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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W2028
管理番号 1365103 
審判番号 無効2018-890084 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-10-31 
確定日 2020-07-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第5902786号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5902786号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5902786号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成28年6月15日に登録出願、第20類「おもちゃ箱,犬小屋,飼料用棚,愛玩動物用小屋,愛玩動物用巣箱,愛玩動物用クッション」及び第28類「愛玩動物用おもちゃ」を指定商品として、同年11月8日に登録査定、同年12月2日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由において引用する商標は、以下のとおりである。
1 登録第1670674号商標(以下「引用商標1」という。)は、「レゴ」の片仮名と「LEGO」の欧文字を上下2段に横書きしてなり、昭和55年3月24日に登録出願、第20類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同59年3月22日に設定登録、その後、平成17年11月2日に指定商品を「家具」を含む第20類、第16類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
2 登録第1711399号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和56年6月30日に登録出願、第20類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同59年9月26日に設定登録、その後、平成18年9月27日に指定商品を「家具」を含む第20類、第16類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
3 国際登録第1006003号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、2009年(平成21年)6月17日に国際商標登録出願、第14類「jewellery cases (caskets) of precious metals」を含む第14類、第18類「Leather and imitations of leather,and goods made of these materials (included in this class); whips, harness and saddlery」を含む第18類、第20類「Furniture, mirrors, picture frames; furniture made from wood or substitutes for wood; chairsof cane and wicker or substitutes therefor」を含む第20類、第21類「brushes (except paint brushes)」を含む第21類、第3類、第24類、第27類及び第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成24年7月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
4 登録第2621425号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成3年5月13日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同6年2月28日に設定登録、その後、同17年9月7日に第9類、第15類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
以下、引用商標1ないし4をまとめていうときは、単に「引用商標」という。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第31号証(なお、甲各号証の表記にあたっては、「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載し、枝番号のあるものは、特に断らない限り、枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の利益
本件商標は、これに含まれる「LEGO」の欧文字に照応して「レゴ」の称呼が生ずる。一方、請求人の引用商標からは「レゴ」なる称呼が生じ(甲2?5)、引用商標と類似し、かつ、同一又は類似の商品及び役務を指定するものであるから、請求人が本件審判を請求することについて、法律上の利害関係を有する。
2 請求人の商標
(1)請求人
請求人は、玩具の製造販売会社LEGO A/S社を筆頭とするグループ企業に係る商標を保有・管理するデンマーク籍の企業である(以下、これらを総称して「レゴ社」という。)。レゴ社は、1932年にデンマーク国のビルンドにオーレ・キアク・クリスチャンセン氏によって設立されたブロック玩具を中心とした世界第3位の売上を誇る玩具の製造販売会社である(甲6、7)。
レゴ社の名称に含まれる「LEGO」の語は、1934年にレゴ社の社名及び製品名称のために採択されたものであり、その語はデンマーク語で「よく遊べ」を意味する「Leg Godt」に由来する造語である(甲6の2?6の5、7の1)。現在、レゴ社は、本国たるデンマークのみならず世界各国に所在する関連企業を介して世界中で事業を展開しており、我が国では、その日本法人であるレゴジャパン株式会社を通じてその業務に係る製品や役務が提供されている(甲8?11)。
(2)レゴ社の使用商標
レゴ社は、デンマークを本拠とする世界有数の玩具製造販売会社である。1932年に創業され、1949年頃から、プラスチック製の子供向けブロック玩具の販売を開始し、1953年には、当該ブロック玩具について、同社の名称の一部を冠した「LEGO Mursten」(英語としては「LEGO Bricks」)の商標を使用し、以後、70年近くにわたりブロック玩具を継続して製造販売している(甲6の4?6の6)。
レゴ社のハウスマークたる「LEGO」は、英国Brand Finance社の発表する「(世界の)最も強力な10のブランド」のランキングにおいて、2017年には92.7、2018年には90.6の成功スコアを獲得し(甲13)、また、Interbrand社によるグローバルブランドの価値を評価したブランドランキング「BestGlobal Brands」において2017年には67位となっている(甲13)。
その売上高を見ても、2009年にはグループ全体で約116億デンマーククローネ(約1,972億円)であったものが、2012年には約230億デンマーククローネ(約3,910億円)に達し、2016年には379億デンマーククローネ(約6,384億円)、2017年は約349億デンマーククローネ(約6,419億円)を超過(甲8)する規模を誇るものとなっており、この数値のみを以ってしてもレゴ社の使用に係る「LEGO」は世界的な著名ブランドたる地位を確立しているといえる。
レゴ社が我が国においてその製品の販売を開始したのは1962年であり、1978年に日本法人レゴジャパン株式会社(旧商号・日本レゴ株式会社)を設立した後は(甲10、11)、同社を介してその製品等が我が国の需要者に提供されている(甲10)。レゴジャパン株式会社は、レゴ社のブランドの認知性を高めるべく、宣伝広告等にも努めており、具体的には、ブロック玩具を中心とする各種製品カタログの需要者、取引者への頒布や(甲9)、主たる需要者である少年少女向けの雑誌への広告掲載、TV番組のスポンサー等の様々な手法を以って活発な宣伝活動を行ない(甲10、14)、我が国においても「LEGO(レゴ)」といえばレゴ社の業務に係るブロック玩具であると容易に理解できる程に広く認知され(甲15、16)、レゴジャパン株式会社は我が国のブロック玩具の市場にて圧倒的なシェアを誇るに至っている(甲10)。同社の業績も堅調に推移しており、また、その規模も大きく、2010年が70億円、2011年が69億円、2012年が75億円、2013年が81億円にも達している(甲10)。
したがって、本件商標に係る出願日前から現在に至るまで、レゴ社のハウスマークである商標「LEGO」「レゴ」の存在が我が国においても著名であることは疑いの余地のないものであって、レゴ社の使用商標の著名性及びその商標に化体した業務上の信用の高さは、レゴ社の使用に係る「LEGO」の欧文字からなる商標であって第28類「おもちゃ、人形」等を指定商品とするものが周知著名商標として認定されている(甲5、11)。さらには、インターネットでの文字列「LEGO」を検索するとその上位検索結果がほぼ全てレゴ社若しくはこれに関連する組織や製品等に関する情報となる事実も、レゴ社の使用商標の著名性を示すものといえる(甲18)。
したがって、レゴ社の使用商標は、本件商標の出願時及び登録時において著名であったというべきものである。
3 商標法第4条第1項第11号の理由
(1)本件商標
本件商標は「CATTYLEGO」の欧文字と長方形等の図から構成されてなるものであって、本件商標の構成文字に着目すると、前半部の「CATTY」が「猫のような、猫に似た」等を意味する平易な英単語であり(甲15)、指定商品中の愛玩動物用商品との関係で識別力が極めて弱い語であると考えられる。一方で、後半部「LEGO」は我が国においても辞書等においてレゴ社の組み立てブロック玩具に係る商標として載録されているような識別力が極めて強い語である(甲15、16)。
そうすると、本件商標を構成する「CATTY」及び「LEGO」との間の識別力の軽重差は極めて大きく、本件商標に接する需要者、取引者にあっては、本件商標が「CATTY」の英単語と「LEGO」の欧文字を結合させてなると容易に理解するのみならず、後半部の「LEGO」を要部として捉え、その結果、本件商標からは「LEGO」の欧文字に照応した「レゴ」の称呼も生じるものである。
(2)引用商標
引用商標1は、「レゴ」の片仮名と「LEGO」の欧文字を上下2段に横書きにしてなり、引用商標2は、灰色地の正方形内に、白抜きで丸みを帯びた「LEGO」の欧文字を横書きし、該欧文字全体が黒色で縁取りされた構成からなり、引用商標3及び引用商標4は、赤色地の正方形内に、白抜きで丸みを帯びた「LEGO」の欧文字を横書きし、該欧文字全体が黄色で縁取りされた構成からなるものである。
したがって、引用商標からは、それぞれの構成文字に照応して「レゴ」なる称呼が生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 両商標の類否
本件商標は「CATTYLEGO」の欧文字と長方形等の図から構成されてなるものであり、構成上、要部として看取される「LEGO」の欧文字に照応し「レゴ」の称呼を生じる。また、該欧文字及びブロック玩具を想起させる矩形図形等により、レゴ社の業務に係るブロック玩具としての「レゴ」の観念を生ずる。
一方、引用商標は、「LEGO」の欧文字、又はこれに「レゴ」の片仮名を含む構成からなるものであることから、これらの文字に照応し「レゴ」の称呼が自然と生ずるものである。
よって、本件商標は引用商標と称呼上類似する。また、引用商標はこれらを構成する「LEGO」又は「レゴ」の文字によりレゴ社の業務に係るブロック玩具としての「レゴ」の観念を生じることから、本件商標と引用商標とは観念上同一のものである。
したがって、本件商標と引用商標とは外観において相違する部分を有するとしても、「レゴ」の称呼及びレゴ社の業務に係るブロック玩具としての観念「レゴ」を共通にする類似の商標である。
イ 指定商品について
本件商標の指定商品中の第20類「おもちゃ箱、飼料用棚」と引用商標の指定商品中の第20類「家具」(引用商標1、引用商標2)及び「Furniture,mirrors,furniture made from wood or substitutes for wood」(引用商標3)並びに第14類「jewellery cases (caskets) of precious metals」(引用商標3)は、何れも室内の備品である点で共通することから同一又は類似の商品である。
また、本件商標の指定商品中の第20類「犬小屋、愛玩動物用小屋、愛玩動物用巣箱、愛玩動物用クッション」及び第28類「愛玩動物用おもちゃ」と引用商標3の指定商品中の第18類「whips,harness and saddlery」は何れも愛玩動物に関し使用される製品であることから同一又は類似の商品である。さらに、本件商標の指定商品は、引用商標4の指定商品中の第28類「おもちゃ」等と出所の混同を生じ、互いに類似する可能性がある。
ウ 以上、本件商標と引用商標とは、「レゴ」の称呼及びレゴ社の業務に係るブロック玩具としての「レゴ」の観念を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似するものであることから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 商標法第4条第1項第15号の理由
(1)レゴ社の使用商標の著名性
使用商標は、レゴ社の業務に係る商品「ブロック玩具」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の玩具を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。
(2)本件商標と使用商標との出所の混同
本件商標はブロック玩具を想起させるような矩形の図形を組み合わせて「CATTYLEGO」なる文字が表されており、「LEGO」なる文字がブロック玩具との関係においてレゴ社の著名な商標であることも相侯って、本件商標に接する需要者をしてレゴ社と経済的又は組織的に何等かの関係性があるように思わせしめる態様となっている。
したがって、本件商標は、著名な使用商標を構成する文字「LEGO」を含むことも相侯って、レゴ社の使用商標との商品又は役務の出所の混同を生じるおそれがあると考えられることは明らかである。
(3)本件商標の指定商品と使用商標の使用商品
ア 「おもちゃ箱」
商品の生産部門について考察すると、玩具の包装箱がおもちゃ箱にもなる製品をも販売していることからすると(甲19)両商品の生産部門は共通し、販売部門も共通している。玩具と「おもちゃ箱」とは原材料、品質も共通するものである。そして、用途においても、玩具と「おもちゃ箱」とは、子供が遊ぶ場面での道具であるという点で共通する。需要者においても、主たる需要者は子供とその保護者の大人である点で共通する。
仮に「おもちゃ箱」が「家具」という範ちゅうに属すると考えられたとしても、「おもちゃ箱」は一概に玩具と生産・販売部門や需要者等が異なるとはいえず、むしろ、子供用の商品という特性を考慮すれば、両商品は生産・販売部門等を共通にし、需要者を共通にするものである。
本件商標の指定商品「おもちゃ箱」と使用商標の使用商品「おもちゃ(玩具)」とは、生産部門・販売部門・用途、需要者層等を共通とし、類似する商品であるといえ、また、レゴ社が実際に「家具」を重視してライセンシーを通じて製造販売していることも相俟って、両商品は出所の混同を生じるといい得るものである。
イ 「愛玩動物用商品」
レゴ社の使用商標は主に商品「おもちゃ(玩具)」との関係について著名であるが(甲11)、子供でも動物でも遊ぶための道具という意味では用途において共通するところがある。また、商品の需要者にあっても、商品の性質上、子供やその保護者である人と動物とに明確に分けられるものではなく、むしろ、需要者が共通する部分も大きいといえる。
本件商標の愛玩動物用商品と使用商標の使用商品「おもちゃ(玩具)」とは、生産部門・販売部門・用途、需要者層等を共通とする部分があり、類似する商品であるともいえ、両商品は出所の混同を生じるといい得るものである。
(4)他に考慮されるべき事情
被請求人は台湾籍の会社であり、台湾において、実際に愛玩動物用商品、とりわけ猫用の玩具等について事業を行っている会社である(甲30)。被請求人は、台湾において、本件商標と同態様の「CATTYLEGO」なる商標の権利取得を試みていたが、請求人より異議申立てがなされ、取消となるに至っている(甲31)。その取消の内容が記載されている異議審定書においては、商標の類似性に関し、『「猫の様な」を意味する前半の「CATTY」は「愛玩動物」との関係で使用される場合の識別力は弱く、当該商標は「CATTY」及び「LEGO」の結合であると見受けられるが、このうち顕著性を有するは後半の「LEGO」である』旨の指摘がされると共に、本件商標の文字部分「CATTYLEGO」はブロックのデザインとなっていることも考慮されて、本件商標と同態様の「CATTYLEGO」なる商標と「LEGO」なる商標とは近似する商標であると判断されている。そして、商品の類似性については、「愛玩動物用玩具」との関係については勿論のこと、「愛玩動物用小屋,犬小屋,愛玩動物用巣箱,飼料用棚,愛玩動物用クッション」等との関係においても、「異議申立人による長期に亘る集中的な使用を通じ得られた極めて高い著名性及び識別性、両者の商標の近似性、我が国における関連する需要者の知識及び異議申立人の事業の多様性を考慮すると」、「被異議商標については、関連する需要者が両者の商品が出所を同じくするものであると誤認する可能性が極めて高く、両者間において提携、ライセンス、フランチャイズ若しくはこれらに類似した関係が存在するとの誤認が生じるというべきものである」との判断がなされている。その結果、台湾においては、本件商標と同態様の商標「CATTYLEGO」は、商標「LEGO」の著名性も相侯って、愛玩動物用商品との関係においても出所の混同を生じるとして登録が取消となるに至っており、著名商標の保護が図られている。
商標法における、周知著名商標の保護に関する条文やその趣旨からすると、我が国においても、本件における著名な使用商標の保護は図られるべきである。昨今の商取引は国境等とは無関係にインターネット等で日常的に行われていることをも考慮すると、国際的な観点からも著名商標の保護は図られなければならず、被請求人の本国である台湾において登録が取消となったにも関わらず、我が国では登録が維持されるとすれば、国際的に著名商標の保護が図られていないことになり、その判断に対しては謗りを免れないものである。
以上詳述したように、レゴ社の著名な商標「LEGO」の欧文字を含む本件商標がその指定商品に付されて提供された場合には、需要者、取引者をして、レゴ社に係る製品又はこれと経済的・組織的に何らかの関連を有する者の提供に係るものであると認識し、出所について誤認混同を起こすことは明らかであることから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであり、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。
5 商標法第4条第1項第19号の理由
レゴ社の使用商標が、日本国内外において本件商標に係る出願日前からレゴ社の業務に係る商品又は役務との関係で著名であること、及び本件商標とレゴ社の商標とが類似することについては、既に考察したとおりである。
そして、その指定商品に「おもちゃ箱」や「愛玩動物商品」を含む本件商標に係る商標権者が出願時において世界的に著名な玩具製造販売会社であるレゴ社の存在、そしてその使用商標を認識していなかったとは到底想定し得ないものであり、むしろ、商標権者はレゴ社の業務に係る商標を十分に認識した上で、その著名性や名声にあやかろうと、レゴ社の著名な商標「LEGO」及びレゴ社の代表的な製品であるブロック玩具を想起させる矩形の図形を含む本件商標の採択を行なったとするのが至極当然な考え方である。
したがって、本件商標は著名なレゴ社に係る商標の存在を知りながら、その顧客吸引力にフリーライドする目的で、又は、不正の利益を得る目的で出願されたものであることは明らかであることから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
6 商標法第4条第1項第8号の理由
レゴ社の使用に係る「LEGO(レゴ)」の表示は、そのハウスマークとして我が国のみならず世界中において極めて高い水準で認知されていることは商標法第4条第1項第15号に係る主張において考察したとおりであって、この様な実情に鑑み、「LEGO(レゴ)」の表示が「LEGOA/S」等、レゴ社の名称の著名な略称であることは疑いのようのないものである。
一方、本件商標は「CATTYLEGO」の欧文字より構成されてなり、前半部の「CATTY」の英単語とレゴ社の著名な略称である「LEGO」の欧文字を結合させたものであると容易に理解し得るにもかかわらず、レゴ社が本件商標の出願・登録について承諾を与えたといった事実は存在しない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求に対して、何ら答弁していない。

第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについて被請求人は争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。
以下、本案について審理する。
1 請求人の主張する引用商標について
請求人は、引用商標について、上記第2のとおり、請求人の業務に係る「ブロック玩具」(以下「本件使用商品」という場合がある。)について、引用商標を使用するものである旨主張しているが、請求人が会社案内、商品カタログ(パンフレット)等に使用している本件使用商品を示す標章の具体的な態様は、引用商標4及び引用商標4と構成が同一の商標並びにその表音に相当する「レゴ」の片仮名からなる標章(両者を併せ、以下「本件使用商標」という。)が、常に表示されていることがうかがい知れるから、本件使用商標の周知著名性について検討、判断する。
2 本件使用商標の周知著名性について
(1)請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 請求人は、1932年にデンマークにおいて設立されたブロック玩具等を製造・販売する会社であり、1934年に、社名及び製品名として、「よく遊べ」を意味するデンマーク語「Leg Godt」に由来した「LEGO」を採択した。同社は、1949年頃からプラスチック製の子供向けブロック玩具を自動結合ブロックと名付けて発売し、1953年に、これを「LEGO Bricks」と名付けた。
請求人の業務に係るブロック玩具は、我が国においては、1962年に、国内の販売代理店となった朝日通商を介して販売が開始されたほか、1970年以降、世界各国に進出して販売された。その後、請求人は、1978年に、日本法人の日本レゴ株式会社を設立し、直接輸入販売を開始し、1989年に日本レゴ株式会社からレゴジャパン社へと組織変更したものであり、1962年にブロック玩具を販売して以降、本件商標の登録出願時まで、50年以上にわたり我が国において販売を続けているものである(甲6)。
なお、請求人の現在の名称は、「レゴ ジュリス エー/エス(LEGO JURIS A/S)」であるが、同人の略称として「LEGO」の欧文字及び「レゴ」の片仮名が使用されていたことを認めるに足りる証拠はない。
イ 請求人の業務に係るブロック玩具の製品カタログや商品の包装には、主として引用商標4と同一の構成からなる本件使用商標が表示されている(甲8、9)。
ウ 株式会社矢野経済研究所発行の「玩具産業白書2014年版」(甲10)には、日本同経済研究所推計として、a レゴジャパン社の売上高は、2012年12月期で約75億円、2013年12月期見込で約81億円であること、b 幼稚園・保育園向け事業(プレスクール事業)において、レゴジャパン社は、全国の幼稚園や保育園に対して、ブロック玩具等の提供を行っており、全国の幼稚園や保育園の半数近くに同玩具が導入されているほか、「レゴ スクール」(申立人が教育用に開発した教材とカリキュラムを使用した教室)等のスクール事業も手掛け、今後も拡大を推進していく計画であること、c スクール事業において、レゴジャパン社は、小中学校だけでなく、高校、大学までをターゲットとして、主力製品「教育用レゴ マインドストーム」、科学の原理を学べるブロックセット「レゴサイエンス&テクノロジー基本セット」、再利用可能エネルギーについて体験的に学べる「レゴエネルギーセット」等を販売していること、d 定番商品の「レゴブロック」は、堅調な販売状況を維持しており、今後も安定した業績が見込まれること、そして、今後は教育関連ビジネスの拡大を急ピッチで進めていく計画であること、等の記載がある。
エ 本件使用商品は、少年少女向けの雑誌に本件使用商標とともに広告宣伝がされている(甲14)。また、辞典等にも、「LEGO(レゴ)」が請求人の業務に係るブロック玩具であることが掲載されている(甲15、16)。
(2)以上によれば、本件使用商標に係る本件使用商品は、日本でも50年以上販売され続け、その売上高は約81億円(2013年12月期、甲10)であること、請求人のブロック玩具は、子供向け市場では圧倒的なシェアがあること、全国の幼稚園や保育園の半数近くに請求人の本件使用商品が導入されていること等からすれば、本件使用商標は、請求人の業務に係る本件使用商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時(平成28年6月15日)には既に、我が国の玩具を取り扱う分野の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができ、その周知著名性は、本件商標の登録査定時(同年11月8日)においても継続していたものといえる。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と本件使用商標との類似性の程度
前記2のとおり、本件使用商標は、請求人の業務に係る商品「ブロック玩具」を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の玩具を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたことを認めることができる。
そして、本件商標は、別掲1のとおり、連続する複数の平行線により細い縞模様をあしらった長方形の図形の中に、複数の小さなブロック状の図形から構成され白抜きで「CATTYLEGO」と判読できる欧文字を描き、「C」の文字の上にハサミの図形を配し、「CATTY LEGO」の欧文字を破線で縁取りした構成からなるものであり、その構成中に「LEGO」の欧文字を含むものである。
また、本件商標は、その構成文字に相応して「キャティレゴ」の称呼が生ずるものと認めるのが自然であるが、当該文字は辞書等に載録のある成語ではなく、全体として親しまれた既成の語を形成するものでもない。
さらに、「LEGO」の欧文字は、前記2のとおり請求人の業務に係る商品「ブロック玩具」を表示するものとして我が国の玩具を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く知られている本件使用商標中の欧文字部分とつづりを同一にし、かつ辞書等においてレゴ社の組み立てブロック玩具に係る商標として載録されている語とつづりを同じくするものである。(甲15、16)。
そうすると、本件商標に接した取引者、需要者において、本件商標構成中の「LEGO」の欧文字部分は、請求人の取り扱うブロック玩具のブランドとしての「LEGO」を想起し得るものであって、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
してみれば、本件使用商標からは、それぞれの構成文字に照応して「レゴ」の称呼が生じるものであり、また、「LEGO」は請求人の業務に係る商品「ブロック玩具」を表示するものとして、我が国の玩具を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていることから、本件商標と本件使用商標とは、「レゴ」の称呼を共通にし、かつ、請求人が取り扱うブロック玩具のブランドとしての「LEGO」を想起させるという点において、両者は観念上の共通性があるといえる。
以上からすると、本件商標と本件使用商標とは、ある程度の類似性を有するものといえる。
(2)本件使用商標の周知著名性及び独創性の程度について
前記2のとおり、本件使用商標は、本件商標の登録出願時には既に、請求人の業務に係るブロック玩具を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されて周知著名な商標となっており、それは本件商標の登録査定時及びそれ以降も、継続していたと認められるものである。
また、引用商標4及び引用商標4と構成が同一の商標並びに「レゴ」の片仮名からなる本件使用商標は、いずれも請求人の創作によるものであり、独創性の程度は高いといえる。
(3)本件商標の指定商品と本件使用商品との関連性の程度並びに取引者、需要者の共通性その他取引の実情について
本件商標の指定商品中、第20類「おもちゃ箱」と、請求人の業務に係る本件使用商品(ブロック玩具)との関連性についてみると、玩具製造会社は玩具を入れる容器である「おもちゃ箱」の製造を行っている状況にある(甲19)ことから、生産部門は共通にするといえる。また、玩具と「おもちゃ箱」とは子供向けの玩具売り場の店頭等で一緒に販売されていることから、両商品の販売部門も共通にする。さらに、玩具製造会社は「おもちゃ箱」を別売で販売することがあることや、玩具の包装箱が「おもちゃ箱」にもなる製品を販売していることからすれば、両商品は互いに共通した性質を有し、さらに、需要者においても主たる需要者は子供とその保護者である点で共通する。
以上からすると、本件商標の指定商品中、第20類「おもちゃ箱」と本件使用商品とは、商品の生産部門及び販売部門等を共通にし、用途においても、子供が遊ぶ場面での道具であり、主たる需要者は、子供及びその保護者の大人である点で共通する。
また、本件商標の指定商品中、第20類「犬小屋,飼料用棚,愛玩動物用小屋,愛玩動物用巣箱,愛玩動物用クッション」及び第28類「愛玩動物用おもちゃ」と本件使用商品との関連については、両者とも「愛玩動物用の商品」という側面を有する商品といえるものであって、子供でも動物でも遊ぶための道具という意味では用途を共通にする場合があることや、大手玩具製造会社の事業として、愛玩動物用品の製造販売に係わる例があることから(甲29)、両商品は生産部門において共通する部分があるとともに、需要者、取引者の範囲が共通する場合があるといえる。
そうすると、本件商標の指定商品と本件使用商品とは、商品の関連性の程度が高いものであり、かつ、両商品の取引者、需要者が共通するといえる。
そして、本件商標の指定商品と請求人の業務に係る本件使用商品の取引者、需要者は、いずれも一般消費者であり、注意力はそれほど高いとはいえない。
(4)出所混同のおそれ
前記(1)ないし(3)に照らし、本件商標と本件使用商標の類似性の程度、本件使用商標の周知著名性及び独創性の程度、商品等の関連性の程度、商品等の取引者、需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、本件商標の指定商品の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、周知性及び独創性の程度が高い本件使用商標を連想又は想起させることが少なくなく、その商品が他人(請求人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は同項の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 引用商標2


別掲3 引用商標3


別掲4 引用商標4及び使用標章


(別掲3及び4の色彩は、原本参照。)


審理終結日 2019-12-20 
結審通知日 2019-12-24 
審決日 2020-03-18 
出願番号 商願2016-65045(T2016-65045) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (W2028)
最終処分 成立 
前審関与審査官 山田 啓之 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 木村 一弘
庄司 美和
登録日 2016-12-02 
登録番号 商標登録第5902786号(T5902786) 
商標の称呼 キャティーレゴ、キャティー、キャッティー、レゴ 
代理人 岡部 讓 
代理人 高見 香織 
代理人 木下 恵理子 
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