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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y43
管理番号 1366211 
審判番号 取消2018-300628 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-08-09 
確定日 2020-08-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第5012589号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5012589号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成15年5月2日に登録出願、第43類「日本そばを主とする飲食物の提供」を指定役務として、同18年12月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成30年8月22日にされたものである。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間は、平成27年8月22日から同30年8月21日までであって、当該期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
なお、請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対して、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 本件商標の使用の事実
被請求人は、自らが経営する蕎麦店で本件商標と社会通念上同一の商標を使用しており、被請求人が当該蕎麦店において提供する役務は、第43類「日本そばを主とする飲食物の提供」(以下「取消請求役務」という。)に該当する。
2 被請求人の本件商標の使用について
被請求人は、1978年(昭和53年)11月にそば処「くろ麦」を創業し、本年(審決注:2018年(平成30年))まで約40年間にわたり、当該蕎麦店を営業してきた法人である(乙1)。
そして、当該蕎麦店「くろ麦」では、蕎麦を中心に天ぷらなどの小料理や酒など様々な飲食物が提供され、店舗の外観(乙2)や内装(乙3)、さらには、同店のテナントビルである新青山ビル(通称:青山ツインタワー)のフロアガイド(乙4)からも明らかなように、本件商標と社会通念上同一の商標が店舗名として使用されている。
よって、本件商標は、被請求人により取消請求役務について使用されてきたことは明らかである。
また、乙第5号証中の写真からわかるように、当該蕎麦店の箸袋には、本件商標と同書体の横文字で「くろ麦」と記載されており、取消請求役務の提供に当たり、その提供を受ける者の利用に供する物に本件商標と社会通念上同一の商標が使用されてきた。
そして、乙第6号証に記載されているように、上記新青山ビルにおいて、上記蕎麦店は、本年1月末(審決注:2018年(平成30年)1月末)に閉店するまで存在していたのであって、被請求人が要証期間に本件商標と社会通念上同一の商標を取消請求役務について使用していた事実は明白である。
その他、上記店舗が要証期間に存在していた事実を示す資料として、例えば、情報サイトに、上記蕎麦店「くろ麦」についての「2017年8月20日」、「2017年10月2日」及び「2017年10月」付けの当該蕎麦店についての口コミが存在する(乙7?乙9)。
3 結語
以上に述べたとおり、本件商標は、要証期間に日本国内において、被請求人により使用されていたものである。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべき理由はない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証及びその主張によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証は、「履歴事項全部証明書」であり、「商号」欄に「株式会社くろ麦」、「本店」欄に「東京都港区南青山一丁目1番1号」、「目的」欄に「3.飲食店の経営及びフランチャイズチェーン形態による飲食店の企画、経営指導」の記載がある。
(2)乙第2号証は、被請求人が、蕎麦店「くろ麦」の店舗の外観(当該写真の撮影日は不明)と主張するものであるところ、当該店舗の看板には、別掲2のとおり、本件商標とは色彩を異にするものの、本件商標と同一の態様と認められる書体の「くろ麦」が表示され、その右側に小さく「手打ちそば」(構成全体は、毛筆体風の書体でモノグラム化されている。)(以下「使用標章」という。)を配した表示がある。
(3)乙第4号証は、「青山ツインビルのフロアガイド」の写しであるところ、「店舗紹介」として、「くろ麦」の表示があり、乙第2号証の写真の店舗の看板と同一のものと認められる看板の写真が掲載されると共に、当該看板に、乙第2号証と同様に使用標章が表示され、「こしのある本格二八そばが味わえるそば店。」、「フロア 地下1階」、「カテゴリー 手打ちそば」等と紹介されている。
(4)乙第6号証は、被請求人が、契約者である「三菱地所株式会社」の代理人の「三菱地所プロパティマネジメント株式会社」に宛てた「新青山ビル賃借室解約通知書」の写しと主張するものであるところ、右上部に「29年7月24日」の日付の記載、「解約通知書」のタイトルの下、「本書面をもって新青山ビル賃借室につき、下記の通り解約をご通知致します。」の記載と共に「賃貸借室」として「新青山ビル/地下1階・・・(店舗)」の記載、「解約日」として「2018年1月31日」の記載があることから、被請求人は、2017年(平成29年)7月24日付けで、新青山ビル地下1階の賃借室について、契約者に対して、2018年(平成30年)1月31日を解約日とする通知を行っていることが認められる。
(5)乙第9号証は、情報サイト「食べログ」のウェブサイトの写しであるところ、1頁目に「閉店 くろ麦(くろむぎ)」の表示の下、「口コミ」として、「2017-03?02【青山一丁目】くろ麦:はまぐり蕎麦:ぷりぷりっとしたはまぐりがとても美味・・・青山ツインビルの地下に・・・」の記載があり、2頁目に「店舗情報(詳細)」として、「ジャンル そば、天丼・天重、天ぷら」、「住所 東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル東館 B1F」と記載されている。
2 判断
上記1によれば、以下のことが認められる。
(1)使用標章について
蕎麦店「くろ麦」の店舗の看板に表示されている使用標章(乙2、乙4)は、別掲2のとおり、本件商標と同一の態様と認められる書体の「くろ麦」の文字が顕著に表示され、その右側に小さく「手打ちそば」の文字を配してなるところ、その構成中「くろ麦」の文字部分は、「手打ちそば」の文字と比べて顕著に表示されていることから、使用標章は、「手打ちそば」と「くろ麦」の文字部分が視覚上分離して看取され得るものであり、また、「手打ちそば」の文字部分は、取消請求役務との関係において、提供する料理名を表したにすぎないものであるから、当該看板には、自他役務の識別標識として「くろ麦」の文字が使用されているといえる。
そして、看板に表示された「くろ麦」の文字は、本件商標と同一の態様の文字であるから、使用標章は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(2)商標の使用者について
「履歴事項全部証明書」(乙1)によれば、被請求人は、飲食店の経営を目的とする会社であり、新青山ビルの地下1階を2018年(平成30年)1月末まで、店舗として借りていた(乙6)。
そして、被請求人の本店の住所(乙1)と被請求人が借りていた新青山ビルの住所(乙9)が一致し、新青山ビルの地下1階に「くろ麦」という店名の蕎麦店があり(乙9)、当該蕎麦店には、本件商標と社会通念上同一の商標を表示した看板がある(乙2、乙4)。
また、被請求人の名称及び住所と当該蕎麦店の店名及び住所(乙9)が一致する。
以上を総合すると、被請求人(商標権者)は、新青山ビル地下1階にある「くろ麦」を店名とする蕎麦店を経営し、その看板に本件商標と社会通念上同一と認められる商標と使用していたことが認められることから、商標の使用者は、被請求人(商標権者)であるといえる。
(3)商標の使用時期について
情報サイト(乙9)によれば、蕎麦店「くろ麦」に関する口コミの日付は、要証期間内の2017年(平成29年)3月2日である。
そして、上記(1)及び(2)のとおり、被請求人は、被請求人が経営する蕎麦店「くろ麦」の店舗の看板に使用標章を使用し、当該店舗の敷地は、被請求人が、2018年(平成30年)1月まで借りていたのであるから、
被請求人は、それまで当該蕎麦店を経営していたとみるのが自然である。
そうすると、被請求人が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していた時期は要証期間内であるといえる。
(4)使用役務について
被請求人が経営する蕎麦店「くろ麦」について、「こしのある本格二八そばが味わえるそば店。」、「カテゴリー 手打ちそば」等と紹介されていること(乙4)、当該蕎麦店の店舗情報において、「ジャンル」として、「そば、天丼・天重、天ぷら」と記載されていること(乙9)から、被請求人が経営する蕎麦店「くろ麦」は、そばを提供していたといえる。
そうすると、被請求人が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している役務は、「そばの提供」であり、これは、「日本そばを主とする飲食物の提供」に含まれるものである。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本件商標の商標権者は、要証期間に「日本そばを主とする飲食物の提供」に関する広告(看板)に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたということができ、当該使用行為は、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が取消請求役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により登録を取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1(本件商標)



別掲2(使用標章)




審理終結日 2020-06-11 
結審通知日 2020-06-16 
審決日 2020-07-16 
出願番号 商願2003-36063(T2003-36063) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y43)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 小田 昌子
山田 正樹
登録日 2006-12-22 
登録番号 商標登録第5012589号(T5012589) 
商標の称呼 クロムギ、ムギ 
代理人 一色国際特許業務法人 

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