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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W38
審判 全部申立て  登録を維持 W38
審判 全部申立て  登録を維持 W38
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管理番号 1365188 
異議申立番号 異議2019-900308 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-21 
確定日 2020-08-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6165717号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6165717号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6165717号商標(以下「本件商標」という。)は、「BTS」の欧文字を横書きしてなり、平成30年8月14日に登録出願され、第38類「携帯電話用インターネットのポータルへの接続用回線の提供,インターネットプラットフォーム及びポータル経由による電気通信,オーディオ・ビデオ・静止画・動画・テキスト及びデータの送信・放送及び受信,データ・オーディオ・ビデオ及びマルチメディアファイルの送信(グローバルコンピュータネットワーク上でダウンロード可能なファイル及びストリーミング配信されるファイルを含む。),音響・映像及びその他のあらゆる種類のデータ及び情報の電子通信,オンラインフォーラム形式による通信,ビデオ・オーディオ及びテレビのストリーミング,インターネット経由でのビデオ・映画・画像・映像・テキスト・写真・ゲーム・ユーザー作成コンテンツ・オーディオコンテンツ及び情報の送信,インターネットによるオーディオコンテンツ及びビデオコンテンツの通信,ラジオ・テレビジョン及びケーブルテレビジョンの放送,ワイヤレス・インターネットによる音声又は映像を送る放送,インターネット経由のオーディオビジュアル及びマルチメディアの放送,ラジオ及びテレビジョンの放送,電気通信によるデジタル音楽の通信,インターネットによる音声又は映像を送る放送,双方向放送」を指定役務として、令和元年7月1日に登録査定、同月26日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録商標及び使用標章は次のとおりであり、登録商標の商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4749121号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成15年4月14日に登録出願、「電子メールによる通信,移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,その他の電気通信(放送を除く。),コンピュータデータベース及びインターネットへの接続の提供,放送,インターネットポータルサービス,電子通信ネットワークを介して行うマルチメディアコンテンツの放送及び配信,電気通信(放送を除く。)に関する情報の提供及び助言,放送に関する情報の提供及び助言,テレビジョン放送・有線テレビジョン放送・ラジオ放送の放送番組表に関する情報の提供」を含む第38類、第9類、第16類、第35類、第36類及び第41類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同16年2月20日に設定登録され、その後、同25年9月3日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第6130055号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成29年9月25日に登録出願、「電気通信,コンピュータデータベース及びインターネットへのセキュリティー対策が施された、または施されていない電気通信アクセス及びリンクの提供,衛星による通信,テレビジョンによる通信,ラジオによる通信,移動体通信,電子メールによる通信,無線ブロードバンドネットワークによるインターネットへの接続の提供,無線ブロードバンドネットワークによる通信,データの送信・処理及び保存に関する電気通信,コンピュータネットワーク通信,EDIシステムを利用した電子計算機端末による通信,電話によるメッセージの通信,通話スクリーニング機能による通信,電気通信に関する指導及び助言,放送,ラジオ番組及びテレビジョン番組の放送及び通信,コンピュータを利用したデータ・メッセージ及び映像の送信,オーディオ・ビデオ・静止画・動画・テキスト及びデータの送信・放送及び受信,情報データベースへの接続用回線の時間貸し,電気通信に関する情報の提供,インターネットプロトコルテレビ(IPTV)による放送,インターネットのポータルへの接続用回線の提供,テレビジョン番組及び映画のパーソナルコンピュータ及び携帯用通信装置への双方向テレビジョン放送及び通信,コンピュータを利用した放送及び通信,電子通信ネットワークを通してのマルチメディアコンテンツの放送及び配信,デジタル放送,インターネット及びその他メディアにおけるプラットフォーム及びポータル経由による電気通信,ニュース及び時事問題情報の送信,通信に関する専門的な指導及び助言,一般的関心事についての通信用のオンラインフォーラム形式による通信,オンラインチャットルーム及び電子掲示板の提供,コンピュータデータベースへの接続用回線の時間貸し,電気通信ネットワークへの接続の提供,コンピュータネットワークへの接続回線の提供」を含む第38類、第9類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同31年3月15日に設定登録されたものである。
上記、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。
(3)「BT」の文字よりなる標章(以下「使用標章」という。)であり、申立人の業務に係る役務「電気通信,放送,スポーツの試合等のマルチメディアコンテンツの配信等」に使用する標章として需要者の間に広く知られていると主張するものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標に類似し、その指定商品及び指定役務も類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
引用商標及び使用標章は、申立人及びそのグループ会社(以下「BTグループ」という。)の業務を表すものとして、需要者の間で広く知られており、本件商標は、引用商標及び使用標章と類似し、それぞれの使用役務も類似する。
したがって、本件商標は、商標法4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標及び使用標章は、申立人及びBTグループの業務を表すものとして世界的に著名になっていることから、本件商標がその指定役務に使用された場合、申立人の業務に係るものと誤認混同されるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、申立人の著名な略称「BT」を含むものであるところ、申立人は、本件商標の出願人に対して、本件商標を出願し登録することについて承諾を与えていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標及び使用標章の周知・著名性について
ア 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)ウィキペディアによれば、BTグループについて、「BTグループ(英:BT Group plc)は、イギリス・ロンドンに本社を置く大手電気通信事業者。イギリスにおける最大手の固定電話事業者及びインターネット・プロバイダーであり、世界でも最大規模の通信事業者のひとつである。現在170か国以上で事業活動を行っており、その売り上げの約40パーセントがグローバル事業部門の収入である。ロンドン証券取引所、ニューヨーク証券取引所上場企業。1991年までの旧社名はブリティッシュ・テレコミュニケーションズ(British Telecommunications plc)、略称ブリティッシュ・テレコム(British Telecom)であった。」、「BTグローバルサービスは世界中の1万以上の会社、組織に対し長距離通信サービスとITサービスを提供するイギリスのBTグループの一事業である。全世界で約2万人の従業員がBTグローバルサービスに従事している。1984年より本格的に事業を開始」、「日本では、BTジャパン株式会社(以下「BTジャパン社」という。)として1985年より赤坂のアークヒルズにて日本での事業を開始し、東京に事業所を開設する最初の外資系通信事業者になった。」と記載されている(甲10)。
(イ)ZUU onlineのウェブサイトの2015年6月6日付けのWPPグループのマーケットリサーチ会社「ミルウォード・ブラウン」が、毎年算定し発表しているブランドバリューランキングの通信キャリアのセクターのベスト10を紹介する記事において、BTが7位に位置づけられ、ブランド評価額として「179億5300万USドル」、「BTはブリティッシュテレコムが社名を変更し、BTグループとなったもの。かつては国営会社だったが今では民営化されている。現在170か国で事業を行っており、その売り上げの40%はグローバル事業部門の収益となっている。この1年では17%ほどのブランド評価を上げている。」と記載されている(甲11)。
(ウ)2016年3月4日付け共同通信PRワイヤーの記事において、「BT、Palo Alto Networksの次世代プラットフォームで クラウドへの厳格な境界線を提供[パロアルトネットワークス]」の見出しの下、BTについて「BTの目標は、コミュニケーションの力を利用して、より良い世界の実現することです。BTは、コミュニケーション・ソリューションおよびサービスを、世界170以上の国で提供する世界的なリーディングプロバイダーです。その中心的サービスは、ネットワークITサービス、英国内で提供している移動中でも利用可能な業務用や住宅用の市内・長距離・国際通信サービス、ブロードバンドやインターネットサービスと関連製品、それにFMC(固定通信と移動通信の融合)用のサービスや製品などです。2015年3月期、BT Groupは、収益179億7,900万ポンドおよび税引前利益26億4,500万ポンドを計上しました。」と記載されている(甲13)。
(エ)新聞記事情報等において、1999年にAT&T、2000年にマイクロソフト、松下電器産業及び松下通信工業、2001年にシャープが英通信会社のブリティッシュ・テレコミュニケーションズ(BT)と携帯電話事業において業務提携をすること(甲25、甲26、甲28、甲29)、2004年にKDDIがブリティシュ・テレコミュニケーションズ(BT)と企業向け国際データ通信分野で提携すること(甲22)、2009年にITホールディングスが、英ブリティシュ・テレコミュニケーションズ(BT)とITサービスの提供で業務提携したこと(甲17、甲20、甲21、甲23)、同年に日立コミュニケーションズテクノロジーがブリティシュ・テレコミュニケーションズ・ピーエルシー(BT)とディーリングシステムにおいてOEM供給を受け販売すること(甲24)、2014年にBTグループの日本法人が製薬、バイオ開発に特化したクラウドサービスを2015年1月に提供すると発表したこと(甲15)、2015年にサッカーのイングランド・プレミアリーグが、2016年から2019年までの国内テレビ放送権について、英スカイグループと英BTグループの2社と計約51億ポンドで契約を結んだこと(甲14、甲30)が報道されている。
イ 上記アにおいて認定した事実によれば、申立人はイギリスの通信事業者であり、170か国以上で事業活動を行い、我が国においても、1985年にBTジャパン社を設立して通信事業を行っていることが認められ、通信事業の分野においてある程度知られていることはうかがえるとしても、提出された証拠からは、我が国における売上高などの販売実績や市場占有率(販売シェア)等の量的規模を示す客観的な証拠、引用商標及び使用標章の宣伝広告の時期、期間、回数及び宣伝広告費等に係る証拠が提出されていないことから、引用商標及び使用標章の使用状況を把握することができず、引用商標及び使用標章の周知性の程度を推し量ることができない。
その他、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、引用商標及び使用標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る役務を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって、引用商標及び使用標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
ウ 略称としての「BT」の著名性について
上記アの事実によれば、「BT」の語が新聞記事情報等において、「BTグループ」又は「ブリティシュ・テレコミュニケーションズ」を表すものとして表示されているとしても、我が国において、申立人の略称を表示したものとして「BT」のみを単独で使用し、一般に認識されていることを認め得る証左は見いだせないことから、「BT」の語は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の略称として著名になっていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、「BTS」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもって表されているものであって、視覚上、まとまりよく一体的に把握できるというのが相当であって、これより生じる「ビーティーエス」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
また、「BTS」の文字は、辞書等に載録のないものであって、全体として、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
そうすると、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分のものとして把握されるとみるのが相当であるから、その構成文字全体に相応して「ビーティーエス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標1は、別掲1のとおり、濃淡のある円形又は楕円形を重ねるように配した図形とその左側に「BT」の文字を配した構成よりなるところ、視覚上、図形部分と文字部分とに分離して看取し得るものである。
そして、引用商標1の構成中の図形部分は、我が国において特定の事物を表したもの又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないから、当該図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、引用商標1の構成中の「BT」の文字部分について、欧文字の2文字は、一般に商品の品番、型番等、又は、役務の種別等を表示するための記号、符号として取引上普通に採択、使用されているものであり、それのみでは、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章といえるものであって、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たさない標章ということができるから、当該文字部分からは、出所識別標識としての称呼及び観念を生じないものである。
してみれば、引用商標1は、特定の称呼及び観念を生じないものである。
引用商標2は、別掲2のとおり、円輪郭内に「BT」の文字を表し、その下部に「ビーティー」の片仮名を配した構成よりなるところ、その構成中、円輪郭は、ありふれた図形として認識されるものであり、特定の称呼及び観念を生じるものではなく、また、円輪郭と文字部分とは、観念上の結びつきもないものであるから、両者が常に不可分一体の関係があるとは認められないものである。
また、引用商標2の構成中「BT」の文字部分は、引用商標1と同様に、それのみでは、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たさないものであるから、当該文字部分からは、出所識別標識としての称呼及び観念を生じないものである。
さらに、引用商標2の構成中「ビーティー」の文字は、辞書等に載録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
してみれば、引用商標2は、その構成中の「ビーティー」の片仮名部分に相応して、「ビーティー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
(ア)外観について
本件商標と引用商標1とは、図形の有無という顕著な差異に加え、「S」の文字の有無という差異を有するものであって、その構成態様及び構成文字に照らせば、本件商標と引用商標1とは、外観上、判然と区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標2とは、「ビーティー」の片仮名の有無及び円輪郭の有無の差異に加え、「S」の文字の有無という差異を有するものであって、その構成態様及び構成文字に照らせば、本件商標と引用商標2とは、外観上、判然と区別し得るものである。
(イ)称呼について
引用商標1は、特定の称呼を生じないものであるから、本件商標から生じる「ビーティーエス」の称呼と紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「ビーティーエス」の称呼と引用商標2から生じる「ビーティー」の称呼とは、「エス」の音の有無という差異を有するものであり、この差異が6音と4音という短い音構成である両称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼した場合、語調語感が異なり、両者は、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
(ウ)観念について
本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。
(エ)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであり、これらを総合して考察すれば、両者は非類似の商標とみるのが相当である。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、その指定役務と引用商標の指定役務が同一又は類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標及び使用標章は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
イ 本件商標と引用商標及び使用標章との類似性の程度について
(ア)本件商標と引用商標との類似性の程度について
上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の類似性の程度は低いといわざるを得ない。
(イ)本件商標と使用標章との類似性の程度について
本件商標は、「BTS」の欧文字を横書きしてなるところ、上記(2)アのとおり、その構成全体をもって一体不可分のものとして把握されるとみるのが相当であるから、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ビーティーエス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
使用標章は、「BT」の文字よりなるところ、欧文字の2文字は、一般に商品の品番、型番等、又は、役務の種別等を表示するための記号、符号として取引上普通に採択、使用されているものであり、それのみでは、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たさないものであるから、使用標章からは、出所識別標識としての称呼及び観念を生じないものである。
本件商標と使用標章とを比較すると、本件商標と使用標章とは、「S」の文字の有無という差異を有するものであって、その構成文字に照らせば、本件商標と使用標章とは、外観上、判然と区別し得るものである。
また、使用標章は、出所識別標識としての称呼を生じないものであるが、その構成文字に相応して「ビーティー」と称呼した場合においても、本件商標から生じる「ビーティーエス」の称呼とは、「エス」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから、明瞭に聴別できるものである。
さらに、本件商標と使用標章とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。
以上を踏まえると、本件商標と使用標章とは、観念において比較することができないとしても、両者の外観は明らかに異なり、称呼においては、明瞭に聴別できるものであるから、これらを総合して判断すれば、両者は、非類似の商標というのが相当である。
してみれば、本件商標と使用標章の類似性の程度は低いといわざるを得ない。
ウ 本件商標の指定役務と申立人の業務に係る役務の関連性、需要者の共通性について
申立人の業務に係る役務は、主に通信事業であるところ、本件商標の指定役務の一部とは関連性を有し、需要者を共通にする場合もある。
エ 小括
上記アないしウのとおり、引用商標及び使用標章は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められないものであって、かつ、本件商標は、引用商標及び使用標章と類似性の程度が低いものであることからすれば、本件商標の指定役務と申立人の業務に係る役務が関連性を有し、需要者を共通にする場合があるとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人に係る引用商標及び使用標章を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標及び使用標章を連想、想起することはなく、その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第10号該当性について
上記(1)イのとおり、引用商標及び引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
そして、上記(2)及び(3)のとおり、本件商標と引用商標及び使用標章とは非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第8号該当性について
上記(1)ウのとおり、「BT」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の略称として著名になっていたということはできない。
してみれば、本件商標は、その構成中に「BT」の文字を有しているとしても、他人の著名な略称を含む商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号及び同第15号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲 別掲1
(引用商標1)



別掲2
(引用商標2)



異議決定日 2020-07-15 
出願番号 商願2018-103437(T2018-103437) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W38)
T 1 651・ 263- Y (W38)
T 1 651・ 271- Y (W38)
T 1 651・ 262- Y (W38)
T 1 651・ 25- Y (W38)
T 1 651・ 23- Y (W38)
最終処分 維持  
前審関与審査官 牧野 賢太郎守屋 友宏 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 山田 正樹
小田 昌子
登録日 2019-07-26 
登録番号 商標登録第6165717号(T6165717) 
権利者 ビッグヒット エンターテインメント カンパニー,リミテッド
商標の称呼 ビイテイエス 
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所 
代理人 特許業務法人R&C 

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