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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W21
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W21
審判 査定不服 外観類似 登録しない W21
管理番号 1365048 
審判番号 不服2019-6765 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-24 
確定日 2020-07-15 
事件の表示 商願2017-96915拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第21類「しょうゆ差し」を指定商品として、平成29年7月20日に立体商標として登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続している。
1 登録第5049959号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成18年8月30日登録出願、第9類、「貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ」を含む第14類及び第26類の商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成19年5月25日に設定登録、その後、平成29年2月28日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
2 登録第5647433号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成24年3月6日登録出願、「台所用品・清掃用具及び洗濯用具(「食器類」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類の商標登録原簿記載の役務を指定役務として、平成26年2月7日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。

第3 当審においてした審尋
審判長は、請求人に対し、令和2年1月31日付け審尋において、本願商標は、図形部(後記第5の2(1)ア参照。)の下段透明図形部分(同箇所参照。)から特段の称呼及び観念が生じないとの事情をも考慮すれば、上段欧文字部分(同箇所参照。)を抽出して引用商標と比較して商標の類否を判断することも許される旨の見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。

第4 審尋に対する請求人の回答の要点
上記第3の審尋に対し、請求人は、令和2年3月13日付け回答書及び甲第1号証ないし甲第4号証を提出し、要旨、以下のように主張した。
1 審尋が下段透明図形部分であると認定した部分は、「下段部に、黒色背景に透明抜きで欧文字をデザイン化した『RISU』の欧文字」であり、「I」、「S」及び「U」の欧文字が互いに接触しているものの、特定の欧文字を表したと認識できないほど図案化されている、一見していかなる文字を表してなるのか具体的には把握できないものとはいえない。
2 審尋が上段欧文字部分を「筆記体風の『Noble』の欧文字」であると認定した手法に鑑みれば、審尋が、上記1の「『RISU』の欧文字」を、特段の検討をすることなく、「欧文字をモチーフとしてデザイン化したと思われる図形」であると認定するのは、早計である。
3 取引者、需要者は、商標の構成中の一部の文字をデザイン化した商標であっても、その商標の全体の態様から、一般的・常識的に導き出される文字を認定し、商標を認識するのであり、その一般的・常識的に導き出される文字は、本願商標については、図形部の下段部にある「RISU」の欧文字である。
4 甲第1号証ないし甲第4号証によれば、プラスチックの日用製品について「RISU」の語は著名であり、本願商標の下段部に存在する「RISU」の文字も著名である。

第5 当審の判断
1 当審における証左の取扱いについて
請求人は、令和元年6月25日付け手続補正書(方式、審判請求書に対するもの。)において、甲第1号証ないし甲第6号証(枝番あり)を提出し、さらに、令和2年3月13日付け回答書において、上記のとおり、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
しかしながら、甲第1号証ないし甲第4号証について証拠番号が共通しているから、上記回答書において提出された甲第1号証ないし甲第4号証については、以下、それぞれ、甲第7号証ないし甲第10号証に読み替えるものとする。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標について
ア 本願商標は、別掲1のとおり、透明な略円柱状体とその上側に配された茶系色の蓋状体(この蓋状体は側面上部の一部に突起を有し、当該突起の内部は空洞となっている。)とからなる立体的形状(以下、この立体的形状を「立体部」という。)と、略円柱状体の側面に表された黒色の略正方形輪郭を外縁とするように結合された文字及び図形(以下、「黒色の略正方形輪郭を外縁とするように結合された文字及び図形」を「図形部」という。)とからなるものである。
そして、図形部は、略正方形輪郭内でその上辺から高さ方向に略3分の2を占める透明な略矩形状の上段部と同輪郭内のその余を占める黒色の略矩形状の下段部とからなるとともに、上段部に、透明背景に黒色で左側縦線部をやや肉太に表した「N」の欧文字とそれに近接して筆記体風の「oble」の欧文字を配してなる「Noble」の欧文字(以下「上段欧文字部分」という。)を配し、下段部に、黒色背景に透明抜きで欧文字をモチーフとしてデザイン化したと思われる図形(以下「下段透明図形部分」という。)を配してなるものである。
本願商標の指定商品である「しょうゆ差し」との関係においては、立体部における側面上部の一部が有する突起部は、注ぎ口の形状の一種と思われるものであることから、立体部全体としては、通常採用し得る商品の形状の一種と認識されるとみるのが自然である。
そうすると、立体部は、商品の形状を表示したものというのが相当であるから、同部分は、格別に看者の注意をひくものではなく、商品の出所識別標識としての機能を有しない部分であるといえる。
以上からすれば、本願商標は、図形部が独立して自他商品の識別標識として機能しているとみることができ、当該図形部をもって取引者、需要者に看取、認識されるものとみるのが相当である。
イ 図形部について
(ア)図形部については、上段欧文字部分が配されている上段部は、下段部よりも2倍程度、高さが大きいことから、ひときわ注意をひく部分といえる。そして、上段欧文字部分は、上段部の全体を占めるほどの大きさで、透明背景に黒色の読み取りやすい書体で明瞭に記載されている。さらに、上段欧文字部分は、略正方形輪郭及び下段部からは、少し間隔を空けて配されているとともに、下段透明図形部分を構成する無色透明とは対照的な黒色で構成されている。
以上によれば、上段欧文字部分は、外観上、下段透明図形部分を含む下段部及び略正方形輪郭からなる図形部分(以下「上段欧文字部分以外の図形部」という。)とは、一見して明確に区別して認識できる。
そして、上段欧文字部分を構成する「Noble」の欧文字は、「ノーブル」と称呼し、「高貴な」という意味をもつ平易な英単語(ベーシックジーニアス英和辞典初版(株式会社大修館書店発行)参照。)であって、さらに、この「ノーブル」の称呼は発音しやすく、本願商標の指定商品との関係で当該商品の品質等を表すものではないことも考え合わせると、上段欧文字部分は、看者に強い印象を与えるものである。
(イ)これに対し、下段透明図形部分は、上記アで認定したとおり、欧文字をモチーフとしてデザイン化したと思われる図形からなるものの、その形状全体が、本願商標の指定商品の取引者、需要者にとって欧文字として普通に判読できる範囲のレタリングとはいえず、しかも、当該図形全体が、当該取引者、需要者の間に広く認識されていることを認めるに足りる証拠もない。
そうすると、下段透明図形部分からは、特段の称呼及び観念が生じない。
さらに、略正方形輪郭と下段部を構成する黒色の略矩形も、単純な図形にすぎないから、特段の称呼及び観念が生じないものである。
そうすると、上段欧文字部分と、上段欧文字部分以外の図形部とが、観念的に密接な関連性を有しているとはいえないし、一連一体となった何らかの称呼が生じるともいえない。
(ウ)これらの事情を総合すると、上段欧文字部分と、上段欧文字部分以外の図形部とが、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないから、上段欧文字部分は、独立して出所識別標識としての機能を有する要部であるというべきである。
そうすると、本願商標において、上段欧文字部分は、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めることができるから、この部分を抽出して引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
ウ したがって、本願商標は、上段欧文字部分の「Noble」の欧文字に相応して、「ノーブル」の称呼及び「高貴な」の観念が生じる。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
(ア)引用商標1は、別掲2のとおり、バンクスクリプト体ないしエクセシアススクリプト体風の書体からなる「Spick and Span」の欧文字(以下「引用商標1上段欧文字部分」という。)と、引用商標1上段欧文字部分よりも小さく書されたイタリック体の「Noble」の欧文字(以下「引用商標1中段欧文字部分」という。)と、引用商標1中段欧文字部分よりも小さく書されたイタリック体の「elle est a vous seul」(「a」には、フランス語のアクサングラーヴが付されている。)の欧文字(以下「引用商標1下段欧文字部分」という。)とを、三段に中央揃えで横書きしてなるものである。
(イ)引用商標1中段欧文字部分は、引用商標1上段欧文字部分に比してやや小さく表されているものの、構成中の中央部に位置し、かつ、イタリック体という読みやすい書体で表されているものである。
これに対し、引用商標1上段欧文字部分は、最も大きな文字からなるものの、バンクスクリプト体ないしエクセシアススクリプト体風のやや装飾が施された書体からなるため、引用商標1中段欧文字部分と比べれば、一見して判読しにくいことも少なくない上に、「Spick and Span」という文字が「こざっぱりした、こぎれいな、<服が>新調の、真新しい」(ベーシックジーニアス英和辞典初版(株式会社大修館書店発行)参照。)という意味を有するとしても、本願商標の指定商品の取引者、需要者にとって、ただちに当該意味を有するものと理解されるとも言い難い。
また、引用商標1下段欧文字部分は、他の文字部分に比較して最も小さく、かつ、フランス語からなるものであって、本願商標の指定商品の取引者、需要者にとって、称呼し難いし、その意味が理解されるものでもない。
(ウ)これらの事情を総合すると、引用商標1においては、引用商標1中段欧文字部分が、引用商標1上段欧文字部分及び引用商標1下段欧文字部分に比べて、看者に強い印象を与えるとともに、その注意を強くひくものである。そして、上記(イ)の認定によれば、本願商標の指定商品の取引者、需要者にとって、引用商標1中段欧文字部分が、引用商標1上段欧文字部分及び引用商標1下段欧文字部分と観念的に密接に関連しているとは認識されないし、一連一体となった何らかの称呼が生じるとも認識され難いといえる。
そうすると、引用商標1中段欧文字部分と引用商標1上段欧文字部分及び引用商標1下段欧文字部分とが、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできないのであり、よって、引用商標1中段欧文字部分は、独立して出所識別標識としての機能を果たすものというべきである。
以上からすると、引用商標1中段欧文字部分の「Noble」の欧文字部分は、構成上独立して見る者の注意をひく要部の一であるといえるから、当該部分と本願商標とを比較して商標の類否を判断することは許されるというべきである。
(エ)したがって、引用商標1においては、その要部の一である引用商標1中段欧文字部分の「Noble」の欧文字に相応して、「ノーブル」の称呼及び「高貴な」の観念が生じる。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲3のとおり、イタリック体の「Noble」の欧文字を横書きしてなるものであるから、これより、「ノーブル」の称呼及び「高貴な」の観念が生じる。
(3)本願商標と引用商標の類否
ア 引用商標1について
(ア)本願商標の要部の一である「Noble」の文字と引用商標1の要部の一である「Noble」の文字とを対比する。
外観については、両者は、その構成文字の書体を異にするとしても、つづり字を大文字小文字も含めて同一にするものであるから、両者における書体の相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえない。
次に、称呼及び観念については、両者は「ノーブル」の称呼を同一にし、「高貴な」の観念も同一にするものである。
以上のとおり、本願商標の要部の一と引用商標1の要部の一とは、称呼及び観念を同一にするものであって、外観における差異についても、称呼及び観念の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、本願商標と引用商標1とは互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(イ)本願商標の指定商品は、第21類「しょうゆ差し」であり、引用商標1の指定商品は、第14類「貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ」であるところ、これらの商品は互いに生産・販売・流通経路を共通にする場合も少なくなく、需要者も共通にするものであるから、本願商標の指定商品は、引用商標1の指定商品と類似するものである。
(ウ)以上によれば、本願商標は、引用商標1と類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標1の指定商品と類似する商品である。
イ 引用商標2について
(ア)本願商標の要部の一である「Noble」の文字と引用商標2とを対比する。
外観については、両者は、その構成文字の書体を異にするとしても、つづり字を大文字小文字も含めて同一にするものであるから、両者における書体の相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえない。
次に、称呼及び観念については、両者は「ノーブル」の称呼を同一にし、「高貴な」の観念も同一にするものである。
以上のとおり、本願商標の要部の一と引用商標2とは、称呼及び観念を同一にするものであって、外観における差異についても、称呼及び観念の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、本願商標と引用商標2とは互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(イ)本願商標の指定商品第21類「しょうゆ差し」は、引用商標2の指定役務に含まれる「台所用品・清掃用具及び洗濯用具(「食器類」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「台所用品(「食器類」を除く。)」に含まれるものである。
そして、商品の販売と、その商品を取り扱う小売等役務の提供とが同一の者によって行われることは、商取引上、しばしば見受けられるものであり、そのような場合、該商品の販売場所や需要者の範囲が、該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも、少なからずあるとみるのが相当であるから、本願商標の指定商品及び引用商標2の上記指定役務は、それらに同一又は類似する商標が使用された場合、その出所について混同を生ずるおそれのある、互いに類似するものというべきである。
(ウ)以上によれば、本願商標は、引用商標2と類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標2の指定役務と類似する商品である。
(4)小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標の指定商品又は指定役務と類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、図形部の下段部に配されているものが、黒色背景に透明抜きで欧文字をモチーフとしてデザイン化したと思われる図形(下段透明図形部分)であるとの上記2(1)アの認定に対し、当該下段部に配されているものは、図形ではなく、「下段部に、黒色背景に透明抜きで欧文字をデザイン化した『RISU』の欧文字」であり、「I」、「S」及び「U」の欧文字が互いに接触しているものの、特定の欧文字を表したと認識できないほど図案化されている、一見していかなる文字を表してなるのか具体的には把握できないものとはいえない旨主張する。
しかしながら、下段透明図形部分のうち、請求人が「I」、「S」及び「U」の欧文字と主張する部分は、請求人も認めるとおり、互いに接触しているのであり、しかも、請求人が「S」の欧文字と主張する部分は、その中央部が上下方向に延びているとともに上下部が左右方向に延びているなど、通常の「S」の欧文字と比べ相当に図案化されていることもあって、請求人が「I」、「S」及び「U」の欧文字と主張する部分は、その一体化が顕著である。このようなことからすれば、上記2(1)イ(イ)で説示したとおり、下段透明図形部分は、その形状全体が、本願商標の指定商品の取引者、需要者にとって欧文字として普通に判読できる範囲のレタリングとはいえないというべきである。
(2)請求人は、令和2年1月31日付け審尋が上段欧文字部分を「筆記体風の『Noble』の欧文字」であると認定した手法に鑑みれば、審尋が、上記1の「RISU」の欧文字を、特段の検討をすることなく、「欧文字をモチーフとしてデザイン化したと思われる図形」であると認定するのは、早計である旨主張する。
上段欧文字部分は、上記2(1)アのとおり、左側縦線部をやや肉太に表した「N」の欧文字とそれに近接して筆記体風の「oble」の欧文字を配してなる「Noble」の欧文字であるというべきところ、このように上段欧文字部分が認識、把握される理由は、1番目の文字が「N」の欧文字であることを明確に看取できるとともに、2番目の文字から5番目の文字が、我が国において広く知られている筆記体の書体や「noble」が平易な英単語である(上記2(1)イ(ア))ことに照らして、「oble」の欧文字であると認識、把握されることにある(なお、請求人は、3番目の文字が「b」と「f」の中間を表すような書体である旨も主張するが、その文字の上下方向の大きさからみて、当該文字が「f」であると認識、把握されることはないといえる。)。しかし、そうであるからといって、本願商標の下段透明図形部分が「RISU」の欧文字を表したものと認識、把握されるということは、態様を完全に異にする以上、ないと言わざるを得ない。
(3)請求人は、取引者、需要者は、商標の構成中の一部の文字をデザイン化した商標であっても、その商標の全体の態様から、一般的・常識的に導き出される文字を認定して商標を認識するのであり、その一般的・常識的に導き出される文字は、本願商標については、図形部の下段部にある「RISU」の欧文字である旨主張する。
しかしながら、商標の構成中の一部の文字をデザイン化した商標から、その商標の全体の態様を踏まえて取引者、需要者がその文字を認識する例があるとしても、本願商標の下段透明図形部分は、その例とは態様を異にするものであるし、また、本願商標の下段透明図形部分から一般的・常識的に導き出される文字が「RISU」の欧文字であるとする根拠は、上記(1)に照らしても、存在しないと言わざるを得ない。
(4)請求人は、甲第7号証ないし甲第10号証を提出して、プラスチックの日用製品について「RISU」の語は著名であり、本願商標の下段部に存在する「RISU」の文字も著名である旨主張する。
甲第7号証は、「岐阜プラスチック工業グループ60年史 挑戦。」と題する文献に係るものであるところ、請求人は、当該証左に基づき、日用製品の分野、特に「調味料セット」等の卓上製品の分野において、「RISU」の語が著名であることに疑いの余地はない旨主張するが、当該証左には本願商標の構成が一切示されていないものであり、仮に「RISU」の欧文字が著名だとしても、そのことが、本願商標の下段透明図形部分が「RISU」の欧文字を表したものと認識、把握されるという結論をただちにもたらすものではない。
甲第8号証は、1978年から1988年までの請求人に係る一部の総合カタログ等であるところ、この証左に記載されている図形は、本願商標の下段透明図形部分とは、少なくとも、上記(1)で説示した構成を備えない点において、異なるものである。
甲第9号証は、請求人が製造したと思われる回転カスターの写真と店頭における表示に係るものであるが、当該回転カスターの写真は不鮮明である上、本願商標の下段透明図形部分を表しているとも言い難い。さらに、店頭における表示については、本願商標の構成を示すものではない。
甲第10号証は、本願商標の図形部そのものにすぎない。
以上によれば、請求人が提出した証左によって、本願商標の下段透明図形部分が「RISU」の欧文字を表したものであるとして取引者、需要者の間に広く認識されていることを認めることはできない。
(5)請求人は、本願商標から「Noble」部分を殊更分離・独立して把握する特段の理由はない旨主張し、その根拠として、本願商標は、「Noble」と「RISU」が二段併記にて表示されており、それぞれの文字の色彩は異なるものの、上段の「Noble」の欧文字の色彩及び下段の背景の色彩を同一とする色彩の共通性もあいまって、外観上一体的な印象を与えるものであり、各構成文字は、同一の正方形の枠内にまとまりよく一体的に表示されていること、本願商標の文字部分全体から生じる「ノーブルリス」の称呼も格別冗長ということもなく一連に淀みなく称呼し得ること、「RISU」の語は、請求人が属するRISU(リス)プラスチックグループがグループのハウスマークとして使用する代表的な出所識別標識であること(甲第1号証ないし甲第6号証)、を挙げる。
しかしながら、外観上の一体性に係る主張については、上記2(1)で認定判断したとおりである。
また、称呼上の一体性及び代表的な出所標識に係る主張は、本願商標の下段透明図形部分が「RISU」の欧文字を表したものであると認識、把握されることを前提としているのであって、上記のとおり、かかる前提は成り立たないし、甲第1号証ないし甲第6号証をみても、これらが、本願商標の構成を示すものではない以上、結論を左右することはない。
(6)請求人は、引用商標1について、その要部は、標章全体又は最上段に大きく表示された「Spick and Span部分」である旨主張するが、上記2(2)アで認定判断したとおりである。
(7)よって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1 本願商標(色彩は原本参照)

別掲2 引用商標1

別掲3 引用商標2

審理終結日 2020-05-07 
結審通知日 2020-05-11 
審決日 2020-05-26 
出願番号 商願2017-96915(T2017-96915) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W21)
T 1 8・ 262- Z (W21)
T 1 8・ 263- Z (W21)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 小林 大祐内田 直樹福田 洋子 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 山村 浩
庄司 美和
商標の称呼 ノーブルリス、ノーブルアアルアイエスユウ、ノーブル、リス 
代理人 前田 大輔 
代理人 朝倉 美知 
代理人 中村 知公 
代理人 伊藤 孝太郎 
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