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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) W35 審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) W35 審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) W35 審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) W35 |
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管理番号 | 1365186 |
異議申立番号 | 異議2019-900151 |
総通号数 | 249 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-09-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-05-17 |
確定日 | 2020-07-26 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6123542号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6123542号商標の指定商品及び指定役務中、第35類「洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6123542号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年3月27日に登録出願、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第3類ないし第5類、第11類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類ないし第28類、第31類、第32類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同31年1月23日に登録査定、同年2月22日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する国際登録第1072884号商標(以下「引用商標1」という。)は、「THE BOTANIST」の文字を横書きしてなり、2011年(平成23年)3月14日に国際商標登録出願、第33類「Gin.」(参考訳:ジン)を指定商品として、同年12月2日に日本国において設定登録されたものであり、現在、有効に存続しているものである。 2 当合議体が、商標法第43条の9第1項に基づき職権により審理を行った結果として引用する国際登録第1211243号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2013年(平成25年)10月18日にUnited Kingdomにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2014年(平成26年)3月20日に立体商標として国際商標登録出願、第33類「Gin.」(参考訳:ジン)を指定商品として、平成27年8月14日に日本国において設定登録されたものであり、現在、有効に存続しているものである。 以下、引用商標1及び2をまとめていうときは、単に「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第35類「洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「申立役務」という。)について、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、その文字部分により、「ボタニスト」の称呼、「植物学者」との観念を生ずる。これに対し、引用商標1の要部は「BOTANIST」であり、当該文字部分から「ボタニスト」の称呼、「植物学者」の観念が生ずる。本件商標と引用商標1の要部はつづりも共通している。したがって、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼、観念の全ての点について類似する商標である。 また、本件商標の指定役務と引用商標1の指定商品も互いに類似するものである。 2 商標法第4条第1項第15号について 引用商標1は、申立人のグループ会社の商標として、指定商品「Gin」の分野において広く一般に知られており、これと類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、出所について混同を生ずるおそれがある。 3 まとめ 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号の規定に違反して登録されたものである。 第4 本件商標に対する取消理由 当審において、商標権者に対し、「本件商標と引用商標とは類似する商標であり、申立役務と引用商標の指定商品『Gin.』とは、互いに類似するものである。よって、本件に係る商標登録は、その指定商品及び指定役務中、第35類『洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』について、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものと認められるから、商標法第43条の3第2項の規定に基づいて、取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和2年3月9日付けで通知し、相当の期間を指定して意見を求めた。 第5 商標権者の意見 前記第4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。 第6 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)商標の類否について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、「BOTANIST」の文字を横書きし、その下に水平の直線を配してなるところ、上記文字は、「植物学者」の意味を有する成語であるものの、広く親しまれた語とはいい難いものであるから、上記意味合いを想起させず、特定の観念を生じないものであり、構成文字に相応して「ボタニスト」の称呼を生じるものというのが相当である。また、本件商標構成中の水平の直線部分は、極めて単純な態様であって、それ自体何ら役務の出所識別標識としての機能を果たすものではない。 したがって、本件商標からは、「BOTANIST」の文字部分に相当する「ボタニスト」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものということができる。 イ 引用商標 (ア)引用商標1 引用商標1は、「THE BOTANIST」の文字を横書きしてなるところ、視覚上、「THE」と「BOTANIST」との2語からなると容易に認識されるものであって、その構成全体をもって特定の意味合いを想起させる熟語等ともいえないものである。 そして、構成中の「THE」の文字は、英語の定冠詞であることが広く知られているところ、当該定冠詞は、名詞の前に付される場合は、その名詞によって表されるものを強調、限定する働きをし、強いて訳さない場合が多いことからすれば、「BOTANIST」の文字の前に付された「THE」の文字については、商品の出所識別標識としての機能がないか又は極めて弱いものとして認識されるものというのが相当である。 これに対し、構成中の「BOTANIST」の文字は、前記アで述べたことと同様に「ボタニスト」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであって、引用商標1の指定商品との関係で、商品の品質等を想起させるものではない。 そうすると、引用商標1のうち、「BOTANIST」の文字部分は、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができ、当該文字部分だけを要部として抽出し、本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標1からは、「BOTANIST」の文字部分に相当する「ボタニスト」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというべきである。 (イ)引用商標2 引用商標2は、別掲2のとおり、瓶と思われる立体的形状の側面の上部に「THE BOTANIST」の文字を横書きし、その下に「22」の数字、多数のローマ字の羅列を順に表してなるものである。 そして、構成中の瓶の立体的形状は、指定商品との関係から、商品の包装の形状を表すものであって、商品の出所識別標識としての機能を果たすものではない。 また、構成中の「22」の数字は、極めて簡単かつありふれたものであって、ローマ字の羅列は、その構成が散漫で何ら特定の意味合いを認識させるものではないことから、いずれも商品の出所識別標識としての機能を果たすものとして着目されるものではない。 よって、引用商標2の構成において着目されるのは、上部に最も大きく明瞭に表された「THE BOTANIST」の文字であるとみるのが相当であって、前記(ア)と同様の理由から、このうちの「BOTANIST」の文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができ、当該文字部分だけを要部として抽出し、本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標2からは、「BOTANIST」の文字部分に相当する「ボタニスト」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというべきである。 ウ 本件商標と引用商標との類否 本件商標を構成する「BOTANIST」の文字と引用商標を構成する「BOTANIST」の文字とは、書体に違いを有するとしても、そのつづりを同じくするものであって、全て大文字で表していることも共通であるから、外観において極めて近似した印象を与えるものであって、類似するといえる。 また、両者の称呼は、「ボタニスト」であって同一である。さらに、両者は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念については比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において類似し、称呼が同一であって、観念において区別することができないから、互いに相紛れるおそれのある類似のものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標と引用商標とは、類似の商標といわなければならない。 (2)指定商品及び指定役務の類否について 本件商標又は引用商標の指定商品又は指定役務は、前記第1又は第2のとおりであるところ、申立役務である、本件商標の指定役務中の「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」における「洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標の指定商品「Gin」(参考訳:ジン)とは、当該役務とその取扱商品という関係にあり、そのような商品の販売と役務の提供は同一事業者によって行われるのが一般的であり、また、その商品の販売場所と役務の提供場所、需要者の範囲が一致することから、これらに同一又は類似の商標の使用をするときは、それぞれの商品と役務の間に出所の混同を生じるおそれがあるものであり、相互に類似するものといえる。 (3)小括 上記のとおり、本件商標と引用商標は類似する商標であり、かつ、申立役務と引用商標の指定商品とは類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 むすび 以上のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務中、登録異議の申立てに係る指定役務についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(引用商標2)(色彩は原本参照) |
異議決定日 | 2020-06-17 |
出願番号 | 商願2018-39016(T2018-39016) |
審決分類 |
T
1
652・
262-
Z
(W35)
T 1 652・ 263- Z (W35) T 1 652・ 265- Z (W35) T 1 652・ 261- Z (W35) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 山本 敦子 |
特許庁審判長 |
中束 としえ |
特許庁審判官 |
山田 啓之 板谷 玲子 |
登録日 | 2019-02-22 |
登録番号 | 商標登録第6123542号(T6123542) |
権利者 | 株式会社I-ne |
商標の称呼 | ボタニスト |
代理人 | 山田 威一郎 |
代理人 | 特許業務法人浅村特許事務所 |