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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W1435
管理番号 1366237 
審判番号 不服2019-7132 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-31 
確定日 2020-08-26 
事件の表示 商願2018- 41156拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、灰色の色彩で「TAKADA」の欧文字と、やや湾曲した下線を組み合わせた構成からなり、第14類「宝飾品」及び第35類「宝飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、平成30年4月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「ありふれた氏である『高田』に通じる『TAKADA』の欧文字を普通に用いられる範囲の域を脱しない程度の方法で表してなり、その第2文字目の『A』から第6文字目の『A』にかけて、やや湾曲した下線を付してなるところ、該下線部は『TAKADA』の欧文字を強調又は装飾するためのありふれた線と認識させるにすぎないものであるから、これをその指定商品・役務に使用しても、取引者・需要者は、ありふれた氏とその文字を強調又は装飾するためのありふれた線を表示したものと認識するにとどまり、全体として自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者は、何人の業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした審尋
当審において、請求人に対し、令和2年2月20日付けで、要旨以下のとおり審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
(1)本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して開示し、意見を求めた。
(2)本願商標が請求人の業務に係る「宝飾品」及び「宝飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の出所を表す標章として取引者に認識されていることを裏付ける証拠の提出を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答の要点
(1)職権証拠調べで発見された事例において、欧文字表記にやや湾曲した下線が用いられている事例は、本願商標の指定商品及び指定役務である「宝飾品」及び「宝飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは無縁の企業ばかりである。宝飾品業界において世界的な知名度を有するブランド11社及び高島屋の宝飾品催事に出店する50社以上のブランドのロゴマークで欧文字表記にやや湾曲した下線を有するものは本願商標のみであって、高級宝飾品ブランドのロゴマークにおいては、決して「ありふれた手法」とはいえない。また、欧文字「K」の三画目を右下に向けて通常よりやや長く描いている事例についても、高級宝飾品ブランドのロゴマークの中に、欧文字の一部を通常より長く描いたものは皆無であり、かかる書体の変形が当該業界においても「ありふれた手法」ということはできない。
(2)本願商標が「宝飾品」及び「宝飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の出所を表す標章として取引者の間で認識されていることを裏付けるため、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出する。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、上記1のとおりの構成からなり、その構成中「TAKADA」の文字は、その文字に相応して「タカダ」と称呼されるといえるところ、当該称呼は、ありふれた氏の「高田」の読みを容易に連想、想起させるものである。
例えば、株式会社岩波書店発行「広辞苑第七版」によれば、「高田」の文字は、「姓氏の一つ」と記載されており、株式会社三省堂発行「大辞林第3版」によれば、「姓氏の一」と記載されている。そして、別掲2(2)アないしウにもみられるように、氏を欧文字で表すことは一般に行われているといえるから、本願商標構成中の「TAKADA」の文字は、我が国においてありふれた氏の一つを欧文字表記したものとみるのが相当である。
そして、別掲2のとおり、欧文字表記にやや湾曲した下線や、欧文字「K」の三画目を右下に向けて通常よりやや長く描く手法は、文字の強調や装飾として、分野を問わず一般的に採用されている実情がある。
そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者は、ありふれた氏とその文字を強調又は装飾するためのありふれた線を表示したものと認識するにとどまるものであって、全体として自他商品及び役務の識別標識としては認識し得ないものであり、取引者、需要者は何人の業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものといわざるを得ない。
イ 本願商標の使用による識別性について
請求人は、本願商標は、請求人の商品及び役務を表すものとして、自他商品及び役務の識別標識としての機能を有する商標となっている旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出している。
そこで検討するに、甲第1号証及び甲第2号証によると、請求人の店舗は、大阪、京都、名古屋、米子の4店の高島屋に出店していることがうかがえるが、本願商標を使用した請求人の商品及び役務の売り上げの規模、市場シェア等は不明である。その上、請求人は、本願商標の使用開始時期は2018年初頭と述べているところ、2年程度の使用期間は本願商標が取引者、需要者の間で請求人の商品及び役務を表すものとして認識されるに至ったというには十分な期間であるとはいい難い。
また、甲第3号証ないし甲第8号証によると、請求人は、高島屋が主催する宝飾品販売の催事に出展し、これらの催事は主として高島屋の外商先等の上得意客を対象とするものと述べているが、提出された証拠からは、当該催事の規模、訪問客数等が不明である上、本願商標が表示された出展ブースを確認することもできず、請求人の当該催事への出展が、本願商標の識別力の獲得にどの程度影響したのか推し量ることができない。
さらに、甲第9号証では、業界誌「JAPAN PRECIOUS」(2019年春号:矢野経済研究所出版)に、請求人の店舗がタイのバンコクへ出店したことが、本願商標と共に、記事として取り上げられている。しかしながら、当該記事のみでは、本願商標が使用による識別力を獲得したことを立証するには十分とはいえない。
そうすると、本願商標は、これが使用された結果、全国的に周知性を獲得したとはいい難く、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至っているものとは認められない。
ウ 小括
以上のことから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標というのが相当であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標構成中の「K」の文字の3画目をやや長く表し、第2文字目の「A」から第6文字目の「A」にかけてやや湾曲した下線を付してなる特徴は、わずかなものとみられがちであるが、宝飾品の商標として使用される標章の多くは、文字の書体や付加される図形自体は極めてシンプルながら、繊細で微妙なデザインが施されて高級感を感じさせるものとなっており、宝飾品の業界においては、このような特徴はありふれた方法ではない旨主張している。
しかしながら、別掲2のとおり、かかる手法は文字の強調や装飾として、分野を問わず一般的に採用されている実情が見受けられ、他にはない特殊な手法とはいい難いものである。さらに、宝飾品の業界のみが他の業界の実情と異なるという請求人の主張を裏付ける証拠を見いだすことはできず、当該主張を認めることができない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1 本願商標(色彩については原本参照。)


別掲2 当審において示した事実
1.本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、当審において職権に基づく証拠調べをした結果、下記の事実を発見しました。
これに関して意見がある場合には、上記期間内に意見書を提出してください。
(1)欧文字表記にやや湾曲した下線が用いられている事例
ア CAINZのウェブサイト


https://www.cainz.com/jp/index.html

イ アクシルのウェブサイト

http://www.aqusil.jp/

ウ ジクップのウェブサイト

https://gcoop.com/jp/m/brand/gcoop_cafe.php

エ アクレスコのウェブサイト

http://www.accresco.jp/

オ ファソテックのウェブサイト

https://www.fasotec.co.jp/

(2)欧文字「K」の三画目を右下に向けて通常よりやや長く描いている事例
ア ユミカツラ公式サイト

https://www.yumikatsura.com/

イ 仲西眼鏡店のウェブサイト

http://www.optique-nakanishi.com/

ウ キタムラ公式ブランドサイト

https://www.motomachi-kitamura.com/

エ キレイデラボのウェブサイト

https://kireidelab.com/

オ ザ・北浜プラザのウェブサイト

http://www.thekitahamaplaza.com/



審理終結日 2020-06-08 
結審通知日 2020-06-09 
審決日 2020-07-08 
出願番号 商願2018-41156(T2018-41156) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W1435)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 綾 郁奈子
鈴木 雅也
商標の称呼 タカダ 
代理人 泉谷 透 

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