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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20179616 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W43
審判 査定不服 外観類似 登録しない W43
審判 査定不服 観念類似 登録しない W43
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W43
管理番号 1365020 
審判番号 不服2019-10771 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-08-14 
確定日 2020-07-16 
事件の表示 商願2018- 24039拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「焼肉たらふく」の文字を標準文字で表してなり、第43類「焼肉を主とする飲食物の提供,飲食物の提供」を指定役務として、平成30年2月28日に登録出願され、指定役務については、当審における令和元年8月14日受付けの手続補正書により、第43類「焼肉を主とする飲食物の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録第3144298号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成4年9月30日に登録出願、第43類「ふぐ料理を主とする飲食物の提供」を指定役務として同8年4月30日に設定登録され、その後、同17年12月20日及び同28年4月19日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、「焼肉たらふく」の文字を表してなるところ、その構成中「焼肉」の文字は、「牛、豚などの肉をあぶって焼いたもの。」の意味を有する語であって、また、「たらふく」の文字は、「腹いっぱいに。十二分に。」の意味を有する語(いずれも岩波書店「広辞苑第六版」)である。
そして、本願商標の構成中、「焼肉」の文字は、本願の指定役務である「焼肉を主とする飲食物の提供」との関係においては、提供する料理の種類を表したものにすぎず、「焼肉たらふく」の文字からなる本願商標は、これを、その指定役務に使用したときは、取引者、需要者に「『たらふく』という名称の焼肉を提供する飲食店」程の意味合いを表したものと容易に理解、認識させるものである。
してみれば、本願商標の構成中「焼肉」の文字部分は、役務の内容を認識させるにとどまるものであるから、本願商標は、その構成中「たらふく」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。
したがって、本願商標からは、その構成全体より生じる「ヤキニクタラフク」の称呼及び「『たらふく』という名称の焼肉を提供する飲食店」の観念に加え、要部である「たらふく」の文字部分より、単に「タラフク」の称呼及び「腹いっぱいに。十二分に。」の観念を生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲のとおり、筆文字風の書体で縦書き4文字の構成からなるところ、その構成中、3文字目は相当程度図形化されたものであるとしても、その余の文字と合わせて観察した場合には、「ふ」の平仮名を表したものであると理解でき、引用商標は「たらふく」の平仮名からなるものとみるのが自然である。
そうすると、引用商標は、「たらふく」の語を認識させ、その構成文字に相応して、「タラフク」の称呼を生じ、「腹いっぱいに。十二分に。」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
上記(1)のとおり、本願商標は、その構成中、「たらふく」の文字部分が独立して役務の出所識別標識として機能し得るものであるから、本願商標から当該文字部分を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して、商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
そこで、本願商標と引用商標を比較すると、本願商標と引用商標とは、その構成全体の比較においては、区別し得ることを考慮したとしても、本願商標の構成中、役務の出所識別標識としての要部である「たらふく」の文字部分と引用商標の比較においては、両者は「タラフク」の称呼及び「腹いっぱいに。十二分に。」の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において異なるとしても、その称呼及び観念を共通にするものであり、これら外観、称呼及び観念を総合して観察すれば、両商標は互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願の指定役務、第43類「焼肉を主とする飲食物の提供」と、引用商標の指定役務、第43類「ふぐ料理を主とする飲食物の提供」とは、「主として提供する飲食物」が相違するとしても、いずれも「飲食物の提供」を指定役務とするものであるから、共に、飲食物を提供するという行為、目的において共通し、提供の場所は飲食店であり、需要者の範囲は飲食を求める者であって、業種は飲食業である等、それらを総合的に考慮すれば、本願の指定役務と引用商標の指定役務は、類似するものであることは明らかである。
(5)小括
したがって、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、引用商標の指定役務と類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、その指定役務が「焼肉を主とする飲食物の提供」であり、引用商標は、その指定役務が「ふぐ料理を主とする飲食物の提供」であるから、両商標の指定役務は提供される飲食物の種別が全く異なり、飲食店業界における一般的、恒常的な取引の実情にみれば、この相違は、需要者の役務の選択にかかわる極めて重要な相違であるから、提供される飲食物の種別が全く異なる役務間にある本願商標と引用商標は、称呼が同一であることをもって、出所の混同が生じるとは認めがたいものであると主張している。
しかしながら、上記(3)のとおり、本願商標と引用商標は、称呼及び観念を共通にする類似の商標であることに加え、上記(4)のとおり、たとえ提供される飲食物の種別が異なるとしても、飲食物を提供するという行為、目的、提供場所、需要者の範囲の共通性等を考慮すれば、本願の指定役務と引用商標の指定役務に、同一又は類似の商標を使用した場合には、役務の出所について誤認・混同するおそれがあるものとみるのが相当であり、提供される飲食物の種類が異なるとしても両者は類似の役務であるといわなければならない。
したがって、請求人による上記主張は採用することができない。
イ 昨今、インターネット等により情報収集が容易になっていることからすれば、情報収集の手段や、連絡の手段が、今や電話に頼るものではない。このような近年の商取引の実情からすれば、称呼が同一であることを過度に重視せず、外観及び観念の相違によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察して類否を検討すべきであると主張する。
しかしながら、上記(3)のとおり、本願商標と引用商標の類否について、外観、称呼及び観念を総合して観察した上で、その称呼及び観念を共通にする互いに紛れるおそれのある商標と判断したものであり、称呼の同一性のみを重視して判断したものではないから、請求人の上記主張は採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであって、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲 引用商標


審理終結日 2020-05-07 
結審通知日 2020-05-12 
審決日 2020-05-28 
出願番号 商願2018-24039(T2018-24039) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W43)
T 1 8・ 262- Z (W43)
T 1 8・ 264- Z (W43)
T 1 8・ 263- Z (W43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤田 和美 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
綾 郁奈子
商標の称呼 ヤキニクタラフク、タラフク 
代理人 辻田 朋子 

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