼリー状の商品が「○○(原材料名又は成分名等)ゼリー」と称して販売されている事実
(1)「株式会社クリニコ」のウェブサイトにおいて、「エンジョイコラーゲンゼリー(ぶどう)」の見出しの下、「コラーゲンペプチドを、1個当たり6,000mg配合しています。」との記載がある。
https://www.clinico.co.jp/products/series/assistance/koragen.html
(2)「小林製薬の通信販売」のウェブサイトにおいて、「プラセンタゼリー」の見出しの下、「デザート感覚でお召し上がりいただけるラズベリー味のゼリー。注目の美容成分プラセンタエキスを中心に、コラーゲン、セラミド、ヒアルロン酸、エラスチンを贅沢に配合しました。」との記載がある。
https://www2.kobayashi.co.jp/food/item/54350/
(3)「ドラッグストア マツモトキヨシ」のウェブサイトにおいて、「matsukiyo LAB ヨーグルト約5個分の乳酸菌ゼリー 22包」の見出しの下、「●乳酸菌ゼリーはヨーグルト約5個分の乳酸菌を主原料にビタミンCなどを配合した食品です。」、「●内側からのキレイ習慣にお役立てください。」との記載がある。
https://www.matsukiyo.co.jp/store/online/p/4571104437864
(4)「オムニ7 - イトーヨーカドー ネット通販」のウェブサイトにおいて、「セブンプレミアム マスカットゼリー 180g」の見出しの下、「栄養補給ゼリー飲料」、「レタス約1個分の食物繊維を配合した果汁感のあるマスカット味(果汁3%)」との記載がある。
https://iyec.omni7.jp/detail/4901905500175


審理終結日 2020-06-15 
結審通知日 2020-06-22 
審決日 2020-07-06 
出願番号 商願2017-145117(T2017-145117) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W0532)
T 1 8・ 272- Z (W0532)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉岡 めぐみ和田 恵美 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 黒磯 裕子
板谷 玲子
商標の称呼 エクオールゼリー、エクオール 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 魚路 将央 
代理人 黒川 朋也 

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