• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z16
管理番号 1365036 
審判番号 取消2018-300789 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-10-18 
確定日 2020-07-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4426890号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第4426890号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4426890号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成12年2月1日に登録出願,第16類「雑誌,新聞,書籍,その他の印刷物,洋紙,加工紙,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ハンカチ,紙製テーブルクロス,紙製旗,紙製幼児用おしめ,荷札,書画,写真,写真立て,かるた,トランプ,紙製文房具,筆記用具,その他の文房具類,昆虫採集用具,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,製図用具,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として,同年9月5日に登録査定,同年10月20に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成30年10月31日になされた(以下,当該登録3年以内を「要証期間」という)。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないことから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の使用について
被請求人は,本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標(以下「本件使用標章」という。)を,当該指定商品中少なくとも,第16類「雑誌,書籍,その他の印刷物」について,要証期間内に日本国内において使用している旨主張し,その根拠として乙第1号証及び乙第2号証を提出している。
しかしながら,被請求人が本件使用標章を使用したと主張する乙第1号証の1及び2のカタログは商標法上の「商品」には該当しないうえ,当該カタログにおいて本件使用標章が掲載された位置・態様等からすると,「商標の使用」(商標法第2条第3項第1号が規定する「商品又は商品の包装に標章を付する行為」)にも該当しないことから,被請求人の主張する本件使用標章の使用は,商標法第50条に定める「登録商標の使用」には該当しない。
さらに,被請求人の提出した証拠はいずれも信用性に欠けるものであり,そもそも,要証期間内における本件商標の使用を証明でき得るものではない。
(2)商標法上の「商品」該当性について
被請求人は,本件使用標章が「雑誌,書籍,その他の印刷物」に使用されていることを証明するものとして,乙第1号証の1及び2のカタログ「Life Style Music/癒し情報カタログ/2018/春夏号」を提出している。
そして,被請求人は,当該カタログは,被請求人の商品の宣伝に限らず,健康に関する情報や,その他の様々な情報を掲載していることから,単なる商品カタログではなく反復して流通する商品である旨主張する。
商標法第50条における登録商標の使用は,登録商標に係る指定商品又は指定役務について,商標として,すなわち,自他商品識別標識として使用される必要があり,同条の適用上,「商品」というためには,市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならない(東京高判平成13年2月28日(平成12年(行ケ)第109号)参照)。
この点,乙第1号証の1及び2のカタログは,以下に述べるとおり,被請求人の商品・サービスの宣伝を目的とするものにすぎず,商標法上の「商品」に該当するものではない。
ア 乙第1号証の1及び2のカタログには,定価はなく,当該カタログは無償で提供されるものである。
このことは,被請求人のウェブサイトにおいて,「カタログをご希望のお客様にカタログを無料で進呈させていただきます。」と記載されていることから明らかである(甲2)。
イ 乙第1号証の1及び2のカタログでは,被請求人の商品である音楽コンパクトディスク(以下「音楽CD」という。)が「New Release」,「ポップス・コレクション」,「心やすらぐ・クラシック」,「Della2017年度CD売上ランキング」等,カテゴリの別に紹介され,各音楽CDの題名,価格,商品コードなどの情報が掲載されている。
「疲労のメカニズムを知ろう」,「『睡眠負債』を抱える日本人」,「赤ちゃんのための『音育』講座」といった記事には,それぞれのトピックに関するおすすめの音楽CDとして,被請求人の商品の題名,価格,商品コード等が紹介されている。
これらの内容からすれば,被請求人が主張する「健康に関する記事,その他の様々な情報」も,健康等の情報を伝えることのみを目的としたものではなく,結局,被請求人の商品を紹介,宣伝等することを目的としたものにすぎない(ちなみに,乙第1号証の1及び2のカタログには,被請求人が扱う商品としての「印刷物」は掲載されていない。)。
以上より,乙第1号証の1及び2のカタログは,被請求人の商品を顧客に販売するための広告宣伝を目的としたものであって,被請求人の管理を離れ,市場において独立して商取引の対象として流通に供されているものではなく,商標法上の商品に該当しないことは明らかである。
(3)「商標の使用」の該当性について
被請求人は,本件使用標章の掲載位置について,表裏表紙に該当する部分ではないが,出願人(被請求人)の情報が掲載されている,いわば奥付に準ずる部分に付されているものであるから,当該印刷物との関係では,それなりに出所機能を発揮しており,商標法第2条第3項第1号の使用に該当する旨主張する。
しかしながら,本件使用標章が付された箇所は,全27ページのカタログの22ページ目に掲載された,『Healing Plaza』(被請求人の直営公式ショップとのことである。)の宣伝ページの下部のメールマガジンの登録案内が記載された箇所の枠内に小さく挿絵として入れられているものにすぎず,通常の書籍や雑誌における印刷物の奥付(「書名・著者・発行者・印刷者・出版年月日・定価などを記した部分」)に準ずる部分とは到底いい得ないものである。
したがって,本件使用標章の使用は,本件商標に係る商品「雑誌,書籍,その他の印刷物」について,その出所を表示し,自他商品を識別する標識として使用されているものとは認められないから,被請求人の主張する使用の事実によって,本件商標と同一又は社会通念上同一の商標がその指定商品について要証期間内に日本国内で使用されたということはできない。
(4)被請求人の提出した証拠について
上記のとおり,被請求人の主張する使用の事実によって,本件商標と同一又は社会通念上同一の商標がその指定商品について要証期間内に日本国内で使用されたと認めることはできないものであるが,被請求人の提出した証拠は,そもそも要証期間内における日本国内での本件商標と同一又は社会通念上同一の商標の使用を立証し得るものではないことから,念のためその点について主張する。
まず,乙第2号証の納品書について,被請求人は,これを,乙第1号証の1及び2のカタログである,2018年(平成30年)4月26日「Life Style Music/癒し情報カタログ/2018/春夏号」の納品書であると述べるが,当該納品書の「商品名」欄には「総合カタログ2018?2019用(春夏)」としか記載されておらず,この記載からはその対象が乙第1号証の1及び2のカタログであるかは明らかではない。
その点はおくとしても,乙第1号証の1及び2は,以下に述べるとおり,極めて不自然なものであり,信用性が欠けるものといわざるを得ない。
すなわち,請求人が,被請求人のウェブサイト上のカタログ申込ページを通じて乙第1号証の1及び2のカタログと同一のカタログ「Life Style Music/癒し情報カタログ/2018/春夏号」(甲3の1)を入手したところ,当該カタログの「Healing Plaza」の宣伝ページ(22ページ目)下部の本件使用標章の掲載箇所には異なる図柄が掲載されていた(甲3の2)。しかも,かかる小さな図柄と,図柄が異なることによるレイアウトが若干異なるほかは,全てのページの記載内容が,乙第1号証の1のカタログのものと同一であった。当該カタログの「Healing Plaza」の宣伝ページは,その性質上同じ内容のものを繰り返し掲載することが多いと思われるところ,同じ春夏号で,当該箇所のみを変えた複数のバージョンのカタログを作成するということは,通常考え難い。
なお,請求人が,上記カタログ申込ページから「Life Style Music/癒し情報カタログ/2018/秋冬号」(甲4の1)も入手したところ,同号における「Healing Plaza」の宣伝ページ(22ページ目)も,下部のメールマガジンの登録案内における図柄を含め,甲第3号証の2の春夏号のカタログにおけるものと全く同一の記載であった(甲4の2)。
このことからも,乙第1号証の1及び2において被請求人が「本件使用標章を使用していた」と主張する箇所の記載は極めて不自然といわざるを得ず,乙第1号証の1及び2は証拠としての信用性は認められないものである。
したがって,これを根拠とする被請求人の主張も不合理である。
(5)結諭
以上のとおり,被請求人が提出したいずれの証拠によっても,被請求人による要証期間内の日本国内における本件商標と同一又は社会通念上同一の商標の指定商品についての使用は立証できておらず,本件商標は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証及び乙第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用について
本件商標権者は,本件商標と同一,若しくは,社会通念上同一と認められる商標を,当該指定商品中,少なくとも,第16類「雑誌,書籍,その他の印刷物」について,要証期間内に日本国内において使用している。
雑誌,書籍,その他の印刷物(乙1?乙2)により使用の事実を証明する。
(1)「Life Style Music/癒し情報カタログ/2018/春夏号」に登録商標を付している状態を示す写真(乙1)。
(2)2018年(平成30年)4月26日「Life Style Music/癒し情報カタログ/2018/春夏号」の納品書(写)(乙2)。
これらは,本件商標の使用に関し,実際の取引があったことを証する書類である。
2 本件商標の使用態様について
本件商標権者は,本件商標と同一の商標,及び,社会通念上同一と認められる商標をその指定商品に使用している。その掲載位置は,表裏表紙に該当する部分ではないが,本件商標権者の情報が掲載されている,いわば奥付に準ずる部分に付されているものであるから,当該印刷物との関係では,それなりに出所機能を発揮しており商標法第2条第3項第1号の使用に該当するものである。
また,「Life Style Music/癒し情報カタログ/2018/春夏号」は,被請求人の商品の宣伝に限らず,健康に関する情報や,その他の様々な情報を掲載していることから,単なる商品カタログではなく反復して流通する商品である。
3 むすび
よって,少なくとも,第16類「雑誌,書籍,その他の印刷物」については,本件商標権者が継続して3年以上日本国内において本件商標の使用をしていることから,本件商標は取消されるものではない。

第4 当審の判断
1 証拠及び当事者の主張によれば,以下のとおりである。
(1)「Life Style Music/癒し情報カタログ/2018/春夏号」(乙1の1)について
当該癒し情報カタログ(乙1の1)には,「New Release」,「ポップス・コレクション」,「心やすらぐ・クラシック」,「Della2017年度CD売上ランキング」の項に音楽CDが紹介され,各音楽CDの題名,価格,商品コードなどの情報が掲載されている。そして,当該カタログの22ページ(抜粋,乙1の2)の右下には,メールマガジンを登録するQRコードの右横に,犬と思しき動物が直立した図形と「DELLY」の文字が表示されている。しかしながら,当該癒し情報カタログの発行日は明らかでなく,定価の記載もない。また,頒布時期,頒布数,頒布方法及び頒布地域も不明である。
(2)請求人が入手した「Life Style Music/癒し情報カタログ/2018/春夏号」(甲3の1)について
請求人が被請求人のウェブサイトにおいて,無料のカタログを申し込んだ「Life Style Music/癒し情報カタログ/2018/春夏号」(甲3の1)には,上記(1)の癒し情報カタログと同一の内容の音楽CDが紹介されているが,当該カタログの22ページ(抜粋,甲3の2)の右下には,メールマガジンを登録するQRコードの右横に,犬と思しき動物が左手を挙げている図形が表示されている。
(3)納品書(乙2)について
株式会社博多印刷が平成30年4月26日に本件商標権者宛てに発行した納品書(乙2)には,商品名として「総合カタログ2018?2019用(春夏)」,数量として「50,000」冊の記載がある。
2 判断
(1)癒し情報カタログについて
上記1(1)によれば,癒し情報カタログ(乙1)は,音楽CDの題名,価格,商品コードなど音楽CDを紹介したものである。
しかしながら,商標法における「商品」とは商取引の目的物として流通性のあるもの,すなわち,一般市場で流通に供されることを目的として生産され又は取引される有体物であると解すべきところ,請求人が被請求人のウェブサイトにおいて,癒し情報カタログ(乙1)と同じカタログ(22ページの犬と思しき動物図形を除く。甲3)を無料で入手できたことを考慮すると,当該癒し情報カタログは,本件商標権者が取り扱う商品を顧客に販売するための広告宣伝を目的として無料で顧客等に引き渡されたというのが相当であるから,一般市場で流通に供されることを目的に生産された有体物であるとはいえないため,商標法上の「商品」と認めることはできない。
また,当該カタログの22ページ(乙1)には,メールマガジンを登録するQRコードの右横に,犬と思しき動物が直立した図形と「DELLY」の文字が表示され,被請求人は奥付に準ずる部分に付されているものである旨主張するが,通常印刷物の奥付にある「書名・著者・発行者・印刷者・出版年月日・定価」等の情報は一切記載がないことから,メールマガジンを登録する部分は,印刷物の奥付に準ずる部分とみることはできず,むしろ,当該動物図形はメールマガジンの登録案内におけるキャラクター(標章)と捉えられることから,これが当該カタログの出所識別標識として機能を果たす部分とは認めることはできない。
(2)納品書について
納品書(乙2)に記載の「総合カタログ2018?2019用(春夏)」と「Life Style Music/癒し情報カタログ/2018/春夏号」(乙1)を関連付ける証拠はないため,納品書に記載されている商品と当該癒し情報カタログが同一のものであるかが不明である。
(3)小括
以上のとおり,癒し情報カタログ(乙1)は,商標法上の「商品」と認めることはできないし,当該カタログに記載された犬と思しき動物が直立した図形と「DELLY」の文字は,当該カタログの出所識別標識として機能を果たす部分と認めることもできない。
したがって,被請求人が提出した証拠によっては,要証期間内に,本件商標権者が,本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用したことを認めるに足る事実を見いだせない。
3 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標


審理終結日 2020-05-13 
結審通知日 2020-05-18 
審決日 2020-06-03 
出願番号 商願2000-6733(T2000-6733) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z16)
最終処分 成立 
前審関与審査官 馬場 秀敏 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 平澤 芳行
大森 友子
登録日 2000-10-20 
登録番号 商標登録第4426890号(T4426890) 
商標の称呼 デリー 
代理人 皆川 由佳 
代理人 三浦 光康 
代理人 船橋 理恵 
代理人 岩瀬 ひとみ 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ