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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X0204
管理番号 1365138 
審判番号 取消2017-300532 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-07-21 
確定日 2020-08-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第2027417号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2027417号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和61年3月24日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年2月22日に設定登録され、その後、平成20年4月23日に、その指定商品を第1類「高級脂肪酸」、第2類「防錆グリース」、第4類「固形燃料,液体燃料,気体燃料,工業用油,工業用油脂,ろう」、第16類「封ろう」及び第28類「スキーワックス」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成29年8月4日である。
なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成26年(2014年)8月4日ないし同29年(2017年)8月3日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第2類「防錆グリース」及び第4類「液体燃料,工業用油」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、本件商標の指定商品中、第2類「防錆グリース」及び第4類「液体燃料,工業用油」について継続して3年以上日本国内において使用されておらず、また、本件商標を使用していないことについて何ら正当な理由が存することも認められないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
なお、請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対して、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。
1 本件商標の使用の事実
本件商標の商標権者は、第2類「防錆グリース」及び第4類「液体燃料,工業用油」について本件商標を使用している。
(1)本件商標の使用者
本件商標の商標権者であるプラス株式会社は、「ステーショナリーカンパニー」、「ファニチャーカンパニー」、「ジョインテクスカンパニー」(審決注:乙各号証によると「ジョインテックスカンパニー」の誤記と認める。以下同じ。)の3つの事業部から形成される(乙1)。この3つの事業部のうち、ジョインテクスカンパニーは中間流通業としての「流通部門」とされ、本件商標は、当該事業部が主体となって使用している。
ジョインテクスカンパニーは、販売店の販売力支援の強化を事業として行っている(乙1)。この販売店の販売力支援の強化の最も重要なアイテムの一つとして、用途分野別のカタログを作成している。このカタログは、例えば、主にオフィスで用いられる商品を取り扱う「JOINTEXカタログ」、オフィスにおける利便性を向上する商品を主に取り扱う「smartofficeカタログ」、学校や保育園で使用される商品を主に取り扱う「smartschoolカタログ」、主に学校で使用される教材を主に取り扱う「プラス教材カタログ」等がある(乙2)。そして、これらのカタログは、電子カタログとして乙第2号証で示すwebサイトで提供されるとともに、冊子の形態としても多数の販売店に配布している。
なお、ジョインテクスカンパニーの住所は、乙第1号証に示す住所であり、乙第3号証ないし乙第7号証及び乙第9号証ないし乙第11号証で示すカタログには各カタログの発行元としてのジョインテクスカンパニーの住所が記載されている。各カタログ記載のジョインテクスカンパニーの住所は、本件商標の商標権者の登記簿上の住所と異なるが、各カタログの発行は商標権者自身によるものである。
(2)「JOINTEXカタログ」における本件商標の使用
ア 2017年(平成29年)1月1日ないし12月31日をカタログ有効期間とする「JOINTEXカタログ」(乙3)は、少なくとも2017年1月1日には発行されているものである。当該カタログの表紙裏の見開きの左頁の左上には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の文字が記載されている。当該カタログの767頁には、本件商標の指定商品である第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」であるとともに、第4類「工業用油」に該当する「潤滑油」でもある、呉工業製の「CRC 5-56」やエステー製の「WD40 12オンス」及び同「潤滑油」である呉工業製の「ウレアグリース」が掲載されている。そして、裏表紙から数えて5頁目(1228頁、頁番号の記載なし)には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の文字が表示されている。当該カタログの裏表紙には、本カタログが商標権者により発行された旨が記載されている。
なお、上記の商品は、乙第2号証に示すとおり、ジョインテクスカンパニーのホームページにおいても、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の表示の下、販売されている。
イ 2016年(平成28年)1月1日ないし12月31日をカタログ有効期間とする「JOINTEXカタログ」(乙4)は、少なくとも2016年1月1日には発行されているものである。当該カタログの754頁には、本件商標の指定商品である第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」であるとともに、第4類「工業用油」に該当する「潤滑油」でもある、呉工業製の「CRC 5-56」やエステー製の「WD40 12オンス」が掲載されている。そして、裏表紙から数えて5頁目(1197頁、頁番号の記載なし)には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の文字が表示されている。当該カタログの裏表紙には、本カタログが商標権者により発行された旨が記載されている。
ウ このように、本件商標の商標権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」が、本件商標の指定商品である第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」及び第4類「工業用油」に該当する「潤滑油」に関する広告として、又は取引書類として、カタログ(乙3、乙4)に付して頒布され、使用(商標法第2条第3項第8号)されている。
(3)「smartofficeカタログ」における本件商標の使用
ア 2017年(平成29年)1月1日ないし12月31日を有効期間とする「smartofficeカタログ」(乙5)は、少なくとも2017年1月1日には発行されているものである。当該カタログの763頁には、本件商標の指定商品である第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」であるとともに、第4類「工業用油」に該当する「潤滑油」でもある、呉工業製の「CRC 5-56」やエステー製の「WD40 12オンス」が掲載されている。当該カタログの1243頁には、「スマートオフィスサービスご利用規約」として、第1条に、本カタログによる商品の提供が商標権者によることが記載されている。そして、当該カタログの1245頁(頁番号の記載なし)には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の文字が表示されている。当該カタログの裏表紙には、本カタログが商標権者により発行された旨が表示されている。
イ 2016年(平成28年)1月1日ないし12月31日をカタログ有効期間とする「smartofficeカタログ」(乙6)は、少なくとも2016年1月1日には発行されているものである。当該カタログの762頁には、本件商標の指定商品である第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」であるとともに、第4類「工業用油」に該当する「潤滑油」でもある、呉工業製の「CRC 5-56」やエステー製の「WD40 12オンス」が掲載されている。当該カタログの1211頁には、「スマートオフィスサービスご利用規約」として、第1条に、本カタログによる商品の提供が商標権者によることが記載されている。そして、当該カタログの1213頁(頁番号の記載なし)には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の文字が表示されている。当該カタログの裏表紙には、本カタログが商標権者により発行された旨が記載されている。
ウ このように、本件商標の商標権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」が、本件商標の指定商品である第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」及び第4類「工業用油」に該当する「潤滑油」に関する広告として、又は取引書類として、カタログ(乙5、乙6)に付して頒布され、使用(商標法第2条第3項第8号)されている。
(4)「smartschoolカタログ」における本件商標の使用
ア 2017年(平成29年)1月1日ないし12月31日をカタログ有効期間とする「smartschoolカタログ」(乙7)は、少なくとも2017年1月1日には発行されているものである。当該カタログの15頁には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の文字が表示されている。乙第7号証のカタログの201頁には、本件商標の指定商品である第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」であるとともに、第4類「工業用油」に該当する「潤滑油」でもある、呉工業製の「CRC 5-56」が掲載されている。当該カタログの566頁には、本件商標の指定商品である第4類「液体燃料」に該当する「燃料用アルコール」として、大洋製薬製の「燃料用アルコール インテリアS 500mL」が掲載されている。当該カタログの568頁及び686頁には、本件商標の指定商品である第4類「液体燃料」として、東海製の「CRチャッカマン」及び「CRマイティマッチ」が掲載されている。当該カタログの624頁には、第4類「工業用油」に該当する「潤滑油」として、エーゼット製の「ミシンオイル 100mL」が掲載されている。当該カタログの1249頁には、「スマートスクールご利用規約」として、第1条に、本カタログによる商品の提供が商標権者によることが記載されている。そして、当該カタログの1251頁(頁番号の記載なし)には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の文字が表示されている。
なお、上記の商品は、乙第8号証で示す「smartschool」のwebサイトにおいて、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の表示とともに販売されている。
イ 2016年(平成28年)1月1日ないし12月31日をカタログ有効期間とする「smartschoolカタログ」(乙9)は、少なくとも2016年1月1日には発行されているものである。当該カタログの19頁には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の文字が表示されている。当該カタログの197頁には、本件商標の指定商品である第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」であるとともに、第4類「工業用油」に該当する「潤滑油」でもある、呉工業製の「CRC 5-56」が掲載されている。当該カタログの543頁には、本件商標の指定商品である第4類「液体燃料」に該当する「燃料用アルコール」として、太陽製薬製の「燃料用アルコール インテリアS 500mL」が掲載されている。当該カタログの545頁には、本件商標の指定商品である第4類「液体燃料」として、東海製の「CRチャッカマン」が掲載されている。当該カタログの600頁には、第4類「工業用油」に該当する「潤滑油」として、エーゼット製の「ミシンオイル 100mL」が掲載されている。当該カタログの1205頁には、「スマートスクールご利用規約」として、第1条に、本カタログによる商品の提供が商標権者によることが記載されている。そして、当該カタログの1207頁(頁番号の記載なし)には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の文字が表示されている。
ウ このように、本件商標の商標権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」が、本件商標の指定商品である第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」及び第4類「工業用油」に該当する「潤滑油」、第4類「液体燃料」及び同「液体燃料」に該当する「燃料用アルコール」に関する広告として、又は取引書類として、カタログ(乙7、乙9)に付して頒布され、使用(商標法第2条第3項第8号)されている。
(5)「プラス教材カタログ」における使用
ア 2017年(平成29年)4月1日ないし2018年(平成30年)3月31日をカタログ有効期間とする「プラス教材カタログ」(乙10)は、少なくとも2017年4月1日には発行されているものである。当該カタログは、その表紙に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標「プラス」の文字が表示されている。当該カタログの表紙裏の見開きには、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」及び商標「プラス」の文字が表示されている。当該カタログの「小4」「中4」及び「小5」「中5」と表示されている頁には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「プラス」の文字が表示されている。当該カタログの「小790」「中674」と左下に表示されている頁には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「プラス」の表示とともに、木工用具一式の内容物として、第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」としての「錆止油」が掲載されている。同様に、当該カタログの「小791」「中675」及び「中764」と表示されている頁にも、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「プラス」の表示とともに、第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」としての「錆止油」が掲載されている。当該カタログの裏表紙には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の文字が表示されている。
イ 2016年(平成28年)4月1日ないし2017年(平成29年)3月31日をカタログ有効期間とする「プラス教材カタログ」(乙11)は、少なくとも2016年4月1日には発行されているものである。当該カタログは、その表紙に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「プラス」の文字が表示されている。当該カタログの「小786」「中670」及び「小787」「中671」と表示されている頁には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「プラス」の表示とともに、木工用具一式の内容物として第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」としての「錆止油」が掲載されている。当該カタログの裏表紙には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」の文字が表示されている。
ウ このように、本件商標の商標権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PLUS」及び商標「プラス」が、第2類「防錆グリース」に該当する「防錆油」である「錆止油」に関する広告として、又は取引書類として、カタログ(乙10、乙11)に付して頒布され、使用(商標法第2条第3項第8号)されている。
2 使用時期
乙第3号証ないし乙第7号証及び乙第9号証ないし乙第11号証に示す各カタログにおける本件商標と社会通念上同一と認められる商標「プラス」及び商標「PLUS」の使用時期は、いずれも本件審判の登録前3年以内であって、本件審判の請求前3か月以降ではない。
3 本件商標について
本件商標は、商標権者であるプラス株式会社における、いわゆるハウスマークに相当するものである。
したがって、本件商標は、一定の顧客吸引力を有し、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「プラス」及び商標「PLUS」が乙第3号証ないし乙第11号証で示すカタログや通販のwebサイトに付されることによって、当該カタログ等の利用者は、第2類「防錆グリース」や第4類「液体燃料,工業用油」に係る商品の購入先としての出所を認識することができるので、乙第3号証ないし乙第11号証で示すカタログや通販のwebサイトで示す本件商標の使用において本件商標の商標的機能が発揮されている。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、要証期間に日本国内において商標権者により指定商品である第2類「防錆グリース」、第4類「液体燃料,工業用油」について使用していることが明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば次のとおりである。
(1)乙第1号証は、被請求人の主張によれば、プラス株式会社の会社案内の抜粋である。
そして、1葉目には「The PLUS Group/Company Profile」の記載、3葉目にはプラス株式会社の流通部門として「ジョインテックスカンパニー」の記載、4葉目及び5葉目には「The PLUS Group JOINTEX Company ジョインテックスカンパニー」の見出しの下、「スマート○○」として「学校向けの『smartschool』、・・・など、日常購買インフラの独自サービスを行っています。」の記載、6葉目には会社所在地としてジョインテックスカンパニーの住所、7葉目には「2016年4月現在」の記載がある。
そうすると、2016年4月時点で本件商標権者(被請求人)にはジョインテックスカンパニーという流通部門があり、本件商標権者は当該流通部門を通じて、学校向けに「smartschool」という日用品のサービスを提供していたといえる。
(2)乙第9号証は、被請求人の主張によれば、「smartschoolカタログ」の抜粋であり、1葉目には「smartschool/スマートスクール」「学校向け通販」「カタログ有効期間2016.1.1?12.31」「[発行]プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー」の記載がある。
また、4葉目には「燃料用アルコール」と表示された商品の画像とともに、「燃料料アルコール インテリアS 500mL」「商品コード 868-468」「1本 ¥336+税」の記載、6葉目には「ミシンオイル」と表示された商品の画像とともに、「ミシンオイル 100mL」「商品コード 834-274」「1本 ¥243+税」「用途/ミシン用油」の記載がある。
さらに、8葉目の中央上部には「PLUS」の文字が大きく表示され、左下部に「プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー」及び乙第1号証の会社所在地と同じ住所の記載がある。
(3)乙第11号証は、被請求人の主張によれば、「プラス教材カタログ」の抜粋であり、1葉目には「プラス 教材」「総合カタログ 平成28・29年度」、「カタログ有効期間2016年4月1日?2017年3月31日」の記載がある。
また、2葉目には「道具・実習用具教材」の見出しの下、「木工用具一式」の項に、商品の画像とともに、「内容」として34番目に「錆止油」の記載があり、「商品コード K14-134」「種別 35種」「価格 ¥69,800+税」の記載、さらに、下部に「プラス」の記載がある。
(4)上記(1)ないし(3)からすれば、本件商標権者(又はその流通部門であるジョインテックスカンパニー)は、「PLUS」(以下「使用商標1」という。)又は「プラス」(以下「使用商標2」といい、使用商標1とまとめて「使用商標」という。)が表示され、「燃料用アルコール」、「ミシン用油」及び「錆止油」(以下「使用商品」という。)が掲載された2016年(平成28年)1月から12月を有効期間とする学校向け通販カタログ(乙9)及び2016年(平成28年)4月から2017年(平成29年)3月を有効期間とする教材カタログ(乙11)を発行した。そして、当該カタログには、使用商品の画像とともに商品名、商品番号及び価格等が記載されていることから、顧客の商品選択のために販売する商品が掲載されたカタログといえ、本件商標権者が顧客に提供するために制作し、頒布したものと推認し得るものである。
2 上記1によれば、当審の判断は以下のとおりである。
(1)使用者及び使用時期について
使用商品が掲載された学校向け通販カタログ(乙9)及び教材カタログ(乙11)は、本件商標権者が発行したものであるから、使用商標の使用者は、本件商標権者といえ、当該カタログは、平成28年1月から12月及び平成28年4月から平成29年3月を有効期間とするものであることから、当該カタログは、要証期間に頒布されたものといえる。
(2)使用商品について
使用商品は、「燃料用アルコール」、「ミシン用油」及び「錆止油」であって、当該「錆止油」は、提出に係る証拠によれば、第2類「防錆グリース」に該当する商品であり、また「燃料用アルコール」及び「ミシン用油」は、それぞれ第4類「液体燃料,工業用油」の範ちゅうに含まれる商品といえる。
(3)使用商標について
本件商標は、別掲のとおり、多少図案化した「プラス」の文字を書してなるものであり、また、使用商標1は「PLUS」の文字を、使用商標2は「プラス」の文字を書してなるものである。
そして、本件商標と使用商標を比較すると、本件商標は「プラス」の文字を多少図案化して表してなるものの「プラス」の称呼及び「加えること。足すこと。」の観念を生じるものであり、使用商標は「PLUS」又は「プラス」の文字からなるものであって、いずれも「プラス」の称呼及び「加えること。足すこと。」の観念を生じるものである。
そうすると、本件商標と使用商標1とは、片仮名と欧文字との表示を変更するものであって同一の称呼及び観念を生じるものであり、また、本件商標と使用商標2とは、書体は異なるものの同一のつづりからなるものであって、かつ、同一の称呼及び観念を生じるものである。
したがって、使用商標は、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
(4)小括
上記(1)ないし(3)からすれば、本件商標権者は、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品中、第2類「防錆グリース」、第4類「液体燃料,工業用油」の範ちゅうに含まれる「燃料用アルコール」、「ミシン用油」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用(商標法第2条第3項第8号にいう使用)をしたものと認められる。
3 まとめ
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の第2類「防錆グリース」及び第4類「液体燃料,工業用油」について取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)






審理終結日 2020-03-12 
結審通知日 2020-03-13 
審決日 2020-03-26 
出願番号 商願昭61-29336 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X0204)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 小松 里美
中束 としえ
登録日 1988-02-22 
登録番号 商標登録第2027417号(T2027417) 
商標の称呼 プラス 
代理人 山内 真之 
代理人 北口 貴大 
代理人 行田 朋弘 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 久保 怜子 
代理人 龍野 滋幹 

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