• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W27
審判 査定不服 外観類似 登録しない W27
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W27
管理番号 1365083 
審判番号 不服2020-2290 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-19 
確定日 2020-07-30 
事件の表示 商願2019-83296拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第27類「マット(敷物),敷物用滑り止めシート,敷物用滑り止めテープ」を指定商品として、平成30年10月30日に登録出願された商願2018-135038に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和元年6月12日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5511418号商標(以下「引用商標」という。)は、「ニコマット」の文字を標準文字で表してなり、平成24年1月12日に登録出願、第27類「マット,緩衝用床マット,タイル状の複数枚のマット片を組み合わせてなる洗い場用マット」を指定商品として、同年8月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、「Nico」の欧文字をわずかにデザイン化して表してなるものであるが、容易に当該欧文字を表したものと看取される態様であるところ、その構成文字に相応して、「ニコ」の称呼を生じ、また、当該欧文字が我が国で親しまれた外国語ではなく、その他当該欧文字から特定の意味合いが想起されるというべき事情も見当たらないことからすれば、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「ニコマット」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、後半部分の「マット」の文字は、引用商標の指定商品それ自体を指称する語であるから、商品の出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものではない。
一方、その構成中、前半部分の「ニコ」の文字は、辞書等には掲載が見当たらず、また、その他当該文字から特定の意味合いが想起されるというべき事情も見当たらないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
そうすると、引用商標において、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分は、「ニコ」の文字部分であるということができ、これを要部として抽出し、本願商標と比較して商標の類否を判断することも許される。
したがって、引用商標は、構成全体から生じる「ニコマット」の称呼のほかに、要部である「ニコ」の文字部分に相応して「ニコ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
ア 外観
本願商標と引用商標の要部である「ニコ」の文字部分とは、文字の種類(欧文字と片仮名)が異なるものの、引用商標の要部は、本願商標「Nico」の文字の称呼を片仮名で表記したものと同一といえる。また、本願商標は、わずかにデザイン化してなるものの、容易に当該欧文字を表したものと看取される態様であるし、そもそも、文字をデザイン化して表すことは一般に行われていることからすると、本願商標の態様は、商取引において一般に用いられる程度のデザインにとどまるものであって、格別顕著に図案化されたものということはできない。
そうすると、本願商標と引用商標の要部とは、外観の相違があるとしても、それらの相違が需要者に強い印象を与え、その記憶に深く残るものではない。
イ 称呼
両商標は、「ニコ」の称呼を共通にする。
ウ 観念
両商標は、共に観念を生じないから、比較し得ない。
エ 以上からすると、本願商標と引用商標とは、観念は比較し得ないとしても、外観において、文字の種類の相違を有するものの、引用商標の要部は本願商標の称呼を片仮名により表記したものと同一であり、また、本願商標がわずかにデザイン化されているとしても、文字をデザイン化して表すことは一般に行われていることであって、格別顕著に図案化されたものということはできないことを勘案すると、両者の外観上の相違は、需要者に強い印象を与え、その記憶に深く残るものではない。そして、両者は称呼を共通にするものであるから、両商標について、上記の外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察してみれば、本願商標と引用商標とを同一又は類似する商品に使用したときは、取引者、需要者をして、商品の出所について混同を生ずるおそれがある類似の商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、引用商標と類似する商標といえる。
(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願商標の指定商品「マット(敷物),敷物用滑り止めシート,敷物用滑り止めテープ」と引用商標の指定商品中「マット,緩衝用床マット」とは、いずれも「マット(敷物)」又はこれに用いる商品であるから、同一又は類似するものである。
(5)小括
以上からすれば、本願商標は、引用商標と類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、明朝体等の標準文字に比べて極端に太い文字で描かれていること、また、欧文字「i」に相当する部分は、縦棒の頂点部分は円弧状の凹部を有し、点部分は縦棒の横幅とほぼ同じ長さの直径を有する真円で描かれており、欧文字「C」の左側部は直線的に描かれ、同様にして欧文字「O」の左右両側部は直線的に描かれ、また、「C」の欧文字の内周の弧は、「O」の欧文字の内周の弧と同様の特徴的な形状を有するなど、特徴的なデザインが施されており、普通に用いられる方法で表された文字ではない旨主張している。
しかしながら、本願商標にデザインが施されているとしても、上記(3)のとおり、ごくわずかにデザイン化されているにすぎないものであり、容易に「Nico」の欧文字を表したものと看取される態様というべきであるし、そもそも、文字をデザイン化して表すことは一般に行われていることからすると、これが格別顕著に図案化された商標として認識されるものではなく、本願商標は、その態様をもって需要者に強い印象を与え、その記憶に深く残るものということはできない。
イ 請求人は、引用商標から生じる「ニコマット」の称呼は、わずか5音と短く、リズムよく一連に称呼し得るものであり、「ニコ」の称呼と比較して称呼時間が大きく短縮されるものではなく、発音し易くなるものでもない旨、及び「ニコ」と短縮して称呼したされた場合、聴者が「ニコ」の発音を聞き逃したり、聞き間違いしたりする可能性が高くなるため、一音一音はっきり発音する必要があることなどから、「ニコマット」の称呼をもって取引するのが自然である旨主張している。
しかしながら、引用商標の構成文字全体から生じる「ニコマット」の称呼が5音であるとしても、上記(2)のとおり、その構成中、後半部分の「マット」の文字部分から商品の出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものではなく、前半部分の「ニコ」文字部分が取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというのが相当であり、単に称呼が5音と比較的短く一連に称呼し得ることをもって、一連の称呼のみが生じるということはできず、また、ほかに「ニコマット」の称呼のみをもって、取引に当たるとすべき事情も見いだせない。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲(本願商標)


審理終結日 2020-05-12 
結審通知日 2020-05-19 
審決日 2020-06-15 
出願番号 商願2019-83296(T2019-83296) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W27)
T 1 8・ 263- Z (W27)
T 1 8・ 261- Z (W27)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 直樹 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 山田 啓之
庄司 美和
商標の称呼 ニコ 
代理人 河野 英仁 
代理人 河野 登夫 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ