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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z09
管理番号 1365126 
審判番号 取消2019-300620 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-08-08 
確定日 2020-08-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第2276390号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2276390号商標(以下「本件商標」という。)は,「CRAY」の文字を横書きしてなり,昭和62年4月13日に登録出願,第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として平成2年10月31日に設定登録され,その後,同13年12月19日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,令和元年8月23日である。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中本件審判の請求に係る指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により,その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人提出の審判事件答弁書に対して,何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は,被請求人から指定商品中の全ての商品について通常使用権の許諾を受けた通常使用権者であり,被請求人の子会社である東京都千代田区所在のクレイ・ジャパン・インク(以下「クレイ・ジャパン」という。)によって,日本国内において本件審判請求の登録前3年以内のみならず現在も使用されている。
クレイ・ジャパンは,本件商標と社会通念上同一の商標が付された本件請求に係る商品中「スーパーコンピュータ及び電子計算機用プログラム」を,商標権者より我が国に輸入し,販売している。
(1)乙第1号証は,クレイ・ジャパンから,国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学が,本件商標を付した商品「スーパーコンピュータ CRAY XC40」を2017年3月に導入し,本格運用したことを平成29年9月19日付で報告する同大学のホームページのプレスリリース抜粋である。乙第1号証には,本件商標の表示と商品「スーパーコンピュータ」の表示がなされており,その日付は本件審判請求の登録前3年以内である。
乙第2号証は,クレイ・ジャパンから,気象庁が本件商標を付した商品「スーパーコンピュータ」を導入し,平成30年6月5日に同スーパーコンピュータの運用を開始することを報告する気象庁のホームページ抜粋である。乙第2号証は,本件商標の表示と商品「スーパーコンピュータ」の外観を証明すると共に,当該商品が本件商標の指定商品に属する商品であることを証明するものである。
乙第3号証は,クレイ・ジャパンから,公益財団法人鉄道総合技術研究所が本件商標を付した商品「スーパーコンピュータ」を導入し,平成30年5月18日に始動式を実施したことを示す同研究所のニュースリリース及びホームページ抜粋である。
上記のとおり,乙第1号証ないし乙第3号証は,いずれも本件商標を付した商品「スーパーコンピュータ」が本件取消審判の登録前3年以内に販売されていた事実を証明するものである。
(2)乙第4号証は,クレイ・ジャパンの会社概要及びニュースを掲載した同社のホームページ抜粋である。乙第4号証は,クレイ・ジャパンが商標権者の子会社であり,我が国における商標権者の商品の販売元及び役務の提供元であることを証明するものである。
(3)乙第5号証は,本件商標を付した商品「スーパーコンピュータ及び電子計算機用プログラム」のT大学への2018年3月26日付の納品書,請求書の写しである。宛名である大学名,請求金額等は,黒く塗りつぶして表示してあるが,必要であれば,口頭弁論等にて開示可能である。乙第5号証も,本件商標を付した商品「スーパーコンピュータ及び電子計算機用プログラム」が本件取消審判の登録前3年以内に販売されていた事実を証明するものである。
(4)乙第6号証及び乙第7号証は,本件商標を付した商品「スーパーコンピュータ(Cray XC50)」の利用手引きの写し及び同商品のユーザーガイドの写しであり,いずれも顧客にダウンロードにて提供されているものである。
2 まとめ
以上のごとく,本件商標は,その通常使用権者によって本件審判の請求に係る指定商品中の商品「スーパーコンピュータ及び電子計算機用プログラム」につき,本件審判の請求の登録前3年以内に我が国において使用していたものである。

第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人提出の乙各号証によれば,次の事実を認めることができる。
(1)国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学は,2017年(平成29年)3月に,Cray社の「Cray XC40スーパーコンピュータ」を導入した(乙1)。
(2)気象庁は,平成30年5月に,翌6月からややデザイン化された「CRAY」の文字が付されたスーパーコンピュータ「Cray XC50」の運用を開始する旨報道発表した(乙2)。
(3)公益財団法人鉄道総合技術研究所(以下「鉄道総研」という。)は,スーパーコンピュータを,ややデザイン化された「CRAY」の文字が付された「米国クレイ社製XC50」に更新し,平成30年5月18日にその始動式を行った。当該始動式においては,同研究所理事長及びクレイ・ジャパン代表取締役がテープカットを行った(乙3)。
(4)クレイ・ジャパンは,本件商標に係る商標権者の日本子会社であり,クレイ製のスーパーコンピュータの販売,保守を行っている(乙4及び被請求人の主張)。
2 判断
上記1の認定事実によれば,次のとおり認めることができる。
(1)上記1(3)及び(4)の事実からすれば,商標権者は,クレイ・ジャパンを介して,ややデザイン化された「CRAY」の文字(以下「使用商標」という。)が付されたスーパーコンピュータ「(Cray)XC50」(以下「使用商品」という。)を,日付は特定できないものの,平成30年5月又はその少し前頃に鉄道総研に引き渡したと推認できる。
(2)使用商品(スーパーコンピュータ「(Cray)XC50」)について
上記第2のとおり本件審判の請求に係る指定商品は第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」であり,使用商品(スーパーコンピュータ)が当該指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれることは明らかである。
(3)使用商標
使用商標は,上記1(3)のとおりややデザイン化した「CRAY」の文字からなるものであり,上記第1のとおり「CRAY」の文字からなる本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
(4)使用商品を引き渡した時期
商標権者がクレイ・ジャパンを介して使用商品を鉄道総研に引き渡した日は特定できないものの,平成30年5月又はその少し前頃に引き渡したと推認でき,その時期は本件審判の請求の登録(登録日 令和元年8月23日)前3年以内といえる。
(5)使用者について
使用商品を引き渡したクレイ・ジャパンは,上記1(4)のとおり,商標権者の日本子会社であるから,両者の間には,本件商標を使用することについて黙示の許諾があったものと推認でき,クレイ・ジャパンは,本件商標に係る通常使用権者といえる。
(6)小括
上記(1)ないし(5)からすれば,商標権者は,通常使用権者であるクレイ・ジャパンを介して本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において本件審判の請求に係る指定商品中の商品「スーパーコンピュータ」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを引き渡したと認められ,この行為は,商標法第2条第3項第2号にいう「商品・・・に標章を付したものを引き渡し・・・する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって,本件商標の登録は,本件審判の請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲

審理終結日 2020-06-08 
結審通知日 2020-06-10 
審決日 2020-06-24 
出願番号 商願昭62-40253 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 薩摩 純一
小松 里美
登録日 1990-10-31 
登録番号 商標登録第2276390号(T2276390) 
商標の称呼 クレイ、クライ 
代理人 森川 正仁 
代理人 青木 博通 
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 
代理人 中田 和博 

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