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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W3542
管理番号 1366226 
審判番号 不服2019-5783 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-07 
確定日 2020-08-31 
事件の表示 商願2018-3552拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年1月12日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同年9月26日受付けの手続補正書により、第35類「インターネットによる広告の代理,リスティング広告の代理,アフィリエイト広告の代理」、及び第42類「ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,インターネットにおける検索エンジンの検索結果の最適化対策プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,スマートフォン用ソフトウェアの設計・作成又は保守」に補正されたものである。

第2 原査定における理由の要点
「FINTECH」又は「フィンテック」の文字は、「金融とIT(情報技術)との融合による新しい技術革新。」の意味を有する語として、我が国において広く一般に知られた語といえるものである。そして、「フィンテック」とは情報技術を活用したものであり、また、「フィンテック」により収集したデータが広告に活用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者、取引者は、「フィンテックを活用した役務」又は「フィンテックに関する役務」であることを認識するにとどまる。
したがって、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

第3 当審における証拠調べ通知
当審は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲2及び3の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、相当の期間を指定して令和2年4月21日付けで証拠調べの結果を通知して、これに対する意見の提出を求めた。

第4 職権証拠調べに対する請求人の意見
上記第3の証拠調べ通知に対して、請求人から何ら意見は提出されなかった。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、セリフ体の「FINTECH」の欧文字を書してなるところ、「F」と「T」の欧文字がやや大きく書されているものの、いまだ普通の域を脱しない方法で表してなるものであるから、本願商標は、普通に用いられる方法で表示するものである。
そして、別掲2で示した事実によれば、「FinTech」又はその片仮名表記である「フィンテック」の語が、「金融と情報技術を融合した新しい技術革新、金融サービス」といった意味合いを有するものとして、広く説明ないし用いられていることが認められる。そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「金融と情報技術を融合した新しい技術革新、金融サービス」の意味合いを認識、把握させるものである。
次に、別掲3で示した事実によれば、フィンテックを用いて収集された情報(データ)が広告などのマーケティングに広く活用されている実情があることが認められる。そうすると、本願商標を、その指定役務中、第35類に属する指定役務に使用するときは、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「金融と情報技術を融合した新しい技術革新、金融サービスを活用した役務」であるという役務の質を表したものと認識、把握させるにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないものとみるのが相当である。
また、フィンテックは、上記で説示した意味合いのとおり、「情報技術」を活用したものであるから、フィンテックを利用するに当たっては、フィンテックに関する電子計算機用プログラムやソフトウェア等の商品のみならず、フィンテックに関する電子計算機用プログラムやソフトウェア等の提供ないし設計・作成又は保守等の役務も利用されるのが通常であるといえる。そうすると、本願商標を、その指定役務中、第42類に属する指定役務に使用するときは、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、「金融と情報技術を融合した新しい技術革新、金融サービスに関する役務」であるという役務の質を表したものと認識、把握させるにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないものとみるのが相当である。
以上によれば、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「FINTECH」の語が、役務の質を表示する用語として成熟していない上、本願の指定役務との関連性が明確でなく、また、「FINTECH」の欧文字が具体的にどのような役務の質を表しているのかも明確でない旨主張する。
しかしながら、別掲2で示した事実のとおり、「FinTech」又はその片仮名表記である「フィンテック」の語が、「金融と情報技術を融合した新しい技術革新、金融サービス」といった意味合いを有するものとして、広く説明ないし用いられている。そして、このようなフィンテックの意味合いが、本願の指定役務とどのように関連しており、また、どのような役務の質を表しているのかは、上記1で認定判断したとおりである。
(2)請求人は、具体的にどの指定役務に本願商標を使用すると、これに接する取引者、需要者が「フィンテックを活用した役務」又は「フィンテックに関する役務」であることを認識するのかが不明確である旨主張し、例えば、本願の指定役務である第35類の「広告の代理」は、いわゆる新金融サービスの「フィンテック」とは直接関係のないサービスであるから、本願商標を「広告の代理」に使用したとしても、これに接する取引者、需要者が「フィンテックを活用した役務」又は「フィンテックに関する役務」であることを認識することはあり得ない旨、また、本願の指定役務である第42類の「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」等についても、「FINTECH」が「?の設計・作成又は保守」という役務の質を直接的、具体的に示しているとはいえない旨主張するが、上記1で認定判断したとおりである。
さらに、請求人は、原査定が提示した証左につき、広告・プロモーションがフィンテックを活用したものであることを具体的にいっているものではない旨、また、広告や販促支援などで活用されているのは、「フィンテック」ではなく、集められた「消費者の購買データ」である旨主張するが、別掲3で示したとおり、フィンテックを用いて収集された情報(データ)が広告などのマーケティングに広く活用されている実情が認められる。
(3)請求人は、本願商標が、自らの名称である「フィンテック株式会社」の欧文字表記である「FINTECH Co.,Ltd」を表すものでもあるから、役務の質というよりもハウスマークとして認識される可能性が高い旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、「フィンテック」の文字は役務の質を表すものと認識されるものであり、本願商標に接した取引者、需要者がこれをハウスマークとして認識すると認めるに足りる特段の証左はない。
(4)請求人は、過去の審決例に基づき本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当しない旨主張するが、請求人の挙げる審決例は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の審決例に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記1の認定判断が左右されるものではない
(5)よって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1(本願商標)


別掲2(「FinTech」又はその片仮名表記である「フィンテック」の語が、「金融と情報技術を融合した新しい技術革新、金融サービス」といった意味合いを有するものとして説明ないし用いられていることについて(下線は合議体が付した。以下同じ。)。)
(1)辞書・書籍類
ア 「現代用語の基礎知識2018」(2018年1月1日、自由国民社発行)には、253頁に「フィンテック[FinTech]」の見出しの下、「金融とIT(情報技術)との融合による新しい技術革新。『Finance(金融)』と『Technology(技術)』を合わせた造語。代表的な取引はスマートフォンを使ったクレジット決済や送金サービス、自動家計簿、資産管理サービスなど個人情報管理、投資ポートフォリオの自動作成、自動運用など投資支援、オンライン融資、ネットを介して不特定多数から資金調達するクラウドファンディングなど多岐にわたる。日本でもベンチャー企業により広がりをみせているが、改正銀行法が成立し、大手金融機関のフィンテックへの取組みも急速に進むものとみられる。また日本取引所も未公開株取引などで実験を進める。」との記載がある。
イ 「法律家・法務担当者のためのIT技術用語辞典」(2017年10月30日初版第2刷、株式会社商事法務発行)には、165頁?173頁に「第2 フィンテック(FinTech)に関する概念」との章があり、その章の中に、「フィンテック【FinTech】」の見出しの下、「ITを活用した革新的な金融サービス事業のこと。FinTechとは、『Finance』と『Technology』を掛け合わせた造語であり、金融審議会においては『主に、ITを活用した革新的な金融サービス事業を指す』と定義されている。代表的なものとしては、米国のPayPalやビットコイン(中略)などの仮想通貨(中略)がある。(中略)FinTechと呼ばれる金融サービスには様々なものがあるが、代表的なものとしては、決済、融資、クラウドファンディング、仮想通貨、投資支援サービス、個人財務管理(PFM)、経営・業務支援(Accounting)がある。」との記載がある。
ウ 「最新・基本パソコン用語辞典[第4版]」(2017年4月1日第1版第1刷・2018年11月11日第1版第3刷、株式会社秀和システム発行)には、351頁に「Fintech(フィンテック)」の見出しの下、「ICT技術を使った金融技術サービスの総称のこと。」、及び「ファイナンスとテクノロジーを合わせた造語です。株などの金融商品の売買についてアドバイスや投資を代理してくれる人工知能、指紋認証でネットワーク上の口座から代金を支払うサービスなどがあります。」との記載がある。
なお、「ICT」の語は、同書の363頁において、「情報通信技術のこと。」、及び「ITとほぼ同義ですが、通信に比重が置かれています。国際的にもITからICTへの言い換えが進んでいます。」と説明されている。
エ 「IT用語図鑑 ビジネスで使える厳選キーワード256」(2019年7月20日初版第3刷、株式会社翔泳社発行)には、18頁に「フィンテック」の見出しの下、「ITと金融の融合」、及び「金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、決済や資産管理などの金融サービスをITの活用で便利にすること。スマホを使った電子決済サービスや、家計簿との連携、投資や運用の支援、仮想通貨の活用など、多くの事業者が新たなフィンテックのサービスを競っている。」との記載がある。
(2)インターネット情報
ア 「日本銀行」のウェブサイトにおいて、「FinTech(フィンテック)とは何ですか?」の見出しの下、「FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指します。身近な例では、スマートフォンなどを使った送金もその一つです。」との記載がある。
(https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/kess/i25.htm/)
イ 「iFinance」のウェブサイトにおいて、「FinTech(フィンテック)」の見出しの下、「一般にフィンテックは、ベンチャー企業等が担い手となって、ブロックチェーンやビッグデータ、人口知能(AI)といった新たな技術や情報通信インフラを効果的に活用し、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを通じて提供される革新的な金融サービスを指し、具体的には、モバイル決済やオンライン送金、仮想通貨の流通、小口融資のマッチング、各種アプリの提供、会計等のクラウドサービス、ロボアドバイザーによる投資支援などが挙げられます。」との記載がある。
(https://www.ifinance.ne.jp/glossary/fintech/ftc001.html)
ウ 「三井住友カード」のウェブサイトにおいて、「フィンテック(FinTech)とは?金融とテクノロジーがつくる将来の可能性」の見出しの下、「FinTech(フィンテック)とは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語であり、金融サービスとIT技術などを結び付けた、新しいサービスや動きのことを指します。」との記載がある。
(https://www.smbc-card.com/cashless/kojin/fintech.jsp)
エ 「大和証券」のウェブサイトにおいて、「フィンテック (ふぃんてっく)」の見出しの下、「『Finance(金融)』と『Technology(技術)』を融合させた造語で、IT(情報技術)を駆使した新しい金融サービスや、こうしたサービスを提供するベンチャー企業のこと。英語で『FinTech』と表記します。欧米では『スマートフォンなどモバイル端末での決済サービス』『資産運用アドバイス』『膨大なビッグデータの解析』『人工知能(AI)を使った自動対応』『家計簿の自動作成』などの分野で新興企業が台頭、サービスも始まっており、日本でも同様の動きが活発化しています。既存の金融機関の間では、フィンテックを活用して金融のイノベーション(技術革新)を取り込もうとする競争が激しくなっています。」との記載がある。
(https://www.daiwa.jp/glossary/YST1940.html)

別掲3(フィンテックを用いて収集された情報(データ)が広告などのマーケティングに活用されている実情について)
(1)新聞記事
ア 2019年8月17日 毎日新聞 朝刊3頁
「クローズアップ:送金・決済、サービス乱立 IT参入、変わる業界地図」の見出しの下、「金融(ファイナンス)分野で最新の技術(テクノロジー)を活用したサービス『フィンテック』を武器に、異業種が送金・決済事業などに参入する動きが相次いでいる。(中略)送金以上に異業種から参入が相次いでいるのがキャッシュレス決済だ。『利用者は確実に増える』。QRコード決済を手掛ける『ペイペイ』(東京都)で関東地区の加盟店獲得に奔走する宮城松雄拠点長はこう力説する。(中略)利用者の消費動向と嗜好(しこう)をリアルタイムで把握できる決済データは『情報の宝庫』。赤字覚悟で顧客獲得を急ぐ背景には効果的な広告や商品開発、個人への融資など、さまざまな事業分野で活用する思惑があるとみられる。」との記載がある。
イ 2019年1月11日 静岡新聞 8頁
「銀行情報で新サービスを 規制緩和 金融審要望」の見出しの下、「金融庁の金融審議会は10日、銀行などの金融機関が保有している送金や決済の情報を第三者に提供できるよう規制緩和を求める報告書をまとめた。こうした情報を活用して金融とITを融合したフィンテック分野で新たなサービス開発を促すのが狙い。金融庁は銀行法などの改正案を1月下旬召集予定の通常国会に提出する見通し。(中略)フィンテック分野にはLINE(ライン)などが相次いで参入している。スマートフォンによる決済サービスを展開し、消費者の購買データを大量に集め、広告や販促支援などで活用している。」との記載がある。
ウ 2018年12月14日 日刊工業新聞 25頁
「時代を拓く 金融イノベーター/アイリッジ社長 小田健太郎氏」の見出しの下、「アイリッジはスマートフォンの位置情報を活用して、店舗に近づくとキャンペーンやクーポン情報を携帯の画面に表示するサービスを展開する。インターネットのオンラインの場から店舗などのオフラインの場に消費者を誘導する『O2O(オンライン・ツー・オフライン)』が強み。O2Oで培った技術やノウハウを、フィンテック(金融とITの融合)分野にも広げている。(中略)目下の注力分野はフィンテック。スマホアプリでチャージや決済を可能とするフィンテック技術とO2Oを組み合わせることで、マーケティング機能を融合した決済基盤を構築する。」との記載がある。
エ 2018年7月9日 日本食糧新聞 2頁
「流通フィンテック 決済発・ビジネス革新(9)モバイル決済<下> マネーはメッセージ」の見出しの下、「台頭しつつあるモバイル決済サービスの多くは、決済を単なる支払い手段とはとらえない。情報であるマネーを介したコミュニケーションとして事業戦略を構築している。(中略)Origami(オリガミ)ペイも、決済を通じて店と顧客をつなぐショッピングプラットフォームを追求している。決済情報を基にマーケティング機能を提供することで加盟店の販促に貢献し、消費者にはクーポンや割引などの特典で利用を促す。ポイントで顧客を囲い込むのではなく、オリガミがハブ的な役割を担うことでオープンな決済環境を志向する。利用可能な店舗を増やすと同時に、銀行や信販会社など決済機能の連携先を広げている。これらのモバイル決済サービスは、同一アプリ内で決済と販促を連動させている。」との記載がある。
オ 2018年7月6日 ニッキン 7頁
「山口FG、フィンテック会社設立、企業情報を分析・支援」の見出しの下、「山口フィナンシャルグループ(FG)は6月22日、フィンテック事業会社『データ・キュービック』を設立した。地域企業が持つデータの分析による生産性向上や企業の効果的な情報発信を支援する。銀行本体向けではなく、地域顧客向けにフィンテックを活用する。(中略)社内に『情報活用事業部』と『メディア事業部』を設置。情報活用事業部は40代と30代の男性2人体制。事業者が抱える経営課題に対しデータ管理・分析・改善や人工知能(AI)活用による効率化を支援する。メディア事業部は30代2人、20代1人の女性3人体制。地域情報の効果的な発信や広告サービス、プロモーションを支援する。具体的事例としては、事業会社の売り上げなど統計データと山口FGが持つ顧客の統計データを合わせて分析し販売戦略につなげたり、その戦略を効果的に進めるための広告・プロモーションなども提案する。」との記載がある。
カ 2018年5月2日 日経MJ 7頁
「ネストエッグの自動貯金アプリ??銀行口座に簡単積み立て(戦略ネットBiz)」の見出しの下、「金融とITを融合した『フィンテック』が話題を集めている。だが金融機関内部のことで、『自分には縁遠い話』と思っている消費者は多い。わかりやすい仕組みを作って、消費者と金融機関との垣根を下げることを目指している。だが、ネストエッグの狙いはここで終わらない。利用者登録や貯金目的などの情報から『消費者が求めている金融サービスを提案することも可能になる』と、田村社長は指摘する。教育費のために貯金しているなら教育ローン、投資のためなら金融商品の紹介が有効になり得る。ネストエッグは金融向けコンサルティング会社インフキュリオン・グループ(同)の子会社。アプリ以外に新たなビジネスの創出を狙う。今までの金融サービスはマス広告を打って、金融マンの経験則に基づいて営業するケースが多かった。だがフィンテック時代はデータ分析に基づいて、消費者ごとに、かゆいところに手が届くサービスが提案できるようになるかもしれない。」との記載がある。
キ 2018年4月5日 毎日新聞(西部本社) 朝刊26頁
「光る企業力:九州・山口 iBankマーケティング(福岡市) お金管理アプリ運営」の見出しの下、「スマートフォン向けのお金管理アプリ『Wallet+(ウォレットプラス)』を運営する、iBank(アイバンク)マーケティング(福岡市)。ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)が2016年4月、IT(情報技術)を駆使した金融サービス『フィンテック』を推進する目的で設立した。同年7月からウォレットプラスの運営を始め、既にダウンロード数は40万件を突破した。(中略)ウォレットプラスは、残高確認などにとどまらず、独自機能を備えていることが特徴だ。その一つが目的別預金で、住宅や自動車、旅行など使い道を選択してお金をためることができる。主婦が現金を封筒で小分けにして管理していることからヒントを得た。煩わしさを感じることなく、夢に向かって預金が管理できる。目的別預金は『お金に色をつける』(永吉社長)効果もある。何のためのお金か分かり、自動車販売店や住宅メーカーなどのマーケティングに活用することが可能だ。提携先企業約100社がアプリ内で広告やお得なクーポンを配信している。」との記載がある。
ク 2018年1月9日 毎日新聞 朝刊8頁
「記者の目:新金融サービス『フィンテック』 個人情報保護、対策急げ=宮川裕章(東京経済部)」の見出しの下、「◇個人データ収集 信用力を点数化 主に20?30代を中心とする起業家が経営するベンチャー企業がフィンテックで新たな技術やサービスを開発し、金融業界に次々と参入している。(中略)サービスの提供を通じて、各社が力を入れているのが個人データの収集だ。家計簿アプリでは、利用者の買い物履歴が蓄積されていくため、データを生かして特定の利用者向けにタイムリーな広告を打つことができる。(中略)各行はスマホを使って支払いができるデジタル通貨の開発を急いでいるが、メガバンクの担当者は『データを集めるための装置』と位置付けており、『集まったデータをどうビジネスに変えるかが勝負』と明かす。購買履歴や位置情報などの膨大な個人データをAIで分析することで、ある人が道を歩いていると道端のスクリーンにその人が好みそうな商品の広告映像が映し出され、スマホのアプリを使って商品を購入すると、その情報が家計簿アプリなどを通じて企業の元に集められる??。そんな時代がすぐにやってくる。」との記載がある。
ケ 2017年10月30日 日経産業新聞 7頁
「閲覧履歴から性格推定、ネット広告大手のDAC、AIを活用、金融機関の与信判断に。」の見出しの下、「インターネット広告大手のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)は、消費者のネットの行動を人工知能(AI)で分析し、金融商品の与信判断に活用するサービスを始める。AIがサイトの閲覧履歴から消費者の性格や生活習慣などを推定。申込書からは得られないデータを金融機関に提供し、与信判断の精度やスピードの向上につなげる。(中略)DACは広告配信にも採用する。まず、ある消費者の支払い能力を分析・推定する。次に審査通過の可能性が高い金融商品の広告を、消費者のブラウザーに配信する。広告効果が高まると期待される。(中略)DACやマネーツリーのように、収集した情報を金融・会計分野で活用する事例は増えている。金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックのサービスの裾野が広がっている。」との記載がある。
コ 2017年10月19日 日経産業新聞 6頁
「iBankマーケティング、ウォレットプラス??社長永吉健一氏、家や車、目的別に預金(この会社この商品)」の見出しの下、「口座に連動/スマホ起点で スマートフォン(スマホ)を起点に新たな金融プラットフォームを開発したフィンテックベンチャーがある。ふくおかフィナンシャルグループ(FG)傘下のiBankマーケティング(福岡市)だ。スマホ向けアプリ『Wallet+(ウォレットプラス)』は提供開始から1年でダウンロードが20万件を突破した。沖縄銀行など外部との連携も加速している。永吉健一社長にサービスの狙いや経緯を聞いた。(中略)??サービスは無料です。どのように収益を上げますか。 『目的預金はお金に『色』をつける行為。情報としての価値は高い。顧客が何を目的にお金をためているか分かれば、的確な販促が打てる。銀行だけでも住宅ローンやマイカーローン、保険など、商材として提案できるものは少なくない。広告会社のようなビジネスを想定している』」との記載がある。
サ 2016年8月31日 日本経済新聞 朝刊1頁
「グーグルのスマホ決済、秋にも上陸、国内外で支払い、まず三菱UFJと提携。」の見出しの下、「米グーグルは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と組み、今秋にも日本でスマートフォン(スマホ)を使った電子決済サービス『アンドロイドペイ』を始める。(中略)MUFGは金融とIT(情報技術)を融合した『フィンテック』への取り組みを強化しており、グーグルとの関係を他のサービスにも広げたい考えだ。グーグルは他の金融機関にもアンドロイドペイの採用を呼びかける。(中略)アンドロイドペイはカード会社から決済手数料を取らない。グーグルは利用者の消費行動に関するデータを収集・分析。一人一人に提供する情報や広告の精度をさらに高め、収益の柱である広告事業の拡大を狙う。」との記載がある。
シ 2016年1月7日 日刊工業新聞 23頁
「展望2016/りそなホールディングス社長・東和浩氏『DB解析、情報精度高める』」の見出しの下、「?ITと金融の融合による技術革新を指す『フィンテック』が盛り上がっています。 『2013年に社長に就任してから、『これからの競争相手は銀行だけでない』と社員に話してきた。驚きも違和感もない。15年は『フィンテック』の言葉が定着した年で前哨戦。今年は基礎となるテクノロジーに金融機関が本格的に参入する年になる』 ?新しい金融サービスが生まれる機運が高まります。 『データベースマーケティングの流れが出てくるだろう。例えば、今まで銀行は車を買うと意思決定した消費者にサービスを提供してきた。これからは購買行動を予測して、先回りして情報を提供することで取引につなげなければいけない。効率性と精度をいかに高めていくか。データベース解析が重要だ』」との記載がある。
ス 2015年12月17日 日経産業新聞 2頁
「フィンテック(3)ベンチャー技術に熱視線(よくわかる)」の見出しの下、「フィンテックの広がりに伴い、家計管理アプリからセキュリティー、決済まで、独自技術を持つベンチャーが日本で次々と登場している。金融機関でも導入に向けた実証実験が相次いでいる。家計管理アプリ開発のマネーフォワード(東京・港)は8月、静岡銀行やSBIホールディングスなどから総額10億円の出資を受けた。マネーフォワードはSBI傘下の住信SBIネット銀行に専用の家計管理アプリを提供し、利用者の年代や性別など属性に応じた金融商品の購入をアプリの広告を通じて促す。」との記載がある。
セ 2015年9月16日 日経産業新聞 6頁
「NTTデータ??銀行向けスマホアプリ、機能限定、つながり重視(テクノフォーカス)」の見出しの下、「NTTデータは銀行向けに開発したスマートフォン(スマホ)アプリ『アプリバンキング』の売り込みを強化している。位置情報を活用した販売促進ができるのが特徴。(中略)操作メニューを限定する一方、『銀行が預金者とのつながりを強められる新機能を盛り込んだ』(第二金融事業本部の村上隆シニアスペシャリスト)。スマホの位置情報と連動して通知が送れる機能だ。住宅展示場を訪れた預金者に住宅ローンの案内を送ったり、中古車展示場の預金者にカーローンの情報を通知したりできる。商店街を訪れた預金者にクーポンを配信するなど、法人顧客の小売店などと組んだ施策も可能だ。(中略)新サービスはIT(情報技術)を活用して新たな金融サービスを生み出す『フィンテック』の一例といえる。位置情報データや情報配信など一つひとつは既存の技術であるが、組み合わせの妙で新しい価値を生み出したのが特徴的だ。特にスマホへの通知機能は若者の店舗離れなどに悩む銀行が預金者とのつながりを強める貴重な手段になり得る。ただ位置情報を活用しすぎると預金者に不快に思われる可能性もあり、銀行にはさじ加減が求められる。NTTデータはマーケティング支援などさらなる新サービスにつなげたいところだ。」との記載がある。
ソ 2015年8月11日 日経産業新聞 18頁
「FinTechの可能性(1)プライスウォーターハウスクーパースシニアマネージャー田中宏幸氏??金融×技術サービスに革新。」の見出しの下、「FinTech(フィンテック)という言葉を目にする機会が増えている。フィンテックは金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、広義には『ITを活用した金融サービスを指す』と説明される。しかし、すでに金融サービスはITを駆使している。ここでは『従来の金融サービスに革新をもたらすIT、およびITサービスの総称』と定義する。重要な点は『従来の金融サービスに革新をもたらす』こと。ファイナンスとイノベーションを組み合わせてフィノベーションと呼ぶこともあり、その要素を含むことを条件としたい。具体的にどのようなサービスがあるのか。我々はインパクトがあると予想する主要な13サービスに分類した。(中略)次にビッグデータ/クラウドを活用したサービス。(5)顧客情報分析に基づくマーケティング、顧客サービス提供等のオペレーティングモデル(6)人工知能(AI)技術を用いた顧客対応やロボット応対(7)PIVAS(購買履歴の分析に基づくクーポン等特典提供サービス)(8)アルゴリズムトレードやマーケット、企業分析などの投資情報の提供を含むデジタルウェルスマネジメントだ。」との記載がある。
(2)インターネット情報
ア 「広告朝日」のウェブサイトにおいて、「マーケティングキーワード 『フィンテック(Fintech)』」の見出しの下、「フィンテックは、(中略)Beacon決済など、店舗の決済やプロモーションの在り方にも大きな変化をもたらしている。(中略)『iBeacon』のアプリをインストールしたユーザーが、Bluetoothをオンにした状態で店舗内に入ると、自動認識される。すると自動的にアプリが立ち上がり、自分の好みに合った製品やサービスの情報やクーポンなどの特典が画面に表示されるといった具合だ。店舗にきた行動履歴も取得できるため、『次回のご来店で、素敵なプレゼントを差し上げます!』といった情報提供により、再来店を促すこともできる。実際に商品を購入したユーザーは、店内で品物を受け取り、アプリ上でもその商品を選択したまま退店すれば、事前に登録したクレジットカードで自動的に決済される。クレジットカードの決済事業者は、誰が、どこで、何を購入したかという購買履歴を属性データとともに把握しており、これらの情報をもとに、マーケティング戦略におけるターゲットの選定、プロモーション情報の提供、さらには効果検証まで一括で行うことも可能だ。以上のようにフィンテックは、私たちの日常の決済を含む金融取引を、劇的に便利にしてくれる可能性を秘めているだけでなく、企業のマーケティング戦略、プロモーション戦略に与えるインパクトも大きいといえる。一方で、日本では、いまだ導入されていないサービスも多い。今後のフィンテックの発展においては規制緩和などの必要性も検討されるであろうが、導入期においては関連企業における競争だけでなく、知見の交換など共働も不可欠だ。」との記載がある。
(https://adv.asahi.com/keyword/11053371.html)
イ 「キャリタスFINANCE」のウェブサイトにおいて、「今注目のキーワードから読み解く! 今後の金融展望 <第1回>2016.06.01 今注目の新たなビジネス分野『FINTECH(フィンテック)』とは?」の見出しの下、「フィンテックの普及は資金の決済や資産の運用の利便性向上につながるだけでなく、ビッグデータの分析を通してマーケティング戦略の改善につながるなど、金融業界に革新をもたらしています。(中略)フィンテックビジネスの代表例として、資金の決済、資産の運用・管理が挙げられます。いずれの場合も、カギは消費者の利便性の向上と、金融機関などにとってのビジネスチャンスの拡大です。資金の決済の代表格がモバイル決済(スマホ決済)です。決済とはお金の支払いを通して、購入したモノやサービスの取引を完了させることを言います。身近な例として、クレジットカードの決済があります。資金決済で注目されているのが、決済を通して集積される購入商品、場所、顧客の年齢などの膨大な情報(ビッグデータ)の活用です。こうしたデータを解析することで、消費の傾向、頻度などを用いてより有効なマーケティング戦略の策定、ブランディングなどが可能になると期待されます。」との記載がある。
(https://job.career-tasu.jp/finance/columns/pro002/001/)
ウ 「楽天広告」のウェブサイトにおいて、「Our Strengths 楽天広告の強み」の見出しの下、「1億以上※の楽天会員とそのユーザーIDに基づくオンライン・オフライン双方のデータを蓄積」及び「サービス横断の精度の高い楽天ID 楽天IDのもうひとつの特徴は、圧倒的な精度の高さ。楽天は、Eコマースや、フィンテックなど様々なサービスを運営しています。楽天IDに基づくユーザーデータは、『楽天市場』などEコマースサービスの商品発送や決済に使用する情報であり、また、楽天が運営するフィンテックサービスの口座開設時などにおいて、審査機関等により承認を得た情報でもあります。検索等からの類推ではなく、事実に基づいた情報であることがポイントです。ファクトデータに基づく楽天IDだからこそ、費用対効果の高い広告配信が見込めます。」との記載がある。
(https://adsales.rakuten.co.jp/business/)
エ 「ビジネスエコシステム」のウェブサイトにおいて、「デジタルテクノロジーにフォーカスする広告業界がFinTech時代のコミュニケーションをリードする」との見出しの下、2017年3月27日付けの「『Financial Foresight Forum』対談レポート」において、「ADKは売り上げ全体の中で金融カテゴリーが占めるシェアが大きく、数ある総合広告代理店の中でも『金融に強い広告会社』として知られている。このADKが今、FinTechに向けた施策を強化させている。(中略)『そもそもなぜ広告代理店であるADKが、FinTechに興味を持ったのでしょうか』という藤野氏の問いかけに、森永氏が示したのが次のような答えである。1つは、(中略)もう1つは、『FinTechの時代において、決済は生活者との新たなコミュニケーションの場面になるのではないか』という考え方だ。これまでの決済は顧客の購買行動における最終プロセスであり、マーケティングの観点からはあまり重視されていなかった。どうやって自社のブランドや商品に興味や関心を持たせるか、どうやって顧客をショップに呼び込むのかといった前段階のプロセスにほとんどのパワーが割かれてきたのだ。だが、今や決済のあり方も多様化している。すでにプリペイドカードやポイントを使った支払いが浸透しているが、さらにそこにFinTechによる新たな方法が加わるのだ。例えば日用品などちょっとした買い物をしたとき、チャットツールで店舗にスタンプを送ると支払いが完了するといったサービスが、おそらく近いうちに日本でも実現するだろう。こうなるともはやそこには決済という感覚はない。日常生活のあらゆるシーンに金融サービスが溶け込んでくるというイメージだ。『そうなったとき顧客との最も大切な接点となるのは、お金を支払ってくれる瞬間ではないでしょうか。その接点において顧客によりよい体験を提供するコミュニケーションを確立できれば、必ず次の購買にもつながっていくはずです』と森永氏は語る。」との記載がある。
(https://businessecosystem.unisys.co.jp/financial_foresight_forum2017_panel-session/)

審理終結日 2020-07-01 
結審通知日 2020-07-02 
審決日 2020-07-15 
出願番号 商願2018-3552(T2018-3552) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W3542)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中山 寛太馬場 秀敏 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 山村 浩
庄司 美和
商標の称呼 フィンテック、フィンテク、フィン、エフアイエヌ、テック、テク 
代理人 五十嵐 貞喜 

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