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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1366170 
審判番号 取消2018-300388 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-06-11 
確定日 2020-08-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4794788号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4794788号商標(以下「本件商標」という。)は、「FINE BOYS」の欧文字と「ファインボーイズ」の片仮名を上下2段に併記してなり、平成15年11月21日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同16年8月13日に設定登録されたものであり、その後、同26年2月25日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成30年(2018年)6月25日にされている。
また、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年(2015年)6月25日から同30年(2018年)6月24日までの期間を、以下、「要証期間」という。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、平成30年10月5日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年11月9日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁1」という。)、及び令和元年7月30日付け審尋の同年9月22日付け回答書(以下「回答書」という。)に対する同年11月27日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁2」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(以下、証拠を表示する際は、「甲1」等と表記する。)を提出した。
1 請求の要旨
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 弁駁1の要旨
(1)株式会社アーネストヘの通常使用権の許諾について
被請求人である水瀬K氏(以下「K」という。)は、被請求人から水瀬M氏(以下「M」という。)への当該口約束による通常使用権許諾の事実を示す証拠を何ら提出していないから、Mが本件商標についての通常使用権者であるとは認められず、通常使用権者でないMは、第三者への再許諾を行う権限を有さない。
したがって、Mは本件商標についての通常使用権を第三者に再許諾する権限を有する者ではないから、株式会社アーネスト(以下「アーネスト社」という。)が本件商標についての通常使用権者であるとは認められない。
なお、通常使用権許諾に関する年間使用料は50万円が、毎年12月にアーネスト社からMの銀行口座に振り込みがなされているとして被請求人が提出する乙1には、名義人の記載がなく、Mの銀行通帳の写しであることを確認できない。また、株式会社アーネストという名称の会社は全国に多数存在するから、乙1に記載の「アーネスト」がMによって通常使用権を再許諾されたアーネスト社と同一か確認できない。
また、乙1から、この50万円の振込が、本件商標についての通常使用権に対する年間使用料の支払いであるとは認められない。
さらに、乙1に記載されているアーネスト社からの振込日は、「28-12-21」と「29-12-21」のみであり、それ以前の毎年の振り込みの事実を確認できないから、乙1は、Mがアーネスト社に対して本件商標についての通常使用権を再許諾した事実を示す証拠となるものではない。
(2)本件商標の使用について
被請求人は、アーネスト社が、2009年から、本件商標を付した「紳士靴」について、株式会社チヨダ(以下「チヨダ社」という。)に継続して販売していると主張し、乙3ないし乙5を提出しているが、アーネスト社は本件商標についての通常使用権者とは認められないから、アーネスト社による使用をもって本件商標の取消しを免れることはできない。
ア 乙3について
乙3の1及び乙3の2であるチラシに「FINEBOYS」の文字と共に紳士靴が掲載されているとしても、当該チラシは、いずれも要証期間内よりも前に発行されたものである。
また、当該チラシには、東京靴流通センター又はシュープラザなる表記はあるが、アーネスト社の表記は全く存在しなく、東京靴流通センター又はジュープラザはアーネスト社が運営する店舗ではない。
したがって、乙3は、要証期間内における被請求人の通常使用権者による本件商標の使用の事実を裏付けるに足りる資料ではない。
イ 乙4及び乙5について
乙4である発注書の発行者はチヨダ社であり、当該発注書に表示されている「2016/3/30」(乙4の1)又は「2017/3/10」(乙4の2及び乙4の3)なる日付は、チヨダ社が当該発注書を発行した日付を示すにすぎないから、アーネスト社による本件商標の直近の使用時期が2017年3月10日であるとする被請求人の主張は失当である。
乙4と乙5とを結びつける証拠は何ら提出されておらず、乙4と乙5との対応関係は不明である。
乙5の1及び乙5の2である包装箱に、販売日等は記載されておらず、紳士靴が当該包装箱の中に入った状態で実際に販売等された年月日を確認できない。
乙5の3である紳士靴見本及び中敷に付される織りネームに、販売日等は記載されておらず、当該織りネームが中敷きに付された紳士靴が実際に販売等された年月日を確認できない。
また、仮に要証期間内に乙4の発注書に基づき納品がされ、チヨダ社の店舗において「FINEBOYS」の標章が付された紳士靴が販売されていたとしても、乙4がチヨダ社によって発行された発注書であり、乙5の2には、商品の出所を示す表示として「販売元 株式会社 チヨダ」の表記のみがされていることからすれば、当該「FINEBOYS」の商標の使用者は、アーネスト社ではなく、チヨダ社であると解するのが自然である。そして、チヨダ社は本件商標についての通常使用権者ではない。
したがって、乙4及び乙5は、要証期間内における被請求人の通常使用権者による本件商標の使用の事実を裏付けるに足りる資料ではない。
3 弁駁2の要旨
(1)本件商標の使用者について
被請求人は、要証期間以前に、被請求人がアーネスト社に通常使用権を黙示で許諾したと主張するが、被請求人は、答弁書においては、通常使用権者であるMがアーネスト社に通常使用権を再許諾したと主張していたものであり、今回の主張と矛盾している。
アーネスト社が本件商標についての通常使用権者であるか否かを判断するに当たって、誰がアーネスト社に許諾を与えたとするのかは極めて重要な事項であるから、このような重要な事項を変更する主張は認められない。
そして、要証期間に本件商標の商標権者であったとは認められないMは、他人に通常使用権を許諾することはできないから、被請求人から通常使用権を許諾されたMが、アーネスト社へ通常使用権を再許諾したとする被請求人の主張は、認められない。
(2)黙示の使用許諾について
被請求人は、Mに対してアーネスト社から受領した本件商標の使用対価の返還を求めていないこと、及びアーネスト社に対して本件商標の使用中止を申し入れていないことを根拠に、アーネスト社による本件商標の使用は、被請求人の黙示の許諾のもとで行われてきたものであり、被請求人がアーネスト社による本件商標の使用を容認してきたと主張する。
しかしながら、単に権利行使していないことをもって、黙示の使用許諾があったとは認められない。また、親子であることは、Mがアーネスト社から対価を受領していることを被請求人が知っていた証拠にならない。
また、被請求人による本件商標の更新登録手続及び移転手続については、いずれも、被請求人がアーネスト社による本件商標の使用を知らなくとも何の問題もなく済む手続であるから、アーネスト社による本件商標の使用を被請求人が知っていた証拠にならない。なお、更新登録手続及び移転手続は、いずれも要証期間外に行われた手続であるから、そもそも、要証期間において被請求人がアーネスト社に通常使用権を許諾していた証拠となるものではない。
被請求人は、被請求人白身が、アーネスト社の行為を容認してきたと主張しているのであるから、アーネスト社による本件商標の使用を被請求人の許諾に基づかないとする理由はない旨主張する。
しかしながら、被請求人とアーネスト社は、親会社と子会社の関係になく、被請求人とアーネスト社が、業務上密接な関連性を有していることを示す客観的な証拠は提出されていない。単に、被請求人がアーネスト社の行為を容認してきたと主張するだけで、黙示の使用許諾があったとは認められない。
被請求人は、アーネスト社からMへの振込が、あたかも自らした許諾に対する対価であるように主張しているが、答弁書では、当該振込は、Mがアーネスト社へした再許諾の対価であると主張していたものであり、一貫性がない。
被請求人は、商標権者である被請求人が、Mに本件商標の使用対価を受領させることは何ら不自然なことではないと主張する。
しかしながら、年額50万円の収入の影響は決して小さいものではなく、被請求人自らがアーネスト社へ黙示の許諾をしていたのであれば、その対価をMに受領させることは、極めて不自然である。
なお、弁駁1で主張したように、乙1の銀行通帳写において、アーネスト社からMへの50万円の振込目的を特定することはできず、この振込が本件商標についての通常使用権に対する対価の支払いであるとは認められない。
また、被請求人は、アーネスト社は、被請求人とMが一体の関係にあると認識していたからこそMに支払いをしてきたと主張し、また、アーネスト社に贈ったお歳暮の送付状(乙6)に被請求人とMの名前が連名で記載されていることは、被請求人とMが一体の関係にあるものとして行動していたことを示していると主張する。
しかしながら、アーネスト社の認識は、被請求人がアーネスト社による本件商標の使用を知っていたか否かとはまったく関係がない。また、お歳暮を連名で贈ったことをもって、被請求人とMが一体の関係にあるといえるものでもない。
被請求人が、要証期間以前から現在までアーネスト社による本件商標の使用を許諾していたとして、提出した確認書(乙19)は、本件審判請求後に作成されたものである。しかも、当該確認書には、「甲及び乙は・・・承諾してきた」とあるが、承諾には相手方からの申し出が必要であり、容認とは異なるものであるから、被請求人の主張との整合性もない。
(3)アーネスト社による本件商標の使用について
上記のとおり、アーネスト社は、本件商標の通常使用権者ではないが、仮にアーネスト社が通常使用権者であったとしても、以下のとおり、アーネスト社が本件商標を使用したとは認められない。
ア 商品又は商品の包装に本件商標を付したものかについて
被請求人は、要証期間において、アーネスト社が、商品又は商品の包装に本件商標を付した「履物」を製造し、これをチヨダ社に対して譲渡(販売)したと主張する。そして、その根拠として、アーネスト社がチヨダ社から品番「FB1103」の靴の発注を受けて納品したことを挙げている。
しかしながら、乙4の1、乙8ないし13は、「発注書」、「製品仕様書」、「請求書」、「仕入伝票」及び「御支払案内書」であり、アーネスト社が、実際に、靴又は靴の包装に本件商標を付した証拠は提出されていない。また、乙8及び9によれば、靴を製造しているのは、アーネスト社とは別会社である「超倫」であるから、アーネスト社は、本件商標を付した靴を製造していない。また、乙9の「製品仕様書」には、「※販売元と住所は(株)アーネストの物を使用して下さい」との記載があるが、この指示を受けて、実際に記載を変更したことを示す証拠も提出されていない。また、乙14(チヨダ社のチラシ)において、アーネスト社の表示はない。
したがって、アーネスト社が、商品又は商品の包装に本件商標を付したとは認められない。
イ アーネスト社の立場について
被請求人は、アーネスト社が当該靴を製造する超倫に対し、製品仕様書(乙9)により詳細な仕様を指示したと主張するが、当該製品仕様書には、アーネスト社の表記がなく、また、発注書(乙8)のように「超倫 御中」ではなく、「メーカー名:超倫靴業有限公司」と記載されていることや、チヨダ社の店頭価格として値札に記載する価格までが指示されていること等から判断すれば、当該製品仕様書は、チヨダ社によって作成されたものであると判断するのが妥当である。また、アーネスト社がチヨダ社以外に、本件商標を付した靴を売り渡した証拠は提出されていない。
してみれば、アーネスト社は、チヨダ社の指示監督のもと、単に中国のメーカーとの間に立って商品の流通の一端を担っていた立場にすぎず、たとえチヨダ社が販売する靴に本件商標が付されていたとしても、それはチヨダ社による本件商標の使用であって、アーネスト社による使用ではない。
ウ 「FB1103」以外の取引について
乙15は、「製品仕様書」であり、アーネスト社が、実際に、靴又は靴の包装に本件商標を付し、チヨダ社に販売した証拠ではない。また、乙16、17は、被請求人も認めているように、要証期間外のものである。
したがって、仮にアーネスト社が通常使用権者であったとしても、要証期間にアーネスト社が本件商標を使用したとは認められない。
(4)請求人の請求について
被請求人は、本件商標を付した商品は、インターネットショッピングサイトでも販売されていることからすれば、請求人は本件商標の使用状況を認識しながら本請求を行っているのであるから、これを認める必要がないと主張する。
しかしながら、被請求人が根拠とするインターネットショッピングサイトにおける販売状況は、2019年9月15日のものであり、本件審判の請求日である平成30年(2018年)6月11日時点での販売状況を根拠としたものではない。しかも、仮に本件審判の請求当時の販売状況が2019年9月15日の販売状況と同様であったとしても、当該サイトにおいて、商標権者である被請求人、又は登録された使用権者の名称は一切表示されていないのであるから、不使用取消審判を請求するべきでないとする根拠にならない。

第3 被請求人の主張の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、審判事件答弁書及び回答書において要旨以下のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙19(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁書の要旨
(1)本件商標の使用状況
乙1ないし乙5から明らかなように、通常使用権者であるアーネスト社が、本件商標を、商品「紳士靴」について継続して使用しているものである。
(2)本件商標の使用者
商標権者は、2009年に、商標権者の母であるMに対して通常使用権を許諾し、Mは、更にアーネスト社へ通常使用権を再許諾し、該許諾契約は、現在も有効に継続している。
なお、本件商標は、2014年7月にKからMへ移転され、その後、2015年5月に再度Kへ移転されたが、この間においても、アーネスト社への通常使用権の許諾は継続していたものである。
通常使用権の許諾については、双方とも口約束のため書類は存在しないが、Mがアーネスト社への通常使用権許諾に関する年間使用料は50万円であり、毎年12月にアーネスト社からMの銀行口座に振込がなされている(乙1)。
アーネスト社は、2009年から、本件商標を付した商品「紳士靴」について、チヨダ社に販売し、現在も継続して販売している。チヨダ社は、「東京靴流通センター」「靴のチヨダ」「シュープラザ」などの店舗名称で、紳士靴・婦人靴・スニーカーなど靴と靴用品の量販店を北海道から沖縄まで全国展開し、店舗数は1100で、靴の小売チェーンとしては日本最大である(乙2)。チヨダ社において、以前から、本件商標が付された紳士靴が販売されていることについては、2012年12月の東京靴流通センターのチラシ(乙3の1)、2014年11月のシュープラザ枚方店のチラシ(乙3の2)から明らかである。
また、本件商標が付された紳士靴は、チヨダ社において継続して販売されており、店舗の在庫に応じて、チヨダ社からアーネスト社に対して商品の発注リストが送付され、これに応じてアーネスト社からチヨダ社の各店舗へ紳士靴が納入されている。
チヨダ社からアーネスト社に対して送付された発注書(乙4)からは、以下の注文があったことが明らかである。
ア 2016年3月30日(乙4の1)
「FINEBOYS」型番「FB1103」に関し、中部TS(東京靴流通センター)37店舗(13足セット)、中部TS(東京靴流通センター)33店舗(9足セット)、九州SP(シュープラザ)31店舗(12足セット)、九州SP(シュープラザ)24店舗(8足セット)。
イ 2017年3月10日(乙4の2)
「FINEBOYS」型番「FB600」に関し、関東TS(東京靴流通センター)241店舗、九州SP(シュープラザ)42店舗、中部TS(東京靴流通センター)72店舗
ウ 2017年3月10日(乙4の3)
「INEBOYS」型番「FB400」と「FB401」に関し、中部TS(東京靴流通センター)72店舗、中部SP(シュープラザ)36店舗
上記の紳士靴は、乙5の1及び乙5の2に表したような包装箱に入れ、乙5の3に表したように、中敷に織りネームが付され、いずれも本件商標を使用していることは明白である。
(3)使用商標
本件商標は、欧文字の「FINE BOYS」を左横書きし、その下段に片仮名の「ファインボーイズ」を併記するものである。
本件商標の通常使用権者であるアーネスト社は、乙4の1ないし乙4の3から明らかなように、「FINEBOYS」の欧文字を使用し、該表示は、「FINE」と「BOYS」の間の間隔が空いていないものの、本件商標と同一の欧文字を表示し、読み方も「ファインボーイズ」の称呼以外は生じないものである。また、観念についても、本件商標の態様と使用態様からは、いずれも「素晴らしい少年たち」といった同一の観念が生ずるため、両者は社会通念上同一であり、本件商標の使用に該当するものである。
(4)使用商品
本件商標の通常使用権者であるアーネスト社は、本件商標について、商品「紳士靴」に使用するものである。
(5)使用時期
本件商標は、2009年から商品「紳士靴」について使用され、乙4及び乙5に添付した書類から明らかなように、直近では2017年3月10日に使用していることは明白である。
(6)まとめ
以上述べたように、本件商標は、本件商標の通常使用権者により、審判請求に係る商品に包含される「紳士靴」について本審判の予告登録日前より継続して使用するものである。
2 回答書の要旨
(1)本件商標の通常使用権者について
ア 商標の使用に関する許諾は要式行為ではなく、有償・無償の別を問わず、また、口頭の許諾であっても、黙示の許諾であっても差し支えがないとされていることから、本件において、アーネストが本件商標の通常使用権者であるか否かは、本件商標の商標権者である被請求人が、これを容認していたか否かに帰着する。
そして、被請求人は、要証期間内はもとよりその前後においても、アーネスト社に対し、本件商標の使用中止を申し入れたり、Mに対し、アーネスト社から受領した本件商標の使用対価の返還を求めたりするなどの、従前から続いてきた状況を変更させようとする措置を全くとっていない。
そうすると、それらの事実のみでも、最低限、アーネスト社による本件商標の使用が、被請求人の黙示の許諾の下で行われてきたことは、もはや明らかである。
イ 被請求人自身による許諾の自認について
(ア) 商標使用に対する許諾の有無が争われるのは、通常、当該商標の商標権者が「許諾をしていない」「商標の無断使用である」との認識を示しているからこそであり、商標権者自身が許諾していたことを認めている場合に、殊更に許諾を否定すべき理由は全くない。
商標の不使用に基づく取消審判においても、まずは、商標権者自身が、第三者による当該商標の使用を認めていたと主張しているか否かを、重要事実として検討していることはいうまでもない。
例えば、取消2006-30444では、商標権者の子会社による商標の使用につき、それこそ、「商標権者の子会社である」という両者の関係性と、「商標権者である親会社が、子会社に商標を使用させていた旨の主張をしている」という事実のみで、黙示の許諾が認められている(乙6及び乙8)。
(イ) 本件では、本件商標の商標権者である被請求人自身が、アーネスト社が本件商標を使用して靴を製造、販売することを、要証期間以前から容認してきたと主張しているのであって、それにもかかわらず、アーネスト社による本件商標の使用が、被請求人の許諾に基づかない無断使用であると認めるべき理由は全くない。
ウ 被請求人とMの「親子」関係について
(ア) 本件商標の使用対価を受領していたMは、被請求人の母であり、本件は、本件商標が、商標権者とは全く無関係の第三者を経由して無断使用されていた、という状況を仮定すべき事案ですらない。かえって、被請求人とMが親子であることからすれば、両者間には、アーネスト社による本件商標の使用を含めて、親密な意思疎通があったと推認すべきは、当然の経験則である。
(イ) 本件商標の商標権者である被請求人が、母であるMに対し、本件商標の使用対価を受領させることも、何ら不自然なことではなく、使用対価が、年額50万円と高額ではないこと踏まえると、なおのこと全く不自然ではない。
アーネスト社側としても、親子である被請求人とMが、いわば意思疎通のある「一体の関係」にあると認識していたからこそ、Mに対する使用対価の支払いに何らの問題もないと考えて、同支払いをしてきたものであり、実質的には、Mに対する使用対価の支払いは、被請求人に対する支払いと同視できる。
そして、本件商標の使用対価をMが受領していたことは、被請求人の主張を否定するものではなく、かえって、被請求人が、そのような状況を是正しようとせず容認し続けてきたという側面からすれば、同事実は、被請求人が、アーネスト社による本件商標の使用を容認してきたことを示す事実である。
(ウ) 現に、被請求人とMは、従前から、アーネスト社に対し、連名で、日頃の挨拶やお中元等のやりとりを行っており(乙6の1、2)、このことは、親子である被請求人とMが、いわば一体の関係にあるものとして行動していたことを示している。
(エ) このように、被請求人とMとの関係が、全くの第三者関係ではなく、意思疎通があって当然の親子であることを踏まえると、最低限、被請求人は、母であるMによる使用対価の受領を知った上で、アーネスト社による本件商標の使用を容認してきたことが優に推認される。
エ 本件商標の商標権の更新、移転の経緯について
(ア) 本件商標は、もともと、被請求人やMにとっては同族会社である株式会社ミズセが登録したものであるが、被請求人は、平成17年12月10日を登録日として、同社から、本件商標の商標権を取得し、それ以降、同26年2月25日に本件商標の更新登録、同年7月30日に本件商標のMへの移転、同27年5月15日に再度本件商標のMからの移転をそれぞれ行っている(乙7)。
(イ) このように、もともと、本件商標は、水瀬家として管理されてきたものであることに加え、被請求人が、本件商標につき、権利保全のための更新を含め、自らを主体とする各手続を行っているのであって、それにもかかわらず、被請求人が、各手続の対象である本件商標の使用状況を知らないということがあろうはずがない。
したがって、これらの外形的事情を客観的に見ても、被請求人は、アーネスト社が本件商標を使用し続けていると正しく認識した上で、これらの手続を行ったものと理解するほかない。
(ウ) 仮に、被請求人が、アーネスト社による本件商標の使用、そして、その使用対価のMによる受領を容認していなかったとすれば、平成27年5月15日を登録日として再び本件商標の商標権者になった際に、その状態を是正しようとしているはずであり、それをしていないのは、やはり、アーネスト社による本件商標の使用、そして、その使用対価のMによる受領を容認していたからにほかならない。
(エ) なお、本件商標に関する更新や移転の各手続が行われた平成26年?27年以前から、アーネスト社が本件商標を使用していたことは、同24年12月6日?同月10日をセール期間とするチラシ(乙3の1)に、アーネスト社が製造、販売した靴が掲載されていることから明らかである。
(オ) このように、本件商標に関する更新、移転の経緯を見ても、それらの主体として関与してきた被請求人が、本件商標の使用状況を知らなかったということはあり得ず、実際には、被請求人は、アーネスト社によって本件商標が使用されていることを認識しながら、更新、移転の各手続を行ってきたものである。
オ アーネスト社による本件商標の使用に対する被請求人の態度
(ア) 仮に、被請求人が、アーネスト社による本件商標の使用を容認していなかったとすれば、アーネスト社による本件商標の使用は、被請求人の商標権を侵害していることになる。そうすると、被請求人は、アーネスト社に対し、本件商標の使用中止を求めるとともに、その使用対価を受領していたMに対し、その返還を求めるはずである。
しかし、被請求人は、要証期間内はもとより、その前後においても、アーネスト社に対し、本件商標の使用中止を求めたり、Mに対し、アーネスト社から受領した本件商標の使用対価の返還を求めたりするなどの措置を全く講じていない。
(イ) このように、被請求人が、アーネスト社による本件商標の使用を容認していなかったとすれば、当然にとるべき措置をとっていないことは、端的に、被請求人が、アーネスト社による本件商標の使用を容認していたことを示している。
カ 小括
以上のとおり、被請求人自身が、本件審判において、アーネスト社による本件商標の使用を許諾していた旨主張していることに加え、現に、アーネスト社によって本件商標が使用されている状況下で、自らを主体とする本件商標の更新や権利移転の各種手続を行ってきたことからすれば、被請求人が、アーネスト社による本件商標の使用を認識していなかったということは、客観的見地からも決してあり得ない。
加えて、アーネスト社による本件商標の使用が無断使用であり、被請求人の商標権を侵害していると理解した場合に、被請求人が講じるはずの是正措置は、全く講じられていない。
それにもかかわらず、アーネスト社による本件商標の使用が、被請求人の許諾なく行われてきたと判断することは不可能である。
そして、被請求人自身が、アーネスト社による本件商標の使用を許諾してきたことはもとより、より実態に即していえば、親子である被請求人とMがいわば一体となって、アーネスト社による本件商標の使用を許諾してきたというのが真実である。
したがって、アーネスト社は、本件商標の使用につき、被請求人の許諾を受けた通常使用権者である。
キ 商標の使用に関する確認書
前記のとおり、被請求人は、要証期間以前から現在まで、アーネスト社による本件商標の使用を許諾していたところ、その事実を明らかにするため、被請求人、M、アーネスト社の三者による確認書(乙19)を提出する。
上記確認書は、現に、要証期間(平成27年6月25日?平成30年6月24日)以前から現在まで、アーネスト社による本件商標の使用が行われてきたこと、そして、被請求人及びMの両名が、アーネスト社による本件商標の使用を許諾し続けてきたことを確認するものである。
(2)アーネスト社による本件商標の使用について
ア 被請求人は、本件審判において、本件商標の通常使用権者であるアーネスト社が、要証期間中に、現に、商品又は商品の包装に本件商標を付した「履物」を製造し、これを、全国各地に靴の販売店舗を持つチヨダ社に対し、譲渡(販売)したことを主張する。
イ 「FB1103」の製造、販売の具体的経過
(ア) アーネスト社は、平成28年3月30日付の発注書(乙4の1)により、チヨダ社から、「FB1103」の発注を受けた。当該発注書には、ブランド」として、「FINEBOYS」、「STYLE NO」として、「FB1103」、「取引先」として、「アーネスト」、「メーカー」として、「超倫」、と記載されており、チヨダ社が、アーネスト社に対し、本件商標を付した「FB1103」という靴を、「超倫」というメーカーに製造させることを前提とした発注を行ったことが裏付けられる。
また、当該発注書には、数量として、「中部TS 37店舗」「13足セット」(計481足)、「中部TS 33店舗」「 9足セット」(計297足)、「九州SP 31店舗」「12足セット」(計372足)、「九州SP 24店舗」「 8足セット」(計192足)と記載されており、チヨダ社が経営する各店舗に割り当てる数量(合計すると1342足)の発注が行われたことが裏付けられる。
(イ) チヨダ社からの発注を受けたアーネスト社は、平成28年7月19日付けの発注書(乙8)により、チヨダ社が指定するとおり、靴のメーカーである超倫(中国所在の業者)に対し、「FB1103」計1375足の発注を行った。
当該発注書には、「品番」として、「FB1103」、「納期」として、「12月一括」、と記載されており、アーネスト社が、超倫に対し、「FB1103」を、12月を納期として、発注をしたことが裏付けられる。
また、当該発注書には、「総足数」「1375」、と記載されており、不具合のある商品が生じる可能性を踏まえて、チヨダ社から発注を受けた計1342足に、多少の上乗せをした計1375足を発注したことが裏付けられる。
(ウ) アーネスト社は、平成28年8月25日付の「製品仕様書」(乙9)により、「FB1103」を製造する超倫に対し、詳細な仕様を指示した。
当該「製品仕様書」には、「FB1103」の素材、カラー、靴底、中敷等の仕様とともに、「FINEBOYS」との本件商標を表示する「織ネーム」及び「包装箱」などの仕様が指定されている。
(エ) アーネスト社は、超倫による「FB1103」の完成を受け、平成28年11月17日付の請求書(COMMERCIAL INV0ICE)(乙10)により、超倫から、「FB1103」を含む商品代金の請求を受けた。
当該請求書には、「FB1103」1375足(「QUANTITY」欄に「1375PRS」との記載)に関する「US$14162.50」の代金請求が行われたことが記載されている。
(オ) アーネスト社は、完成した「FB1103」を、チヨダ社の指示に従って各店舗に発送し、その際、これを受領する各店舗作成の「仕入伝票」(乙11)が作成された。
当該仕入伝票には、「品番・商品名」欄に、「FB1103」との記載とともに、商品を受領した店名(「SP久留米南」等)、店舗毎の代金額などが記載されている。
なお、仕入伝票の上部に記載された「12/6出荷 12/13店着」等の手書きの記載は、商品の発送等に関するアーネスト社側の手控えである。
(カ) アーネスト社は、商品の発送が終わった後の平成28年12月30日付けの請求書(乙12)により、チヨダ社に対し、「FB1103」を含む同月に納品した商品代金を請求し、これを受けたチヨダ社は、同29年1月17日付けの「御支払御案内」により、アーネスト社に対し、請求代金の支払いを報告した(乙13)。
(キ) チヨダ社は、平成29年1月1日?12日をセール期間とするチラシに、アーネスト社から納品を受けた「FB1103」を掲載するなどし(乙14の左下)、これを販売した。
なお、当該チラシには、「1月1日」が「日曜日」と記載されており、カレンダーと照合すれば、平成29年1月のチラシであることが分かる(乙17)。
また、当該チラシに掲載された商品が、前記のとおり、製造、販売の経過をトレースしてきた「FB1103」であることは、「製品仕様書」の写真(乙7)と比較すれば分かる。
ウ 「FB1103」以外の取引
(ア) チヨダ社の「オンラインショップ」で販売されている商品(「FB700」、「FB701」)について
現在、「製品仕様書」に記載の商品のうち、平成30年10月26日付けの「製品仕様書」(乙15の7)に記載の商品までは、既にチヨダ社に対する納品が完了している。
そして、それら納品された商品のうち、最新の商品(乙15の7の「FB700」「FB701」)は、以下のとおり、現在、チヨダ社(オンラインショップ)において販売されていることが確認できる。
【製品仕様書・FB700、FB701】
(平成30年10月26日付け)(乙15の7)
【チヨダのオンラインショップ】(乙16の1?5)
(イ) アーネスト社の倉庫に残存していた在庫(「FB403」、「FB700」)について
製品仕様書に記載の商品のうち、「FB403」の「WH/BL」(乙15の4)、「FB700」の「DBR」(カラー)(乙15の7)については、アーネスト社の倉庫に、余った商品(靴本体、包装箱)が実物として残存していた(乙18の1、乙18の2)。
(ウ) 小括
これらの商品は、要証期間後(平成30年6月25日?)にチヨダ社に販売されたものであるが、アーネスト社が、現に、本件商標を使用(靴の織ネームや包装箱に表示)して、靴を販売してきたという取引の実在性を、なお裏付けるものである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標の通常使用権者であるアーネスト社は、要証期間内に、チヨダ社に対し、靴本体(織ネーム)や包装箱に、本件商標を付した「FB1103」及びそれ以外の商品を販売することによって、本件商標を使用していたことは明らかである。
なお、念のため、「商標の使用に関する確認書」(乙19)においても、被請求人、M、アーネスト社の三者において、アーネスト社が、要証期間以前から現在まで、現に、本件商標を使用して、靴の製造、販売を行ってきた事実を確認している。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の商標権者である被請求人から、本件商標の使用許諾を受けたアーネスト社は、要証期間内において、本件商標を使用して、靴の製造、販売を行っている。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(1)紳士靴、婦人靴と靴用品の量販店を全国展開するチヨダ社は、2016年(平成28年)3月30日に、取引先のアーネスト社に対し、商品タイプ「メンズアウトドアブーツ」、ブランド「FINEBPYS」、STYLE NO「FB1103」の商品「靴」(以下「使用商品」という。)について、9月を納期として、13足セット、9足セット、12足セット及び8足セットを発注した(乙2及び乙4の1)。
(2)アーネスト社は、2016年(平成28年)7月19日付け発注書により、中国のメーカーである超倫に対し、品番「FB1103」の使用商品について、13足38ケース、9足33ケース、12足32ケース及び8足25スケース、合計金額14,162.50USドルを発注した(乙8)。
(3)2016年(平成28年)8月25日付けの超倫に対する製品仕様書では、「ブランド名:FINEBOYS」として、品番「FB1103」の使用商品についてカラー、本底仕様、中敷仕様とともに、箱仕様及び織ネーム中に「FINEBOYS」の表示(以下「使用商標」という。)、箱仕様の販売元と住所には「(株)アーネスト」及び「東京都?」の住所が指示されている(乙9)。
(4)中国のメーカーである超倫は、2016年11月17日付けのCOMMERCIAL INVOICEにより、アーネスト社に対して、ARTICLE NO.「FB1103」とする使用商品1,375PRS(1,375足)の代金14,162.50USドルを含む商品の代金55,092.50USドルの請求をした(乙10)。
(5)2016年12月12日に、チヨダ社のTS春日井及びTSCS富士の各店舗は、アーネスト社から、「FB1103」のメンズアウトドアブーツを13足及び9足それぞれ仕入れた。また、2016年12月13日に、チヨダ社のSP久留米南及びSP八幡西の各店舗は、アーネスト社から、「FB1103」のメンズアウトドアブーツを12足及び8足それぞれ仕入れた(乙11)。
そしてチヨダ社がアーネスト社から仕入れたこれらの商品は、品名「メンズアウトドアブーツ」、品番「FB1103」、とするものであり、乙4の1、乙8、乙9及び乙10に記載の商品と品番が一致するから、これら商品は使用商品と同一の商品であり、乙9の仕様書に基づき、これら商品の織りネーム及び包装箱には「FINEBOYS」の商標が付されていたことが推認できる。
(6)被請求人、M及びアーネスト社の三者は、令和元年9月22日付け確認書によって、ア.アーネスト社が平成27年6月25日以前から現在(令和元年9月22日)まで、本件商標を使用して、継続的に靴の製造販売を行ってきたこと、イ.被請求人及びMは、平成27年6月25日以前から現在(令和元年9月22日)まで、アーネスト社が本件商標を使用して、継続的に靴の製造販売を行うことを承諾してきたことを、確認した(乙19)。
2 本件商標の使用について
(1)上記1の認定事実によれば、使用商品について、チヨダ社からアーネスト社への発注、アーネスト社から超倫への発注、超倫からアーネスト社への請求及びアーネスト社からチヨダ社への仕入れは、全て商品名「メンズアウトドアブーツ」及び品番「FB1103」であることからすれば、これらは同一の商品と見て取れる。
そして、2016年(平成28年)8月25日付けの超倫に対する製品仕様書(乙9)は、チヨダ社からメンズアウトドアブーツの発注を受けたアーネスト社が、中国のメーカー超倫に対して当該商品の製造を発注した際の仕様書と認められるところ、「ブランド名:FINEBOYS」の記載とともに、製品の箱仕様及び織ネーム中には、「FINEBOYS」の表示が指示されていることからすると、当該仕様書に基づいて製造された品番「FB1103」とする商品及びその包装には、使用商標が付されていたと推認できる。
(2)使用商標について
ア 本件商標は、「FINE BOYS」の欧文字と「ファインボーイズ」の片仮名を2段に併記してなるところ、「ファインボーイズ」の片仮名は、欧文字部分の読みを特定するものと容易に認識されるものである。
また、「FINE BOYS」の欧文字については、「FINE」の文字(語)が「みごとな、優秀な」等の意味を有し、「BOYS」の文字(語)が「男の子、少年」等の複数(リーダーズ英和辞典 研究社)の意味を有する語として一般に親しまれているとしても、「FINE BOYS」の欧文字全体から一般に親しまれた特定の観念を生じるものではない。
そうすると、本件商標からは、その構成文字に相応して「ファインボーイズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものの、「FINE」及び「BOYS」の語が一般に親しまれた語であることから「素晴らしい」及び「少年」の意味合いを想起させるものである。
イ 他方、使用商標は、「FINEBOYS」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字及び意味合いから、「FINE」の文字(語)と「BOYS」の文字(語)とからなるものであると容易に認識されるものである。
そうすると、上記アと同様に「ファインボーイズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものの、「素晴らしい」及び「少年」の意味合いを想起させるものである。
ウ したがって、本件商標と使用商標とは、その欧文字部分において中間に1文字程度のスペースの有無という差異を有するものであるが、「FINE BOYS(FINEBOYS)」は同一の文字からなり、その称呼及び観念が異なるものとはならないから、両商標は社会通念上同一の商標と見て差し支えないものである。
(3)使用商品について
使用商品は、乙11の仕入伝票に記載の商品「メンズアウトドアブーツ」であり、請求に係る指定商品中「履物」に含まれるものと認められる。
(4)使用者について
本件商標権者であるK及び前商標権者であったMは、アーネスト社が平成27年6月25日以前から令和元年9月22日まで、本件商標を使用して、継続的に靴の製造販売を行ってきたこと、及びアーネスト社が本件商標を使用して、継続的に靴の製造販売を行うことを承諾してきたことを確認していることから(乙19)、本件商標の商標権者であるK(被請求人)が、アーネスト社による本件商標を使用した靴の製造販売を容認していたことが見て取れる。
そうすると、アーネスト社は、本件商標を使用することについて、商標権者から黙示の使用許諾を得ていたものと解されるから、アーネスト社は、本件商標の通常使用権者であると推認できるものである。
(5)使用時期について
上記1(5)のとおり、アーネスト社は、チヨダ社のTS春日井及びTSCS富士の各店舗に、「FB1103」のメンズアウトドアブーツ(使用商品)を13足及び9足納入し、また、チヨダ社のSP久留米南及びSP八幡西の各店舗に、「FB1103」のメンズアウトドアブーツ(使用商品)を12足及び8足それぞれ納入したことが認められるところ(乙11)、その仕入れ伝票の「納入指定日」として2016年12月12日及び同月13日の表示があり、それらはいずれも要証期間内である。
(6) 小括
以上(1)ないし(5)によれば、本件商標権に係る通常使用権者と認められるアーネスト社は、要証期間内である2016年(平成28年)12月12日及び同月13日に、請求に係る指定商品中「履物」に含まれる「メンズアウトドアブーツ」及びその包装に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して譲渡したものということができ、かかる行為は、商標法第2項第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」に該当する。
3 請求人の主張について
(1)アーネスト社ヘの通常使用権の許諾について
請求人は、Mが本件商標についての通常使用権者であるとは認められず、そして、通常使用権者でないMは、当然、第三者への再許諾を行う権限を有さないから、アーネスト社がMによって通常使用権の再許諾を受けたとする被請求人の主張は失当であり、アーネスト社が本件商標についての通常使用権者であるとは認められない旨主張する。
しかしながら、上記2(4)のとおり、本件商標権者であるKは、アーネスト社が平成27年6月25日以前から令和元年9月22日まで、本件商標を使用して、継続的に靴の製造販売を行ってきたこと、及びアーネスト社が本件商標を使用して、継続的に靴の製造販売を行うことを承諾してきたことを容認していたことからすれば、アーネスト社が商標権者から黙示の使用許諾を得ていたものと解されることに不自然なところはなく、アーネスト社が本件商標の通常使用権者であると推認して差し支えないから、請求人の上記主張は、採用することはできない。
(2)アーネスト社による本件商標の使用について。
請求人は、アーネスト社が、実際に、靴又は靴の包装に本件商標を付した証拠は提出されておらず、また、靴を製造しているのは、アーネスト社とは別会社である「超倫」であるから、アーネスト社が、商品又は商品の包装に本件商標を付した「履物」を製造し、これをチヨダ社に譲渡(販売)したとはいえない旨主張する。
しかしながら、乙11の仕入伝票に記載の商品「メンズアウトドアブーツ」について、上記1(5)のとおり乙4の1、乙8、乙9及び乙10に記載の商品と品番が一致していることからすれば、少なくとも乙11の仕入れ伝票に記載の商品及びその包装には、使用商標が付されていたとみるのが相当である。
また、靴を製造しているのがアーネスト社とは別会社である「超倫」であるとしても、商標法第2条第3項第2号でいう「使用」は、商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為をいい、譲渡する商品について、標章を付した商品の製造までを求めるものではない。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標に係る通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をした事実を証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2020-05-12 
結審通知日 2020-05-14 
審決日 2020-06-24 
出願番号 商願2003-103532(T2003-103532) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 小出 浩子
山田 啓之
登録日 2004-08-13 
登録番号 商標登録第4794788号(T4794788) 
商標の称呼 ファインボーイズ 
代理人 美馬 和仁 
代理人 阿部 伸一 
代理人 太田 貴章 
代理人 中田 祐児 
代理人 柴谷 亮 
代理人 島尾 大次 
代理人 妹尾 祥 
代理人 高木 誠一郎 
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