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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W16
管理番号 1366178 
審判番号 不服2019-6844 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-27 
確定日 2020-08-19 
事件の表示 商願2017-132546拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「CTカートン」の文字を標準文字で表してなり、第16類「紙製包装用容器,プラスチック製袋を内装した紙製包装用容器,樹脂フィルムを貼り合わせた紙製包装用容器」を指定商品として、平成29年10月5日に登録出願されたものである。

第2 原査定の理由の要点
原査定は、本願商標は、一般に商品の記号・符号として使用されるローマ字2字「CT」の文字と「紙箱」の意味を有する英語「carton」の片仮名表記と認められる「カートン」の文字を「CTカートン」と普通に用いられる方法で一連に書してなるにすぎないから、本願商標をその指定商品に使用した場合、本願商標に接する需要者・取引者は、これを自他商品の識別標識として認識するというよりも、商標構成全体として、「品番CTの紙箱」のような意味合いを理解するにとどまるため、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、意見を申し立てる機会を与えるべく、相当の期間を指定して令和2年1月23日付けで証拠調べの結果を通知した(その際、本願商標に係る使用の主張を裏付ける追加の証拠があればその機会に併せて提出することを付記した。)ところ、請求人は、同年3月24日に意見書を提出した。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の概要
1 カートン、ボックス等の包装用品は、収納する製品(商品)を保護、保管、搬送するためのもので、業者間の取引が一般的であり、包装用品には表面の目立つ個所に収納する内容物の普通名称、商標を大きく表記するため、包装用品自体にメーカー等の取扱業者の名称や商標を表示しようとすると、目立たない箇所に付記されるのが一般的で、スペースが限られることから品番・型式に近い表記を採用せざるを得ない事情がある(第19号証参照)。
2 欧文字2文字の組み合わせは数多存在するので、他人の採択の余地を狭めることはほとんどないので、他人が使用していなければ登録されてしかるべきである。
3 最近の登録例では、第16類の段ボール紙、厚紙、段ボール箱を指定商品とする「MM Karton」商標が登録されている(第29号証)。また、分野が異なるものの、コンピュータハードウエア及びコンピュータソフトウエアを指定商品とする「HD HAPTICS」商標について、審判では、「型番HDのハプティクス技術を応用した商品であることを看取、把握されるものとはいい難く、一種の造語と認識される」と判断され登録されている(第30号証)。
4 本願商標に係る使用の主張を裏付ける追加の証拠について、本願商標の指定商品に含まれる大容量の包装容器は、第1号証に示すように2017年より開発を開始し、2018年に展示会第3回ドリンクジャパンで一般に公開したものである(第2号証等)。
本年2月号の月刊フードケミカル(第31号証)には、審判請求人会社社長(二瀬 克規)が執筆した「最近の液体食品の充填技術と容器包装開発のトレンド」と題する記事が掲載され、その最後部に「5.フィルム逆止弁を用いた品質保持機能の液体容器PIDとCTカートンについて」として紹介している。
5 現在、鋭意飲食料品メーカーに採用方を働きかけているところであるので、今しばらく審理を猶予してもらえれば、本願商標の使用実績を提出できるはずである。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性
(1)本願商標
本願商標は、前記1のとおり、「CTカートン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「CT」は欧文字である一方、「カートン」は片仮名であって、異なる種類の文字を用いて表されていることから、「CT」の文字部分と「カートン」の文字部分の2つの文字部分から構成されていると容易に認識、把握されるものである。
そして、「カートン」の意味は、「(蝋びきの)紙箱」(広辞苑第七版(岩波書店発行))であるから、本願の指定商品を意味する一般的な名称といえるものである。また、「CT」は、欧文字2字という、それのみでは、極めて簡単かつありふれたものであるから、商品の出所識別標識としての機能を果たさないものである。
また、本願商標は標準文字で表してなるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
(2)本願指定商品を取り扱う業界等における取引の実情
別掲で提示した事実によれば、本願の指定商品を取り扱う分野において、「APカートン」、「KSカートン」、「PGカートン」、「PNカートン」、「PCカートン」、「SKカートン」及び「TKカートン」のように、商品の品番・型式等を表す記号符号として使用される欧文字2文字と「カートン」とを結合した表記が多数使用されている実情があるとともに、包装用容器に関連する箱類を取り扱う分野において、「AFボックス」、「SOボックス」、「SNボックス」、「BYボックス」、「BMボックス」、「QRボックス」、「CBボックス」、「NCボックス」、「NTボックス」、「NWボックス」、「STボックス」及び「NVボックス」のように、商品の品番・型式等を表す記号符号として使用される欧文字2文字と箱類を意味する一般名称とを結合した表記が多数使用されている実情が認められる。
(3)請求人による本願商標の使用について
ア 請求人は、本願商標が使用をされた結果、自他商品識別力を獲得するに至っている旨主張し、本願商標に係る使用についての証左として第1号証?第7号証、第21号証?第28号証及び第31号証を提出しているが、これらについては、以下(ア)ないし(オ)のとおり判断するものであり、本願商標が出所識別標識として認識され得る態様をもって使用されているとはいえない。
(ア)第1号証は、請求人が特許権者である「液状物充填用複合パック」に発明についての特許公報であって、「CTカートン」の表記を有さないものである。
(イ)第2号証?第4号証、第23号証?第28号証及び第31号証によれば、請求人が「CTカートン」の標章を用いて一定の広告行為をしていることがうかがわれる。
しかしながら、これらの証左は、「日本食糧新聞」(平成30年3月19日発行)への掲載(第2号証)、「包装タイムス」(平成30年5月21日発行)への掲載(第3号証)、雑誌「食品包装」(平成30年6月)への掲載(第4号証)、新潟食料農業大学アグロフードセミナーの実施(平成31年1月22日開催)(第23号証?第25号証)、日本食品包装協会における講演(平成31年1月24日開催)(第26号証?第28号証)及び「月刊フードケミカル」(令和2年2月)への掲載(第31号証)を示すものであり、平成30年?令和2年の間における4回の新聞・雑誌掲載、及び平成31年における2回の講演開催を示すものであって、これからは宣伝広告期間も短く、件数も多いとはいえない。
(ウ)第5号証?第7号証によれば、請求人が第3回ドリンクジャパン(平成30年6月27日?29日に東京ビッグサイトにて開催。)へ出展したことが認められるが、これらの証左からは、「CTカートン」の表記を看取できないし、それを措くとしても、実際にどの程度の来場者がその表記に接したのかが不明である。
(エ)第21号証については、平成30年度予算「戦略的基盤技術高度化支援事業」への応募を示すものであるが、この証左からは、「CTカートン」の表記を看取できない上、そもそも、これが広告など、商標の使用にあたるのかも判然としない。
(オ)第22号証については、平成30年10月30日に農林水産省が募集した「プラスチック資源循環アクション宣言」に請求人が応募したことを示すものであって、農林水産省のウェブサイトに「飲料用として開発中のPID容器『CTカートン』においては、900ml用のサイズの場合プラスチック使用量はわずか12g程度で」あるとの記載がされているものであるが、これからは本願商標の使用実績(期間、販売量など)、また、どの程度の者がその表記に接したのかが不明である。
イ 請求人は、商品に実際に使用されている商標の態様、本願商標が使用された商品の使用開始時期、使用期間、販売数量及び販売地域等の取引の具体的状況を示す取引書類等の提示をしておらず、加えて、本願商標の使用に係る商品の業界シェア等の統計資料による客観的状況を示す資料の提示をしていない。
ウ そうすると、本願商標は、これが使用をされた結果、全国的に周知であるとはいい難く、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているものとは認められない。
(4)小括
以上を踏まえると、本願商標は、これをその指定商品について使用した場合、これに接した取引者、需要者は、本願商標を、品番ないし型式等が「CT」である紙箱の意味合いとして認識、把握するにとどまるものであり、このような本願商標は、本願の指定商品について特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、カートン、ボックス等の包装用品は、収納する製品(商品)を保護、保管、搬送するためのもので、業者間の取引が一般的であること、包装用品には表面の目立つ個所に収納する内容物の普通名称、商標を大きく表記するため、包装用品自体にメーカー等の取扱業者の名称や商標を表示しようとすると、目立たない箇所に付記されるのが一般的で、スペースが限られることから品番・型式に近い表記を採用せざるを得ない事情がある旨、及び欧文字2文字の組み合わせは数多存在するので、他人の採択の余地を狭めることはほとんどないから、他人が使用していなければ登録されてしかるべき旨主張する。
しかしながら、仮に、包装用品自体の製造業者等が使用する標章を表示するためのスペースが包装用品には限られているとしても、そのことをもって、ただちに、当該製造業者等が、自他商品識別標識として、品番・型式に近い表記を採用せざるを得ない事情があることにはならないし、本願の指定商品を取り扱う取引者、需要者が、本願商標のような、欧文字2文字とその指定商品を意味する一般的な名称とを組み合わせた標章を、自他商品識別標識と認識、把握した上で、取引をしていることを示す証左もない。
また、請求人は、欧文字2文字の組み合わせは数多存在する旨主張するが、欧文字2文字の組み合わせは、上記1(1)で説示したとおり、それのみでは、極めて簡単かつありふれたものである。
そして、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接した取引者、需要者は、本願商標を、品番ないし型式等が「CT」である紙箱の意味合いとして認識、把握するにとどまるものであることは、上記1で認定判断したとおりである。
(2)請求人は、本願商標と構成や指定商品をほぼ同じくする過去の登録例や審決例が存在する旨主張するが、請求人の挙げる登録例等は、本願商標とは、構成文字や構成態様が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記1の認定判断が左右されるものではない。
(3)よって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
なお、請求人は、令和2年3月24日受付の意見書において、「現在、鋭意飲食料品メーカーに採用方を働きかけているところですので、今しばらく審理を猶予して頂ければ、本願商標の使用実績を提出できるはずです。」と主張するが、当審は、上記第3のとおり、本願商標に係る使用の主張を裏付ける追加の証拠があれば提出する機会を与えたものであるし、また、請求人が求める審理の猶予は、本願商標に係る使用実績を将来的に得るためのものであって、その猶予が本件審理における合理的な範囲にとどまる具体的な根拠に欠けると言わざるを得ないから、当審は、本件の審理を猶予する合理的な理由はないものと判断し、本件の審理を終結することにした。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1 本願商標の指定商品を取り扱う分野において、商品の品番・型式等を表す記号符号として使用される欧文字2文字と「カートン」の文字とを結合した表記の例(下線は合議体が付した。以下同じ。)。
(1)「訪日外国人向けお土産農水産物販売促進協議会」のウェブサイトにおいて、凸版印刷株式会社が作成した「農産物お土産販売施策 ?パッケージ編?」の10頁に、紙箱の画像とともに、「超耐水性紙製カートン『APカートン』」「従来の耐水紙のレベルを超えた耐水性の紙製カートンです。美粧性に優れ、水に濡れたときの積み上げ強度が高いため、木箱や発泡スチロール、段ボールの代替としてご活用いただいております。」との記載がある。
(http://omiyagefruits.jp/download/pdf/150724-02.pdf)
(2)「モダンパック姫路店」のウェブサイトにおいて、「テイクアウト用品」の見出しの下、紙箱の画像とともに、「KSカートン」「白の上質カートン紙のケーキBOXです。」との記載がある。併せて、同ウェブサイトにおいて、「包装用品」の見出しの下、紙箱の画像とともに、「KSカートン」「白の上質カートン紙のケーキBOXです。」との記載がある。
(http://www.modernpack-himeji.com/product/takeout、http://www.modernpack-himeji.com/product/packaging/1266)
(3)「パッケージ中澤」のウェブサイトにおいて、「フレッシュケーキ函」との見出しの下、紙箱の画像とともに、「折り式サービス函の基本商品。サイズも豊富です。」「KSカートン折」との記載があり、さらに、「MG・PGカートン」との記載がある。併せて、同ウェブサイトにおいて、「ギフト函」の見出しの下、紙箱の画像とともに、「PNカートン」「『組み立てが簡単』『リーズナブル』『原紙が薄く丈夫』お手頃なギフトに便利です。」との記載がある。
(http://p-nakazawa.com/catalogue/577/、http://p-nakazawa.com/catalogue/639/)
(4)「株式会社グリーンフィールド」のウェブサイトにおいて、「テイクアウト商品ページ」のカテゴリーにおける「フードコンテナ」のうちの「ペーパーコンテナ」の項に、紙箱の画像とともに、「ペーパーBOX PCカートンシリーズ:S・N・Hタイプの3規格!」との記載がある。
(http://www.gr-field.com/foodcontainer/papercontainer.html)
(5)「サンムパッケージ株式会社」のウェブサイトにおいて、「製品一覧」における「寿司用パッケージ」の項に、紙箱の画像とともに、「SKカートンシリーズ」(当審注:「シリーズ」の文字サイズは、「SKカートン」の文字サイズと比べて、小さく表記されている。)「木目柄を使用スッキリ容器」「SKカートン6号 SKカートン7号 SKカートン8号 SKカートン9号」との記載がある。
(http://www.sanmu.co.jp/p3/?pack=1&ps#s03)
(6)「ダイナパック株式会社」のウェブサイトにおいて、「段ボール製品」の見出しの下、段ボール箱の画像とともに、「青果物向け(TKカートン)」「切り花用輸送箱です。」「縦積み、横積みでの輸送でも鮮度保持用の水が漏れない構造になっています。」との記載がある。
(https://www.dynapac-gr.co.jp/business/items/cardboard/index.html)

2 箱類を取り扱う分野において、商品の品番・型式等を表す記号符号として使用される欧文字2文字と箱類を意味する一般名称とを結合した表記の例
(1)「株式会社TTトレーディング」のウェブサイトにおいて、「保護紙」の見出しの下、紙箱の画像とともに、「AFボックス(常備品)」「貴重書や文書、絵画などの貼り箱式保存箱です。」「芯材にピュアマット、クルミ貼りにAFプロテクトHを使用した上製箱です。」との記載がある。
(http://www.tokushu-papertrade.jp/products/cons/cons2-05.html)
(2)「MiseDas」のウェブサイトにおいて、「演出・ディスプレイ」「木箱・ウッドディスプレイ」の項に、木箱の画像とともに、「SOボックス白木 中」との記載があり、併せて同項に、「SNボックス白木 中」との記載がある。
(https://www.misedas.net/asp/item_detail.asp?ItemLID=17774、https://www.misedas.net/asp/item_detail.asp?ItemLID=17782)
(3)「岐阜プラスチック工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「製品用途・使用例」の項に、箱の画像とともに、「軽量・高強度なサイズフリーのボックス『BYボックス』」との記載があり、併せて同項に、「外周側面に凹凸がないボックス『BMボックス』」との記載がある。
(https://www.risu.co.jp/gifu-plastic/case/201905-28.html、https://www.risu.co.jp/gifu-plastic/case/2019-0528.html)
(4)「アイリスオーヤマ」のウェブサイトにおいて、箱の画像とともに、「ボックス収納」の見出しの下、箱の画像とともに、「QRボックス」「CBボックス」との記載がある。
(https://www.irisohyama.co.jp/products/storage-furniture/box-storage/)
(5)「通販モノタロウ」のウェブサイトにおいて、箱の画像とともに、「ブランド:アステージ」の項に、箱の画像とともに、「NCボックス」、「NTボックス」、「NWボックス」、「STボックス」、「NVボックス」との記載がある。
(https://www.monotaro.com/s/b-3281/)

審理終結日 2020-05-07 
結審通知日 2020-05-29 
審決日 2020-06-10 
出願番号 商願2017-132546(T2017-132546) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 正和豊田 純一 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 庄司 美和
山村 浩
商標の称呼 シイテイカートン 
代理人 特許業務法人銀座マロニエ特許事務所 

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